アプリケーション種別の選択
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- ISVforce アプリケーションの主要な機能を挙げる。
- OEM (組み込み) アプリケーションの主要な機能を挙げる。
- OEM (組み込み) アプリケーションを作成する際の考慮事項を説明する。
- OEM (組み込み) アプリケーションのライセンスオプションを説明する。
顧客に適したアプリケーション種別を選択する
AppExchange パートナーと家具デザイナーは少し似ています。顧客がすでに持っている家具と調和する一式または単品の家具をデザインすることがあります。家具デザイナーとして成功するには、最初に顧客を識別してそのニーズまたはウォンツを把握します。同様に、AppExchange パートナーは、利用者像を把握して、成功する AppExchange 製品を開発します。
AppExchange パートナーは、ISVforce アプリケーションまたは Lightning Platform (組み込み) アプリケーション (通常は OEM (組み込み) アプリケーションと呼ばれる) を作成できます。これらのアプリケーションは対象とする顧客の種別が異なるため、最初にいずれかを選択します。この単元では、対象とする顧客に基づいて作成するアプリケーションの種別と提供する機能について学習します。
ISVforce アプリケーションとは?
アプリケーションで Sales Cloud または Service Cloud を拡張する場合、ISVforce アプリケーションを作成します。ISVforce アプリケーションは既存の Salesforce 顧客にのみ販売できます。これらのアプリケーションは通常、Sales Cloud または Service Cloud のビジネス機能を拡張するために設計されます。
ISVforce アプリケーションで使用できる機能は?
顧客は ISVforce アプリケーションを既存の組織にインストールするため、アプリケーションは顧客が使用可能な Salesforce 機能を利用できます。たとえば、アプリケーションが Sales Cloud を拡張する場合、リード、商談、キャンペーン、およびケースオブジェクトを使用できます。一部の機能は省略可能であり、それらの機能にアクセスするには顧客がライセンスを購入する必要があります。アプリケーションが、カスタマーコミュニティなどの特定のライセンスでのみ使用可能な機能に依存している場合、顧客はそれらのライセンスを Salesforce から購入する必要があります。次の単元では、任意で追加できる機能を確認する方法を学習し、それらの機能をアプリケーションに追加する前に、情報に基づいて判断を下せるようにします。
OEM (組み込み) アプリケーションとは?
財務会計を革新するアプリケーションを作成する準備はできていますか? 卓越した ERP (Enterprise Resource Planning) を提供する準備はどうですか? アプリケーションが Sales Cloud または Service Cloud 機能を使用しない場合、OEM (組み込み) アプリケーションを作成します。
OEM (組み込み) アプリケーションは既存の Salesforce 顧客または Salesforce をまったく使用したことがない「純新規」の顧客に販売できます。既存の Salesforce 顧客は、ISVforce アプリケーションの場合と同様に、OEM (組み込み) アプリケーションを購入してインストールします。純新規顧客はアプリケーションを購入し、ISV パートナーがアプリケーションをインストールした組織を提供します。
OEM (組み込み) アプリケーションで使用できる機能は?
OEM アプリケーションには、Salesforce Lightning プラットフォームへのアクセス権があります。これには、標準およびカスタムオブジェクト、ワークフロー、レポート、セキュリティも含まれます。リード、商談、キャンペーンなど、Sales Cloud および Services Cloud の特定のオブジェクトへのアクセス権もありますが、それらのオブジェクトを顧客が直接使用することはできません。そのため、これらのオブジェクトは慎重に使用する必要があります。OEM アプリケーションの作成を検討している場合は、全考慮事項のリストを確認してください。アプリケーションの開発中は、このリストを頻繁に再確認してください。
OEM アプリケーションには、いくつかの注意事項があります。契約上、Salesforce は、OEM (組み込み) アプリケーション内で Salesforce の製品または製品の機能を再作成または複製することを許可していません。この制限には、Sales Cloud、Service Cloud、業種固有ソリューションが含まれます。たとえば、リードオブジェクトや商談オブジェクトと同じ機能がある思われるアプリケーションの作成を開始すると、危険な領域に脚を踏み入れることになりかねません。そのような状況にある場合は、Salesforce パートナーコミュニティでサポートケースを登録してください。あなたの質問に回答できるビジネスコーチをご紹介します。
サポートケースを登録する
特定の問題でサポートを受けるには、Salesforce パートナーコミュニティでサポートケースを登録します。ケースを登録するのに Salesforce パートナーである必要はありませんが、Salesforce パートナーコミュニティアカウントが必要です。アカウントがない場合は、サインアップしてください。Trailhead の「Salesforce パートナーコミュニティ」モジュールの手順に従ってください。アカウントがある場合は、準備完了です。
サポートケースを登録する手順は、次のとおりです。
- Salesforce パートナーコミュニティにログインします。
- 疑問符アイコンをクリックします。
- [Log a Case for Help (サポートケースを登録)] をクリックします。
ビジネスコーチから連絡があり、サポートを受けられます。
エディションとライセンス
エディション、ユーザーライセンス、機能ライセンス、および権限セットライセンスによって、組織の Salesforce 機能が決まります。会社が Salesforce の購入を決定したとき、最初にエディションを選択してからライセンスを購入する必要があります。ユーザーライセンスによって、エディション内のさまざまな機能へのアクセス権が付与されます。機能ライセンスまたは権限セットライセンスでは、Base Edition に含まれない機能へのアクセス権が付与されます。
顧客は、アプリケーション購入時に、1 つ以上の AppExchange アプリケーションライセンスを AppExchange パートナーから購入します。ISV パートナーは、これらのライセンスをユーザー単位にするか、サイト単位にするかを選択できます。顧客は、OEM (組み込み) アプリケーション購入時に、AppExchange アプリケーションライセンスと組み込み Salesforce Lightning Platform ユーザーライセンスを AppExchange パートナーから購入します。
既存の Salesforce 顧客と純新規顧客について、ISV パートナーアプリケーションの購入とインストールの流れを比較してみましょう。
Salesforce の既存の顧客 ...
