捜査ケース管理をはじめる
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 公共セクターの捜査ケースについて説明する。
- 司法ケースと捜査ケースに関連する機関と住民の一般的な課題について検討する。
- 捜査ケース管理の利点をまとめる。
- 捜査ケース管理データモデルのオブジェクトの主なカテゴリについて説明する。
始める前に
このモジュールを受講する前に、以下のコンテンツを修了していることを確認してください。ここでの作業は、そのコンテンツの概念や作業に基づいて行います。
また、次の推奨コンテンツを受講することも検討してください。
公共セクターでの捜査
トレンチコート。虫眼鏡。薄暗い事務所。捜査というと、映画やテレビでおなじみのそんな描写を思い浮かべるのではないでしょうか。
実際には、公共セクターの捜査にはさまざまな形があり、いくつかの目的のために行われます。悪名高いギャングを追いかけるだけではないのです。規制機関、助成金提供者、社会福祉管理者、さらには人事部が、住民の安全と心身の健康を守り、重要な法律や規制に準拠するために捜査を実施します。違反や犯罪を特定してそれに対処することで、機関は公共システムの完全性やコミュニティの信頼を維持します。
機関が捜査によって住民の安全と公共のリソースを保護する例には次のようなものがあります。
これでハリウッドによるイメージを払拭できました。現実の捜査はさまざまな方法で公益を果たしています。状況に応じて行政機関は現地検査から証拠収集や法的手続きへの関与まであらゆることに取り組みます。そのため、多くの構成要素、多くの人、さらにお察しのとおり多くの課題が伴います。
捜査の課題
捜査ケースを管理するには、ケースの具体的なコンテキストと担当組織または機関の要件に応じてさまざまな障害があります。
解決時間の長さ
最初の課題は時間です。多くの捜査には時間的制約のある要素が伴います。たとえば時効があったり、関連性がなくなる前に証拠を集める必要があったりします。ケースが複雑であるほど、徹底した捜査を効率的かつ迅速に行うのが難しくなります。解決時間が長くなると、未解決ケースのバックログがますます増え続けることになります。
ケースの複雑さ
捜査には多数の管理作業、広範囲にわたる文書化、大量のデータが必要になることがよくあります。ケースマネージャーは人、資産、場所、他のケースの間の複雑な関係を追跡する必要があります。それに加えて、被害者、証人、被告人、専門家チームなど、多くのステークホルダーが捜査においてそれぞれ固有の役割を果たします。
データ管理
機関は大量の証拠を収集して分析する必要があり、そのすべてのステップで厳密なコンプライアンスが求められます。ケース関連のレコードの包括的なビューがなければ、ケースマネージャーは必要なときに必要な情報を見つけるのが困難です。データが整理されていないとコンプライアンス違反にもつながり、捜査の有効性が損なわれたり、罰金や違約金が発生したりする場合もあります。
情報共有
捜査では複数の機関やステークホルダーの協力が必要になることが多く、証拠やケースに関する機密情報を安全性と機密性を保って共有する必要があります。このデータは接続されていない形式やシステムに存在することもあり、その場合にはアクセスして共有するために多くのリソースを消費します。また、データの種類がバラバラであると、ケースの包括的なビューを実現できません。
テクノロジー
プラットフォームや分析ツールなどの特化されたソフトウェアは高価すぎる上に、特定の複雑な捜査手順に適していないことがよくあります。このようなツールの実装と統合はほとんどの機関にとって複雑すぎることが多く、業務が中断されることもよくあります。
専門知識の不足
機関は、コンプライアンスのための標準 (正式な評価プロトコルなど) を実装する手段や、捜査員にタイミング良く推奨、ガイダンス、サポートを提供する手段を持っていないことがあります。その代わりにスキルと知識を持った人に頼る必要がありますが、そのような人材を採用し、維持することは難しいという人材確保の課題があります。
住民への影響
多くのコミュニティで、住民は自分たちが直面している問題を公共セクター機関に伝えたり、適切な法的代理人を確保したりする方法がありません。上記のような機関の課題のために、住民はケースの完了まで長く待つ必要があります。捜査中に機関の記録管理で間違いがあったり、証拠の扱いが不適切であったりすれば、住民にとって不当な結果につながり、人々の信頼が低下する可能性があります。
