シートとテーブルを確認する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- コミッションプランのコンテキストでワークシートとデータシートを区別する。
- 各種のテーブルの主な特徴や機能を挙げる。
- 効果的なコミッションロジックを構築する場合のシートとテーブルの役割について説明する。
先行の単元でデザイナーインターフェースをナビゲートする方法を学び、効果的なコミッションプランを構築するために必要な根幹的なスキルを習得しました。この単元では、コミッションプランを効果的な方法で整理して管理するうえで欠かせないシートとテーブルの重要なコンポーネントをご紹介します。
コミッションプランを構築する場合、効果的なロジックを実装するためには、各種のシートやテーブルを活用することが不可欠です。こうしたコンポーネントについて理解しておくことが、プランの作成プロセスを効率化し、判断能力を高めるうえで役立ちます。
ワークシート
ワークシートはプランの構築プロセスの根幹的な要素で、個々のセルからなるグリッドを使用して体系的に計算を実行したり、値を保存したりすることができます。ワークシートは従来のスプレッドシートとは異なり、特殊な用途を念頭に設計されています。つまり、絞り込んだデータ行に計算を適用するのではなく、1 つの出力を生成する計算を作成できます。
ワークシートは特に、報酬プラン内のさまざまな用途に使用する全体的な計算、一般的な計算、明細の計算を確立するのに役立ちます。たとえば、ワークシートを使用して、定額のコミッションや検索条件といった定数値を維持することができます。この柔軟性を利用して、プラン全体のさまざまなコンテキストでこうした値を参照できます。
さらに、ワークシートを使用して、ほかの計算や検索条件で使用可能な値の一覧も作成できます。この機能は、セールスデベロップメント担当者 (SDR) が実施したミーティングの合計回数や、担当者が達成した新規ビジネスの年度累計など、主要なメトリクスの集計に役立ちます。
データシート
データシートはデータソースから取得して絞り込んだ一連のレコードを表します。この選定されたデータセットに特定の計算を適用可能な動的テーブルとして機能します。データシートでは、報酬プランに関連する条件に基づいてレコードを絞り込むという方法で、的を絞った計算を実行できます。
たとえば、ClosedInPeriod という検索条件を作成して、定義した期間内に特定の担当者がクローズした商談のみを返すようにするとします。ビューがこの条件で絞り込まれたら、計算を追加して、データシートに表示されているデータのみに適用することができます。全体的な計算が実施されるワークシートとは異なり、データシートの計算は個々のレコードの詳細に関連付けられ、行ごとに計算されます。この機能によって詳細な分析が可能になり、データの特定のサブセットに基づくインサイトを導出しやすくなります。
データシートを使用すれば、営業パフォーマンスやコミッションの支払のほか、報酬体系に直接的な影響を及ぼすその他の重要なメトリクスの包括的なビューを作成できます。
テーブル
インセンティブ報酬プランやコミッションプランのコンテキストにおいて、テーブルは各種のデータや計算を整理して管理するうえで極めて重要な役割を果たします。Salesforce Spiff に表示される一般的なテーブルは、範囲テーブル、ルックアップテーブル、目標テーブルの 3 種類で、報酬体系でそれぞれの目的を果たします。
範囲テーブル
範囲テーブルは、アクセラレーターなど、段階的な報酬体系を定義する場合に特に役立ちます。この種のテーブルには、パフォーマンスメトリクスと、それぞれの達成度に関連付けられているコミッション率の概要が示されます。たとえば、範囲テーブルで、売上高の増加に伴いコミッション率も定義したとおり段階的に上昇することを指定することが考えられます。この段階的なアプローチでは、特定の販売マイルストーンに到達した営業担当に報奨を与えるという方法で、パフォーマンスの向上を促します。
範囲テーブルは柔軟性が高いため、以前に作成したワークシートの計算をテーブル内に統合することも可能です。つまり、変化するビジネス状況や戦略的目標に応じて調整できる動的な報酬体系を構築できるということです。
ルックアップテーブル
ルックアップテーブルは、定義した条件に基づいて特定の値を取得するように設計されています。通常は、商品カテゴリや営業チームのような要素に応じて異なるコミッション率を割り当てるために使用します。たとえば、ルックアップテーブルに、さまざまなチームや地域ごとに異なるコミッション率が示されることがあります。この機能を利用して、組織の目標や販売計画を反映してカスタマイズした的確なコミッションを割り当てることが可能になります。
目標テーブル
報酬プランの作成において、目標テーブルは上記とは異なるものの同様に重要な目的を果たします。この種のテーブルは担当者の販売目標の概要を示し、パフォーマンスの期待値とベンチマークを確立します。組織は目標を定義して、具体的な目標達成に向けた営業チームのモチベーションを高め、その経時的な進歩状況を追跡することができます。たとえば、目標テーブルに営業担当のパフォーマンス目標を設定し、こうした目標に照らしてパフォーマンスを評価するメトリクスを追加することが考えられます。目標テーブルによって営業活動が推進されるだけでなく、パフォーマンスや人材育成についてのデータに基づく話し合いが促されます。
テーブルを使って段階的な計算やカスタマイズ可能な料率を体系化できるため、報酬プランの形成には欠かせません。テーブルは、意思決定者が会社の目標に即し、営業パフォーマンスのモチベーションを高める、的を絞った報酬計画を導入するフレームワークになります。
この単元では、ワークシート、データシート、範囲テーブル、ルックアップテーブルなど、シートやテーブルの各種のコンポーネントと、コミッションプランの管理におけるその重要性について学習しました。次の単元では、[Data (データ)] タブをさらに掘り下げ、コミッションプランにフィードするデータソースを管理して操作する方法について説明します。