- Salesforce から Sales Cloud または Service Cloud を購入する
- Salesforce ユーザーライセンスと共に Salesforce 組織を受け取る
- あなたから ISVforce アプリケーションを購入する
- 自分の組織にあなたのアプリケーションをインストールする
- あなたがプロビジョニングした ISV アプリケーションライセンスを受け取る
- 自分のユーザーに ISV アプリケーションライセンスを割り当てる
純新規顧客 ...
- あなたから OEM 組み込みアプリケーションを購入する
- あなたの OEM 組み込みアプリケーションと共に Salesforce 組織を受け取る
- あなたがプロビジョニングした ISV アプリケーションライセンスを受け取る
OEM (組み込み) アプリケーションの Salesforce ライセンスを決定する
これまで Salesforce を使用したことがあれば、Salesforce に多くの種類のライセンスがあることをご存じでしょう。大まかに言うと、ライセンスによってユーザーができることと参照できるデータが決まります。
OEM (組み込み) アプリケーションを作成するとき、3 種類のユーザーライセンス (Lightning Platform、Customer Community、および Customer Community Plus) を顧客に提供できます。
たとえば、チケット管理アプリケーションの作成を計画しているとします。このアプリケーションでは、開催場所、イベント、チケット販売情報を追跡します。通常の顧客とチケット再販業者がこのアプリケーションを使用してチケットを購入します。次の理由から、3 種類のライセンスのすべてを提供する予定です。
購入者と可能な操作 | 必要な Salesforce ライセンスの種類 | 理由 |
---|---|---|
顧客の従業員は、開催場所の管理、イベントの作成、チケット価格の指定などを行います。 | Lightning Platform (Salesforce Platform) | これらのライセンスでは、アプリケーションのすべての機能を使用できます。OEM (組み込み) アプリケーションには常にこの種類のライセンスが含まれます。 |
個人のチケット購入者は、イベントを検索し、ログインして、チケットを購入します。購入者は愛用者ポイントを獲得して、割引に使用できます。 | カスタマーコミュニティ | Customer Community ライセンスでは、チケット購入者がアプリケーションの制限された部分を操作し、自分のデータのみを表示できます。 |
チケット再販業者は、再販可能なイベントにアクセスし、購入可能なチケットの種類について下限と上限の詳細を表示し、チケットを購入します。契約の詳細を管理する担当者や、購入後のチケットブロックを管理する従業員もいます。 | カスタマーコミュニティプラス | Customer Community Plus ライセンスでは、チケット再販業者が Customer Community ライセンスよりも多くの機能にアクセスできますが、すべてにアクセスできるわけではありません。また、Customer Community Plus ライセンスを持つユーザーは、ロール階層権限に含めることができます。 |
OEM (組み込み) アプリケーションには、Salesforce コミュニティを含めることができ、顧客は外部ユーザー (顧客の顧客やパートナーなど) と連携できます。しかもユーザー数が増えるほど、ライセンスの販売数も増えます。
検討することがたくさんありますね。OEM (組み込み) アプリケーションの作成を検討している場合は、必ず『ISVforce ガイド』で機能と制限の概要を確認してください。
アプリケーション種別の簡単な比較
このトピックの続きに進む前に、2 つのアプリケーション種別について学んだことを少し復習しましょう。
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ISVforce アプリケーション | OEM (組み込み) アプリケーション | |
---|---|---|---|
対象者 | 既存の Salesforce 顧客 | 純新規顧客 | 既存の Salesforce 顧客 |
ユーザーライセンスの入手先 | Salesforce から購入 | アプリケーションに組み込み | アプリケーションに組み込み 顧客は、組み込みユーザーライセンスを使用せずに、AppExchange アプリケーションライセンスを既存のライセンスを持つユーザーに割り当てるように選択できます。 |
アプリケーション作成で想定されるライセンスの種類 | ソリューションと対象顧客に依存。Sales Cloud および Service Cloud が最も一般的です。 |
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|
AppExchange アプリケーションライセンス | パートナーが提供 | パートナーが提供 |
アプリケーション種別の価格による影響
Salesforce AppExchange パートナーが作成する Salesforce アプリケーションは、Salesforce インフラストラクチャ内のリソースを使用します。Salesforce のコストを補うために、売上の一定割合を Salesforce と分配します。ISV パートナーは、ライセンスを販売したら Salesforce に支払を行います。この順序をご存じでしたか? Salesforce に支払うのはライセンスの販売時のみで、販売前ではありません。
ビジネスの成長を促進するために、ISV パートナーはパーセントベースの売上分配により、アプリケーションの価格を柔軟に設定できます。たとえば、段階的アプローチを取ることができます。ライセンスを 100 以上購入した顧客は 10% 割引、500 以上購入した顧客は 15% 割引などと設定できます。
ISVforce アプリケーションの顧客はすでに Salesforce からユーザーライセンスを購入しているため、Salesforce のコストの大部分は補われています。したがって、ISVforce アプリケーションを作成する場合、アプリケーションの価格選択の柔軟性が最も高くなります。OEM (組み込み) アプリケーションの場合は状況が異なります。組み込み Salesforce ユーザーライセンスは、ISV パートナーのアプリケーションの一部です。Salesforce のコストはアプリケーションに含まれているため、高くなります。アプリケーションを割引することもできますが、組み込みライセンスの価格設定に関するガイドラインがあります。
価格設定のしくみについて詳しく知りたい場合は、Salesforce パートナーコミュニティでサポートケースを登録してください。
作成すべきアプリケーションの種別は?
