Skip to main content

アプリケーションが対応する Salesforce エディションの決定

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • ISVforce アプリケーションによってサポートされるエディション間の基本的な違いを説明する。
  • 与えられた要件に基づいて、ソリューションでサポート可能なエディションを決定する。
  • 対象組織の Salesforce エディションと Salesforce ライセンスを決定することが重要である理由を説明する。
  • AppExchange パートナーが対象とする Salesforce エディションを決定する場合について説明する。

適切なエディションの特定

ここでは、どの Salesforce エディションをサポートするかを決定します。再び、あなたは家具デザイナーで、美しいカウチを設計したと想像してください。設計に基づいて、予約販売がいくつか入っています。工場ではカウチが作られます。初めて配達を行ったときに、カウチが玄関のドアを通れないということがわかりました。一般的なドアを通れないほど大きかったのです。これは良くない結果ですね。もう少し入念に計画していれば、あなたとお客様は悩まずに済んだことでしょう。

AppExchange アプリケーションを作成するときには、このような結果を避ける必要があります。アプリケーションの設計は、AppExchange パートナー向けに設定された特別な Developer Edition (DE) 組織、または Salesforce DX スクラッチ組織で行います。どちらの種類の組織も、さまざまな利用者向けのさまざまなアプリケーションの開発をサポートするためのすべてが揃っています。ただし、対象顧客の環境には、それらのすべての機能が含まれているとは限りません。ソリューションの機能を、対象組織で使用できるものに制限していない場合は、計画を考え直す必要があります。

Salesforce エディションとは?

Salesforce には、お客様にさまざまなレベルの機能やリソースを提供するさまざまなエディションがあります。AppExchange パートナーが知っておくべきエディションには、Unlimited Edition (UE)、Enterprise Edition (EE)、Professional Edition (PE)、Starter (S) の 4 つがあります。 

エディションは階層になっており、各エディションは低階層のエディションの上に構築されています。上の階層ほど利用できる機能が多くなり、特定の機能の制限が緩和されます。たとえば、S 組織はレコードタイプをサポートしていませんが、UE、EE、PE、および DE 組織はサポートしています。S 組織のユーザーライセンスは 5 に制限されています。PE 以上のエディションの組織ではユーザーライセンス数が無制限です。相違点についての詳細は、エディション比較表を参照してください。

Salesforce エディションを選択することの重要性

どのエディションを対象とするかによって、アプリケーション内で使用可能な機能が決まります。また、アプリケーションが消費できるリソースの制限も定義されます。サポートできるのは 1 つのエディションだけに限りません。たとえば、異なるエディションに対して異なるパッケージを提供できます。または、インストール先のエディションに応じて異なる対応をするソリューションを設計することもできます。ビジネスプランも対象エディションの選択を左右します。

OEM (組み込み) アプリケーションを構築する場合、新規の顧客に提供できる組織の種類は EE. のみです。既存の顧客は、EE 以上のエディションの組織がある場合にのみ、そのアプリケーションをインストールできます。

組織、エディション、およびライセンス

Salesforce クラウド環境は、よくオフィスの建物に比較されます。どのビジネスも水道や電気などのインフラストラクチャを共有していますが、各ビジネスには固有の専用スペースがあり、そこには他のテナントは入れません。それが組織です。お客様がエディションを選択するのは、オフィスのスペースを選択しているようなものです。受付エリアやキッチンのない部屋数の少ないスペースを選択するテナントもあれば、受付エリア、キッチン、役員室を備えたフロア全体を選択するテナントもあります。小さい方のオフィススペースが PE 組織であり、フロア全体が EE 組織です。

お客様がユーザーライセンスを購入するのは、オフィスにアクセスできる人とどのような種類のアクセスを利用できるかを決定するようなものです。標準ユーザーライセンスでは、すべての組織機能にアクセスできる「鍵」が提供されます。その他のユーザーライセンスでは、より制限されたアクセスが提供されます。たとえば、Customer Community ライセンスを持つユーザーは、リードオブジェクトや商談オブジェクトにはアクセスできず、フロー内でメンションの対象となることもできません。

また、お客様は、機能を購入したり、非標準機能に対する権限セットライセンスを購入する場合もあります。たとえば、Sales Cloud で Salesforce ナレッジ を使用するには権限セットライセンスが必要です。

サポートするエディションの選択

さまざまなエディションの利用者を見てみましょう。

エディション
内容
Starter (S)
ユーザーが 5 人以下のビジネス用のエディション。機能は最小限です。
Professional Edition (PE)
中規模のビジネスでは PE を使用します。CRM に必要な機能がすべて揃っており、ユーザーライセンスは無制限です。すべてのオプション機能が含まれているわけではありませんが、使いやすいカスタマイズ、インテグレーション、および管理ツールが含まれ、中小規模のリリースを容易に進めることができます。
Enterprise Edition (EE)
EE は最も人気のあるエディションです。主要なツールやテクノロジーがすべて含まれ、大規模で複雑なビジネスのニーズに対応します。Professional Edition で使用可能なすべての機能に加え、高度なカスタマイズおよび管理ツールで大規模なリリース環境に対応します。
Unlimited Edition (UE)
UE は強化された EE です。大規模企業がこれらのエディションを購入します。EE で使用可能なすべての機能に加え、UE にはプレミアサポート、ストレージ制限の緩和、その他の機能が含まれます。
メモ

