自社のビジネスを知る
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 自社の製品が Salesforce エコシステムにどう当てはまるかを説明する。
- Salesforce フィールドセールスチームに製品とその利点を簡潔にプレゼンテーションする方法を説明する。
- 競合環境を理解するために重要な考慮事項を挙げる。
キラーアプリケーション
あなたはワクワクしています。開発チームが会社のアプリケーションに最後の仕上げをしたところです。素晴らしいアプリケーションのようです。ユーザーテストを何巡か実施した後、高まるニーズに対応できる珠玉の製品ができました。ユーザーエクスペリエンスは夢のようです。
ただ、いくらアプリケーションが素晴らしくでも、自動的に売れるわけではありません。アプリケーションの動作を対面で見せれば、容易に見込み客を感心させることができますが、その後も興味を失わないように説得することが不可欠です。
アテンションエコノミー
現代のつながった世界では、お客様を獲得する機会はかつてなく増えています。一方で、市場に投入される製品は今まで以上に増えており、常に情報過多の状態で、関心 (アテンション) を引くための競争は熾烈です。自社の製品をその他大勢から際立たせるにはどうすればよいでしょうか?
お客様と Salesforce フィールドセールスチームは、あなたが自社のビジネスのすべて、つまり製品だけでなく、ビジネス全体を理解していることを期待しています。対象とする顧客は? 主な競合企業は? 自社の製品が関心を引く理由は? 自社の製品は Salesforce エコシステムにどう当てはまるのか?
こうした質問に難なく答えられるようにします。これらは、競合環境を進みながら適切なお客様に製品を売るうえで役に立ちます。このモジュールでは、こうした質問への答えを見つけられるようにします。ではまず、最初の質問「対象とする顧客は?」に答えましょう。
デモグラフィックを定義する
Salesforce には 15 万を超えるお客様がいます。そのすべてを獲得できる人はいません。あなたが Salesforce 営業チームに提案できるお客様の数は限られています。対象を選別し、最小の時間で最大の利益が約束されるお客様に絞ります。
最も有望なお客様を選び、最適な Salesforce 営業チームに提案します。以下は、Salesforce が営業チームを分けるために使用するお客様の特性です。
お客様の特性 |
確認事項 |
Salesforce にどう当てはまるか |
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業種フォーカス |
お客様の業種は? |
Salesforce には、小売、消費財、ヘルスケアおよびライフサイエンス、金融サービスなどの業種を専門に扱うチームがあります。 |
従業員数 |
お客様の従業員数は? |
Salesforce には、企業規模ごとの営業チームセグメントがあります。
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場所 |
お客様の所在地は? |
Salesforce には世界中にハブがあります。
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こうした条件を Salesforce の AE と話し合います。それにより、AE は顧客ベースのどの部分がパートナーのソリューションからメリットを得られるかを識別しやすくなります。対象を十分に絞り込めば、AE は気を配り、潜在的な商機が明らかになったらパートナーの営業チームを引き込むことができます。
お客様に最適な Salesforce 営業チームが決まったら、チームがそのテリトリーでお客様を獲得できるように支援します。そのためには、アプリケーションをお客様のニーズに関連付けます。
- プラットフォーム — 製品は複数の Salesforce Cloud をサポートしていますか?
- サードパーティ製品 — 製品はサードパーティアプリケーションと統合できますか? 従来の社内ソリューションを置き換えるものですか?
- お客様の課題 — お客様には、多くの時間とエネルギーを必要とする、簡単に特定可能な共通の問題がありますか?
- フロントオフィスまたはバックオフィス — Salesforce は、顧客に直接対応するお客様と多くのビジネスをしています。バックオフィスのニーズを満たす製品やサービスであれば、Salesforce の営業担当が、お客様が少ないこの分野を開拓するのに役立ちます。
次の単元で、Salesforce がビジネスをセグメント化する方法についての詳細を説明します。
新規の商談を見落とさない
ほとんどの AppExchange パートナーは既存の Salesforce のお客様を対象にしています。これは新規アカウントを獲得するよりも簡単ですが、この道を進むと、他の数千もの AppExchange パートナーと競合することになります。
新規アカウント (ホワイトスペース顧客と呼ばれる) は、Salesforce とその営業担当にとって貴重な存在です。Salesforce はあらゆるお客様を歓迎しますが、利用者の規模が大きくなるのを望まない会社はないでしょう? 今居る場所から出て新しいお客様を見つければ、集団から抜け出すことができます。
独自の道を進みましょう! (Image courtesy of Kay Kim, Copyright 2009 Creative Commons 2.0)
新規のお客様と商談を成立させると、アカウントエグゼクティブ (AE) から、他の AE も含むチームに成功談を共有して欲しいと依頼されるかもしれません。これにより、会社の露出度が飛躍的に高まり、商談成立の切り札としての評判が強固になるでしょう。
SIC (Standard Industrial Classification) コードを使用する
今日、多くの企業があります。米国内であれば、政府が企業を処理しやすいように支援しており、セクター別の企業分類体系を提供しています。米国行政予算局 (The Office of Management and Budget) は、4 桁の番号 (SIC コード) を米国内で事業活動を行うすべての企業に割り当て、その企業の本業を識別しています。
SIC コードの各桁には、その企業の業種に関する情報が含まれています。このコードは、実業界の次のような 11 個の区分を定義しています。
- 農業
- 建設業
- 製造業
- サービス業
このコードの 4 桁によって、10,000 の異なる業種が識別されます。
CRM 顧客データに SIC コードが含まれていれば、容易にレポートを実行して、どのセクターに展開済みかを知ることができます。自社のアプリケーションが複数の領域ですでにトレンドになっているかもしれません! SIC コードによって、どこに勢いがあるかを把握でき、どこで新規顧客が見つかるかについてヒントが得られます。
ピッチを仕上げる
営業チームを確認したら、ピッチ (簡潔なプレゼンテーション) を作成します。なぜ自社のアプリケーションが必要なのか、30 秒で説明できますか? 3 秒ではどうですか? 関心を引こうと戦っているのですから、メッセージを絞り込む必要があります。
まず、力強い価値提案で Salesforce 営業チームの関心を引き付けます。これは 3 秒バージョンのピッチです。あなたには新しい製品があります。価値提案で「それがどうした?」という質問に答えます。
その後、次の Salesforce 営業チームからの一般的な質問に答えられるように準備しておきます。その際、難なく答えているように見せます。
- そのソリューションを特徴付け、差別化する 3 つのものは何ですか?
