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JTBD を実装する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • JTBD の共通要素を説明する。
  • 3 つのジョブディメンションを定義する。

材料ですべてが決まる

JTBD フレームワークはさまざまなアプローチで実践されてきました。そのため、フレームワークの要素をケーキの材料と考えると理論を把握しやすいかもしれません。

見た目が異なる 2 つのケーキが置かれたテーブルを囲んで立っている人々の画像

「完璧なケーキ」はその場の状況に応じて異なります。3 層のウェディングケーキと幼児のバースデーケーキの両方に合うレシピはおそらくないにもかかわらず、その基本的なレベル、どちらも同じような材料でできていることは推測できます。同様に、JTBD フレームワークの要素も一貫しています。このフレームワークへのすべてのアプローチで使用される基本原則と要素は似ていますが、ユースケースに応じてその使用方法を変更する必要が生じることもあります。

基本に戻る

JTBD の調合を考えるときには、まず 4 つの重要な要素であるジョブ実行者、成すべきジョブ、状況、ニーズを考慮する必要があります。

ジョブ実行者 

ジョブ実行者とは、特定のジョブを達成しようとしている人物またはグループです。ソリューションの主な消費者です。ジョブ実行者は常に役職やペルソナとは限らず、どちらかといえばジョブを理解している人物やグループです。

1 人の人が問題を解決することや、1 人だけで商品を使用することはめったにない点にも注意が重要です。商品やエクスペリエンスの影響は主な顧客以外にも及ぶことが多く、チーム、家族、さらには大規模なコミュニティの社会的力学に影響を与えます。こうしたより広範囲の社会的力学を考慮することは、リレーションシップ設計の核心部分であり、自分が理解できる範囲でジャーニーマップに反映する必要があります。

成すべきジョブ

ジョブはジョブ実行者の主目標です。解決したい問題や回避したいこと、それ以外の達成しようとしていることである場合があります。サブジョブが存在する場合もありますが、顧客のニーズとモチベーションは成すべき主なジョブを中心に定義されます。この主なジョブには、顧客中心、ソリューション非依存、安定、測定可能な成果という 4 つの一般原則があります。

状況

ジョブ実行者とジョブの状況とコンテキストを理解すると、そのジョブと組織との関連性を維持できます。コンテキストの詳細をジョブに追加すると、イノベーションの範囲とソリューション設計プロセスに大きな影響があります。状況とは通常、時間、場所、ジョブを達成する方法などを指します。

異なる状況下で異なる食事を用意する 3 人の異なる人物の画像。

簡単な例を見てみましょう。ジョブが「食事を用意する」の場合、さまざまなコンテキストを調べて、ジョブの実行方法に関する要因を明らかにします。

  • キャンプ中に食事を用意する
  • デスクで静かに食べられる食事を用意する
  • 印象的な最初のデートの食事を用意する

上記の例は、目下のジョブの機能的、感情的、および社会的ディメンションを強調しています。これも JTBD の特長の 1 つです。機能要件に対処しながら、ユーザーの社会的および感情的ニーズを考慮することも明確に義務付けています。

状況は、顧客が質と成功を定義する方法にも影響を与えます。上記の例では、ジョブ実行者がキャンプ中に食事を用意しようとしている場合、暖かい即席カップ麺でジョブがうまく達成できたと判断する可能性があります。ただし、同じジョブ実行者が最初のデートの食事を成功させようと考えるとき、おそらく即席麺は選択肢にありません。その場合、うまく達成するジョブに対するジョブ実行者の理解には、複数の料理、前菜に加え、多分デザートが含まれているでしょう。どれほど美味しくても暖かい即席カップ麺では目的を達成できません。

顧客のニーズ

ジョブ実行者、ジョブ、状況を識別できたら、次のステップではソリューションは顧客が実現したい進捗に依存することを理解します。進捗を把握するには、まず顧客のニーズは何かを理解する必要があります。顧客のニーズはコンテキストによって異なるため、定義が難しいことがあります。

たとえば、デザイン思考では、ニーズは基本的なモチベーションまたは願望とみなされます。システム開発では、ニーズはプロセスが機能するためのシステム要件とみなされます。

JTBD 理論の第一人者の 1 人である著者および講師の Jim Kalbach 氏は、その著書『The Jobs To Be Done Playbook』(JTBD プレイブック) で「ニーズとは特定のソリューションからの要求ではなく、個人のジョブを成し遂げるための要件である。」と説明しています。 

ジョブはジョブ実行者の総合的な目標であり、ニーズはその過程の成功基準と考えることができます。顧客のニーズを明らかにする際に有効なのが、次の 3 つのジョブディメンションを考慮することです。

  • 機能的: ジョブ実行者がしたいこと。機能的ジョブには明確な開始状態と終了状態があります。
  • 感情的: ジョブを行うとき、またはジョブを達成したときに消費者がどのように感じるか/感じたいか。
  • 社会的: ジョブを行うときに顧客がどう見られたいか/認識されたいか、またはそのジョブが既存の社会的力学にどのように当てはまるか。たとえば、チームがプロジェクトでコラボレーションしているとき、新しいツールを「雇用」することは、どのように認識されたいかよりも、そのツールでどのようにチームのワークフロー/行動/達成基準をサポートしたいかに関係します。

多くのビジネスコンテキストでは、機能的なニーズの解決に取り組むのは簡単です。多くの場合、それは最も簡単に定義されるからです。ただし、1 つのジョブを定義するときに、感情的および社会的ニーズが機能的要件とどのように共存するかを理解することが重要です。

機能的要件が感情的ニーズおよび社会的ニーズの横に並んでいる画像。

例を見てみましょう。これは Salesforce 社内で発生した例ですが、その学びはそのままほかのエコシステムに適用できます。Salesforce システム管理者 (勤務する組織の Salesforce ツールを管理する担当者) への過去の調査では、ジョブ実行者が抱えていがちな一連の共通するジョブが明らかになりました。

システム管理者の機能的ジョブには、ステークホルダーのビジネス要件の収集、さまざまなデータソースからのデータの統合、さまざまな種類のソフトウェアを使用するためのユーザートレーニングが含まれる場合があります。

ただし、エンタープライズ環境においてさえ、ジョブ実行者には感情的および社会的ジョブもあります。追加の調査は、システム管理者がコードベースのツールを使用する自分の能力に自信を持ちたがっていること (システム管理者の感情的ジョブ)、会社と業界において Salesforce エキスパートと認められたがっていること (システム管理者の社会的ジョブ) を示していました。

このような感情的ジョブと社会的ジョブを理解したことで、コードベースツールを経験の浅いシステム管理者に紹介するアプリケーション内ウォークスルーについて、情報に基づく製品判断を下すことができました。Salesforce では、システム管理者が特定のトピックのエキスパートであることを示す Trailblazer バッジの授与も公開しています。第一目標はジョブ実行者が機能的なジョブを首尾よく達成することですが、社会的ジョブと感情的ジョブを理解することも完全なソリューションを伝えるためには重要です。

次のステップ

次の単元では、顧客のジョブを発見する方法と、機能的、感情的、および社会的ニーズ間の関係を詳しく学習します。

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