内部アーキテクチャとしては、OEM (組み込み) アプリケーション組織は EE と同等です。ただし、お客様には契約上の制限があります。Sales Cloud または Service Cloud 機能に関連するデータやオブジェクトは参照できません。また、機能を使用して、他のアプリケーションを作成することはできません。詳細は、『ISVforce ガイド』を参照してください。

ほとんどのお客様は EE 以上のエディションを使用しています。これらの上位エディションを使用しているお客様は通常最も多くのライセンスを購入するため、最も大きな市場となります。EE 以上の組織には最も多くの組み込み機能があり、設計を実装するのがより容易になります。

PE エディションのお客様は、他の多くの大企業のお客様とは異なり、購入サイクルが短いことがよくあります。そのため、アプリケーションをより迅速に販売できます。もう 1 つのエディションとして PE を追加することを検討している場合、労力に見合うだけの市場があるかどうかを考えてください。

使用できる宣言機能の決定

設計や開発で使用する機能を対象組織で使用できるもののみに制限することが重要です。後戻りする必要がないように、定期的に『ISVforce ガイド』およびその他の Salesforce ドキュメントを確認することをお勧めします。

たとえば、S または PE の顧客について検討しているとします。『ISVforce ガイド』の「アーキテクチャ上の考慮事項」セクションにある表には、AppExchange パートナーが使用する特に一般的な機能が記載されています。

機能
Starter Professional Edition
納入商品
いいえ
はい
キャンペーン
いいえ
はい
契約
いいえ
はい (Sales Cloud を使用)
売上予測
いいえ
はい (商談分割とカスタム項目の売上予測を除く)
アイデア
いいえ
はい
商品
いいえ
はい
ソリューション
いいえ
はい
レコードタイプ
いいえ
はい
権限セット
はい
はい
カスタムプロファイル
いいえ
はい
カスタムレポートタイプ
いいえ
はい
フローと承認
いいえ
いいえ (注意を参照)
Apex コード
注意を参照
注意を参照
共有ルール
いいえ
はい (一部の機能)
API
注意を参照
注意を参照
サイト
いいえ
いいえ
メモ
  • ここに上げられたすべての機能は DE で使用できます。
  • パートナーのアプリケーション内のフローは Professional Edition 組織で実行されます。ただし、顧客は独自のフローを作成できず、Salesforce から直接機能を購入する必要があります。
  • クライアント ID によって、アプリケーションで API を使用して複合アプリケーションに統合することが可能になります。詳細は、『ISVforce ガイド』の「Group Edition と Professional Edition での Apex の使用」および「Group Edition と Professional Edition での API アクセス」を参照してください。

このリストは完全ではありません。使用したい機能が使用可能であることを確認するには、ドキュメントページに記載されているエディションのリストを確認してください。レコードタイプに関する次のページを見てください。

Salesforce ヘルプの「レコードタイプの作成」ページ。機能をサポートするエディションのリストが赤い線で囲まれています。

Starter はリストされていません。そのため、レコードタイプはサポートされません。

使用できるプログラム機能の特定

ここまでで説明した機能は、宣言型のカスタマイズ、すなわち Salesforce のポイント & クリックインターフェースで実行できるカスタマイズです。プログラムによって組織をカスタマイズすることも可能で、この場合、たとえば Salesforce のクラウドベースプログラム言語である Apex などを使用します。S 組織と PE 組織は、Apex または API にアクセスできません。ただし、AppExchange パートナーの承認済みアプリケーションは、顧客の S 組織および PE 組織で次の表にある Apex および API を使用することが許可されています。『ISVforce ガイド』には、アプリケーションの許可リストへの登録や、アプリケーションの API アクセストークンの取得に関する詳細が記載されています。

API
S および PE へのアクセス
Web サービス (SOAP)
はい (トークンを使用)
Apex メソッドを Web サービス (SOAP) として公開
いいえ
Web サービス (REST)
はい (接続アプリケーションのコンシューマー許可リスト登録を使用)
Apex メソッドを Web サービス (REST) として公開
はい (接続アプリケーションのコンシューマー許可リスト登録を使用)
Chatter REST API
はい
メタデータ API
はい (トークンを使用)
Bulk API
いいえ
データローダーツール (SOAP Web サービスを使用)
いいえ (トークンを設定できない)
ストリーミング API
×
プラットフォームイベント
×

制限と対象組織

すべての Salesforce 組織はインフラストラクチャを共有しています。過度にリソースを消費する組織がないように、制限が設けられています。これは、Salesforce がお客様との信頼を保証するための 1 つの方法です。制限はエディションによって異なります。たとえば、入力項目の値を検証する機能の入力規則に関する次の制限について考えます。

機能
Starter Professional Edition
Enterprise Edition
Unlimited Edition および Performance Edition
オブジェクトあたりの有効な入力規則数
20
20
200
200

