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予想時間

Lightning Experience への移行の準備

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。
  • Lightning Experience フレームワークを使用して、移行計画を定義する。
  • Lightning Experience (新しいインターフェースでのみ使用できる機能を含む) について学習する。
  • Lightning Experience のメリットと、新しいインターフェースに対する組織の準備状況を評価する。
  • Lightning Experience のロールアウト計画を立てる。
  • 移行計画について関係者と調整し、実施のゴーサインをもらう。

今こそ Lightning Experience に切り替えるとき

ようこそ! Salesforce Classic を使用している方なら、Lightning の評判を耳にしたことがあると思います。ただし、現行の Salesforce の実装に不満がなければ、どんな評判や便利な機能にもそれほど関心が沸かないかもしれません。これは、そうした方にぴったりのモジュールです。噂の Lightning がもたらす数々のメリットを説明し、移行の開始から完了までの計画策定をお手伝いします。

Salesforce Lightning は、次世代の Salesforce です。Lightning は、Lightning Experience (刷新されたユーザーエクスペリエンス)、アプリケーション開発を高速かつ容易にする強力な Lightning プラットフォーム、すぐにインストールできるソリューションが揃った AppExchange エコシステムで構成されています。この新しいユーザーインターフェースは、チームがスムーズに作業し、生産性を向上させられるように、セールスとサービスを主眼とした観念に基づいて設計されています。Lightning の機能を活用すれば、ビジネスを変革し、役員やビジネスユーザーからシステム管理者や開発者まで、会社のあらゆるユーザーにメリットをもたらすことができます。

Lightning Experience ホームページLightning Experience の新しいホームページ

先に進む前に、神話の虚妄を暴いておきましょう。多くのお客様は、Lightning Experience を導入すると Salesforce Classic を廃止しなければならないと思い込んでいます。実際ところ、

皆さんもユーザーも、何も変更などなかったかのごとく、引き続き Salesforce Classic を使用できます。誰でもリンクを取得できるため、新しいインターフェースと従来のインターフェース間を必要に応じて簡単に切り替えることができます。選択肢があるのは良いことですよね?

Salesforce Classic はまだ姿を消しません。ただし、Salesforce の新しいイノベーションはすべて Lightning Experience でしか利用できません。この新しいインターフェースが作業に最適なのは明らかでも、どうしたらこのインターフェースを使えるようになるのだろうと思いますよね?

心配はいりません。その方法を示すリソースとツールが用意されています。では、さっそく始めましょう!

Lightning Experience の移行の第一歩を踏み出すのはシステム管理者

Salesforce システム管理者は、レポートを作成したり、項目を設定したり、パスワードをリセットするだけの人ではありません。実際には、社内の信頼のおける Salesforce アドバイザーです。Lightning Experience への移行時には、その先陣を切るのがシステム管理者なのです。

プロジェクトのロールアウトは、素晴らしいショーの公演に似ています。システム管理者は、このショーのディレクターです。ショーを素晴らしいものにするのはディレクター次第です。現在準備中の「Lightning Experience: ザ・ミュージカル」というショーのために、変更内容の重要性について見解を一にする役員や関係者を取り込む必要があります。変更管理計画やロールアウト計画を立てることも必要です。少人数のユーザーグループを対象とするパイロットから始めるか (プレビュー公演)、思い切って一度にすべてのユーザーに Lightning Experience をロールアウトするか (ブロードウェイに直行) も決めなければなりません。そしてシステム管理者がこのショーを演出していきます。

移行チームが必要

Salesforce のどのプロジェクトのロールアウトにもチームが必要です。Lightning Experience に移行する場合は、チームがすぐに取りかかる必要があります。Salesforce の関連業務を統括してきた担当役員をリーダーとする移行チームを構成します。また、社内の関連する全部門の関係者にも必ず参加してもらいます。

ロールアウト計画における主要な関係者の例。

移行プロジェクトを承認する役員の支持が欠かせないため、このステップは極めて重要です。また、Salesforce を使用およびサポートする全員のニーズが Lightning Experience で満たされるようにしなければなりません。通常は適切な関係者に早い段階から協力してもらうと、すべての基本的な必要事項に対処することができます。

Lightning Experience への移行のフレームワーク

組織の規模に応じて、変更管理部門と連携するか、プロジェクトマネージャーを移行に割り当てることができます。場合によっては、システム管理者が開始から終了まで計画して実行することもあるでしょう。作業をどのように分担する場合でも、Lightning Experience の移行のフレームワークがあれば、正しい方向に進めていくことができます。

