キャリアに関する会話の促進

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 効果的なキャリアに関する会話を実施する。
  • キャリアに関する難しい質問に回答する。
  • チームメンバーがアクションプランを作成するのを支援する。

キャリアに関する会話の促進

キャリアに関する優れた会話とは?

  • キャリアに関する優れた会話は、チームメンバーの希望を理解するうえで役立つ
  • フィードバックする機会ができる
  • 従業員のキャリア進展に役立つ計画を作成する最適なタイミングである
  • 年間を通して公式および非公式に行う

キャリアに関する会話に同じものは 2 つとありません。

キャリアに関する会話では、「会話の前」に計画を立て、「会話中」は円滑に進め、「会話の後」にもフォローが必要です。

会話の前 会話中 会話の後
  • 従業員に、キャリア上の関心事、自分の強み、情熱について話す準備をしてくるように依頼する。また、自分自身について学ぶワークショップに参加するように促す。
  • 従業員の強み、改善の余地、従業員に与えるフィードバックを検討する。
  • 従業員のキャリア目標についてすでに知っていることを熟考する。
  • 会話を促進するための質問をいくつか書き出しておく。
  • 従業員がキャリアに関する関心事について考えるのに役立つ質問をする。
  • 相手の話を注意深く聞き、聞いた内容を明確にする。
  • 強みと育成すべき領域についてコーチングと率直なフィードバックを行う。
  • 従業員がキャリアのオプションと関心のある方向性を識別できるように手助けする。
  • アクションプランを作成またはレビューする。
  • 次回のミーティングの日程を決めて予定を確保する。
  • 従業員に連絡し、キャリア目標に向けた状況を確認する。
  • 定期的にキャリアに関する会話を実施する。
  • 頻繁にフィードバックを行う。
  • 従業員を組織の他の人に紹介して知識を深められるようにする。
  • 必要に応じてアクションプランを再調整する。
  • 従業員に成長と能力開発のために新しい経験をするように促す。

詳しく見ていきましょう。

会話の前

時間をとって計画を立てます。キャリアに関する効果的な会話をするには、事前に計画を行うことが何よりも重要です。従業員について何を知っているかを考え、また従業員にも自分をもっとよく知るように促します。コーチングとフィードバックパックからサンプルの Career Conversation Planning Tool (キャリアに関する会話の計画ツール) を入手してください。

従業員について次のことを知っていますか?

  • 強み
  • 改善すべき領域
  • キャリアの方向性
  • 関心事と情熱
  • 関心のあるオプション

会話を計画しているとき、キャリアについて自分の希望がわからないというチームメンバーがいることがあります。その場合は、従業員が組織のワークショップとツールを利用して自分についてもっと学べるようにします。

メモ

メモ

Salesforce では、Web セミナー「Navigating Your Career (キャリアのナビゲーション)」を開催しています。進みたいキャリアの方向性を考えるのに役立つ自己評価ツールが含まれており、従業員がこのセミナーを受けることで、キャリア目標を作成したり、他者からフィードバックを受けたり、サポートを依頼したりしやすくなり、キャリア目標を達成しやすくなります。

会話中

従業員がリラックスしてキャリアに関する会話をできるようにすることが重要です。あなたにどう支援を求めたらよいか、または手始めに何をすれば良いか、従業員が不安に感じている場合があります。明るい口調で、コーヒーを飲んだり、散歩に出たり、ランチを取ったりしながら話します。堅苦しくならないようにしましょう。少なくとも四半期に 1 回は会話をすることで、対話を継続しやすくなります。

キャリアに関する会話は、さまざまな方向に進む可能性があります。従業員に何がしたいのか手がかりがない場合は、それを見つける手助けができます。目標がわかっている場合は、達成に向けて実行できるアクションに会話の重点を置くことができます。

では、2 つの異なる方向に進む会話を見てみましょう。

キャリア上の関心事が明確ではない キャリア上の関心事と目標が明確である
発言:

「キャリアの中で何に関心があるのかを見つけましょう。答えがなくてもかまいません。私があなたの話を聞き、何に最も関心があるか、なぜ関心があるかをじっくり考えられるように手助けします。」

