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アカウントを監査する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • アカウントに監査を実施する。
  • アカウントを改善するアクションプランを特定する。

金曜日の午後、あなたが退社しようとしたときに、上司に緊急ミーティングに参加するよう呼び止められたとします。法務チームから、Welcome ジャーニーの 1 通のメールを今すぐ削除するよう指示されました。その日のうちに修正できるでしょうか? もちろんです。何を根拠にそれを確信できますか? あなたはアカウントのすべての重要なコミュニケーションを対象にアカウント監査を実施しているため、削除する必要があるメールをすぐに見つけることができます。

では、アカウント監査を実施していない場合はどうすればよいのでしょうか? その場合に役立つのがこのモジュールです。ここでは、Marketing Cloud Engagement アカウントの緊急事態に対する準備について説明します。具体的には、アカウントを監査してリスクを特定し、データやプロセスを微調整して、まさに必要とするときにアカウントが最適なパフォーマンスを発揮できるようにする方法について解説します。 

アカウントの評価から始める

アクションプランを作成して緊急事態に備えるためには、まずアカウントの監査とリスク評価を行う必要があります。監査とは、個人または組織のアカウントを調査することです。多くの人々にとっては、気が進まないことかもしれません。けれども、監査はリスクをプロアクティブに特定して問題を解決するための重要なステップです。監査を実施していれば、緊急事態が生じたときにアカウントを対応させることができます。まずは、各自の Marketing Cloud Engagement アカウントの [セットアップ] 画面にアクセスします。この画面には、ジャーニー、オートメーション、データエクステンション、コンテンツ、ユーザーなど、アカウントの代表的なメトリクスが表示されます。  

ジャーニー、オートメーション、データエクステンション、コンテンツ、ユーザーなどアカウントの概要が示されている Marketing Cloud Engagement の [セットアップ] のメトリクス。

[セットアップ] 画面に上記の領域の概数が示されますが、アカウントをドリルダウンして、特定の領域の詳細を検討する必要があります。アカウントのジャーニー、オートメーション、コンテンツなどの領域ごとに次の点を自問します。 

アカウントの領域
質問
ジャーニー
  • アクティブなジャーニー数とドラフト数はどのくらいか?
  • アーカイブまたは削除できる古いジャーニーはないか?
  • ジャーニーに目標が設定されているか?
オートメーションと連携
  • 実行されているアクティブなオートメーションの数は?
  • 各オートメーションの目的を把握しているか? (メールの送信、レポートの実行など)
  • どのオートメーションが非アクティブまたは一時停止になっているか?
  • 頻発するエラーやクエリの失敗がないか?
  • 検証アクティビティを使用しているか?
  • アーカイブまたは削除できる古いオートメーションはないか?
  • エラー通知を使用しているか?
データアーキテクチャ
  • Contact Builder を使用しているか?
  • 共通の連絡先キーを使用しているか?
  • リストを使用しているか? データエクステンションについてはどうか? いくつあるか?
  • アーカイブまたは削除できる古いデータエクステンションはないか?
  • データ保持を使用しているか?
  • Marketing Cloud Engagement にどのような種類のデータを保存しているか? 機密データを保存していないか?
  • 命名規則を使用して整理しているか?
コンテンツ
  • どのようなコンテンツブロックを使用しているか? テンプレートは? HTML は?
  • コンテンツブロックに AMPscript や JavaScript などのプログラム言語を使用しているか?
  • 何か場違いなもの、旧式のもの、さらに調査したいものはないか?
  • 命名規則を使用して整理しているか?
ユーザーと設定
  • アカウントのアクティブなユーザーは何人か?
  • 知らない人が存在していないか?
  • 無効にすべきユーザーアカウントはないか?
  • API にアクセスできるユーザーは誰か?
  • アカウントに設定されている送信者プロファイルの数は?
  • 送信エラーが生じたメールアドレスを通知するようにアラートマネージャーを設定しているか?