Salesforce では、その実績と Lightning Experience に移行済みの数千ものお客様の経験を基に、移行の構造とベストプラクティスを示すフレームワークを定義し、ユーザーが各自のジャーニーで参考できるようにしています。移行の作業を管理しやすくするために、3 つのフェーズに分けることをお勧めします。各フェーズがいくつかのステージに分割され、各ステージに推奨される活動が設定されています。

Lightning Experience の移行のフレームワークのフェーズとステージを示す画像

このモジュールのこれ以降、こうした活動について説明していきます。ただし、フレームワークも単なる概念ではありません。Lightning Experience 切り替えアシスタント (移行の各フェーズ、ステージ、活動を誘導するツール) ではこのフレームワークを実際に進行していきます。

切り替えアシスタントは、[設定] から使用できます。Salesforce Classic で、メニューの上部にある [Lightning Experience 切り替えアシスタント] タイルの [使用を開始する] をクリックすると、このツールを確認できます。

Lightning Experience 切り替えアシスタントの発見、ロールアウト、最適化フェーズページのスクリーンショット

Lightning Experience への切り替えは大がかりな時間のかかる作業ではないので、ご心配は不要です。実際のところ、多くのお客様が移行に着手してから 1 ~ 2 か月以内にユーザーの移動を開始しています。ロールアウトをいくつかのグループに分割し、パイロットから開始する反復的なアジャイルアプローチを取ることをお勧めします。この方法では、すべてを一度に行う必要がなく、学習しながら調整していくことが可能です。また、フレームワークも全部ではなく、会社に適した部分のみを実施すれば良いのです。

Lightning Experience Enablement Pack

Lightning Experience への移行をすぐ開始できるように、数々のロールアウトリソースやカスタマイズ可能なテンプレートを詰め込んだ Enablement Pack を用意しました。このパックを使用すれば、Lightning Experience の移行の準備を整え、正常に完了することができます。進行に合わせて Enablement Pack の特定のリソースを活用することを推奨します。早速開始する場合は、今すぐダウンロードできます。

発見フェーズ: Lightning Experience へのジャーニーに出発

発見フェーズでは、Lightning Experience の移行に着手し、新しいインターフェースに対する組織の準備状況を評価します。次に、ロールアウト計画と変更管理計画を立て、移行の目標について関係者と見解を一致させます。ただし、まずは Lightning Experience への移行によって会社が得られるメリットと ROI を把握する必要があります。

Lightning Experience の移行のフレームワークの視覚表示。発見フェーズが強調表示されています。

Lightning Experience について学ぶ

Lightning Experience への業務移行で最大のメリットを得られるように、ここでその可能性について説明させていただきます。Lightning には、ワークフローと生産性の向上を実現するユーザーエクスペリエンスを構築し、より簡単かつ直感的に作業を進めることを可能にして、ビジネスの変革すら実現できるパワーが秘められています。自分にどのような選択肢があるのかがわかれば、既存のカスタマイズを再評価して従来の問題を排除する、綿密な移行を設計できます。

以下のモジュールでは、Lightning Experience について簡単に学ぶことができます。

これらのバッジを取得済みで、Lightning Experience を Salesforce Classic と区別する主要な機能を簡単に復習したい場合は、このリストで各自に適した機能を確認できます。

Lightning Experience のメリットと準備状況の評価

「Lightning Experience: ザ・ミュージカル」の幕を開けるためには、まず担当役員や関係者の協力を取り付ける必要があります。そのためには、次のような質問の答えを出すことが求められます。

  • Lightning Experience に移行することでビジネスにどのようなメリットがもたらされるか?
  • Lightning Experience の実装はどのようなものか?
  • Lightning Experience に向けて組織、そしてユーザーを準備するためにどのような作業が必要か?
  • 移行プロジェクトにどのくらいのコストがかかるか?

