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フィードバック主導文化の創出

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • フィードバックをタイムリーに継続的に行う必要がある理由を説明する。
  • 率直で正直で勇敢なフィードバックを提供する。
  • SBI モデルを使用してフィードバックを提供する。

フィードバックの文化

おいしい昼食をちょうど食べ終わったところだと想像してください。元気が出て、今日の午後もがんばれそうです。ところが、自分では気づいていないのですが、食べ物の大きな欠片が前歯に挟まっています。

ここで自問してみてください。歯に挟まった食べ物のことを知りたいですか? それとも知らないまま午後のミーティングを過ごして、後で気が付く方がよいですか?

また、逆の状況で、あなたの同僚の歯に食べ物が挟まっていたらどうでしょう? 同僚に教えてあげる勇気がありますか? それとも、同僚が気分を害してしまうのではないかと心配ですか? もちろん言いにくいことではありますが、もしあなたが知りたいと思うなら、同僚も知りたいと思うに違いありません。

歯に挟まった食べ物が、実際には他の人には見えていて自分では気づかない仕事上の小さな欠点だと想像してくださいさて、歯に挟まった食べ物はフィードバックにどう関係するのでしょう。歯に挟まった食べ物が、実際には他の人には見えていて自分では気づかない仕事上の小さな「欠点」だと考えてください。そして、その小さなことのやり方を変えると、あなたの仕事に与える影響に大きな差が出るとします。この場合、あなたはそのやり方について知りたいと思うでしょう。

Salesforce では、お互いに話をし、観察したことを共有し、いわば歯に挟まったものを相手に教えてあげることが簡単にできるよう目指して努力しています。フィードバックをやり取りすることが自然で、通常の文化の一部であると感じられる環境を作りたいと考えています。それは、他の人の反応が悪かったり、報復されたりすることを恐れずに、勇気を持った会話ができる場所です。Ohana 精神に忠実になり、私たちは大きな家族のようにありのままを伝え、お互いをサポートし、互いに責任を持って成功に向かって進むよう目指しています。

Salesforce が達成しようとしていることがなんとなくわかってきましたか? フィードバックの文化にあるフィードバックの特徴を詳しく見てみましょう。

フィードバックの特徴 すべきではないこと
率直、正直、勇敢
内密、穏便にごまかす、衝突を避ける
タイムリー、継続的
遅れる、正式なレビューまで待つ
積極的に求められ提供される
反応や報復を恐れて控える
具体的で行動を重視
あいまいで特性を重視
善意を持って提供され、受け取られる
懲罰的、「捕まえたぞ!」的フィードバック、疑わしい動機と信頼の欠如、防御的または否定的
継続的な改善と人は向上できるという信念に基づいている
知性や才能は変わらず、人はどれだけ努力しても向上しない
知的な好奇心から生じる
何が改善できるかを学ぼうとしない
上、下、水平の複数の方向への提供
下向きの 1 方向
偏見がないか常にチェックする
確認がされていない単なる思い込み
マネージャーが手本を示す
マネージャーが模範的な行動を取らない

このモジュールの残りの部分では、これらの各要素の意味と、フィードバックの文化を築くためにそれらをどのように実行するかについて詳しく説明します。

率直で正直で勇敢なフィードバック

率直、正直、勇敢という 3 つの言葉は「フィードバックの文化」を構築するために最も重要です。率直と正直は、Salesforce の透明性の価値観とも一致します。それでも、「真実」つまり建設的なフィードバックを伝えることは、ときに若干の痛みを伴う場合があります。私たちは勇気を持って、直接的だけれど敬意あるフィードバックを伝えることにより、同僚が尊厳を失わずに堂々とフィードバックを受け取れるようにする必要があります。

率直、正直、勇敢

率直で正直で勇敢なフィードバックを提供する方法は、次のとおりです。

  • まず自分の意図を明確にします。「このフィードバックを行う理由は何か。相手を助ける意図があるか?」
  • 継続的な向上とフィードバックの文化を支持する精神に基づいてチームの全員に継続的なフィードバックを提供することを、前もってチームに伝えます。
  • 部下は正直で建設的なフィードバックを受けることを希望し必要としていて、彼らがそれによって成長することを念頭に置き、勇気をもってフィードバックを提供します。
  • 他の人がいない場所で建設的なフィードバックを提供し、部下が何を改善できるかについてのアドバイスを安心して受けられるようにします。
  • 自分が言ったことを実行し、同僚にも率直で正直なフィードバックを提供してくれるように依頼します。特に何か改善点がないか、尋ねます。
  • 目の前にある問題の解決策の作成にチームメイトや直属の部下を関与させます。
  • 出来事の最中や後に具体的な観察事項を書き留めることで、それを記憶し適切なタイミングで話し合えるように準備しておきます。
  • 簡単なメールを送信してフォローアップの時間を設定し、観察事項についてフィードバックを伝えます。