上記の質問に答えることで、アカウントのステータスや構造をとらえることができます。より的確に把握したい場合には、変更したい点や調査したい問題のリストを作成することが考えられます。アカウントの評価を完了するためには、もう 1 つステップがあります。次のセクションで、オートメーションについて説明します。

オートメーションを監査する

緊急事態に対する準備を整えるために、Automation Studio など、パフォーマンスにとって重要な領域に徹底的な監査を実施することをお勧めします。オートメーションがない場合は、このセクションをスキップしても構いません。オートメーションがある場合は、最初にアカウントのアクティブなオートメーションとその機能をすべてリストします。このリストからアカウントで何が行われているのかを把握し、チームのために文書化しておくことができます (安心して休暇を取ることができます)。以下に、オートメーションの監査の一例を示します。

オートメーション名
オートメーション種別
メール情報
エラー通知
チームへのメモ
キャンペーン > 1 日のメール送信
スケジュール済み (午前 9 時 (東部時間))
DailyEmailSend_Version10
null

  • マスター購読者のクエリからオーディエンスが作成される。
  • 通常の実行時間は 1 時間。
  • 午前中に DailyEmailDE を更新しないでください。
Transactional > 新規アカウント通知
ファイルドロップ
AccountNotification_Version3
emailalias@example.com
  • データチームが 1 日おきに新しいファイルを Transactional フォルダーにドロップする。
抽出 > 月次のアカウントの PerformanceExtract
スケジュール済み (毎月 1 日の午前 12 時 (東部時間))
N/A
null

  • 社内のレポート用。
抽出 > データ更新抽出
スケジュール済み (毎週日曜日の午前 2 時 (東部時間))
N/A
emailalias@example.com

  • 月曜の始業時までにオートメーションを完了する。
  • 使用されている外部のデータシステムや会社のメーリングの更新に使用する。

監査によって現在アカウントで何が行われているかを把握できるだけでなく、チームが新しいオートメーションを計画し、時刻をスケジュールするうえでも役立ちます。アカウントで大量のデータを処理している時間帯がわかれば、1 回限りのアドホック送信などを実施する最適な時間帯を判断できます。

メモ

オートメーションのほか、トリガーによる送信やユーザープロファイルの分析も、アカウントの継続的なメンテナンスに役立つものと思われます。

アカウントの危険信号

Marketing Cloud Engagement アカウントのあらゆる領域を理解したら、メール送信速度の低下、失敗、システム全体の問題など、パフォーマンスの問題を引き起こす可能性がある危険信号に目を向けます。以下は、危険信号となる可能性がある一般的な兆候です。

  • データのリスク (個人データの保存、無効にすべきユーザーアカウントなど)
  • 送信時にコンテンツを書き込む (挿入、更新/挿入) 複雑なメールコード
  • HTTPGet/HTTPPost を使用して、外部から SFMC へのリソースを操作する手順
  • 使用前に更新または検証する必要があるデータソース
  • あらゆる不良データやデータの矛盾
  • クエリの失敗
  • オートメーションや送信で頻発するエラー

上記の危険信号を念頭に、紙とペンを用意するか、愛用のメモ取りアプリを開きます。ここで、監査した領域と収集したメモを確認して、各領域にリスクスコア (例: 高、中、低) を割り当てます。どのようなものが高リスクまたは低リスクなのか、よくわからないかもしれません。スコアは主観的なものですが、アカウントの各領域にスコアを割り当てるときに、以下のスコアカードを参考にすることができます。

スコアカード

リスク評価
説明
確認する点

すでに脅威であるか、対処しなければ脅威になる可能性がある。

  • お客様の個人データがデータエクステンションに保存されている。
  • エラーが頻発する、または手順に問題がある。
  • オートメーションで複数の障害が発生している。
  • オートメーションに古いメールや期限切れのメールがある。
  • アクセスが不要になった Marketing Cloud Engagement ユーザーが有効のままである。

規模が拡大した場合、または緩和策に失敗した場合に高リスクになる可能性がある。
  • 大量の API コールが実行されている。
  • パフォーマンスのベストプラクティスに従っていない。
  • 配信到達性や購読者維持が低い。
  • 購読者キーまたは連絡先キーが一致していない。
  • データエクステンションでデータ保持を使用していない。
  • データデザイナー/Contact Builder を使用していない。
  • 大量の購読者がいる (100 万人超)。
  • キャンペーンが自動化されておらず、手動送信されている。