ここで、いくつかのシナリオを確認してから決断を下しましょう。作成するアプリケーションの種別を選択するために不可欠な質問は「このアプリケーションは Sales Cloud または Service Cloud を拡張するのか?」です。OEM (組み込み) アプリケーションの作成を決定した場合、アプリケーションを使用するユーザーを調査し、いずれかの種類のコミュニティユーザーライセンスを含める必要があるかどうかを確認します。
シナリオ 1 : イベント管理
アプリケーション種別:
OEM (組み込み)
ライセンスの種類:
Lightning Platform、Customer Community Plus、Customer Community
アプリケーションの機能:
イベント企画者が整然と業務を進められるように次の処理を行います。
- 開催場所の予約に関する詳細
- 飲食物や会場設営の発注
- 大規模または小規模なイベントのその他さまざまな側面
アプリケーションのロール:
- イベント企画スタッフ
- スタッフに協力するサプライヤー
- イベントの主要な詳細を確認する (顧客の) 顧客
イベント管理アプリケーションは Sales Cloud または Service Cloud を拡張するでしょうか? 顧客がセールスまたはサービス機能を使用する可能性はありますが、それはアプリケーションを使用するための要件ではありません。そのため、OEM (組み込み) アプリケーションが最適な選択です。サプライヤーと顧客向けに Customer Community Plus および Customer Community ライセンスも含めます。
シナリオ 2: 案件進行予測
アプリケーション種別:
ISVforce
ライセンスの種類:
該当しない
アプリケーションの機能:
Salesforce の商談にインサイトを追加するために次の操作を行います。
- 過去の関連案件を分析する
- 全体的な使用状況を分析する
- 分析を営業担当の商談ライフサイクルの現状に結び付ける
アプリケーションのロール:
- 営業マネージャー
- 営業担当
案件進行予測アプリケーションは Sales を拡張するもので、単独では機能しません。そのため、ISVforce アプリケーションを作成します。顧客はすでに Sales Cloud ライセンスを持っています。
シナリオ 3: サポートエージェントの時間追跡
アプリケーション種別:
ISVforce
ライセンスの種類:
該当しない
アプリケーションの機能:
サポートエージェントに Service Cloud コンソール内で時間追跡カレンダーを提供します。カレンダーにより、エージェントに関する次の情報を常に認識できます。
- スケジュール
- 作業中のケース
- 対応可能状況
アプリケーションのロール:
- サービスマネージャー
- サービス担当
このアプリケーションは、Service Cloud の操作を拡張するため、ISVforce アプリケーションを作成します。顧客がすでに購入している Service Cloud ライセンスには Service Cloud コンソールが含まれるため、アプリケーションは幅広い利用者に訴求します。
まとめ
Sales Cloud または Service Cloud を拡張するか、適合する機能を作成するには、既存の Salesforce 顧客に販売可能な ISVforce アプリケーションを作成します。
作成するアプリケーションに新機能があり、Sales Cloud および Service Cloud のユーザー以外にも訴求できる場合、OEM (組み込み) アプリケーションを作成します。Lightning Platform、Customer Community、および Customer Community Plus ライセンスをアプリケーションに組み込むことを選択できます。ただし、OEM (組み込み) アプリケーション内に Sales Cloud または Service Cloud の機能を再作成しないでください。
作成するアプリケーションの種別に関係なく、アプリケーションを設計するときには、対象顧客の組織で使用可能な機能を念頭に置きます。
次の単元では、さらに意思決定を進めます。深呼吸をして、テストに回答してください(楽々とできるでしょう)。これで終了です。