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個人の成功の準備

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 作業やプロジェクトを委任した場合に、個人が成功できるように準備する。
  • 他者に委任する際のリスクを克服する。
  • 他者に任せて、権限を与える方法を決定する。

個人の成功の準備

Joran は新しい部下で、チーム内でより多くの責任を引き受けることに前向きです。これまでのところ、Joran は期日を守ることに優れていて、仕事内容は明瞭、端的、かつ的確です。マネージャの Lora は、休暇に出かける前にレポートを Joran に委任しました。このレポートは、Lora が戻って来た日の翌日、クライアントに提出する必要があります。

Joran はこのレポートに苦戦しました。経験によって得られるビジネスの高度な知識が必要だったからです。調査や推測に基づいて、なんとかプレゼンテーションを用意しましたが、Lora の期待に応えられなかったのではないかという不安を抱えつつ、Lora の帰りを待ちわびています。適切なコーチングがなかったため、Joran は失敗するように仕向けられたようなものです。

部下が新しい任務に就く場合、初めのうち、その作業に精通するまでは、その部下を支援する必要があります。マネージャが「うちの部下はうまくやったことがない。自分でやった方がましだ。」と言う場合、委任する際に教育部分に十分な時間を費やしていないことがよくあります。Ansar が言っているように、委任は習得するスキルではなく、仕事をやり遂げるために取り入れる考え方です。

学習プロセスをさらに簡単にするために、次のことができます。

  1. 毎日、毎週、または必要に応じた間隔で、部下の判断とプロジェクトの進捗状況について話し合う機会を設定する。
  2. 部下が最初にアドバイスを求めることができるマネージャの補佐役を決めておく。

作業の難易度にかかわらず、こちらから質問して部下の理解を促したり、部下が継続的に問題を解決できるように支援したりします。やり方を指示するだけであったり、自分でやってしまったりしないようにします。なぜこれが重要なのでしょうか? チームメンバーが好奇心を持ち、エンゲージしていることは、職場の革新性に直結するからです。

職場の好奇心に関する著名な研究者 Todd Kashdan 氏によると、企業は次の過ちをおかすことがあります。

  • 従業員が「なぜ」、「どのように」という質問をしづらくしている
  • リスクを負う従業員を処罰する
  • 命令と指揮、知ったかぶりの行動を取るマネージャに報奨を与える
  • 多様な視点を取り込むことを低く評価する
  • 時間をかけた調査や研究よりも、仕事を早く終わらせることを評価する

こうした過ちに対抗するために、Liz Wiseman 氏のような研究者は、知的好奇心が積極性と生産性に及ぼす効果に着目しています。著書『Multipliers』(『メンバーの才能を開花させる方法』) で Wiseman 氏は、次の価値を明らかにすることで他者の知性、エネルギー、および能力を増幅させる方法を説明しています。

  • 答えるのではなく、質問する
  • 議論を奨励する
  • 周囲の人の知性と能力を活用する機会を探す

Salesforce では、リーダーシップ開発プログラムに『Multipliers』の考え方を導入しています。Salesforce では、マネージャが委任を行う場合や仕事を与えられた場合に、議論したり明確にしたりすることを奨励しています。

これらは、部下の成功のための準備することに関してはどのような意味を持つのでしょうか? それは、(行う側として) 観察した内容、(受ける側として) 今聞いた内容を明確にするための質問をすることを意味します。委任した仕事について部下から質問されたときには時間をつくり、思ったより質問が多くても寛容な態度を保ちましょう。

そうは言っても、直面している仕事が複雑で、複数の関係者がいる場合はどうなるのでしょうか? 経験の浅い部下と経験豊富な部下の両方を活用することが、できる限り最高の結果を得ることにつながるでしょうか? もちろんそうです。その理由と方法について見てみましょう。

委任のリスクの管理

委任を行うときにマネージャが直面する最大の問題の 1 つは、任せることに対する不安で、それはプロジェクトのサイズや重要性が大きいほど大きくなります。「委任することの重要性は分かっているが、このプロジェクト (またはクライアント) は非常に重要で失敗できない。」

