規制フレームワークを構築する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 公共セクターソリューションにおける規制フレームワークの重要性について説明する。
- 規制局、認可種別、コードの目的を説明する。
- ビジネス種別、ビジネス規制認可種別、認可種別連動関係の目的を説明する。
規制フレームワークについて理解する
法規制は、行政機関がコンプライアンスを確認して認可を与える業務の指針となるものです。規制フレームワークは、こうした社会規範の監督責任を負う機関と、検査担当者や承認者が使用する認可種別やコードで構成されます。
規制フレームワークを設定すれば、ライセンスや許可の発行、検査など、担当者が実施するタスクを特定の機関やポリシーに関連付けることができます。
規制局、認可種別、コードを設定する
規制局とは、住民に対してライセンス、許可、プログラム、給付を認可する職務を担う政府内の機関または部門のことです。どの規制局を作成するかは、各自の機関が扱う認可の種別によって異なります。
たとえば、下表は Salesforce システム管理者の Tishon が Cosville 市のために作成した規制局の数例を示しています。
規制局 |
説明 |
---|---|
Board of Barbering & Cosmetology (理容・美容委員会) |
理容、美容、ネイルケア、タトゥー、ボディピアス、エステなどを施術する個人または事業にライセンスを交付します。この分野の指導を行う個人や学校もこの委員会の規制の対象になります。 |
Board of Medicine (医療委員会) |
医師やその他のヘルスケア提供者に医療行為を行う免許を交付し、医師法に違反した免許取得者を処罰します。 |
Department of Motor Vehicles (陸運局) |
車両の所有権の登録、運転免許の交付、運転者や車両の記録を行う責任を担います。 |
Department of Building Inspection (建築物検査局) |
建築許可発行の全段階を監督し、申請された建築物が安全要件を満たしていることを確認します。 |
規制局を作成したら、規制認可種別を設定します。規制認可種別とは、規制局が発行するライセンスや許可のカテゴリです。
下表は、Tishon が所属機関のために作成した規制認可種別を示しています。
名前 |
認可種別 |
カテゴリ |
規制局 |
---|---|---|---|
Salon Establishment License (サロン施設ライセンス) |
ビジネスライセンス |
ライセンス |
Board of Barbering and Cosmetology (理容・美容委員会) |
Physician License (医師免許) |
職種免許 |
ライセンス |
Board of Medicine (医療委員会) |
Vehicle Registration (車両登録) |
資産登録 |
ライセンス |
Department of Motor Vehicles (陸運局) |
Sign Permit (看板設置許可) |
場所ベースの許可 |
許可 |
Department of Building Inspection (建築物検査局) |
どの認可種別も規制局に関連付けられています。認可種別を作成するときに、ライセンスまたは許可の管轄部署と認可カテゴリを設定できます。
たとえば、Tishon が [Sign Permit (看板設置許可)] 認可種別を作成するときは、カテゴリを [Permit (許可)]、発行事業部を [Department of Building Inspections (建築物検査局)] に設定します。
規制コードは、地域社会の安全と福祉を確保するために、地方、都道府県、地域、国の政府が制定する特定の規則をまとめたものです。個人や組織が特定の業務を遂行するための認可を取り付けたり、免許を取得したりするためには、規制コードを遵守する必要があります。行政機関の職員が検査や調査を実施して、事業者がコードに準拠しているかどうかをチェックします。
Salesforce 組織を設定する過程で、所属機関が管轄する法規制に対応する規制コードの完全セットを作成します。通常、こうしたコードは大規模なコードセットにまとめられ、見出し、章、項を使って整理されます。公共セクターソリューションでは、親コードを定義し、コードレコードに [Type (種別)] 項目を設定するという方法で、同様のコード階層を作成できます。
以下は、規制局である理容・美容委員会が制定した規制コードのレコードです。
この規制コードは親コードの 1 つの項で、規制フレームワークでは 1 つの章になっています。この説明は、施設が適切に修理されているかどうかを判断するときのガイダンスになります。
Tishon は規制コードの階層を作成して、地域の事業者が特定の規則 (例: 施設にビジネスライセンスを掲示する) を遵守できるようにします。
ビジネス種別とビジネス規制認可種別を作成する
規制局と認可種別を作成して関連付けたら、規制局が監督するビジネス種別を作成します。
Cosville では、理容・美容委員会がスパ、サロン、タトゥーパーラーなどの事業を管轄しています。そこで Tishon は、これらのカテゴリごとにビジネス種別を設定します。
ビジネス種別レコードで、業種を [Retail (小売業)]、認可活動種別を [Business (ビジネス)] に指定します。
ビジネス種別を設定したら、地域社会の個々の企業に関する情報を取得するビジネスプロファイルを作成します。ビジネスプロファイルで、法人取引先、税 ID、事業名、ビジネス構造を定義できます。Tishon は、地域のサロンビジネスである Sunshine Salon の取引先を作成します。
次に、ビジネス規制認可種別を作成し、ビジネス種別を必要な規制認可種別に対応付けます。たとえば、ある住民が Cosville でサロンを運営するためのビジネスライセンスを申請するとします。Sunshine Salon の場合は、サロン施設ライセンスと看板設置許可が必要です。そこで Tishon は、ビジネス規制認可種別を作成して、[Salon (サロン)] ビジネス種別をこれらのライセンスと許可に結び付けます。
ビジネス規制認可種別が設定されたら、ビジネス規制認可連動関係を作成できます。この連動関係レコードは、特定のビジネス種別に必要な許可を階層化します。こうすれば、住民が公共ポータルを使用して、各自のビジネス種別に必要な許可の完全リストを確認できます。つまり、どの許可は直接申し込むことができ、どの許可は先に連動許可を取り付けなければならないかを簡単にチェックできます。
次のステップで、Tishon は [Salon Establishment License (サロン施設ライセンス)] と [Sign Permit (看板設置許可)] のビジネス規制認可種別間の連動関係を作成します。
ここでは、サロン施設ライセンスを親認可種別に設定し、看板設置許可を連動認可種別に設定します。この設定により、住民はサロン施設ライセンスを申請する前に、看板設置許可を取り付ける必要が生じます。ビジネス規制認可種別間のこうした関連付けから、規制に準拠するためにはどの認可が必要かが住民に示されます。
規制局、認可種別、規制コード、およびライセンス、許可、検査のその他のオブジェクトについての詳細は、「公共セクターのライセンスと許可の管理について知る」トレイルや「公共セクター向け検査管理について理解する」トレイルを参照してください。
規制フレームワークが、コンプライアンス担当者、検査担当者、調査員の業務の指針になることを学習しました。次は、公共セクターソリューションの主な 2 つの機能である「公共セクター: ライセンスや許可の管理」アプリケーションと「検査管理」アプリケーションを見ていきます。