質問:

  • 最も情熱を持っていることは何ですか?
  • あなたの強みは何ですか?
  • 改善したいことは何ですか? なぜでしょうか?
  • 新しく身に付けたいスキルは何ですか?
  • 楽しく、もっと力を入れたい仕事は何ですか?
  • 最近の任務で、満足感が高かったり、興味深かったりしたものはどれですか? そうではなかったものはどれですか?
  • あなたがキャリア目標を検討するうえで私にできることはありますか?
発言:

「何に関心があるのか自覚していて、キャリア目標が明確なようですね。目標についてもう少し話してもらえますか? その後で、目標を達成するのにどう協力できるかを検討しましょう。」

質問:

  • あなたのキャリア目標は何ですか?
  • 1 年後に自分がどうなっていると思いますか? 3 年後はどうですか?
  • 最も関心のある役割、部署、または職種は何ですか? なぜでしょうか?
  • 関心のある役割で成功するには何が必要ですか?
  • 目標を達成するための次のステップは何ですか?
  • 私にできるサポートはありますか?

頂きを目指す「登山家」を支援する準備ができましたか? 次の冒険に出発する「冒険家」は? もっと深くへと潜る「深海ダイバー」についてはどうでしょうか? まず、次のアイデアを試しましょう。

健闘を祈ります!

登山家 冒険家 深海ダイバー
  • 昇進には何が必要かを説明して期待感を抑制します。ビジネスニーズと適材適所のタイミングの両方が揃わないと、昇進は実現しません。
  • 一般的に昇進で考慮される必須スキル、経験、および能力について明確なフィードバックを行います。
  • 昇進に向けて準備するための期限と明確なステップを記載したアクションプランを作成し、その時が来たら従業員が準備できているようにします。
  • 他のチームの人々とのネットワーキングとインフォメーショナルインタビューを促します。
  • キャリアパスを変えたことがある社内の人に従業員を紹介します。
  • キャリアオプションについて、常識にとらわれずに考えるように支援します。
  • 他の職種を検討するときには支援者となります。
  • 最適な人材募集がないか、常に注意します。
  • 従業員がストレッチアサインメントを引き受けて学べるように支援します。
  • より高度なスキルを必要とする新たな経験を従業員ができるようにします。
  • 新しいスキルを習得できるように新規プロジェクトまたはタスクに任命します。
  • 従業員に部門内のメンターを付けるか、ピアコーチを見つけて継続的に洞察を得られるようにします。

詳細は、コーチングとフィードバックパックの『Career Conversation Tips (キャリアに関する会話のヒント)』ガイドを参照してください。

キャリアに関する難しい質問への回答

非常に難しい質問についてはどうしますか?

いくつかの難しい質問への回答例を見てみましょう。

キャリアに関する難しい質問 回答例
昇進するには何が必要ですか? 「あなたにとって昇進が重要であることはわかりました。昇進の機会は限られており、最適なタイミングで最適な機会を見つける必要があります。私があなたを支援します。必要なスキルと経験、および現在のあなたの強みと改善すべき領域について話し合いましょう。一緒に計画を作成して、昇進への準備をしておきましょう。」
ここで新しい機会を得るにはどうすればよいですか? 不可能に思えます! 「不可能ではありません。私の役目はあなたをサポートして、どのようなオプションがあるか確認し、協力して目標を達成するためのアクションを実行できるようにすることです。今できることは、現在の仕事でもっと力を入れたいことがあるか調べることです。ここで刺激的な機会を見つけ、他の機会に向けた準備もしておきましょう。」
私の次の職務が何か、はっきりしないのはなぜですか? 「会社の大きな変化やビジネスのスピードを考えると『最適な次のステップ』が 1 つだけということはありません。私たちのチームや他のチーム、社内全体に多くの選択肢があります。こうした事実は刺激的である一方、自分にとっての最適を判断するにはいっそうの努力が必要であることも意味します。それについて話しましょう。」
どうすれば自分のキャリアを進展させるための経験ができますか? 「あなたの希望と、すでに持っているスキルと経験について教えてください。目標がわかれば、達成に向けた計画を作成できます。現在の職務でも新しい経験をする方法は沢山あります。希望を明らかにしてそれを実現するための計画を作成しましょう。」
どうして時間をかけて自分のキャリアについて考えなければいけないのですか? とても忙しいのです。 「私たち全員がこの課題に直面しています。やるべきことが多すぎ、ペースを落としてキャリアのようなことを考える時間がありません。1 対 1 面談で、これについてじっくり話し合いましょう。好きな仕事やもっと力を入れたい仕事は何かを意識すると、日常的に自分のキャリアについて考えることもできます。」

