販売予測指標と数式の設定
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 取引先販売予測の計算の販売計画を設定する。
- 商談確度と商談商品スケジュールを有効にする。
- 取引先販売予測のカスタム指標を作成する。
- 取引先販売予測の表示された指標を選択する。
- 販売予測数式を作成する。
取引先販売予測の計算の調整
Manufacturing Cloud では、取引先販売予測が精緻なものになります。販売予測の計算ができる限り正確になるように、Cindy は [設定] の [取引先販売予測] ページで 2 つの調整を行うことができます。
- 取引先販売予測の計算で考慮すべき販売計画を設定できる。
- 取引先販売予測レシピに追加される商談と商談品目を微調整できる。
Cindy がこの調整を実行する手順を追ってみましょう。
取引先販売予測の計算の販売計画を設定する
通常、販売予測の計算では有効な状況の販売計画のみが考慮されます。ですが、その場合、次の年または四半期の計画収益と計画数にはドラフトの販売計画と承認済み販売計画も含まれるため、計算結果が不正確になります。Cindy は販売計画でリストビューを作成し、必要な状況をすべて含めます。リストビューの作成方法については、「Lightning Experience でのリストビューの操作」を参照してください。次に、Cindy は [設定] でこのリストビューを選択し、販売予測の再計算でリストビューの一部である該当する販売計画のみが対象になるようにする必要があります。そこで、次の作業を実行します。
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をクリックし、[設定] を選択します。
- [クイック検索] ボックスに、Manufacturing (製造) と入力します。
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[取引先販売予測] をクリックします。
- [取引先販売予測の計算設定] セクションで、次の検索条件を選択します。
- 販売計画リストビュー: ドラフト、承認済み、および有効
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[Save (保存)] をクリックすると、検索条件が適用され、他の変更がページに保存されます。
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[すべての販売予測を再計算] をクリックして、この検索条件を適用する販売予測を再計算します。
商談と商談品目を微調整する
商談の確度パーセンテージによって、契約または販売計画に変換される商談の確度が決まります。取引先販売予測を作成する際には、必ずこのパーセンテージが商談の数量と収益に使用されるようにする必要があります。たとえば、商談レコードでは、商談確度が 60%、商品数量が 100 個、商談収益が 1000 ドルである場合、関連付けられている取引先の販売予測では、商談数量は 60 (100 x 0.6) として、商談収益は 600 ドル (1000 x 0.6) として計算される必要がります。
1 つの商談には複数の商品を関連付けることができ、それぞれの商品に商談項目が作成されます。商談品目の数量と収益は、1 回限りの注文では履行されません。通常、数量と収益によるスケジュールは、商品注文を追跡するために作成されます。取引先の販売予測を作成する場合、販売予測における商談数量と商談収益の指標に対しては、特定の月間販売予測期間内に該当する商談の数量と収益によるスケジュールのみを考慮する必要があります。したがって、取引先の Hammer H700 には、2021 年 5 月 31 日までに履行された数量と収益によるスケジュールのみが 2021 年 5 月期の販売予測に適用される必要があります。
商談の取引先販売予測計算を調整するために、Cindy は次の手順を実行します。
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をクリックし、[設定] を選択します。
- [クイック検索] ボックスに、Manufacturing (製造) と入力します。
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[取引先販売予測] をクリックします。
- [取引先販売予測の計算設定] セクションで、以下を有効にします。
- 商談確度
- 商談商品スケジュール
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[Save (保存)] をクリックすると、検索条件が適用され、他の変更がページに保存されます。
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[すべての販売予測を再計算] をクリックして、販売予測を再計算して、最新の値を表示します。
[商談商品スケジュール] を有効にできない場合は、組織で [商品スケジュール] が有効になっていることを確認してください。
独自の指標の管理
単元 1 で見てきたとおり、Cindy は販売計画に在庫や価格設定、契約条件に対するその他の固有のデータポイントなどのデータを表示するカスタム指標を作成できます。これは、取引先販売予測でも同じです。Cindy は Rayler Parts の数量ベースまたは収益ベースのカスタム指標を作成することが考えられます。正確な販売予測の生成は、料理を作るようなものです。料理は分量の異なるさまざまな食材で構成され、あらゆる材料をすべて計算に入れる必要があります。
Cindy が Elliott と話し合った後、どのカスタム指標を追加すべきかが明確になりました。Rayler Parts において、生産スケジュールやその他の主要な市場判断の根拠となる需要を予測するうえで重要な要素として次の 2 つが挙げられます。
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季節性売上増大: 履歴データによると、Rayler Parts では毎年第 3 四半期に収益が最大 10% 増加しています。以前は、収益ベースの販売予測を行う際にこの増加を考慮に入れることができなかったため、不正確なレポートが作成されるという問題が生じていました。何らかの方法でこの指標を取引先の販売予測表示に追加できれば、取引先マネージャー、調達マネージャー、生産マネージャーがこうした増大を確認できます。その結果、履歴データに呼応する計画が可能になり、収益を確実に上げることができます。
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注文返品見込数量: 発送される大半の注文において、商品の約 4% は、破損していたあるいは注文品と異なるという理由でディストリビューターから返品されます。無駄な在庫などの問題を回避するために、取引先販売予測ではこの点も考慮する必要があります。
このどちらの指標の数値も、こうした情報を保持する Rayler Parts の既存の ERP システムから取引先販売予測表示に自動入力されます。
ここですべきことは、取引先商品販売予測オブジェクトと取引先商品期間販売予測オブジェクトにカスタム項目を作成し、[設定] の [取引先販売予測] ページでこれらの項目を対応付けることです。
オブジェクトマネージャーでカスタム項目を作成する方法については、「カスタム項目の作成」を参照してください。オブジェクトマネージャーで次の項目を作成します。
オブジェクト |
項目 |
データ型 |
---|---|---|
取引先商品販売予測 |