このステージでは、期待される投資収益率と Lightning Experience に対する組織の準備状況を評価して、移行を提案できるようにします。収集したデータから、ビジネス要件や技術要件と、新しいインターフェースをユーザーにロールアウトする作業レベルを定義できます。

Lightning Experience への移行による ROI の計算

Lightning Experience に投資した場合、次のようなメリットを期待できます。

  • 効率的なユーザーインターフェースにより、ユーザーが情報の検索にかける時間が減少し、販売や顧客の問題解決に費やす時間が増大します。
  • 多彩な機能により、ビジネスの問題が解決し、プロセスが改善します。
  • 宣言型ツールにより、IT チームやビジネスチームがアプリケーションやサービスを、コードではなく、クリック操作ですばやく作成して稼働させることができます。
  • 柔軟性や非依存性により、会社の変化に合わせて機能やプロセスを継続的に適応させられます。

新しいセールスプログラムの開始や大規模な変革など、ビジネスの主要な取り組みに Lightning Experience への移行を結び付けることができれば、提案の説得力が増大します。

会社が達成可能な削減、効率性、ビジネス成長を計算する場合は、以下のリソースを参照してください。

現在のビジネスプロセスの確認

Lightning Experience の機能やメリットを確認しているときに、関係者がこんな感じで尋ねてくるかもしれません。「いいですね。ところで、現行のこの処理は可能ですか? あの処理はどうでしょう。対応していますか?」

現行のビジネスプロセスを新しいユーザーエクスペリエンスでも機能させられるかどうかを思案するのはごく自然なことです。けれども、Lightning Experience への移行は、「リフト & シフト」方式の移行以上のことを行う絶好の機会です。現在の実装を評価しながら、プロセスを単純化して統合する方法を模索し、導入上の既知の阻害要因を解消することでユーザーの満足度を高め、ビジネスプロセスを整理します。信頼のおけるアドバイザーとしてできることは、Lightning Experience の新しい機能やパラダイムを導入すれば、実際に業務を簡単に遂行できるようになることをユーザーに気付かせることです。

たとえば、次の点を検討します。

  • 日常業務に不可欠なワークフローやプロセスはどれか? 各チームに確認して意見を収集します。
  • 厄介なプロセスはないか? クリック回数を減らし、不要な手順を排除する方法を模索します。
  • 同じ結果を達成する方法が複数ないか? 最適なアプローチを採用し、他の方法は排除します。
  • 組織の難点は何か? Lightning Experience の機能で対処できるか? 最大の問題を解決する機能の設定を優先します。

Lightning Experience に対する組織の準備状況の確認

評価ステージで最も重要なステップの 1 つは、組織の現在の実装が Lightning Experience でどのように機能するかを評価することです。この分析から、どのような調整を行う必要があるのかが明らかになります。

幸い、既存のほとんどの機能やカスタマイズが Lightning Experience でそのまま動作します。嬉しいことに、Lightning Experience 準備状況チェックという、組織が現在どのような状況かを的確に把握できるうってつけのツールが用意されています。準備状況チェックでは、各自の実装の調整方法や、標準搭載の Lightning Experience でメリットを得られるユーザーを示すパーソナライズされた準備状況レポートが生成されます。大がかりな設定をしなくても済むことを知って嬉しく思うかもしれません。何らかの作業がある場合も、このレポートがロールアウト計画を作成する貴重なリソースになります。

Lightning Experience 準備状況レポートの最初のページの画像

[Lightning Experience 切り替えアシスタント] (1) の [発見フェーズ] (2) から準備状況チェックにアクセスします。[評価ステージ] (3) を展開し、[Lightning Experience の準備状況をチェックする] ステップ (4) の横にある [準備状況をチェック] をクリックします。

切り替えアシスタントの準備状況チェックを開始する場所

準備状況チェックと準備状況レポートについての詳細は、「Lightning Experience の基本」モジュールを参照してください。

機能のギャップの影響の評価

Lightning Experience は、Salesforce Classic の Sales Cloud 機能にほぼ匹敵しています。Service Cloud 機能も次々と取り入れられ、新しいリリースごとにギャップが埋められています。各自の評価では、リリース予定の機能がそのビジネスニーズにどの程度重要かも判断します。

機能的なギャップがまだ存在する箇所を特定できるように、Lightning Experience 準備状況レポートのほかにもいくつかのリソースが用意されています。

ギャップの影響を受けるチームやユーザーと協力して、組織に関連のあるギャップや、各ギャップの重要度を特定します。重要度の評価には、各ギャップに数値を割り当てたり、単純なグラフにギャップをプロットするなど、いくつかの手法が使用できます。

