連絡先と連絡先モデルのリレーションシップについて
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Contact Builder が Marketing Cloud Engagement の他のアプリケーションとどのように連携するかを説明する。
- 連絡先レコードで連絡先が登録したチャネルを調べる。
- 連絡先と購読者の違いを説明する。
- 連絡先 ID と連絡先キーを区別する。
データモデルの使用開始
企業はかつてないほど多様な方法で顧客とつながることができます。顧客の行きつけの店舗のタイムセールを告知するプッシュ通知を送信したと思ったら、次の瞬間にはもうすぐ開催されるイベントに関するメールを送信しています。その後、顧客のお気に入りのバックパックがセール中であることを知らせるメッセージを送ります。人々とのつながり方が多岐にわたる中、Marketing Cloud Engagement ではどのようにして、多種多様なマーケティングチャネル全体で統合されたシームレスなカスタマーエクスペリエンスを実現しているのかと不思議に思うかもしれません。
この答えを握るのが Contact Builder です。
このモジュールでは、Contact Builder でどのようにして連絡先データを管理し、連絡先モデルのリレーションシップを構築するのかを学びます。また、各自のデータモデルを設定していく方法も習得します。
Contact Builder での連絡先の管理
Contact Builder は Marketing Cloud Engagement のアプリケーションで、Marketing Cloud Engagement のあらゆるアプリケーションやチャネルにある連絡先データにアクセスして、管理、整理、リンク、表示できるようにします。Contact Builder は、連絡先データを格納するリレーショナルデータベースを設定するためのアプリケーションと考えることができます。
Contact Builder は、1 対 1 のリレーションシップの構築に使用する連絡先データを管理するためのいくつかのツールを備えています。
- 連絡先の構成: インポートした連絡先情報を Contact Builder でどのように処理するか判断します。
- データデザイナー: 連絡先に関する情報を定義し、データエクステンションをリンクするという方法でデータを直接連絡先レコードに関連付けます。
- データエクステンション: 連絡先情報を保持するデータエクステンションを作成して管理します。
- インポート: 連絡先情報をデータエクステンションに移動するプロセスを作成します。
- データソース: 連絡先データの供給元を視覚化し、そのソースに属性を割り当てます。
Contact Builder は、判断分岐や、連絡先にジャーニーの特定のパスを進行させる必要がある場合に役立つほか、連絡先をジャーニー自体に追加する手段にもなります。
連絡先と購読者
Marketing Cloud Engagement の複数のチャネルを使用するときは、連絡先と購読者を区別することが重要です。
- 連絡先は、いずれかのマーケティングチャネル経由でメッセージを送信する相手です。通常、連絡先は [すべての連絡先] セクションに表示されますが、他の場所にも連絡先レコードが表示されることがあります。
- 購読者は、コミュニケーションを受け取ることまたは特定のチャネルに属することを選択した人です。比喩的に言うならば、連絡先が大部屋にいるのに対し、購読者は個室にいます。購読者はインポートしたり、手動で作成することができ、データエクステンションに保存されます。
購読者はすべて連絡先ですが、すべての連絡先が購読者とは限りません。メールの場合、メールを送信した相手は購読者であるため、Email Studio の購読者は常に連絡先になります。何も送信したことがなくても、その連絡先が [すべての連絡先] に表示されることがあります。たとえば、Sales Cloud または Service Cloud から同期された連絡先や、REST API 要求によってインポートされた連絡先は、[すべての購読者] ではなく [すべての連絡先] に表示されます。購読者は、何かが送信された後で [すべての購読者] に追加されます。たとえば、連絡先にメールメッセージではなくモバイルメッセージを送信した場合に、その連絡先がモバイル購読者になる一方で、メール購読者にはならないことがあります。
Contact Builder とその他の Marketing Cloud Engagement アプリケーション