Total Additional Seasonal Sales (季節性売上増大の総額) Total Expected Return Quantity (返品見込数量の合計) Total Expected Return Revenue (返品見込収益の総額) |
パーセント |
取引先商品期間販売予測 |
Additional Seasonal Sales (季節性売上増大) Expected Return Revenue (返品見込収益) |
通貨 |
取引先商品期間販売予測 |
Expected Return Quantity (返品見込数量) |
数値 |
次に、これらの項目を対応付け、取引先販売予測のカスタム指標を作成する必要があります。
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をクリックし、[設定] を選択します。
- [クイック検索] ボックスに、Manufacturing (製造) と入力します。
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[取引先販売予測] をクリックします。
- [指標の対応付け] セクションの [商品期間指標] に、すべてのカスタム項目がリストされます。各行で、[商品指標] の対応するドロップダウン値をクリックします。
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[Save (保存)] をクリックします。
販売予測表示の整理
次に Cindy は、Vance をはじめとする取引先マネージャーのために、[取引先販売予測] ページを見やすくする必要があります。数字が羅列されたページで作業していると、集中力が途切れやすくなります。Vance は取引先ページの [販売予測] タブで数量指標と収益指標を切り替えることができますが、Cindy はさらに使いやすくしたいと考えています。
Cindy は取引先販売予測に表示する指標を選択できます。それだけではありません。数量と収益に特定の指標を選択することもできます。
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をクリックし、[設定] を選択します。
- [クイック検索] ボックスに、Manufacturing (製造) と入力します。
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[取引先販売予測] をクリックします。
- [販売予測指標] セクションで、[数量] または [収益] のいずれかを選択します。
- [表示された販売予測指標] セクションで、デュアル選択リストを使用して [選択可能な指標] リストから各指標を [選択済みの指標] リストに移動します。[Forecasted Quantity (予測数量)] と [Forecasted Revenue (予測収益)] のサマリー指標が、各取引先に表示される [販売予測] タブに自動的に追加されます。
- [Forecast (販売予測)] タブの指標の順序を変更するには、[Sort Up (昇順に並び替え)] 矢印と [Sort Down (降順に並び替え)] 矢印を使用します。
- Cindy は、[選択された指標] リストに次の指標を追加します。
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数量: 商談数量、現在の注文数量、販売計画数量、Expected Return Quantity (返品見込数量)
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収益: 商談収益、現在の注文収益、販売計画収益、Expected Return Revenue (返品見込収益)、Additional Seasonal Sales (季節性売上増大)
販売予測の数式と組み合わせ
Cindy は Rayler Parts の全取引先に販売予測を設定しました。けれども、疑問が残っています。販売予測はどのように計算するのでしょうか? 販売予測の計算は高度で、通常は一定の数学的な知識を要します。
計算機能を起動しようとしたところで、Cindy は [取引先販売予測] に数式ビルダーがあることに気が付きました。数学演算子や論理演算子にさまざまな項目を組み合わせて、長く複雑な数式を作成することができます。まったく同じビジネスは 2 つとないため、Cindy は Rayler Parts の指標と入力を使用して、Rayler Parts のビジネスを反映する販売予測アルゴリズムを定義します。ここでようやく、自分が作成したカスタム指標を使用できます。
Cindy は 24 か月の売上予測表示期間にわたる数量用と収益用の 2 つの数式を作成します。これらの数式は後々いつでも変更できるほか、このうち数か月間は異なる数式を使用することもできます。Cindy はこれらの数式の正確性を高める目的で、カスタム項目を追加します。
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をクリックし、[設定] を選択します。
- [クイック検索] ボックスに、Manufacturing (製造) と入力します。
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[取引先販売予測] をクリックします。
- [販売予測数式ビルダー] セクションで、[数式を追加] をクリックします。
- [種別] で [数量] または [収益] を選択します。Cindy は [数量] を選択します。
- 数式に使用する項目、演算子、関数の任意の組み合わせを選択します。
Cindy は次の数式を作成します。(OpportunityQuantity * 0.2+ SalesAgreementPlannedQuantity * 0.8+ CurrentOrderQuantity * 0.5)*(1+ AccountGrowth+ Market Growth)- ExpectedReturnQuantity
[Compose Formula (数式を構成)] テキストボックスで数式が徐々に完成していきます。
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[適用] をクリックします。
- 収益の数式を追加するには、ステップ 4 ~ 8 を繰り返します。Cindy は次の数式を作成します。
(OpportunityRevenue * 0.2+ SalesAgreementPlannedRevenue * 0.8+ CurrentOrderRevenue * 0.5)*(1+ AccountGrowth+ Market Growth)- ExpectedReturnRevenue
- [有効期間範囲] セクションに開始期間と終了期間を入力します。Cindy はどちらの数式も [Start Period (開始期間)] 項目に 1、[End Period (終了期間)] 項目に 24 と入力します。
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[Save (保存)] をクリックします。
販売予測の調合がうまくいったように思えるため、Cindy は Elliott にこのことを伝えたくてたまりません。毎月、販売予測が 1 か月分先に進み、新たな 24 か月分の数値が生成されるときに、この数式に基づいて予測された数値が取引先マネージャーに表示されます。さらに、調整期間中に取引先マネージャーが、取引先成長率や市場成長率の値を更新して、各自の取引先や商品の独自のパフォーマンスを示すことができます。つまり、取引先ごとに微調整された正確な販売予測が作成されます。
リソース