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JTBD フレームワークについて学ぶ

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • JTBD フレームワークの基本原則を説明する。
  • このフレームワークでどのように設計作業の成功を促進できるかを説明する。

シャベルを買いたいのか、地面に穴が必要なのか?

吹き出しにある 2 つのことを考えている女性の画像。左側の吹き出しではシャベルのことを考えている。右側の吹き出しでは地面の穴のことを考えている。穴は光っている。女性は穴の吹き出しを見て微笑んでいる。

誰でも昔からある「ニワトリが先か、卵が先か」問題は知っているはずです。では「顧客、シャベル、穴」問題は知っていますか? 次のような問いです。「顧客がシャベルを買うとき、顧客はシャベルに関心があったのか? それとも地面に穴が必要だっただけなのか?」

Jobs to Be Done (JTBD: 成すべきジョブ) フレームワークはこの問いを軸として展開されます。言い換えると、JTBD では、企業は商品とサービスを販売するが、顧客が実際に購入しているのは問題に対するソリューションであると考えます。リレーションシップ設計という視点で見ると、JTBD ではユーザーの観点から「シャベルか穴か」問題を考慮することが求められます。まず商品やサービスがどのようなものかを考えるのではなく、ユーザーが実際に達成しようとしていることに目を向ける必要があります。顧客が成すべきジョブまたはタスクとは何でしょうか? 顧客が本当に必要としているものが地面の穴ならば、シャベルを売るより、穴堀りサービスの方がニーズに合っているかもしれません。

すべてはミルクシェイクから始まった

JTBD のしくみをビジネスの実例で詳しく見てみましょう。JTBD の象徴的なファーストフードチェーンのミルクシェイクのストーリーを聞いたことがありますか? 数年前、そのファーストフードチェーンではミルクシェイクの売上を改善しようとしていました。この問題に対して最初にとったのはアイデア主導アプローチでした。チームはソリューションのブレインストーミングをして、大きいサイズのシェイクを追加する、フレーバーを増やす、おまけ付きのキッズミールとセットにする、などのアイデアを出しました。不思議なことに、これほど企画したにもかかわらず、売上は増えませんでした。

この問題を打開するために相談したのが、JTBD フレームワークの考案者の 1 人である Clay Christensen 氏とそのチームです。彼らが店舗の 1 日を調査したところ、午前 8 時 30 分より前にミルクシェイクを買う顧客の大半が大人でした。ミルクシェイクを買う顧客はミルクシェイクだけを買い、そのほとんどは店内で飲食せずに持ち帰りにして車で走り去ります。このチェーンでは、対象顧客は子どもで、ミルクシェイクと一緒にキッズミールを欲しがると想定していましたが、実際の販売状況から別のことが判明したのです。

4 本の縦棒からなる書式設定された棒グラフの画像。左端の 1 つ目の縦棒から右へと高い順に並んでいる。縦棒の上には高い順にミルクシェイク、ベーグル、バナナ、ドーナツが載っている。グラフの右には時刻 8:30 を示す時計がある。

チームはミルクシェイク購入者に「何をするために朝早くにミルクシェイクを買ったのですか?」と尋ね始めました。その結果、すべてのミルクシェイク購入者に同じような成すべきタスク (JTBD 用語では「ジョブ」) があることがわかりました。彼らは通勤で長時間運転している途中で、休憩時間までエネルギーを保てるものを必要としていました。また、運転中に片手で持てて会社に着くまで長持ちするものを求めていました。つまり、ミルクシェイクの実際の競合相手はほかの朝食 (バナナ、ドーナツ、さらにベーグルも) だったのです。

意外でしょう? 通常、ソリューションにアプローチするときは、顧客について考えるか、自社の商品やサービスについて考えてアイデアを出します。Christensen 氏とチームがファーストフードチェーンの顧客を観察するために (また、もっと売れるミルクシェイクを作るために) 使用した JTBD アプローチでは、何よりもまず顧客が何を達成しようとしているかを考えます。

Jobs to Be Done (JTBD) フレームワーク

Jobs to Be Done (JTBD) フレームワークでは、顧客は特定のジョブを達成するために商品やサービスを購入 (雇用) するものとします。この視点でユーザーを見ると、ある枠組みに沿ってジョブとニーズを発見して定義し、そのジョブとニーズをユーザーにとっての成功という点から定義した測定可能な成果に結び付けることができます。ユーザーが成すべきことを達成できるようにサポートできれば、商品やサービスへの評価が高くなります。これにより、採用が増加し、商品やサービスへの信頼が高まり、総合的に顧客との関係は強化されてより重視されます。まさに Win-Win です。

ファーストフードチェーンは最高のデザートを作ろうと取り組んでいましたが、 顧客は必ずしもデザートを求めてはいませんでした。顧客のジョブは満腹で職場に着き、最初の休憩時間までエネルギーを保つことでした。これは商品の問題であり、関係の問題でもあります。彼らは顧客を理解していなかったのです。それがわかったことですべてが変わりました。

