顧客の成すべきジョブを発見する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- インタビューのベストプラクティスについて説明する。
- インタビューのヒントを明らかにする。
概要
ジョブについて詳しく理解できましたが、どうやって始めればいいのか、疑問に思っていませんか? 心配いりません。このセクションでは、顧客と話をしてそのジョブとニーズを発見する方法を学習します。
顧客へのインタビューで成すべきジョブを発見する
どのようなジョブでも、いずれは実際に顧客にインタビューし、顧客自身の言葉で具体的な目標やニーズについて話してもらう必要があります。重要なのは、これはデザイナー、調査者、商品マネージャーのロールだけではなく、チームの誰でも行うことができるという点です。
顧客の成すべきジョブを明らかにするためのインタビューを実施することは、他の種類のユーザーインタビューや生成的調査とは異なります。JTBD インタビューの目標は、顧客がジョブを達成するために特定のソリューションを雇用 (または雇用しない) 理由を理解することです。詳細なインタビューは、顧客の機能的目標と現在の行動をより深く理解するのに役立ちます。
顧客の社会的および感情的目標を理解することも、顧客の行動の真意や JTBD 用語でいう「購入判断」を知るために役立ちます。では、インタビューのベストプラクティスを確認しましょう。
オープンエンド型の質問をする
顧客に体験について話すように促す最もよいインタビュー手法の 1 つは、オープンエンド型の質問をすることです。このベストプラクティスを使ってデータ収集をすると、顧客の応答に応じてインタビューフローが変わることがあります。つまり、質問の順序が話す相手ごとに順序が変わる可能性があります。そのため、インタビュー全体の構成を組み立てづらくなり、不安に感じるかもしれませんが、問題ありません。オープンエンド型の質問では、顧客が自らの体験をじっくり考える機会が増え、インサイトに満ちたフィードバックを得られる可能性があります。
このベストプラクティスで重要なのは、インタビューの目標と主要な質問をどの顧客との会話でも同じにすることです。それにより、インタビュー対象のグループ全体から、未解決のニーズや問題など、類似のパターンを識別できます。適切な人物と話すことも重要です。
方法と理由を質問する
詳細なインタビューの目的は、ユーザーの行動の機能的目標と感情的ニーズの両方を理解できるように掘り下げることです。「はい/いいえ」や格付けを求める質問で厳密な答えを得ることではありません。一言や短い答えで終わってしまう二択の質問は避けてください。
方法と理由への質問をして、顧客の行動に関するより深いインサイトを得ます。顧客が成果を成し遂げた方法を質問することで、顧客の行動に関する貴重な知識を得ることができます。同じように重要なのが、顧客の総合的な作業コンテキストと選択結果を深く理解することです。顧客が作業を達成した方法を理解したら、次は必ずその方法で行動した理由を理解します。特定の行動と選択をした理由に焦点を絞ると、顧客は未解決のニーズ、問題、ストレスについてじっくり考えることができます。
たとえば、ある電気ケトルの会社では、ユーザーが解決している主なジョブは「湯を沸かしたい」だと仮設を立てていました。この会社の営業担当は、この仮説を検証し、顧客の成すべきジョブについて詳しく知るために、既存顧客や見込み客から話を聞きました。インタビューで、チームは次のように質問しました。
- 「最後に湯を沸かしたときのことを思い出せますか?」「どの方法で沸かしましたか?」
- 「最後に湯を沸かしたときのことを思い出せますか?」「なぜその方法で沸かしたのですか?」
それぞれのメモを集めると、顧客のほぼすべてが湯を沸かしたのは暖かい飲み物を用意するためだったことがわかりました。より高いジョブ高度を調べたことで、イノベーションの範囲が広がっていたことがわかりました。
インタビュー実施者は、各回答で興味深いことに気付きました。顧客が関連するステップについて説明するとき、ソリューションにはまったく含まれていないステップがあったのです。一部の顧客は「コーヒーメーカーを取り出し、湯を沸かし、挽いたコーヒーをコーヒーメーカーに入れ、お湯をカップに注ぎ、ミルクを加え、飲む」と説明しました。その答えから営業担当は、暖かい飲み物を用意することに関していえば、湯を沸かすことは、ほとんどの顧客が共有するより大きな成すべきジョブの 1 ステップにすぎないと瞬時に学びました。エスプレッソマシンの出番です!
機能をデモしたり、アイデアへのフィードバックを求めたりしない
インタビューではソリューション非依存を保ちます。インタビューの目標は概念、ソリューション、特定の商品に対するフィードバックを得ることではありません。顧客に関連する現在の作業コンテキストと行動を理解することが、全体的なエクスペリエンスに存在する問題、ギャップ、満たされないニーズを徹底的に理解するために不可欠です。ソリューションをデモしたり、商品の目的を紹介したりすると、顧客を制止してエクスペリエンス、ニーズ、モチベーションについて包括的に考えることを妨げてしまいます。
留意すべきその他のヒント
上記は 3 大ベストプラクティスですが、次の点についても留意が必要です。
- 適切な人物と話す。主なジョブを識別し、主なジョブ実行者と話します。たとえば、自社の商品ユーザーが達成したジョブを調査する場合、ユーザーは購入者ではないかもしれません。よい例があります。キャットフードです! 猫が食べるには十分な臭いが必要ですが、人間が購入するには十分でなくてもかまいません。識別しようとしているのは誰のジョブかを確認します。
- 5 人以上の人と話すことを目標にします。そのあたりで発見事項の中からパターンが見えるようになってきます。
- 詳細なメモを取る。自分が気になったことだけでなく、顧客の発言や詳細を顧客の言葉で収集することを試みます。これは、インタビュー後に自分のメモからジョブステートメントや成果を記述するときに役立ちます。
- 代替方法がないか探す。取り組んでいる問題を解決するために雇用しているソリューションを顧客が変更している場合、どのような代替方法にしているか探ります。
- 顧客の選択や理由付けについて意外な点を識別する。こうした意外な点を掘り下げると、言葉にしづらいニーズを識別できることがあります。
顧客と話すことがめったにない場合や、一般的なユーザー調査のベストプラクティスを復習したい場合は、「ユーザーエクスペリエンス調査の基本」Trailhead モジュールで詳細を参照したり、以下の「リソース」セクションにある JTBD インタビューへのガイドを確認したりしてください。
ジョブは安定を保ち、ニーズと状況は進化する
顧客と話すのは一度限りのことではありません。ジョブは長期にわたって安定した状態ですが、ジョブ実行者のニーズは状況の変化に応じて進化します。次の単元では、顧客から聞いた内容をもとに効果的なジョブステートメントと成果ステートメントを作成し、それらのステートメントを顧客と一緒に検証する方法を学習します。