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信頼関係の構築

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • ビジネスにおける信頼の重要性を示す。
  • チームの信頼構築に対する自身の貢献を検討する。
  • テクニックを利用し、長期的な観点で信頼を構築して維持する。

信頼のビジネス価値を理解する

信頼は、Salesforce にとって最も重要な価値の 1 つです。そしてこれは、単なる「気分の良い」感情ではありません。

Salesforce では、お客様との信頼関係の構築と維持、透明性のあるコミュニケーション、お客様のデータを安全に保つための高度なテクノロジーの活用に真摯に取り組んでいます。お客様との信頼の基盤を築くために懸命に努力しており、いかなるときも信頼を守ることを使命としています。

Salesforce ではまた、会社内、業界内、およびコミュニティ内での変化を促進するために、従業員に自分のアイデアや意見を表明する権限を与えています。Salesforce の素晴らしい特性である「Win as a Team」(チームとして成功する) と同様に信頼もまた、関係を築いたり、コラボレーションを行ったり、部門の枠を越えて協力したり、他者に影響を与えたりするための鍵であると考えています。

もちろん、信頼を成功への重要な鍵と考えているのは Salesforce だけではありません。他の多くの企業でも信頼が最終損益に与える影響を認めています。Human Capital Institute と Interaction Associates による職場での信頼に関する調査によると、信頼によって次のことが促進されます。

  1. 従業員のエンゲージメント、学習と能力開発、および生産性
  2. チームワークとコラボレーション
  3. リスクを取る姿勢とイノベーション
  4. 顧客ロイヤルティおよび維持
  5. 業績と利益成長率

ご存じですか? 従業員の 82% がマネージャーとの信頼は不可欠であると回答しています。ただし、過半数が自分の組織の信頼には低い評価をしています。

では、信頼がないとどうなるのでしょうか? 従業員が努力をしなくなったり、仕事に対して無関心になったり、さらに会社を辞めることさえあります。会社を辞めなくても、「精神的に辞めた」状態であるため、モラルや生産性に悪影響を与えます。良いことは 1 つもありません。

信頼は大切。ご理解いただけましたか? あなた今、おそらくこんなことを考えているでしょう。会社は信頼についてどの程度成果を上げているのだろうか? さらに、どうすれば自分の部下と信頼を築き、それを維持できるだろうか? よい質問です。この後でヒントと戦略を取り上げます。

他者からの信頼度の評価

企業では組織内の信頼をどのように評価しているのでしょうか?

ほとんどの企業は、調査やデータ分析など、顧客からの信頼を測定する手法を採用しています。また、次のような質問から成る従業員調査を用いて従業員間の信頼を評価しています。

  • ビジョンおよび戦略
  • コミュニケーションおよび透明性
  • チームメンバーが協力を求め合う頻度
  • アイデアや提案に対するリーダーのオープン性
  • リーダーが過ちを率直に認める程度
  • 上級職の自信
メモ

Great Place to Work Institute (GPTW) という調査機関は、「『フォーチュン』誌の働きがいのある会社ベスト 100」調査を実施しています。同調査は、組織内の信頼度を測定する GPTW の Trust Index Assessment (従業員へのアンケート) に基づきます。信頼へのコミットメントを掲げる Salesforce は毎回この調査に参加し、2018 年は 1 位にランクされています。

会社の取り組みを知ることも重要ですが、チームの信頼構築に対する各人のコミットメントも大切です。

もちろん私はチームから信頼されています。

あなた自身は「もちろん私はチームから信頼されてる」と思っているかもしれません。おそらくそうでしょう。 けれども、Interaction Associates 社の調査では、「自分の上司を信頼していますか?」という質問に従業員の半数が「いいえ」と回答しています。 気になるところです。

信頼と影響力パックに含まれる信頼自己評価を受けてみると、自身がチームと信頼を築けているどうかを確認できます。

自己評価の結果はどうでしたか? 思っていたほど良くなかった場合は、次の点を自問してください。

  • チームの各メンバーのことを個人的によく知っているか?
  • コミュニケーションを取るときにどのくらい正直か? 厄介事についてはどうか?
  • 自らの過ちを率直に認めているか?
  • チームメンバーにフィードバックを求め、それを活用しているか?
  • 自分が言ったことをきちんと実行しているか?

上記の質問に対するほとんどの回答が「はい」である場合は、正しい方向に進んでいます。

信頼を築いて維持する

信頼は一夜にして築けるものではありません。各チームメンバーとのやりとり 1 つ 1 つが信頼を築き、維持する機会です。うまくできれば信頼は高まり、失敗すれば信頼は損なわれます。

こんなことを言う人がいます。「いつも誰かに見張られているように感じます。誰が私を陥れようとしているのでしょうか?」はっきり言いましょう。誰もいません。ただし、チームはあなたのことを見ています。あなたが何をし、何を言うかに注目しています。リーダーが物事をきちんと実行し、きちんと話す必要があるのはそのためです。