難しい質問にすべて答えられるように準備することは不可能ですが、キャリアに関する難しい質問への回答に役立つガイドラインがいくつかあります。

  • 従業員のキャリアに関する希望を詳しく把握する。
  • 従業員が希望を実現できるようにあなたが熱心に取り組んでいることを本人に伝える。
  • 従業員のパフォーマンスについて率直なフィードバックを行う。
  • 期待事項を管理し、ビジネスを前提にして従業員が現実的になれるようにする。
  • 従業員が将来の計画を立てられるように支援する。

「Career Conversation Challenge」(キャリアに関する会話の課題) を視聴する準備はできましたか? 下記からご覧ください。

アクションプランの作成

ライト、カメラ、アクション! いよいよ、会話の最も重要な部分、アクションプランの作成に到達しました。従業員が目標を達成できるように、具体的な経験とスキルに焦点を当てます。

会社でのアクションプランのしくみを確認してみましょう。「育成計画」や「キャリア計画」と呼ばれる場合もあります。正式なプロセスやフォームがなくても、話した内容を保管する最良の方法を見つけてください。今後使っていくのですから、くれぐれもなくさないように。

アクションプランを作成するには、まず質問をします。

質問:

  • どのようなステップを実行できますか?
  • 知識を深めるにはどのような経験が役立ちますか?
  • 誰とつながることができますか?
  • 誰が進捗を支援できますか?
  • どのようなアイデアがありますか?
  • 私にできることはありますか?

次は、従業員が目標を達成するのに有意義なアクションを識別します。自分自身のキャリアをどう進めたかを考えてください。実務上の経験、他の人、トレーニングや正式な教育から学んだはずです。これらの点を考慮して、あるルールに従うとアクションプランを作成しやすくなります。それは 70/20/10 ルールです。

70/20/10 ルールはアクションプラン作成時に役立つルールです。70% は実務経験で、20% は他者から、10% はトレーニングから。70% を経験から — 調査から、実務経験を通して学ぶのが最良の学習方法であることが判明しています。従業員のキャリアに役立つアクションを検討するとき、アクションの 70% は実務で可能なことにします。

20% を他者から — 人は他者から学びます。20% はスキルと情報の共有に関するアクションを意識して識別します。

10% を教育から — トレーニングについてはどうでしょうか? もちろん、人はトレーニングから学びますが、学習効果としては 3 番目であることがわかっています。考えてみてください。トレーニングでスキルを学習しても、実務ですぐに実践する機会がなければ定着しません。トレーニングや教育の機会を追加することを検討します。ただし、トレーニングだけで終わらないように計画する必要があります。

経験 — 実務で学ぶ (70%) 他者 — 他者から学ぶ (20%) 教育 — トレーニングから学ぶ (10%)
  • 新しい任務、特別なプロジェクト、より大きな責任
  • 新規案件の設計または構築、問題の解決、プロセスの改良、プロジェクトの立て直し
  • チームリーダー経験 (プロジェクトチームや部門横断チームなど)
  • 他の人の代行
  • より大きな職責
  • メンタリング
  • ピアコーチング
  • ジョブシャドウイング
  • ネットワーキング
  • ソーシャルラーニング
  • 委員会への参加
  • クラスルーム、オンラインなどのコース
  • Web リソース、Web セミナー、ポッドキャスト
  • 会社の教育支援プログラム
  • 書籍や記事