Contact Builder は、Journey Builder、MobileConnect、MobilePush など、Marketing Cloud Engagement の他のアプリケーションと連携します。Contact Builder と Email Studio の関係はやや複雑です。Email Studio のデータは Contact Builder に表示されますが、Contact Builder のデータは Email Studio に表示されません。つまり、Email Studio の購読者は Contact Builder の [すべての連絡先] セクションに表示されますが、Contact Builder の連絡先は Email Studio に自動的に表示されません。
連絡先レコードの概要
Contact Builder の連絡先レコードは、顧客の単一ビューとなるもので、顧客とブランドのあらゆるやりとりが表示されます。関連付けられているアドレス、購読、アクティビティやジャーニーに関連付けられているトラッキング情報のすべてが、この 1 つの連絡先レコードに関連付けられます。
連絡先レコードでは、連絡先に関する次のような重要な詳細を確認できます。
- 過去のやりとり、アクティビティ、ジャーニー。
- リレーションシップ。
- 購読チャネル。
- メールアドレスやモバイル番号。
顧客のこの単一ビューで、MobileConnect から SMS メッセージを送信するために必要なモバイル番号、Email Studio からメールメッセージを送信するためのメールアドレス、MobilePush からプッシュメッセージを送信するためのモバイルデバイス ID を確認できます。
連絡先キー、連絡先 ID、購読者キー
Marketing Cloud Engagement や Salesforce で連絡先データは、連絡先キー、連絡先 ID、購読者キーを使用して管理されます。
連絡先キー
連絡先は 1 つの連絡先キーを使用して管理され、各種のチャネル間で関連付けられます。連絡先キーは、連絡先に割り当てる一意の識別子です。購読者にメールが送信され、この連絡先がモバイルでのやりとりを希望した場合、連絡先キーによってこの連絡先がモバイルチャネルに追加されます。連絡先キーは、アカウント内の連絡先を識別して、連絡先、チャネル、リレーションシップを結び付けます。メッセージの送信にどのチャネルを使用する場合でも連絡先キーは同じです。
連絡先キーにより、複数のチャネルの連絡先を結び付けることが可能になります。たとえば、ある連絡先を Email Studio ではメールアドレスで識別し、Mobile Studio ではモバイル番号で識別しているとします。この連絡先には 2 つの異なる識別子があるため、連絡先キーがないと、この連絡先につながりがあることを Marketing Cloud Engagement に認識させるのは無理があります。この場合、この情報は Contact Builder で 2 つの別々の連絡先として処理されることになります。連絡先に連絡先キーを割り当てるときは、全チャネルで共通になるようにします。
連絡先 ID
連絡先 ID は、Salesforce がバックエンドで連絡先を一意に識別するために使用する番号です。Salesforce は連絡先 ID を使用して各種チャネルの連絡先を識別します。
購読者キー
Email Studio では連絡先が購読者キーで識別され、Contact Builder ではこの購読者キーが連絡先キーになります。購読者キーは購読者のプライマリキーで、選択した値で購読者を識別できます。購読者キーは次の用途に使用します。
- 1 つのメールアドレスに複数の購読者属性セットを保持する。たとえば、家族が 1 つのメールアドレスを共有している場合、購読者キーを使用すれば家族の各メンバーを一意に識別できます。
- 1 つのメールアドレスをリストに何度も記載する。たとえば、単一送信で、ある購読者が所有する車両 1 台につき 1 通のメッセージを送信することができます。
購読者キーは Marketing Cloud Engagement の運用全般で一貫性を確保する必要があるため、購読者キーを決定することは極めて重要なビジネス判断になります。送信リレーションシップを通じて作成されるデータエクステンションごとに購読者キーを設定します。各送信可能データエクステンションに購読者キーが存在していなければなりません。
ベストプラクティス
- 連絡先と購読者の違いを理解します。
- 連絡先に連絡先キーを割り当てるときは、全チャネルで共通になるようにします。
Contact Builder の概要がわかったところで、Contact Builder を使用して連絡先モデルを構成する方法を見ていきます。