たとえば、リスクの重要度マトリックスを使用して、分析で発見したギャップを分類できます。(Enablement Pack の発見フェーズフォルダーにサンプルがあります。)テリトリー管理を使用しておらず、エンタイトルメントの使用も限られている場合、それらは低い位置にプロットします。反対に、JavaScript ボタンがたくさんあり、組織で WDC 機能を頻繁に使用している場合は、それらを高い位置にプロットします。

Lightning Experience を使ってみる

何かを評価する最善の方法の 1 つが、新しいインターフェースで実際のデータ、ビジネスプロセス、カスタマイズなどがどのように機能するかをありのまま確認することです。Lightning Experience の本番組織をいろいろ操作してみることも、新しい機能を試したり、そうした機能によってチームにどのようなメリットがあるかを探る優れた方法です。

標準のシステム管理者プロファイルを割り当てられているユーザーは、いつでも Lightning Experience に切り替えることができます。新しいインターフェースへのアクセス権がまだない場合は、Lightning Experience 切り替えアシスタントのプレビュー機能を使用してください。Salesforce Classic から離れることなく、新しいインターフェースでの本番組織の動作を探索できます。詳細は、Salesforce ヘルプの「Lightning Experience での組織のプレビュー」を参照してください。

Lightning Experience の試用には、他にもいくつかのオプションがあります。

  • Sandbox がある場合は、実際と同様の設定やカスタマイズの動作を確認できる理想的な場所となります。
  • Sandbox がない場合でも、無料の Developer Edition または Admin Playground にサインアップすると、Lightning Experience を安全な場所で試行できます。

Lightning Experience のロールアウトの計画

評価作業が終了したら、準備状況レポートやその他の調査結果を Lightning Experience のロールアウト計画にまとめます。もちろん、実装作業の範囲やプロジェクトのタイムラインも記載します。また、ユーザーを新しいインターフェースに移行する計画や、今後の変更に備えてユーザーを準備する計画も決めておくことをお勧めします。では、これらの点を詳しく見ていきましょう。

ロールアウト計画の選択

ごく一般的なロールアウト計画として次のものがあります。

  • グループ単位のユーザーを段階的に移行する。
  • 全員を同時に一括移行する。
  • 新規組織で稼働を開始する。

ほとんどの場合は、Lightning Experience の段階的なロールアウトでパイロットから開始し、各種のユーザーグループを順次移行していくことをお勧めします。こうしたアプローチでは、長期的なスパンで作業を分割し、ユーザーが新しいインターフェースをすばやく習得して、そのグループで学んだ教訓を基に以降のフェーズを調整することができます。

Lightning Experience のロールアウト方法に正解はありません。会社にとってどの計画が妥当かは、Salesforce 実装の複雑性、ユーザーベースの規模、ビジネス目標などの要因によって異なります。

組織にとって最適なロールアウト計画を選択するために、各アプローチの利点と考慮事項を見てみましょう。

ユーザーグループへの段階的なロールアウト

段階的なロールアウト計画では、各種のユーザーグループごとに順次 Lightning Experience の稼働を開始します。各グループに、そのビジネスニーズが現状の Lightning Experience で満たされるユーザーまたはチームを選択します。グループで稼働開始後、フィードバックを収集します。そして微調整を行ったうえで、次のグループを開始します。

この方法では、標準搭載の Lightning Experience でメリットが得られ、システム管理者による作業がほぼ不要なユーザーから開始することが考えられます。その後、ニーズがより複雑なグループに進みます。この場合は、細かな事前計画にさほど時間をかける必要がありません。Lightning Experience で実際に作業しているユーザーからのフィードバックを基に範囲や優先順位を随時微調整していくためです。