既存の顧客が ISV パートナーのアプリケーションをインストールすると、すでに使用しているリソースに加えて、アプリケーションによるリソース使用のオーバーヘッドが発生します。PE 組織の顧客が、取引先オブジェクトで 18 個の入力規則を使用していて、アプリケーションによって 3 個が追加されるとします。この場合、有効な入力規則の制限を超えるため、この顧客の組織へのアプリケーションのインストールは失敗します。

ただし、対象となる AppExchange パートナーのアプリケーションでは、3 つの特定の機能については余裕があります。アプリケーションがセキュリティレビューに合格すると、そのパッケージに含まれるアプリケーション、オブジェクト、タブは顧客の制限にカウントされません。

宣言型の制限の詳細については、ヘルプドキュメントを参照してください。

コードの実行に関する制限についても注意が必要です。トランザクションの制限を超えると、トランザクション全体が失敗し、顧客が満足する結果は得られません。プログラム型の制限についての詳細は、「実行ガバナと制限」を参照してください。

選択したエディションでアプリケーションが機能することの確認

環境ハブまたは Salesforce DX を使用してエディション固有のテスト組織を作成できます。

Partner Developer Edition 組織と、Essentials Edition、Professional Edition、Enterprise Edition のテスト組織を表すタイル

どのエディションを対象とするべきか?

いくつかのシナリオを使用して、エディションの選択を練習してみましょう。

これから説明する、案件予測、時間追跡、納入業者の部品調達のシナリオを表すアイコン

シナリオ 1: 案件進行予測

アプリケーション種別:

ISVforce

ベースクラウド

Sales Cloud

対象エディション

Enterprise Edition

アプリケーションの機能:

Salesforce の商談にインサイトを追加するために次の操作を行います。

  • 過去の関連案件を分析する
  • 全体的な使用状況を分析する
  • 分析を営業担当の商談ライフサイクルの現状に結び付ける

このアプリケーションは、EE 以上のエディション組織をもつお客様に最適です。そのようなお客様は大きなデータセットを分析する必要があるためです。S 組織および PE 組織でも機能するようにアプリケーションを設計できるでしょうか? 次の表の考慮事項を参照してください。

実行する処理
お客様が ISVforce アプリケーションを S 組織または PE 組織にインストールできるか?
ロール階層を使用して一部の情報を制限する
いいえ。これらのエディションではロール階層は使用できません。
10 個のカスタムオブジェクトを作成する
はい。ISV パートナーが作成したアプリケーション、オブジェクト、タブはお客様の制限にカウントされません。
統合のために REST API を使用する
はい。S および PE のお客様は、REST API を使用して組織に接続することはできませんが、ISV パートナーはできます。

シナリオ 2: サポートエージェントの時間追跡

アプリケーション種別:

ISVforce

ベースクラウド

Service Cloud (Lightning サービスコンソールを使用)

対象エディション

Enterprise Edition

アプリケーションの機能:

サポートエージェントに Lightning サービスコンソール内で時間追跡カレンダーを提供します。カレンダーにより、エージェントに関する次の情報を常に認識できます。

  • スケジュール
  • 作業中のケース
  • 対応可能状況

Lightning サービスコンソールは、Starter Edition、Professional Edition、Enterprise Edition、および Unlimited Edition (Service Cloud 付属) でのみ使用できます。このアプリケーションを、Service Cloud のないお客様に販売することはできません。このため実現可能な最大市場規模 (TAM) が限定されるため、他の方法を検討したほうがよい場合があります。詳細は、Lightning サービスコンソールのヘルプドキュメント を参照してください。

シナリオ #3: 納入業者の部品調達

アプリケーション種別:

OEM (組み込み)

ベースクラウド

Salesforce Platform

対象エディション

Enterprise Edition

アプリケーションの機能:

複雑なプロジェクトの用品調達プロセスをサポートするために、従業員の次の作業を支援します。

  • 部品要件の追跡
  • 適切なベンダーの特定
  • 入札の追跡と入札の選択

なお、OEM (組み込み) アプリケーションは EE 以上のエディションの組織でのみ使用できることにご注意ください。

すべて理解できましたか?

対象となるお客様のエディション、ユーザーライセンス、機能、権限セットがアプリケーションの設計に影響を与えます。

ISVforce アプリケーションまたは OEM (組み込み) アプリケーションのいずれを構築する場合でも、次のことを考慮します。

  • 使用したい宣言的機能は対象エディションで使用可能か?
  • 使用したいプログラム的機能は対象エディションで AppExchange パートナーが使用可能か?
  • アプリケーションの設計は、対象エディションの制限を超えていないか?

お疲れさまでした。これで完了です。テストを受けることができます。

リソース

無料で学習を続けましょう!
続けるにはアカウントにサインアップしてください。
サインアップすると次のような機能が利用できるようになります。
  • 各自のキャリア目標に合わせてパーソナライズされたおすすめが表示される
  • ハンズオン Challenge やテストでスキルを練習できる
  • 進捗状況を追跡して上司と共有できる
  • メンターやキャリアチャンスと繋がることができる