タイムリーで継続的なフィードバック

タイムリーで継続的なフィードバックは、文字通りタイミングよく継続的に行われます。シンプルな概念ですが、実行するのはそう簡単ではありません。

考えてみてください。プレゼンテーションの直後に建設的なフィードバックを提供しようと思ったけれども、急いでいたためにその場で伝えられなかったことがどのくらいありますか? 他の人がいない場でフィードバックを伝えようと思って、次の 1 対 1 の面談まで待ってしまうこともあるでしょう。そして、その 1 対 1 の面談がキャンセルになり、部下は休暇で不在、大きなプレゼンテーションをしなければならず、やっと観察事項を伝えるころには 2 ~ 3 週間が過ぎているのです。その頃には、あなたも部下も何が起きたか覚えていないかもしれません。それほど遅くフィードバックを共有することは、誰にとっても適切なものではありません。

マネージャーがもっと早く言ってくれていればタイムリーで継続的なフィードバックを提供することで、部下は次の事項を明確に理解できるようになります。

  • パフォーマンス
  • 期待されていること
  • 重点を置く優先順位

仕事のペースと変更の頻度を考慮すると、部下は、すばやく調整を行い、学び成長できるよう迅速なフィードバックを求め、必要としています。次回のミーティングや半年に一度のレビュー、もっとひどい場合は 1 年に一度のレビューにまでフィードバックを延期することは、積極性、生産性、そして全体的なパフォーマンスの低下につながります。

タイムリーで継続的なフィードバックを行うには、次のことを実行します。

  • 観察事項を書き留めることで、それを記憶しフィードバック時に正確に伝えられるよう準備しておく。
  • 事象の発生後できるだけ早く (理想的には 48 時間以内) フィードバックを提供する。
  • フィードバックをチームとの状況確認ミーティングの一環にする。

積極的に求められ提供されるフィードバック

フィードバックを受けずして向上する人はいません。

当たり前のように聞こえるかもしれませんが、Salesforce では、経験や職務レベルにかかわらず誰もが学習し、成長し、向上するチャンスがあると考えています。そして、それを行う唯一の方法は、定期的にフィードバックを求め、行うことで「フィードバック筋肉」を鍛えることです。

フィードバックはどの程度の頻度で依頼するべきでしょう? 厳密なルールはありません。業務での向上を目指してフィードバックを依頼する場合はなおさらです。実際、積極的にフィードバックを求めるリーダーは、フィードバックを求めないリーダーより有能であると評価されることが研究によって明らかになっています。

フィードバックを行う場合はどうでしょうか? その場合も同様です。フィードバックは量よりも質が重要です。率直、正直、勇敢、具体的で、行動に焦点を絞った方法で受けたフィードバックは歓迎される可能性が高くなります。

フィードバックを日常的にやり取りするには、次のことを実行します。

  • チームがフィードバックをより頻繁に行ったり、フィードバックを受けやすくしたりするための個人的な目標や課題を設定する
  • 自分が受けたフィードバックやそれがパフォーマンスやキャリアにどのように役立ったかについて話すことによって、ロールモデルとなる
  • 部下との 1 対 1 の面談で、「あなたをサポートするために私が改善できることは何ですか?」などとフィードバックを依頼する
  • フィードバックを行う前に許可を求めることで、受ける側が準備を整え、受け入れやすくなるようにする
メモ

チームがフィードバックを上手く提供できるようになる方法をお探しですか? フィードバックの文化パックから Johari Window activity (Johari の窓アクティビティ) をダウンロードしてください。これは、チームメンバーが互いにフィードバックを共有するための洞察に満ちた体系的な方法です。

具体的で行動を重視したフィードバック

どうすればよいのかわからないフィードバックを受けたことがありますか? 背景事情を理解できなかったり、自分の行動の何が適切または不適切だったかを理解できなかったり、なぜそもそもフィードバックを提供されたかが理解できなかったりした場合もあるでしょう。

フィードバックに関して、安心して自信を持って原因に直接対処できるツールがあると便利ですね。

そのために役に立つのが、具体的で行動を重視したフィードバックです。「コーチングとフィードバック」モジュールの「フィードバックを行う/受ける」単元で、SBI モデルについて説明しました。SBI は Situation (状況)、Behavior (行動)、Impact (影響) の頭文字です。これは、前向きで建設的なフィードバックの構想に適したモデルです。適切に実行すれば、誤解の余地はほとんどありません。

SBI: Situation (状況)、Behavior (行動)、Impact (影響)

SBI について復習します。

S
状況
会話の始めに具体的な状況や背景事情を確認します
B
行動
次に、その人の行動を説明します
I
影響
最後に、その行動によって個人、チーム、ビジネス、顧客に与えた影響を説明します

SBI の詳細については、「コーチングとフィードバック」モジュールで学習します。

SBI モデルを習得しても、メッセージを伝える時には型にはまらないように注意してください。メッセージを伝える相手は人間です。あなたが前向きな意図を持ち誠実な気持ちでその人が学習し成長することを助けようとしていることを、相手に信じてもらう必要があります。

SBI はよい出発点ですが、自分の意図を意識することで、フィードバックのやり取りがさらに効果的になります。意図については次の単元で詳しく説明します。

まとめ

ここまでで、率直でタイムリーであること、SBI モデルに従ってフィードバックを行うことが重要であるとわかりました。ただし、会社をフィードバック主導にするには、フィードバックを定期的にやり取りする必要があります。その方法について、次の単元で説明します。まずは、意図の設定から始めましょう。

リソース

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