信頼を築くには 5 つの方法があります。

1.個人的な関係を作る 2.裏表なく正直に接する 3.フィードバックに基づいて行動する 4.自分の失敗を認める 5.一貫性を保つ

では、1 つずつ見ていきましょう。

個人的な関係を作る

2 人の同僚が互いを知ろうとしています。

1.個人的な関係を作る

Marion はチームメンバーのことをよく知っています。1 対 1 面談をじっくり行って、各メンバーの理解を深めています。メンバーには本音で話す機会を与え、相手の話にはしっかりと耳を傾けています。1 対 1 面談は、屋外に出るか、コーヒーを飲みながら行うのがお気に入りの方法です。その方が、仕事以外のことについてもはるかに話しやすくなるからです。

従業員があなたを一個人として知り、あなたが時間をとって従業員自身について尋ねることで、信頼が築かれます。あなたがメンバーを気にかけていることが伝わります。メンバーのことを知り、メンバーにも自分のことを知ってもらいましょう。

メモ

リーダーシップのエキスパートであり、高パフォーマンスのチーム作りに関する著作で知られる Patrick Lencioni 氏は、こうした「自分史演習」をチームメンバーが互いをよく知るための手段として使用しています。15 分間で驚くほど互いについてわかることがあります。また、このシンプルな活動を適切に行うことで、従業員が本音で話し、弱いところを見せ、互いを個人として見るようになります。

裏表なく正直に接する

Tien は、共有することコミュニケーションの達人であることを行動で示しています。

2.裏表なく正直に接する

Tien のチームは、彼女がコミュニケーションの達人で、それがチームからの信頼を得るのに大きく寄与していると言っています。Tien は、会社の業績、チーム内の変更、方向性、優先度について自分ができることをメンバーと共有しています。Tien は率直で隠し立てせず、常に前向きな態度で自分が何をできるかを共有します。それは聞くのがつらいメッセージを伝える場合でも変わりません。また、心を開いて質問や課題を受け入れます。Tien は、自分ができることを共有しなければ、チームが状況について推測や思い込みをすることを知っているのです。

Tien はコミュニケーションについて次のような哲学を持っています。

  • 頻繁にコミュニケーションを取る (たとえ、同じメッセージを何回も共有することになっても)。
  • 何をいつできるかを共有する。「わからない」と言ってもかまわないが、「何かわかったら共有する」と付け加える。
  • 恐れずに真実を伝える (たとえ悪いニュースを伝えるときでも)。
  • 質問や懸念があれば話すように求め、それに耳を傾け、対応する。
  • 問題を提起したことでメンバーを罰しない (対応すべきは伝えた人ではなく問題そのもの)。
  • メンバーに影響を与える判断についてメンバーの意見を求める。

フィードバックに基づいて行動する

3.フィードバックに基づいて行動する

Grace のチームは、とても気軽に Grace にフィードバックをします。Grace は、メンバーからのフィードバックを真摯に受け止めていることを幾度となく示しています。フィードバックが有効で的確であれば、直ちにそのフィードバックに基づいて行動します。

Raul が Grace に頻繁な共有はチームにストレスを与えるおそれがあると伝えています。

あるとき、直属部下の 1 人である Raul が、チームミーティングで共有するアイデアが多すぎると Grace に言いました。そのため、チームが圧倒されたり、ストレスを感じたり、優先度を混同したりすることがあります。Grace は Raul に感謝し、直ちにやり方を改めました。優先度を明確にし、チームにはアイデアはアイデアでしかなく、メンバーがすべてを中断して取り組むようなことではないと伝えたのです。チームはすぐに違いに気が付きました。

出発点は、フィードバックを求めることです。当然、直属部下にとって率直なフィードバックをするのは勇気が要ることです。なんといっても、あなたは上司なのです。

手本として率直であり、自分の弱みを伝え、フィードバックを歓迎し、フィードバックを日常的に行うことで、フィードバックをしやすくします。

チームが安心してフィードバックできるようにする最もよい方法とはどのようなものでしょうか? まず、1 対 1 面談やチームミーティングで従業員にフィードバックをするようにあらかじめ依頼しておきます。

また、フィードバックが以前に言われたことや自分について気付いていたことと一致する場合は、そのフィードバックに基づいて行動します。フィードバックに対応すると、従業員にあなたが彼らの意見を重視していることが伝わり、今後も続けてフィードバックをするようになります。

では、実際に何をすればよいのでしょうか? フィードバックに基づいて行動する場合、次のことを行います。

  • 自分がこれから始める、辞める、または継続する具体的な行動を確認する
  • チームメンバーやマネージャーに自分の行動を観察してフィードバックするように依頼する
  • 自分が進歩しているか観察し、必要に応じて調整する

自分の失敗を認める

Tom は、ミーティングの全員の前で自分がどのように Keisha にフィードバックしたかを考えて同様しています。

4.自分の失敗を認める

Tom は失敗してしまいました。ミーティングで Keisha に厳しい態度を取り、全員の前でフィードバックしたのです。我慢ができず、いくつかとても失礼な発言をしました。ミーティングの後、自分のオフィスに戻り、自己嫌悪に陥っています。どうすれば良いのでしょう。ただ放置してチームが気にしないことを願うか、それとも何か言うべきでしょうか?