顧客のジョブを理解したファーストフードチェーンは新たな路線を開始しました。シェイクを濃くし、カットしたフルーツを加えてより健康的な朝食にし、ドライブスルーレーンで使用するスワイプ式のプリペイドカードも導入しました。ジョブ指向アプローチをとったことで、チームは企画と調査のすべてで実際に顧客のニーズを満たすソリューションを提供できたのです。今回、ミルクシェイクの売上は 7 倍になりました。

JTBD のレンズから見たビューを示す画像。レンズは双眼鏡の形で、左目と右目に別の画像が入っています。左側には微笑む女性と「ユーザーがしたいこと」という言葉が示されています。右側には 2 つの円の中にそれぞれテキストが示されています。1 つ目は「自社の商品」。2 つ目は「自社のアイデア」です。

イノベーションへの従来のアプローチからは独創的かつ画期的なアイデアが生まれることがあります。その一方で、再現性を欠き、顧客に最大の価値をもたらして顧客との関係を強化するアイデアに着目できなくなることもあります。企業にとって顧客の声に耳を傾けることは不可欠であり、そうしなければ市場でのつながりを維持できません。

ジョブ指向アプローチでは、まず顧客のユースケースを深く掘り下げ、顧客の機能的、感情的、および社会的ニーズを分析し、その結果から定義されるソリューションを作成します。イノベーションへのこのアプローチでは、顧客が商品開発の中心です。自分の専門領域や役職は忘れ、顧客が何をしようとしているかに目を向けます。ソリューションが成功するかどうかは、その基礎となる顧客のニーズやモチベーションの充足度によって決まります。

調査では、ユーザーが機能的なジョブを達成できるかどうかが、顧客満足度と採用の最大の促進要因であることがわかっています。JTBD のもう 1 つの最大のメリットは、ユーザーのジョブの機能面に対処しながら、社会的および感情的ニーズへの対処も義務付けている点です。

JTBD 原則

ジョブの発見と定義には多くの方法があり、どのチームやワークフローにも合う万能の方法はありません。ただし、こうした戦略のすべてに共通する次の一般原則があります。

4 つの JTBD 原則: 顧客中心、ソリューション非依存、長期的な安定、測定可能な成果

顧客中心 

ジョブは顧客との会話を通じて識別されます。あなたとチームとの会話ではありません。顧客はすべての新しい商品、機能、イノベーションの中心にあります。

ソリューション非依存 

ソリューションから始めてはいけません。まず、ジョブにのみ目を向けます。ジョブを本質的に既存のソリューションに結び付けられるものと決めてかかると、顧客のためにイノベーションを起こす機会を失うから。

たとえば、「Web サイトにリードフォームを埋め込む必要がある」という文にはソリューション「リードフォーム」とテクノロジー「Web サイト」が含まれます。なぜこれを行う必要があるのかを掘り下げることで、ソリューションに依存しないジョブステートメント「営業担当から簡単にサポートを得られる方法が必要だ」ができます。見込み客を獲得し、収益を増やすもっとよい方法は沢山あります。一歩下がって顧客が本当にしようとしていることを理解すると、イノベーションの範囲を広げ、既存のソリューションではなく顧客に着目できます。

長期的な安定 

顧客の目標やニーズは長期にわたって比較的安定しているという前提で取り組みます。あなたがもしジョブやニーズを頻繁に変更しているとしたら、何かが間違っています。最初からやり直す必要があるかもしれません。

測定可能な成果

ジョブを識別したものの、顧客やユーザーがそのジョブをどの程度達成できたかわからない場合は、方法を見直してください。求められているのは、ジョブをよりよく達成するのに役立つ商品やサービスです。

簡単な演習

JTBD 原則を実践する準備はできましたか? ここでは簡単な演習をします。あなたはファーストフードチェーンの朝食メニュー刷新をサポートしているとします。友人に毎日の朝食についてインタビューし、設定、登場人物、関連する背景情報も含めて映画の一場面のように詳しく説明してもらいます。インタビュー結果に基づいて友人の朝食に関する JTBD を識別できるか確認します。取り組むときには 4 つの原則をすべて考慮してください。

デザイナーのための JTBD

デザイナーであるあなたは、すでに顧客中心を実践しています。このフレームワークを追加して、その焦点をさらに絞り、アクション可能にします。

JTBD はデザイナーのツールキットに追加すべき優れたツールです。JTBD では、設計主導の作業を別の領域の組織にわかりやすく伝えることができ、業務や技術的なイノベーションなど他の領域で優れていることを高く評価します。設計作業が重要である理由を他の組織のメンバーがより深く理解すれば、あなたの活動に関与し、その過程であなたが共有する知識を自分のものとして習得するようになります。その結果、デザイナーとしてあなたは、ビジネス全体に変化をもたらすことに対し、より緊密に連携できるように (さらに、より大きな影響を与えられるように) なります。

JTBD ツールキットとその中から出てくるさまざまなツールを表すアイコンを示す画像。

次のステップ

JTBD 理論とその原則を理解できたら、次はフレームワークの主要な要素を確認します。前へ進みましょう。

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