インテグレーションユースケースを検証する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Google スプレッドシートのリードを Salesforce のリードおよび Slack の通知と常時同期するうえでの課題を説明する。
- MuleSoft Composer を使用して Google スプレッドシートのリードを Salesforce のリードおよび Slack の通知と同期する方法を説明する。
- フロー作成の準備をする。
始める前に
このモジュールは「MuleSoft Composer のインストールと設定」に基づいて作成されているため、先に進む前にこちらのモジュールを必ず受講してください。先行のモジュールと同様に、インテグレーションフローを構築して実行するためには「MuleSoft Composer ユーザー」権限セットが必要です。
このモジュールでは、受講者が MuleSoft Composer ユーザーとして認証されていると想定しています。ただし、MuleSoft Composer ユーザーでなくても問題ありません。このまま読み進んで、どのように手順を実行するのかを学習してください。MuleSoft Composer は Trailhead Playground で使用できないため、記載の手順を Trailhead Playground で実行しないでください。
この単元では、アウトドアやレクリエーション用品の小売企業である Northern Trail Outfitters (NTO) のシステム管理者としての職務に取り組みます。まず、NTO が直面しているインテグレーションの課題を検証し、MuleSoft Composer のインテグレーションソリューションについて理解します。次に、フロー作成の準備方法を学習します。
インテグレーションの課題
NTO が直面しているインテグレーションの課題を見てみましょう。NTO のマーケティングチームは、Google スプレッドシートを使用してマーケティングイベントからリードを収集しています。最適な顧客関係管理を行うために、チームはすべてのリードを Sales Cloud で管理および維持持しています。リード管理を改善し、チームのコラボレーションを促進するために、Slack の sales-leads チャンネルに新しいリードを通知することも行っています。
現在、マーケティングチームは次のタスクを手動で実行しています。新しいリードが発生するたびに、チームはそのリードを Google スプレッドシートのマーケティングリードスプレッドシートに追加します。次に、対応するリードが NTO 組織 Sales Cloud に存在するかどうかを確認します。存在しない場合は、Sales Cloud で対応するリードを作成し、関連するリードの詳細を記載したメッセージを Slack の sales-leads チャンネルに送信します。このプロセスは時間がかかり、非常にミスが起きやすいため、チームは自動化したいと考えています。
インテグレーションソリューション
ソリューションとして、Google スプレッドシート、Sales Cloud、Slack 間のインテグレーションを自動化して、ニアリアルタイムのインテグレーションを実現する必要があります。そのために、MuleSoft Composer を使用して、Google スプレッドシートのリードの作成を Sales Cloud のリードと Slack の通知と自動的に同期するインテグレーションフローを作成します。具体的に、このフローで実行する必要があるタスクは次のとおりです。
- Google スプレッドシートのマーケティングスプレッドスプレッドシートにある新しいリードを検索する。
- 対応するリードが Sales Cloud に存在するかどうかを判断する。
- リードが存在しない場合
- Sales Cloud で対応するリードを作成する。
- 関連するリードの詳細が記載されたメッセージを Slack の sales-leads チャンネルに送信する。
MuleSoft Composer を使用するソリューションを実装するには、次のフロー作成タスクを実行します。
- フロー作成の準備をする。
- フローを設計してテストする。
- フローをアクティブ化する。
- フローを監視してトラブルシューティングする。
上記のタスクの実行方法については、このモジュールの後続の単元で説明します。
フロー作成の準備をする
準備はよいですか?