利点
パイロットを実施し、実装に関する情報を集めて調整する パイロットグループから始めて Lightning Experience 機能のユーザー受け入れテストを実施し、既存のプロセスやカスタマイズがどのように機能するかを評価します。フィードバックを参考に問題に対処し、実装を微調整したうえで次のグループに進みます。
作業を分割し、技術的な遅れを回避する 各グループのユーザーの生産を高めるために必要となるものに絞って設定や開発に取り組みます。作業を分割することで、実装を継続的に進め、新機能や機能強化のリリース時に遅れを取るという落とし穴を避けることができます。
Lightning Experience にアクセス可能なユーザーを細かく管理する 権限セットを使用して、Lightning Experience を特定のチームまたはグループのユーザーに柔軟にロールアウトします。カスタムプロファイルを更新するのではなく、「Lightning Experience ユーザー」権限を含む権限セットを作成します。次に、各フェーズで特定したユーザーにその権限セットを割り当てます。詳細は、Salesforce ヘルプの「Lightning Experience のユーザーの設定」を参照してください。
教訓に基づいて反復的に実施する 1 つのグループで稼働を開始した後、フィードバックを基に実装を改善し、ロールアウト計画を微調整します。
考慮事項
チームは一緒にする 各グループに、同じチームで仕事をする人々や頻繁にコラボレーションする人々をまとめ、ユーザーエクスペリエンスが同じになるようにします。
ギャップに注意する 準備状況レポートまたはギャップ分析で判明した問題の影響を受けるユーザーがいる場合は、問題の対処後に開始するチームにそのユーザーを移します。各グループのユーザーが Lightning Experience から必要とするものを得られることを確認し、業務を遂行できるようにします。
必要なトレーニングや変更管理が増える 変更管理作業により多くの時間を割く必要があります。たとえば、グループごとにコミュニケーションやドリップキャンペーンを繰り返す必要があります。さらに、各グループのロールアウト間隔に応じて、ユーザートレーニングを複数回実施しなければならない場合もあります。

一括ロールアウト

この方法では、組織の全ユーザーに同時に Lightning Experience をロールアウトします。一見すると、これが新しいインターフェースの最も効率的な開始方法に思えるかもしれません。組織の設定がシンプルで、Salesforce ユーザー数がさほど多くない場合は、おそらくこの方法が効率的です。ただし、このアプローチでは初日から Lightning Experience で全員をサポートし、全員の変更準備を完了させておく必要があるため、事前の作業が大幅に増えます。事前の準備が増えるということは、当然ながら、稼働開始日までに時間を要します。

利点
変更管理スケジュールが簡潔になる 全ユーザーが同時に Lightning Experience に移行するため、全ユーザーを対象とする 1 つのキャンペーンを実施するだけで済みます。トレーニングに伴う負荷が軽減されるため、維持管理する必要があるのは 1 つのインターフェース用のトレーニング資料だけになります。
機能とプログラムの有効化が簡素化される Lightning Experience Salesforce Classic の新しい機能、カスタマイズ作業、インテグレーション、パートナーアプリケーションを評価する必要がありません。すべてのユーザーが新しい機能やテクノロジーのリリースと同時にその利点を得ることができます。
考慮事項
稼働開始までの期間が長くなる Lightning Experience に対する組織全員の準備を整えるということは、事前にあらゆる準備作業を済ませておくことを意味します。たとえば、必要なすべてのビジネスプロセスを実装し、特定された技術的な問題や機能のすべてのギャップに対処しておく必要があります。
フィードバックが少ないため、何か重要なことを見落とすおそれがあります。 全員を一括して稼働開始するまで移行が行われないため、どのように機能するかに関するフィードバックを早期に得られるという利点がありません。気付かぬうちに重要な使用事例やカスタマイズを見落とした場合には、小規模な一部のユーザーではなく全ユーザーに影響が及びます。使い始めてすぐに必要な機能が使えないと、ユーザーの期待を裏切ることになり、その結果、導入率が下がる可能性があります。
技術的な遅れへの注意が必要 Salesforce では、継続的に Lightning Experience の改善と機能強化を行っています。組織の移行に時間がかかれば、生産性を向上させる機能や機会の点で後れを取ることが多くなります。

新しい Lightning Experience 組織へのサインアップ

これは確認したアプローチ中でも非常に稀な方法です。ただし、ビジネスモデルの刷新、ビジネスプロセスのゼロからの再構築、合併や買収など、企業が大きな変化を迎えている場合には、新しい組織で稼働開始するのが適切な方法となることがあります。

ロールアウトでの各グループのユーザーと作業範囲の決定

Lightning Experience を段階的にロールアウトすることにした場合は、ロールアウト計画で特定したグループを移行の対象にします。グループごとに、影響を受けるユーザープロファイル、作業範囲、大まかなスケジュールを示します。各グループのユーザーのニーズに応じて、新機能や技術的作業に優先順位を付けます。このリストは完璧でなくても構いません。稼働を開始した各グループのユーザーから現実的なフィードバックを取得した後で、優先順位を調整するためです。

