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他者のコーチングと能力開発

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 優れたコーチの要件を特定する。
  • コーチングする場合と指示を出す場合を判断する。
  • 4 つのステップを使用してコーチングの会話を行う。
  • コーチングのための効果的な質問をする。

優れたコーチの要件

優れたコーチの要件とは何でしょうか。優れたコーチは、他者を刺激し、意欲を高めることによって、不可能だと思われたことを成し遂げられるようにします。優れたコーチは人々が最善を尽くせるように、はげまし、動機付けます。

女優でコメディアンのエイミー・ポーラーはその大切さをこう語っています。「意欲をかき立て、鼓舞してくれる仲間を見つけてください。多くの時間を共に過ごせば、あなたの人生が変わるでしょう。」

コーチングとは、他者が自分で学び、成長するのを助けることです。何をするのかを指示したり、アドバイスを与えたり、他者の問題を解決したりすることではありません。チームメンバーが自分の力でクリエイティブな解決策を発見し、課題を克服するのを助けることです。

コーチングする側にも利点があります。コーチングすることで、より有能で自信を持ったチームを形成できます。従業員は課題を克服するための自信とスキルを得て、業績を向上させ、キャリアに責任を持ちます。

優れたコーチであるということは、「適切な質問をする + よく聞く = 優れたコーチ」というシンプルな式にまとめられます。

適切な質問をして、答えによく耳を傾ければ、優れたコーチになります。

この単元では、優れたコーチになる方法を学習します。コーチングと指示の違いと、それぞれをいつ使用するかについて学習します。そして何より、今日から使えるコーチングの質問の例も紹介します。

それでは始めましょう。

コーチングと指示手法のどちらを使用するかの判断

指示するべきか、すべきでないか? コーチングを行う場合、相手に何かをするように指示することはまったくないのでしょうか? 成功するための手順を教えることさえもないのでしょうか? そんなことはありません。

リーダーはたくさんの帽子を使い分けます。コーチングの帽子をかぶることもあれば、指示の帽子をかぶることもあります。重要なのは、いつどちらの帽子をかぶるかを知ることです。

リーダーはたくさんの帽子を使い分けます。

「指示」帽子をかぶる場合

  • 相手が特定の作業をしたことがない場合
  • 相手が 1 つ 1 つの手順の指示なしで作業を行う自信がない場合

自分でやり方を見つけさせようとすると、相手は不満を感じたり、見捨てられた気分になる場合があります。他の人にこんな文句を言うかもしれません。「私のマネージャーはまったく助けてくれない。ほったらかしだ。」このような場合は、より具体的に何をするべきか、どのようにするかを伝えます。

「コーチング」帽子をかぶる場合

  • 相手が作業のやり方をすでに知っている場合
  • 相手が自分で解決することに自信があり、積極的な場合

この場合、1 つ 1 つの手順を指示して、常に状況を確認しますか? 細かすぎるマネージャーと呼ばれたくなければ、おそらくそれはしないでしょう。相手の邪魔をしたくはないですからね。このような場合はコーチングを行い、励ましたりやる気を起こさせたりします。何をするべきかの指示を出すのではありません。従業員が、自分が行っている作業を把握している場合は、干渉しないようにしましょう。

コーチングと指示で使う言葉の例を次に示します。

コーチングを行う相手
使う言葉の例
  • 経験があり、仕事を完了させる自信がある
  • 少しだけ手助けすれば自分で作業ができる
  • 適切な判断をした実績がある
  • 助言によって成功する可能性が高い
  • 求められていることついて聞きたいことは何ですか?
  • 障害があったら、どのように克服しますか?
  • 私からどのような手助けが欲しいですか?
  • 状況確認はいつしたいですか?
指示を行う相手
使う言葉の例
  • その作業をしたことがない
  • 具体的な指示を必要としている
  • その仕事についてあなたが知っている具体的な情報を知らない
  • その作業を完了するために特定のプロセスまたは手順に従う必要がある
  • たとえばこのようになります。
  • 実行する 4 つの手順を説明します。
  • この問題を解決する一番良い方法は...
  • 次の手順はこれです。