このような課題を克服するために、機関には、法規制に準拠した徹底的で効率的な捜査の実施専用に設計されたテクノロジーとワークフローを組み合わせた包括的なソリューションが必要です。
捜査ケース管理
公共セクターソリューションの捜査ケース管理を使用すれば、行政機関は民事および刑事の訴訟手続き、控訴、調停、仲裁に関連するすべてのワークフローとデータを協力して管理できます。一般的な作業を合理化するための統合されたシステムとツールによって、苦情からケースを経て解決に至るまでの法的手続きを効率的かつ正確に管理できます。
このモジュールでは、捜査ケース管理データモデルについて学習し、ソリューションの基盤となるオブジェクトについて知識を深めます。
捜査ケース管理によって、機関の成功につながる次のことを実現できます。
正確性と徹底性を高める
専用のデータモデルを使用してケース情報を整理することで、捜査の正確性を高めます。出来事、違反、関係者、証拠、結果の信頼できる記録を保持します。さらに、高度な検索機能を使用してリアルタイムで情報を取得します。
ケースの大量の複雑な情報に対応する
1 つの統合ビューを使用して、すべての人、エンティティ、関係、ドキュメントを追跡します。
ケースレコードの [Casework Overview (ケースワーク概要)] タブにはケースに関連するすべてのレコードと重要なリレーションが表示されます。
ワークフローを自動化し、直感的なナビゲーションやツールを使用することで、管理作業の負担を軽減します。
証拠に基づく意思決定を強化する
証拠の取得を簡略化し、デジタル証拠の管理の連鎖を作成することで、セキュリティと機密性を維持します。
ケースレコードの [Custody Items (保管項目)] タブを使用すれば、ケース中の証拠の包括的なリストを参照したり、新しい保管項目をすばやく追加したりできます。
承認された関係者との間で詳細なケース情報を安全に送信し、メモ、インタビュー、ドキュメントを効率的に管理します。
解決時間を短縮する
機関内外のステークホルダーと簡単にコラボレーションを行い、ケース情報を共有します。ガイド付きフロー、自動タスク割り当て、プロアクティブなリスク評価によって、フォローアップ、エラー、プロセスのギャップを減らします。
捜査ケース管理を使用すれば、機関の捜査と司法に関する業務から障害、非効率、当て推量を排除できます。
捜査ケース管理オブジェクト
これで、捜査ケース管理データモデルについて詳しく学習する準備ができました。各オブジェクトの目的とオブジェクト間の重要なリレーションを知ることで、機関の捜査を改善することができます。
データモデルオブジェクトはいくつかのカテゴリに分類されます。次の表は各オブジェクトカテゴリの目的を示しています。
カテゴリ |
説明 |
---|---|
規制フレームワーク |
規制コード、違反、是正措置などの規制に関する情報を記録する。 |
苦情とケース |
コミュニティで報告された問題とそれに基づくケースを登録する。 |
関係者 |
苦情、ケース、ケース手続きに関与する人を追跡する。 |
証拠 |
保管項目、管理の連鎖、関連する違反を保存する。 |
ケース手続き |
ケース手続き、違反、結果に関する情報を記録する。 |
学習を進めながら、一般的な捜査プロセスや情報管理をスピードアップする強力な公共セクターソリューション機能として、動的評価、インタラクション概要、[Casework Overview (ケースワーク概要)] 画面などについても見ていきます。
Cosville での犯罪との戦い
Cosville 市は、公的資金の悪用などの犯罪捜査を改善し、コンプライアンスを徹底し、さまざまな種類の規制を適用するために業務の評価を行っています。Cosville の Salesforce システム管理者である Tishon は、捜査プロセスを強化してスピードアップするために機関組織に捜査ケース管理を設定します。
Tishon と Cosville チームが捜査ケース管理データモデルを使用して、地域のある企業で報告された不正に関するケースを管理する手順を見ていきましょう。
捜査といっても中折れ帽をかぶった探偵が暗い路地を歩き回るものとは限りませんが、このような種類のケースはさまざまな面で公共の役に立っています。捜査ケース管理を使用することで、機関のシステムとワークフローを変革し、迅速かつ正確に詳細な捜査を実施できます。
次の単元では、規制フレームワークを構築し、苦情とケースを管理するためのオブジェクトについて学習します。