準備状況レポートを使用すると、「対象者」を判断しやすくなります。「Which Users Are Ready (準備ができたユーザー)」セクションで、Lightning Experience に対する準備度が一番高いユーザープロファイルを確認します。パイロットグループを使用する場合は、即座にメリットが得られる少人数のチームを選択します。後続のグループでは、準備度が次に高いプロファイルを選び、より複雑なケースへと進んでいきます。

準備状況レポートは、各グループの作業範囲を定義する優れたガイドにもなります。ただし最初に、無視しても構わない項目がレポートにないか確認します。誰も使っていない機能やユーザーへの影響が小さい機能はリストから除外します。続いて、次回のグループのプロファイルで積極的に使用されている機能を確認し、注意を要する項目に優先順位を付けます。

優先度の問題を解決することのほか、パス、Kanban、リードの取引開始など、Lightning Experience の主要な機能を少なくとも 1 つ設定します。一般的な ToDo を高速化する機能や、グループ内のユーザーの作業方法を刷新する機能を選択します。

変更管理計画の作成

ユーザーを新しいインターフェースに移行することが難題である場合もあります。Lightning Experience ロールアウト計画の極めて重要な部分は、ユーザーが新しいインターフェースの新たな動作や異なる機能方法を取り入れるようにすることです。事前にユーザーを十分準備していなければ、移行プロジェクトに失敗するリスクが高まります。変更に対する会社の準備状況を把握したうえで、確認した内容を基にユーザーの抵抗や導入の阻害要因を予測して防止するための変更管理計画を定義します。

まず、変更の影響に関する評価から開始し、ユーザーが Salesforce の現行の実装についてどう思っているかと、Lightning Experience にどのような印象を抱いているかを確認します。また、新しいインターフェースで変更されるプロセスや活動を特定し、影響を受ける関係者やユーザーと協力してその影響を評価することも有益です。

この作業を自力で行う必要はないので心配しなくても大丈夫です。Lightning Experience Transition Change Management Hub で、変更管理計画の作成と実施に役立つ情報を確認できます。このハブでは、組織の移行全般の推奨手順とベストプラクティスに従って移行を進める方法を説明します。

Change Management Hub には、Lightning Experience 切り替えアシスタントの各フェーズからアクセスできます。または、https://lightning-readiness-check.salesforce.com/change から直接アクセスします。

Lightning Experience Transition Change Management Hub

ヒント: このハブは、組織的な変更管理の経験のない多忙なシステム管理者向けに設計された、わかりやすいツールです。専門用語は使用せず、推奨の手順に従って重要なアクションを実行できるよう説明していきます。変更管理のベストプラクティスや、本格的な変更管理フレームワークについての詳細は、Enablement Pack の発見フェーズフォルダーにある変更管理ガイドをダウンロードしてください。

成功基準の定義

変更管理計画の一環として、担当役員、関係者、影響を受けるユーザーと協力して移行の成功を測定する方法を決定します。プロジェクトを通して監視する特定の総計値を記録します。

たとえば、現在の問題点と、そうした領域の改善を測定する方法を挙げます。具体的には、生産性の向上、データ品質の向上、財務目標などを次のように設定することが考えられます。

  • フォローアップ ToDo のない商談を 20% 削減
  • 記録された活動を 15 % 増加
  • リードの取引開始率を 5% 向上

また、従業員や顧客のセンチメントに基づいて成功を測定することも一案です。その場合は、AppExchange のアンケートアプリケーションを使用してフィードバックを収集したり、シンプルな Chatter アンケートを使用して従業員に対して簡単な調査を行ったりします。

ベースライン調査を行ったり、分析スナップショットを取得したりすることで、稼働開始後の変化を確認できます。

稼働開始日の決定

稼働開始日 (段階的なロールアウトの場合は複数の日程) を慎重に選択します。ロールアウトグループのユーザーが関与するイベントに合わせて開始することを検討します。たとえば、会社の営業キックオフミーティング期間に稼働を開始すれば、自ずと注目を集めることができます。休日は避け、関係者の不在期間を事前に確認しておきます。

良いタイミング 良くないタイミング

営業キックオフ

会社のミーティング

閑散期 (あてはまる場合)

休日

四半期末または会計年度末

主要な関係者の休暇中

既存の Salesforce ロードマップを見直し、ロールアウトと競合する可能性のあるプロジェクトがあれば回避します。Salesforce 以外の競合するプロジェクトによってロールアウトに向けられる注目やリソースが奪われる可能性がある場合などは、役員と協力して障壁を排除します。