4 ステップから成る GROW モデルをコーチングに使用

次は、コーチングの方法について説明しましょう。自分で一から考え出す必要はありません。これを読めばプロのようなコーチングができます。

コーチングは会話です。さっき終わったばかりの難しいミーティングについて、廊下で 5 分ほど会話することもコーチングと言えることがあります。あるいは、障害を克服したり、パフォーマンスを改善したり、キャリア開発を推進したりするためのもっと集中した 1 対 1 で行う面談の場合もあります。

いつもあなたが会話を始めなければならないわけではありません。誰かが課題に直面しているのを見た場合には、話してくれるように言いましょう。それがコーチングの会話の始まりです。反対に、チームメンバーが課題に直面していることを自分から知らせてくることによって、コーチングの会話が始まる場合もあります。

コーチングの会話に適切な話題は、多種多様です。

コーチングは、チームメンバーが次のことを実現するのに役立ちます。

  • 意欲を高める
  • 業績を向上させる
  • 人間関係を改善する
  • 効果を高める
  • キャリアを伸ばす
  • その他の多くのこと

あなたのコーチングが上達するほど、意見を求められるようになるでしょう。人々は、あなたと話をしたがります。それは、あなたが何でも知っているからではなく、素晴らしいアイデアを自ら思いつけるように助けてくれるからです。

効果的なコーチングを行うために、Salesforce では GROW というシンプルな手法を使用しています。この手法は、Graham Alexander、Alan Fine、および John Whitmore 卿によって開発されました。

GROW 戦略の 4 つの理念: Goal (目標)、Reality (現実)、Options (オプション)、Will (実行)。

GROW は次の頭文字です。

  • Goal (目標)
  • Reality (現実)
  • Options (オプション)
  • Will (実行)

Goal (目標): 目標を設定する

Goal (目標): 目標を設定する

目標を設定することは、コーチングの会話を始める最も重要な方法です。すぐにアドバイスをしたり、問題を解決するためのオプションを挙げたりしがちですが、それはやめてください。

「終わりを思い描くことから始める」というフレーズを聞いたことがあるでしょう。このフレーズはコーチングの会話にも当てはまります。相手が何を達成しようとしているかを尋ねることから始めましょう。望ましい成果が何かを確実に知っていれば、問題解決を手助けするのがずっと簡単になります。

この最初のステップでは次のような質問をします。

  • 達成したいことは何ですか?
  • 目的は何か?
  • 成功するとはどのような状態ですか?

Reality (現実): 何が起きているのかを判断する

Reality (現実): 何が起きているのかを判断する

次のステップは、状況についてより多くの情報を得ることです。相手が問題の根本原因にたどり着けるように質問をします。これは非常に重要です。

あなたも相手も問題の原因は明らかだと思っているかもしれません。しかし、問題を引き起こしている隠れた原因が 1 つ 2 つ存在することがよくあります。何が起きているかが明らかになれば、問題を解決するための適切なオプションを考えやすくなるでしょう。

このステップであなたは、チームメンバーが「探偵」の帽子をかぶるのを助けます。問題の原因は何なのか、手がかりを探すように促しましょう。

たとえば、チームメンバーの Paul があなたのところにやって来てこう言ったとします。「もう財務部の Andy と仕事をするのは無理です。」Paul は、Andy は他人と一緒に仕事ができない嫌なやつだと決めつけていたようです。ところが、Paul に質問をしているうちに、Paul がうっかりして、Andy を重要なミーティングに誘うのを忘れ、プロジェクトの状況が伝わっていなかったことがわかりました。危ないところでしたね。

適切な質問をすることで、Paul が状況を理解するのを助けることができます。

  • 実際には何が起きていると思いますか?
  • 何がこのような状況になった原因だと思いますか?
  • Andy の立場になって考えると、Andy はどのように感じていると思いますか?
  • あなたはどのように関与していると思いますか?