ストレッチアサインメントとジョブシャドウイングという 2 つのアクションは、ほとんどの計画に含めることができます。

ストレッチアサインメントとは、職務を変更して従業員の責任範囲を拡げることです。現在の能力を上回る任務を与えることで能力を伸ばす、優れた学習方法です。これまで経験していない方法で、重要なプロジェクトやイニシアチブを指揮する、複数チームを兼務する、組織の枠を超えて他者に影響を与えるなどの機会を与えます。

ジョブシャドウイングとは、従業員が別の役割や別の部門の従業員に密着し、自分が関心を持っている分野を現場で観察することです。10 分間の会話の場合も、半日間ジョブシャドウイングの「ホスト」に密着する場合もありますが、別の職務、役割、または専門分野がどのようなものかを実際に見て学ぶことができます。

メモ

メモ

Salesforce の従業員は、モバイル Connectr アプリケーションを使用して他の人とつながり、ジョブシャドウイングに参加できます。わずか数分で、関心のある部門の、ジョブシャドウイングを受け入れ可能なホストとつながることができます。

他の人を支援するには多くの方法があります。コーチングとフィードバックパックの『Top 20 Ideas for Developing Others』(他者を育成するためのアイデアトップ 20) を参照してください。

Ally Adventure のアクションプランには何が含まれているか、例を見てみましょう。Ally は、現在の営業職から、6 か月以内にマーケティング職に異動することを希望しています。習得が必要なのは、製品メッセージに関するスキルのみです。そのために役立つ 3 つのアクションを選びました。

キャリアアクションプランのサンプル

6 か月以内に営業担当からマーケティングロールに移るための Ally Adventure のキャリアアクションプラン。

習得するスキル アクション 期間 進歩
製品メッセージ 経験:
  • マーケティングで作成した主要なメッセージを、主要な取引先とのセールストークに取り込み、反応を追跡する。
  • 独自のセールストークを反映したプレゼンテーションを作成して実施し、マーケティングチームメンバーの意見を取り入れる。
他者:
  • 2 日間マーケティングチームのメンバーをジョブシャドウイングして、製品メッセージの開発プロセスを詳しく学ぶ。
教育:
  • 会議に出席して、現場でのマーケティングメッセージを観察する。
  • 製品メッセージに関するオンラインコースに出席する。
  • 次の四半期 (5 つの取引先が対象)
  • 今後 30 日間 (1 月 31 日まで)
定期ミーティングで実際の進捗を確認してこの欄を更新する。

アクションは S.M.A.R.T. にします。

Specific (具体的) — 選んだアクションはキャリア目標をサポートしているか?

Measurable (測定可能) — アクションの結果は測定可能か?

Actionable (実行可能) — アクションは従業員のキャリア目標達成に効果的か?

Relevant (関連性) — アクションはキャリア目標達成に関連しているか?

Time Bound (期限) — アクションには明確な完了期限があるか?

主要なスキルが 2 ~ 3 個あり、それぞれに数個のアクションが選ばれているのが最適な計画です。実行するアクションが多い、無理な計画を従業員が作成しないようにします。現実的で達成可能な計画にしましょう。

その後の支援

次はどうしますか? 何をすればよいのでしょうか?

従業員へのフォローのために、次のことを行います。

  • 少なくとも四半期に 1 回、キャリアに関して継続的に非公式の会話を行う時間を確保する。定期的な 1 対 1 面談とは別に時間を設けることをお勧めします。
  • 従業員が関心事とオプションを検討できるように支援を継続する。
  • アクションプランの進行状況をチェックする時間を確保する。
  • 継続的にフィードバックを行い、必要に応じて計画を更新する。
  • キャリアに関するアドバイスをするのではなく、コーチングに徹する。

つまり、キャリアに関する会話とはただの会話です。プレッシャーを感じることはありません。あなたは未来を知っているわけでも、すべてに答えられるわけでもないのですから。適切な質問をするだけです。もう言われなくてもわかっていますね。助手席でドライバーをサポートするようなものです。助手席にいるからこそ、必要なときにナビゲーションができます。

これで用意ができました。では実践しましょう!

リソース

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