- その製品は Salesforce エコシステムにどう当てはまりますか? それはスタンドアロンのソリューションですか? それとも Salesforce のコア製品を拡張するものですか?
- 直接的および間接的な競合相手はどの企業ですか?
- その製品は他のどの製品と連動しますか?
ピッチは、製品を市場に投入するために使用するより大きな戦略の一部です。こうした質問への答えによってアプローチが決まります。売るものがあり、その売り方を知っていることをピッチによって示します。
競合環境を理解する
あなたは Salesforce のお客様へのピッチを終えたところです。うまくいきました。購入者を獲得したという確信があります。見込み客は明らかに興奮していて、時間の半分は、ソリューションが自社にとって完璧である理由について話していました。
その後しばらく経ってもお客様から連絡がないため、何が起きたのか調べてみました。すると、このお客様を担当する Salesforce AE が別の方向に誘導していたことがわかりました。何が起きたか?
同じ目的を持つ仲間と協力する
人間の壮大な努力が常にそうであるように、Salesforce パートナーエコシステムは複雑です。多くの可動部があります。可動部として、私たちすべてにそれぞれモチベーションがあります。それが別の部品に遮られ、うまくいかなくなることがあります。
Salesforce AE によっては、Salesforce のコアライセンスの売上を増やす戦略を重視することがあります。それは当然のことです。慣れ親しんだ製品であり、その商談は AE の目標に直接かつ明確な影響を与えます。より戦略的な AE は、AppExchange のパートナーソリューションが、お客様と有益な関係を築き、長期的にはビジネスの大幅成長に貢献できることを理解しています。
ライセンスを重視する AE をより戦略的になるように説得するにはどうすればよいか、自問してください。簡単ではありませんが、時間を割く価値があります。
市場開拓計画を強化する
関係の管理は片手間ではできないため、それなりの対応が必要です。最も成功しているパートナーには、Salesforce 内外でのパートナーの戦略的関係を維持管理する専任のパートナーマネージャーがスタッフにいます。Salesforce エコシステムを理解し、常に先を読み、可能性を探るパートナーマネージャーには、コストをかける価値が十分あります。
メッセージを調整する
Salesforce の言葉を学んでください。価値提案をプラットフォームの観点から伝えてください。自社の製品は追加のコアライセンスを売るのに役立つか? 自社のアプリケーションは Salesforce AE が商談をより迅速に成立させるのに役立つか? Salesforce AE に業種知識を提供できるか? フィールドセールスチームが商談から何を得られるかに的を絞り、各営業担当が興味を持って話を聞くかどうか注意します。
隙間市場を見つける
特定の顧客セグメントで締め出されている、または歓迎されていないと感じる場合は、パートナーシップがもっと必要とされているセグメントを探します。マイクロバーチカルに集中するパートナーもいます。そこでは業種のエキスパートになれます。競合製品間で機能の重複が少ないセグメントに移るパートナーもいます。明確な特徴を持つ、競合先の少ない市場を対象にします。そうすれば、自社がエコシステムにどう当てはまるのかを誰もが理解しやすくなります。
透明性を保つ
対立は居心地の悪いものです。それはビジネスにおいても同じです。人々の関心が対立すると、状況は泥沼になります。泥沼を避けてはいけません。その中をどうにか進み続けるのです! 明確なコミュニケーションをし、自分自身とお客様に対して正直になります。対立を完全に避けることはできません。コラボレーターからの反論やお客様からの苦情には、信頼が損なわれる前に真正面から取り組みます。何よりも信頼に焦点を絞ります。その戦略は、Salesforce とそのすべてのパートナーにとって非常にうまく機能します。
優れたパートナーであることを示す
ここでは多くの基礎的事項を取り上げましたが、重要なのは、自社のことをよく知り、Salesforce の誰と協力する必要があるかを把握し、相手はなぜ自社と協力する必要があるかを示すことです。それ以外は細かいことです。
Salesforce 営業チームに何を話す必要がありますか? それはどこで見つけましたか? 次の単元では、これらの質問に取り組みます。
リソース
- Salesforce パートナーコミュニティ: Sell Like Salesforce Checklist (Salesforce 流の販売チェックリスト) (サインインが必要)
- Salesforce パートナーコミュニティ: Sell Like Salesforce Playbook (Salesforce 流の販売プレイブック) (サインインが必要)
- 外部サイト: Daniel Nilsson - How to Create a Strong Value Proposition for B2B (B2B の確固たる価値提案を作成する方法)