Options (オプション): オプションを特定し、選択する

Options (オプション): オプションを特定し、選択する

お待ちかねのステップです。コーチングの会話が問題解決モードに切り替わります。

このステップでは、問題を解決したり目標を達成したりするためのクリエイティブな方法を相手が自分で思いつくように導きます。会話の最後にアドバイスが欲しいかを尋ねる場合もありますが、それまではアドバイスを与えるのは控えましょう。

質問をすることで、相手が複数のオプションを考え出すのを助けることができます。お互いに自分だけでは思いつかなかったようなオプションが見つかるかもしれません。そうなったらいいですね。オプションが出そろったら、前に進むためにどのアクションをとるかを決定できます。

引き続き、先ほどの例を使用しましょう。ここまでで、Paul はこの状況を作り出した自分側の要因を理解できました。次に、この課題を解決するためのオプションを特定する手助けをしましょう。Paul は、Andy がもっと関与できるようにする方法を自分で見つけるかもしれません。その場合、さらに質問をすることで、他に実行できるアクションを探すのを助けましょう。

次のような質問をします。

  • すでに試したことは何ですか? 他に何を試せますか?
  • この問題を解決するために、どのようなオプションがありますか?
  • 以前にうまくいったのは何ですか? うまくいかなかったのは?
  • 役に立ちそうなことで、まだ試していないことは何ですか?

Will (実行): 何を実行するかを決める

Will (実行): 何を実行するかを決める

この最後のステップは重要です。クリエイティブなオプションを考え出しても、あなたとチームメンバーに、具体的なアクションを取る気がなければ意味がありません。

状況が改善するための方法をいくつか見つける手助けをしたところで、どのアクションを取るつもりなのか Paul に尋ねてみましょう。

Paul は次のようなアクションを選択する可能性があります。

  • 個人的に Andy と会って、状況について話し合う
  • 定期的なミーティングに Andy を招待し、見解を説明してもらう
  • 毎週の最新情報メールを Andy も受信できるようにする

あなたはその選択を支持して励まし、フォローアップのタイミングを設定します。

次のような質問をします。

  • どのアクションを取りますか? いつまでに?
  • 成功したかどうかはどのように判断しますか?
  • 何が障害となる可能性がありますか? それにどのように対処しますか?
  • 私からどのような手助けが欲しいですか?

GROW を使用して成果を出すには、次の動画を参照してください。

コーチングのための質問

4 つのコーチング手順には、多くの質問をすることが含まれていることにお気づきでしょう。コーチングとは適切な質問をすることだというのは、良く知られていることです。コーチングを行うときに、すべての答えを知っている必要はありません。適切な質問をする必要があるだけです。

コーチングとは、適切な質問をすることです。誰が? 何を? どこで?

自由形式の質問をして回答者に話をさせます。たとえば「誰が」「何を」「どこで」「いつ」「どのように」「なぜ」など、自由回答形式の質問をすれば、会話を進め、相手を考えさせることができます。相手が「それはいい質問ですね。」と言ったときには、考えさせる質問をしたということです。「はい」か「いいえ」で答えられる質問では、会話がすぐに終わってしまいます。

適切な尋ね方
適切でない尋ね方
仕事について 1 つ変えられるとしたら何を変えたいですか?
もっと報告をしたいのでしょう?
自分の仕事について一番気に入ってるのは何ですか?
事務作業が好きなんでしょう?
すでに試したことは何ですか?
私のやり方を試してみましたか?
他にどんなやり方がありますか?
私のやり方でやりませんでしたね?

コーチングを始めるときに使用できる質問の例を挙げます。

問題を特定する

  • 心配していることは何ですか?
  • 何が障害になっていますか?
  • どのような問題に突き当たっていますか?

オプションを作る

  • どのようなオプションがありますか?
  • 他に何を試せますか?
  • 別のやり方でできることは何ですか?

新しい視点を見つける

  • 見落としているかもしれないことは何ですか?
  • 一番大胆な行動は何ですか?
  • まだ試していないことは何ですか?

アクションを起こす

  • これから実行する 3 つのことは何ですか? いつまでに実行しますか?
  • 障害になりそうなことは何ですか?
  • 次のステップは何ですか?

ところが、多数の質問があります。質問こそがコーチングの要です。

まとめましょう。

コーチングとは

  • 関心を持って質問をすること
  • 相手が言ったことと言わなかったことに注意して聞くこと
  • 相手が自分で問題を解決するのを手助けすること
  • 従業員が新しいスキルを開発し、キャリアを伸ばすことを支援する優れた方法

効果的なコーチングの質問をするヒントや GROW 早見表が必要な場合は、コーチングとフィードバックパックをダウンロードして『Coaching Tips (コーチングのヒント)』ガイドを参照してください。

リソース

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