まず、これからフローで使用するシステムとアセットについて必要な情報をすべて集めます。次の表は、フローの接続先となるシステムと、各システムの必要な情報を示しています。
システム |
必要な情報 |
---|---|
Google スプレッドシート |
|
NTO の Sales Cloud |
|
Slack |
|
フローの設計時とテスト時には、テスト環境に上記のシステムとデータを使用することがベストプラクティスです。テストが完了した後に、本番用のシステムとデータを使用してフローを実行します。
次は、Google スプレッドシート、Salesforce、Slack の各環境の前提条件を学習します。
Google スプレッドシート環境の前提条件
Google スプレッドシートなどの Google の全機能にアクセスできる Google アカウントを有していることを前提としています。Google アカウントがない場合は、無料のアカウントにサインアップしてください。
MuleSoft Composer を使用して Google スプレッドシートへの接続を作成すると、MuleSoft Composer に Google アカウントに対する権限を付与するよう求められます。MuleSoft Composer に次の権限を付与する準備をします。
- See and download all your Google Drive files (Google ドライブファイルを参照およびダウンロードする)。
- See information about your Google Drive files (Google ドライブファイルに関する情報を参照する)。
- See, edit, create, and delete all your Google Sheets spreadsheets (Google スプレッドシートのすべてのスプレッドシートを参照、編集、作成、削除する)。
最後に、マーケティングリードスプレッドシートにヘッダー行があることを確認します。列ヘッダーには任意の名前を付けることができます。データを同期したい Sales Cloud のリードオブジェクトの項目と一致する名前を列ヘッダーに付けることがベストプラクティスです。
たとえば、Google スプレッドシートの [First Name (名)]、[Last Name (姓)]、[Email (メール)]、[Phone (電話)]、[Company (会社)]、[Country (国)]、[Industry (業種)]、[Lead Source (リードソース)] の各項目を Sales Cloud のリードオブジェクトの対応する項目と同期したいとします。その場合、マーケティングリードスプレッドシートは次のようになります。
フローが実行されると、Google スプレッドシートコネクタによってスプレッドシートの利用可能な最初の行 (この場合は 2 行目) に書き込まれます。
Salesforce 環境の前提条件
Salesforce と同期するフローを作成して実行するために、Sandbox 組織と本番組織があることを前提としています。
MuleSoft Composer を使用して Salesforce への接続を作成すると、MuleSoft Composer に権限を付与するよう求められます。Sandbox 組織と本番組織の両方の Salesforce アカウントで、MuleSoft Composer に次の権限を付与する準備ができていることを確認します。
- ID URL サービスにアクセスする。
- API を使用してユーザーデータを管理する。
- いつでも要求を実行する。
メモ: フローの設計とテストを行う Sandbox 組織がない場合は、開発者組織を使用できます。
次の手順に従って無料の開発者組織にサインアップしてください。
- https://developer.salesforce.com/signup にアクセスします。
- 連絡先情報を入力します。
- 一意のユーザー名を入力します。
- [サインアップ] をクリックして、お知らせメールが届くのを待ちます。
- お知らせメールのリンクをクリックして、パスワードを設定します。
Slack 環境の前提条件
リードに関する通知を事前定義された Slack チャンネルに送信するには、Slack のワークスペースとチャンネルが必要です。次の手順に従って、テスト用の Slack ワークスペースとチャンネルを作成します。
- slack.com にアクセスし、[Slack を起動する] をクリックして、[ワークスペースを新規作成する] を選択します。
- メールアドレスを入力し、[続行する] をクリックします。
- Slack から届いたメールで確認コードを調べ、Slack に入力します。
- 会社名に
NTO
と入力し、[次へ] をクリックします。使用するワークスペースは NTO です。 - チームが取り組むプロジェクトとして
sales-leads
と入力し、[次へ] をクリックすると、sales-leads がチャンネルになります。 - メンバーを追加するように促されたら、[この手順をスキップする] をクリックし、[ステップをスキップ] をクリックしてから、[はじめよう] をクリックして直接ワークスペースとチャンネルに移動します。
最後に、MuleSoft Composer を使用して Slack への接続を作成すると、MuleSoft Composer に権限を付与するよう求められます。MuleSoft Composer に Slack ワークスペースに対する次の権限を付与する準備をします。
- チャンネルと会話に関するコンテンツと情報を表示する。
- ワークスペースに関するコンテンツと情報を表示する。
- チャンネルと会話でアクションを実行する。
MuleSoft Composer でフローを作成する準備の最初の手順を実行しました。次の単元では、フローを設計してテストする方法を学習します。