Tom はその答えを知っています。自分が間違ったことをしたときに認めないとチームから軽んじられるのです。Tom はオフィスにチーム全員を呼び、全員の前で自分の口調について謝罪しました。これは、チームが Tom に敬意を示し、信頼するのに大きな効果がありました。

失敗を認めて弱いところを見せるのは、信頼を築くうえで効果のある方法です。

弱いところを見せるとは、次のような行動です。

  • 間違いをおかしたときは勇気を持って他の人に知らせる
  • 謝罪し、必要ならば主体的に責任を持つ
  • 失敗から学んだことを伝える

自分の失敗を認めることで、他の人にも誰でも同じことをする可能性があることを示せます。勇気がいり、自尊心も少し捨てなければなりませんが、それを補って余りある信頼をチームとの間に築くことができます。

実際、弱いところを見せることで、よりよいリーダーになれます。あなたも他の人と同じ人間であることを示せます。意見を求め、失敗を認め、教訓を共有することで手本となって弱いところを見せると、チームに信頼を築く雰囲気が作られます。

そして最後に 5.一貫性を保つ

一貫性を保つ

一貫性を保つとは、コミットメントに従い、予測可能で公正であり、約束を守ることです。

Jiang はいつも自分のコミットメントに従っています。信頼できる人物です。

  • Jiang は次回のチームミーティングで顧客のサポートに役立つように製品情報を共有するとチームに約束しました。
  • Jiang は予定どおりチームに情報を提供しました。
  • 製品チームの担当者をチームミーティングに呼び、質疑応答ができるようにしたことで Jiang はチームに期待以上のものを提供しました。

Marco は予測可能で公正です。

  • Marco はグループのシニアバイスプレジデントに、直属部下の Elizabeth が顧客の難しい契約更新で素晴らしい成果を上げたことを評価するメッセージを送信しました。
  • 同様に、先月、別の直属部下の功績を知らせるメッセージを送信しました。
  • 誰に対しても一貫してその功績を評価し、誰も特別扱いせず、また、特別扱いされていると見られないようにしています。

Justin は約束を守り、つらいメッセージを避けることはありません。

  • 先月、Amit がいつ昇進できるか尋ねると、Justin は Amit の懸命な働きを称賛したものの、守れない約束はしませんでした。
  • Justin は Amit に、昇進には何が考慮されるか、求められる主要なスキルと経験はほぼ満たしていること、Amit をサポートするために自分が何をできるかをはっきりと伝えました。

一貫性のある人物は、次のような行動を取ります。

  • やると言ったことは実行し、最後までやり遂げる
  • 判断を裏付ける論理的な根拠を共有する
  • 実際の変化に同意できない場合も含め、常に前向きである
  • 信頼できる
  • 約束を守る
  • 困難な内容を省かずに情報を伝える
  • 他の人を公平に評価する

まとめましょう。

信頼を築くときには、次の点に留意します。

すべきこと
すべきではないこと
チームメンバーのことを知り、相手にも自分のことを知ってもらう
関係を仕事に限定し、個人的な関係は作らない
真実を伝え、誠実である
情報を知らせなかったり、聞くのがつらいメッセージを伝えることを避けたりする
受け取ったフィードバックに基づいて実際に行動を変える
チームメンバーからのフィードバックに同意できない場合は従わない
失敗を認める
きまり悪い思いをしないように失敗を隠す
やると言ったことをやり遂げる
守れない約束をし、同意したこととは異なる行動を取る
メモ

内省

自分が信頼する人について考えてみましょう。ためらわずに「私は [人物の名前を入れる] さんを信頼しています!」と大声で言える人です。名前と顔が思い浮かびましたか? では、始めましょう。

あなたが次のように感じるのはその人が何をしたときですか?

  • この人は私について知っている
  • この人は私を支えてくれている
  • この人は私のことを気にかけている

あなたが次のようにしたいと感じるのはその人が何をしたときですか?

  • その人ともっと一緒に働く
  • 対立が生じたとき、疑わしい点はその人に有利に解釈する
  • その人のために最大の努力とサポートをする

その人が何をしたかを考えた後、どうしたらその人と同じような行動をとれるかを考えてみてください。それはどのような行動ですか? それは、チームの業務、コラボレーション、コミュニケーション、イノベーションにどのような影響を与えますか?

自分が与えられる影響、自分が達成できること、また、チームが自分を信頼し、あらゆる面で自分に従い、自分をサポートしてくれるかどうかについて考えます。きっと驚くような成果が得られるでしょう。

チームはあなたに対する信頼を高めました。達成感を感じますか? でもそれはまだ早いようです。信頼は始まりに過ぎません。ここから、信頼を活かして他の人を説得し、影響を与えて実際に優れた成果を出す必要があります。それにはどうすればよいでしょうか? 影響を与えることについては、次の単元で詳しく取り上げます。

リソース

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