その気持ちはわかりますが、次回にチームが困難なプロジェクトに着手したときには委任を行っても平常心を保つ方法があります。大将はすべての戦闘で戦うことはできず、首謀者はすべての活動で実行部隊になることはできないように、マネージャもすべての目標を自分で実行する必要はありません。

たとえば、グループが、大きな利害が関係するクライアントとの商談を成立させようとしているとします。ミーティングのために 1 週間以内に資料、洗練されたプレゼンテーション、戦略的ビジネスプラン、およびデータ分析を準備する必要があります。このすべての作業を自分でやろうとすれば、今後 7 日間の間に眠ったりシャワーを浴びたりできる可能性は非常に低いかゼロです。そして、疲れ切って悪臭のするリーダーのそばで働きたいと思う人はいないでしょう。幸いにも、意欲的に手助けしてくれるチームがいます。

まず、チーム全体にプロジェクトの詳細、期待事項、重要性、意図する結果を伝えます。たとえば次のようになります。これらの質問と発言内容はプロジェクトによって異なります。

意思統一の項目
自分への質問 発言する内容
詳細
  • プロジェクトの範囲は何か?
  • タイムラインはどうなっているか?
  • どのような依存関係があるか?
  • 最終的な成果物またはプレゼンテーションはどのようなものにする必要があるのか?
「プレゼンテーションまで 1 週間ですから、最初のドラフトを 3 日間で用意して、最終的なドラフトを 5 日間で用意する必要があります。」

「内部コミュニケーションチームがプレゼンテーションを校正、承認する必要があります。最終ドラフトを私に送信するときは、内部コミュニケーションチームにもコピーを送信してください。」
期待事項
  • 複数のドラフトが必要か?
  • 各ドラフトは送信時にどの程度練り上げられている必要があるか?
  • 最終的なプレゼンテーションを特定のファイル種別にする必要があるか?
  • メールによる最新情報はマネージャだけに必要か、グループ全体に必要か?
  • 問題が発生した場合のエスカレーション計画はどうなっているか?
「最終的なドラフトは、翌日に提示できるものにする必要があるので、PDF ファイルで送信してください。」

「全員が最新情報を共有できるように、コミュニケーションでは全員にコピーを送信してください。」

「障害には X、Y、Z があります。もし問題が発生したら連絡してください。一緒に解決しましょう。」
重要性
  • この取引先との商談を成立させることは、グループにとってどのような意味があるか?
  • 会社全体のミッションとはどのように関係するか?
「このプレゼンテーションがうまくいけば、組織内での私たちのグループの認知度が高まり、年間目標の達成に近づきます。」
結果
  • プレゼンテーションの各部についての目標があるか?
  • ストレッチ目標はあるか?
「チームの目標は、このプレゼンテーションの結果として重要な新規クライアントを獲得することです。」

「プロジェクトがうまくいけば、次の四半期には別のクライアントに当社のサービスを紹介してもらえるようクライアントに頼むことができます。」

プロジェクトのこの部分では、意思統一を図ることが極めて重要です。何らかの問題が発生した場合には、チームが問題に「群がる」ように対処して、できるだけ早く元の軌道に戻るようにします。食べ物のかけらに集まるアリのようにチームが問題を取り囲むことで、1 人のチームメンバーだけが詳細を知っている場合に比べて格段に速く問題を修正できます。Kris が言っているように、委任は、プロジェクトの最初から最後まで全員の足並みがそろっている場合のみうまくいきます。

そして、いよいよ委任を行います。部下の専門知識に基づいて作業を割り当てます。準備中の大規模なクライアントへのプレゼンテーションでは、Excel の達人にデータ分析を依頼し、細部までこだわる人にプレゼンテーションの仕上げを依頼するのがよいですね。より経験が浅いチームメイトは、経験豊富な同僚を手伝い、その専門知識を学ぶことができます。これで、委任が完了しました。

