文化と価値を実践するための計画作成
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 価値のストーリーを定義する。
- 会社の価値を実現する方法を探究する。
- 手本の示し方を理解する。
価値のストーリーの定義
企業文化を実現する最初のステップは、文化と価値のストーリーを簡潔な言葉で定義して伝えることです。この定義を指針として使用し、社内の全員が共通認識を持つことができます。
会社らしさ、会社が価値とするもの、協力し合う方法について最も説得力のあるストーリーを定義する (または発展させる) ために、さまざまなデータソースを使用できます。その具体的な内容は次のとおりです。
- 雇用主レビューで文化を説明するのに使用される一般的なフレーズ
- 従業員エンゲージメント調査での文化に関する質問への答え
- 自分のリーダーとあらゆるレベルの文化の支援者を含むフォーカスグループ
文化と価値のストーリーを定義する場合と、それを実現する場合とでは話が違ってきます。壁面に価値を表現したクールな画像を描く企業もあれば、全従業員に豪華な冊子を送付する企業も、そしてその両方を実践している企業もあります。少しくらい派手になっても問題はありませんが、価値をただ伝えてもそれを実現できるとは限りません。
ストーリーを実現する計画の作成
社内および社外の文化のストーリーを実現する計画を立てます。測定可能なプログラムとツールに加えて、従業員ジャーニーの全フェーズで価値を実現するためのコミュニケーション、キャンペーン、イベントを盛り込みます。
コミットメントが鍵
まず必要なのが、コミットメントです。この先、何らかの難しい決断が必要になります。業績トップの営業担当が、会社の基本的価値の 1 つである「誠実さ」に欠ける行動を何度も示しているとします。この営業担当の解雇を検討しますか? 成果を出してはいるものの、他人にいつも失礼な態度を取るカスタマーサービス担当者の昇進についてはどうでしょうか? この担当者に仕事を続けさせますか?
財務上のマイナス影響をビジネスにもたらすとしても、価値について真剣に考えているならば、こうした難しい決断が必要になってきます。人と文化を最優先していることに、他の人も気づくでしょう。
すべてのフェーズで文化を築く
実際に価値を実現するには、従業員ジャーニーの全体を通して文化の本質とそれぞれの価値を日々実践することを従業員に促すような多面的な計画を作成します。さらに、文化の目標を設定し、その実践状況を測定し、継続的に発展させます。
では、何ができるのかを見ていきましょう。たくさんありますよ!
実践すること | 具体例 |
---|---|
誘致と支持: 従業員が文化のストーリーを共有できるようにする。 |
|
採用: 文化と価値を採用プロセスに統合する。 |
|
新人研修: 新入社員に会社の文化と価値を実体験させる。 |
|
体験: 常に実際の価値に関するストーリーを伝える。 |
|
体験: 会社の価値を強化するプログラムを作成する。 |
|
目標設定: 個人の目標設定に企業の価値を取り入れ、進行状況を測定する。 |
|
パフォーマンス評価: 会社の価値をパフォーマンスおよび昇進条件に含める。 |
|
評価: 会社の価値を評価プログラムに統合する。 |
|
測定と発展: 定期的に従業員調査を実施し、会社の価値について尋ねる。 |
|
会社は従業員が会社の価値を理解できるよう大いにサポートしますが、それはつまるところ、価値を実践できるプログラムを従業員のために用意するということです。そしてそれは、手本を示すあなたと社内の従業員 1 人 1 人にかかっています。
手本を示す
会社の価値のロールモデルとなるために個人として何ができるのでしょうか?
まず責任を自らを課します。価値を実現できるかどうかはあなた次第です。人事や役員、マーケティング部門ではありません。たしかに、価値に関するコミュニケーション、キャンペーン、正式なプログラムにはすべて目的が存在します。ただ、本当の魔法は自分が価値を実践したときに起こります。
リーダーやマネージャの場合、手本を示すことがいっそう重要となります。その行動を従業員が常に観察しています。毎日「私の行動は会社の価値を反映しているのか?」と自問しましょう。
価値の実践には、まず内省が必要です。会社の価値のリストを作ります。それぞれの価値を見ながら、社内でその価値のロールモデルとする人について考察します。
誠実さを価値とする場合、あなたが信頼していて、いつも本音で話せる人のことを考えるかもしれません。イノベーションを価値とする場合、頭に浮かぶのは、いつも途方もないアイデアを皆に提供する人ではないでしょうか。
それぞれの価値について誰か思い浮かびましたか? すばらしい! 次に、価値とそのロールモデルとなる MVP (最も価値のある人物) に関して、次のように自問します。
- 何が最も好都合であるかではなく、何が最も重要であるかを基準に意思決定を下すか?
- 従業員が会社の価値を実践したら評価するか?
- 他の従業員と話すときにそれらの価値を体現しているか? お客様と話すときはどうか?
- 非常に難しい状況でもそれらの価値を守るか?
- 価値を守らない他者にフィードバックをするか?
手本を示す MVP について考察した後、会社の価値を念頭に置いて、次のことを検討します。
- チームで一貫して実践し、強化する価値を 1 つ挙げるとしたら?
- この価値のロールモデルになるために一貫してできることは何か?
- その価値についてロールモデルの行動を模倣する方法は?
マインドセットを取り入れること、価値を実践すること、手本を示すこと、MVP を模倣することが、自分自身のパフォーマンス、マネジメント方法、チームおよび会社の成功にどのように影響するのかを考えます。
価値の定着
努力の結果、会社の価値を定義し、伝達し、プログラムやツールを用いて従業員ジャーニーに導入しました。さらに、手本を示すことに対する責任を自らに課しました。では、実際に会社の価値を従業員に実践させるにはどうすればよいのでしょうか?
次に、会社の価値を定着させるためのヒントの上位 5 つを挙げます。
- 価値を明快で簡潔にして誰もが理解できるようにする。
- 会社の価値に基づいて採用および解雇する意思を持つ。
- 会社の価値を全社的に適用する。
- 良い時も悪い時も会社の価値を守り、実践する。
- 価値が実現されるように測定可能なプログラムを構築する。
企業文化は、有能な人材を惹きつけて維持し、優れた顧客体験を作り出し、最終的に業績を促進する環境を生み出します。
会社の文化は、すべての従業員が日々の行動の指針とする基本的価値によって推進されます。Salesforce では、皆が信念を共有しています。その信念は、お客様、従業員、パートナー、コミュニティにまでも浸透しています。文化についてどのようにして強い意思を持つのか、あらゆる行動において価値をどのようにして実践するのかを確認しました。
これからは皆さん次第です。組織の文化を理解し、組織の価値を実現するためにどのようなアクションが取れるのかを考える時間を設けてください。ロールモデルとなり、手本を示してください。
自分と会社が持つ信念について理解できましたか? 理解したら、それを実践してみましょう。
リソース
- Make Your Values Mean Something (価値に意味を持たせる)
- Values Activity (価値活動) (Salesforce 文化パックをダウンロード)
- Identify Your Values - Tips & Techniques (価値を明確にする — ヒントとテクニック) (Salesforce 文化パックをダウンロード)
- Living the Values - Emulating Your Role Model (価値の実践 - ロールモデルの模倣) (Salesforce 文化パックをダウンロード)
- Living the Values - Your Strengths & Opportunities (価値の実践 - 自分の強みと機会) (Salesforce 文化パックをダウンロード)