プロジェクトスケジュールの作成

Lightning Experience を全ユーザーにロールアウトする場合、数週間から数か月かかることがあります。短期プロジェクトの場合でも、計画のマイルストーンや ToDo を管理する手段が必要です。使用したいお気に入りのツールがすでにあるかもしれませんが、ない場合は AppExchange でアプリケーションを見つけることができます。

参考のために、サンプルプロジェクトのスケジュールの最初の部分を次に示します。これは、ユーザー数の少ない会社が、単純明快な移行ジャーニーを使用する場合の例です。

# ToDo 名 所有者 状況 連携性 時間 開始 終了
1.0 学習





1.1 Trailhead モジュールの修了 John 完了 N/A 1 日 9 / 5 9 / 6
1.2 Developer Edition 組織へのサインアップ John 完了 N/A 1 日 9 / 5 9 / 6
1.3 『Lightning Experience ガイド』を読む John 完了 N/A 2 日 9 / 6 9 / 8
1.4 比較表のレビュー John 完了 N/A 1 日 9 / 6 9 / 7

Enablement Pack の発見フェーズフォルダーから、このサンプルプロジェクトのフルスケジュールをダウンロードできます。

担当役員や関係者との調整

発見フェーズの最後に、Lightning Experience の提案について担当役員や影響を受ける関係者と調整します。ビジネス目標、技術要件、ロールアウト計画や変更管理計画について合意を取り付けるようにします。ユーザーとの信頼を築くためにも、Lightning Experience への移行にメリットがあり、時間をかける価値があることをユーザーに理解してもらうためにも、役員の支持を得ることは重要です。

役員や関係者から Lightning Experience のサインオフを取り付ける

移行プロジェクトのゴーサインを得て、作業にリソースを割り当てるためには担当役員や関係者が必要です。いよいよ計画を携えて、移行チーム全体に推奨事項のプレゼンテーションを行います。会社がユーザーに Lightning Experience のロールアウトを開始すべきと考えている時期と、このプロジェクトに必要な時間とリソースについてアドバイスできるように準備しておきましょう。

移行を推進するうえで最も重要な点の 1 つが、Lightning Experience に移行することで会社が得られる投資収益率です。したがって、Lightning Experience (と Lightning プラットフォーム) によってあらゆる種類のユーザーの生産性を向上させる方法を紹介できるように準備しておく必要があります。このために役立つのが、Enablement Pack の発見フェーズフォルダーにあるプレゼンテーションデッキです。デッキには主な機能と利点が明示されています。このデッキをそのまま使用することも、独自の実装に合わせてカスタマイズすることもできます。

プレゼンテーションだけでなく、デモを実施することも検討しましょう。

Lightning Experience のデモの方法

「百聞は一見に如かず」ということわざをご存じですよね? 関係者を引き込む場合もこの鉄則を適用します。Lightning Experience のデモを披露して、営業チームとサービスチームの将来のビジョンを実際に示すことができます。また、参加者がパス、Kanban、Lightning ダッシュボード、その他の Lightning Experience の魅力的な機能の実際の動作を見ることで、Lightning Experience のメリットに対する理解が深まり、記憶にも残ります。

説得力のあるデモを行うためには、ある程度の準備が必要です。ベストプラクティスをいくつか見てみましょう。

データを使って現実性を高める デモを行う機能のすべてにサンプルデータがあることを確認します。
個々の体験を示す デモの効果を高めるために、ユーザーのストーリーを語り、実例を紹介します。
すべてを事前にテストする カスタマイズを示すつもりの場合は、事前にテストします。
練習あるのみ 機能を正しい順序で適切に示すことができるように、デモのリハーサルを行います。
デモを録画する 録画があれば、参加できなかった人々にも紹介することができます。また、こうした録画が後々トレーニング資料として極めて役立ちます。

ゴーサインが出たら

先に進むための承認を取り付けたら、すぐ次のフェーズに取りかかりましょう。Lightning Experience の稼働が成功するかどうかは、ユーザーの準備状況とシステム管理者による実装作業にかかっています。次の単元では、稼働を成功させるためのこの両方の取り組みについて説明します。

リソース

Rights of ALBERT EINSTEIN are used with permission of The Hebrew University of Jerusalem. (ALBERT EINSTEIN の権利は、ヘブライ大学の許可を受けた上で使用しています。)Represented exclusively by Greenlight. (Greenlight が排他的に代理人を務めています。)

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