リスクの軽減に重点的に取り組むほどではないが、確認したほうがよい。
  • 使用されていない古いデータエクステンションまたはリストがある。
  • コンテンツブロックでパーソナライズが行われていない。
  • オートメーションにメール通知が割り当てられていない。
  • アカウントで、キャンペーンの関連付けのタギングや Einstein エンゲージメントスコアリングなどの便利な機能を使用していない。
  • 命名規則、外部キーの構成、フォルダー構造がない。

各領域にスコアを付ける準備ができました。以下は、結果の記録に使用できる評価テンプレートです。

アカウントの領域
特定の領域/コンテンツ
数量
メモ
リスク評価
ジャーニー
アクティブなジャーニー



オートメーションと連携
アクティブなオートメーション (インポート、データ抽出、ファイル転送、クエリなど)



APIs



トリガーによる送信



コンテンツ
メールテンプレート



HTML 貼り付けメール



AMPscript ブロック



動的コンテンツブロック



SMS または MobilePush



画像



ランディングページまたは CloudPages



データエクステンションやデータストレージ
リスト



データエクステンション



共有データエクステンション



同期済みデータエクステンション



外部インテグレーション



ユーザーと設定
有効なユーザー



返信メール管理 (RMM)



送信者プロファイル



送信分類



メモ

こちらのテンプレートを使用して、独自の監査レビューを作成できます。

アラートマネージャー

アカウントを評価する際に、アラートマネージャーという便利な機能を設定することをお勧めします。Marketing Cloud Engagement 管理者に連絡して、アラートマネージャーの [セットアップ] ページにメールを追加してもらいます。構成後、このメールで一括メール送信やトリガーによる送信の重要なシステムアラートを受信します。エラーに気付いたときは手遅れだったということがないように、エラーをすぐに確認します。どのようにするのでしょうか? AMPscript エラーが原因でトリガーによる送信が一時停止した場合など、エラーによってメール送信が停止すると、エラーの原因が記載されたメールが送信されます。問題に対して事前に準備しておくことが大切です。 

メモ

「Marketing Cloud Engagement のアラートマネージャーエラー」ナレッジ記事で、エラーが生じる可能性があるコードを確認できます。 

緊急事態のアクションプラン

リスク評価が完了したら、アクションプランを作成します。緊急事態のアクションプランでは、緊急電話番号や避難経路ではなく、各自の Marketing Cloud Engagement アカウントに関連する問題やリスクの軽減に役立つ S.M.A.R.T. (具体的、測定可能、達成可能、関連する、期限付き) アクションステップを特定します。 

メモ

S.M.A.R.T. の目標やロードマップの作成についての詳細は、「デジタルマーケティングのロードマップの作成」モジュールを参照してください。

以下は、計画された具体的なステップ、リスクレベルと詳細、期日を示すアクションプランの一例です。

優先度
具体的な領域/コンテンツ
具体的なアクションステップ
リスク評価
リスクの理由
期日
1
有効なユーザー
  1. 退職した 2 人のユーザーを無効にする。

退職したユーザーが有効のままになっている。
今週中
2
コンテンツ
  1. Welcome メールの JavaScript の使用を調査する。
  2. パフォーマンスを改善するためにコードの更新をテストする。

コンテンツによってパフォーマンスが低下している。
今月中
3
アクティブなオートメーション
  1. メールエイリアス (email-issues@cumulus.com) を使用してオートメーションを更新する。
  2. すべてのアクティブなオートメーションの状況を確認する。
  3. 頻繁に失敗するオートメーションの原因を調査する。

Automation Studio で数種のオートメーションが失敗している。

チームが通知メールを追加していない。
今月中
4
データエクステンション
  1. 既存のデータエクステンションの状況を確認する。
  2. アーカイブ計画を定める。
  3. データエクステンションをクリーンアップする。

古いデータエクステンションを削除またはアーカイブする必要がある。
今四半期中
5 メール送信
  1. 一括メール送信やトリガーによる送信のアラートを受信するようにアラートマネージャーを設定する。
中~高 チームがメール送信のエラーを認識していない。 今週中

プランを立てたら、上記の更新作業を開始して、定期的にリストを見直します。 

メモ

忘れないように、月または四半期に 1 回、監査を再確認するリマインダーを設定し、継続的なメンテナンスを優先事項にします。  

順調です! プランを立てたところで、次は緊急事態の備えのもう 1 つの重要なトピックであるデータ品質とデータ処理について説明します。

リソース

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