この時点で、手をパンパンと叩き、部下を仕事に取りかからせたいと思うかもしれません。手を叩くところは冗談ですが、同意した進捗確認を別にすれば、後はチームが仕事を完了することを信頼しましょう。しなければならないことは、ただ「任せる」ということです。これは意外に難しいことです (頭の中からあの歌を追い出すより難しいことです) ので、次にそれについて説明します。

任せることを知る

ついに、やりました! 委任を行ったので、後はチームが最大限に力を発揮できる状況を保つことに専念できます。念のためはっきりさせておきますが、一日中部下のデスクの周りをうろついたり、Google ドキュメントの進捗状況をチェックばかりしていてはいけません。

目標は、部下が批判的思考と問題解決の能力を伸ばし、より少ない助言で効率的に仕事ができるようになることです。細かく管理しすぎると、学習能力は、ビスケットに挟んだマシュマロよりも平たく押しつぶされてしまいます。

従業員がリスクを取ることやクリエイティブになることを許容すれば、従業員が継続的に革新と反復を行うことを促進できます。やがては、これらの従業員を信頼し、非常に困難な問題も解決できるようになります。

チームメンバーが仕事への熱意を持ち、問題解決の新しい方法を試すことに意欲的であれば、次のような方法でその行動を支援できます。

  • グループでの会話 — 完全に成功しなかった場合でもチームメンバーの貢献を称賛します。たとえば「私たちがよく直面するこの問題に対して新しい方法を試したのですね。素晴らしい発想だと思います。あの目標に近づく新しい方法がもう少しで見つかりそうでしたね。」といったように。
  • 1 対 1 の会話 — 効率的で革新的な方法で仕事を遂行しようとする積極性が重要であることを強調します。「もう一度言っておきたいのですが、月曜日のミーティングであなたは非常に良い提案をしてくれました。あなたのビジョンをそのまま実践することはできませんでしたが、あなたの枠にとらわれない考え方によって議論が活気づき、クリエイティブなソリューションを考え出すことができました。」

挑戦し、失敗し、以前の取り組みから学ぶ機会を部下に与えることによって、部下が向上するための土台を築くことになります。そしてそれは、以前にも取り上げた責任を育成することにもつながります。チームが能力を最大限に発揮するためには、プロジェクトの実行中および完了後に、各自が責務を全うできるようにします。スケジュールした状況確認のときに、期待される成果と達成した成果にずれがある場合には、次のことを行います。

  • 間違いを確認し、従業員がそこから学べるように支援する。
  • 詳細、期待事項、重要性、結果を明確にする。
  • さらに指導や支援が必要かどうかを判断する。

おわかりのように、委任は一度設定すれば放っておいてよいプロセスではありません。監視ツールを使用すれば、従業員を威圧せずに状況を把握することができます。状況確認をスケジュールすることによって、コミュニケーションと問題解決のプラットフォームが存在することを保証できます。全員が自分のスキルセットと経験に最適な作業に取り組むことによって、チーム全体の能力を活用してビジネスに最大限の効果をもたらすことができます。

まとめましょう。

チームに責務を委任することは、プロジェクト全体を通じてチームを支援し信頼するということです。何かを任せるということは難しい面もありますが、その恩恵は、自分ですべてを処理しようとするよりもはるかに大きなものとなります。適切な総計値、コーチング、責任を設定し、部下と意思統一を行うことによって、グループ全体の能力を活用して最大限の成果を得ることができます。

あなたが日々対応に追われている責務の数とあなたの周りにいる協力的なチームを思い出してください。あなたは、チームをできる限り最高のグループにしたいと考えています。仕事の一部を委任し、部下が自分の取り組みに対して責任を持てるようにすることで、チームの能力が高まり全体的なパフォーマンスも向上します。そして、そこまでの努力をすれば休暇を取っても大丈夫でしょう。

リソース

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