インタラクション概要について学ぶ
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- ミーティングメモを記録する際の問題について説明する。
- インタラクション概要機能について説明する。
- インタラクション概要と活動を区別する。
最初にすべきこと
インタラクション概要を使用すると、シームレスなコラボレーションが実現します。この機能は、ロール階層、共有の直接設定、ルールベースの共有など、既存の共有メカニズムと完全に互換します。
各自のビジネスユースケースで機密性の高いクライアントデータが記載された概要を、統制された方法で共有する必要がある場合は、準拠データ共有 (CDS) が必要です。CDS の概要と設定方法について学習する必要がある場合は、「Financial Services Cloud の準拠データ共有」モジュールを受講してから、このモジュールに取り組んでください。
チームのご紹介
「Financial Services Cloud の準拠データ共有」モジュールを修了している方は、買収取引、Cumulus Capital、その主なチームメンバーについてご存知と思います。このチームについて再確認しておきましょう。
Northern Trail Outfitters (NTO) というアウトドア用品の大手小売企業が、Dorjeling Kitchen という人気のフィットネスカフェチェーンの買収を検討しています。NTO では、大手の投資バンキング企業である Cumulus Capital に、この買収の NTO 側の代理人として取引を成立させてもらいたいと考えています。
やり手の買収担当者である Rob McDonald は、この買収を統括する取締役 (MD) を補佐し、NTO と Dorjeling Kitchen の両方と連絡を取り合っています。このモジュールの後半で、Rob がこの買収取引にインタラクション概要を使用するところを見ていきます。
Charlie Melly はチームのアナリストです。Rob がプレゼン資料の作成、市場データの分析、レポートの生成の際に頼りにするのが Charlie です。
Matt は Cumulus Capital の Salesforce システム管理者です。Matt が組織をスムーズに稼働させる一方で、Rob や他のメンバーはビジネス成果を上げることに専念します。このモジュールでは、Matt がインタラクション概要を設定するところを一緒に見ていきます。
明白な問題
Cumulus Capital で多数の大型買収案件を担当している Rob は、買い手側と売り手側両方のクライアントと日常的に顔を合わせています。こうしたミーティングで複雑な財務事項について協議されるため、Rob は可能な限り詳細を記録しておく必要があります。
速いペースで進行する投資バンキング業界で、Rob は遅れずについていくためのソリューションを求めています。そこで Matt に相談し、次の要件を伝えました。
- ミーティングの議事録、要点、フォローアップ ToDo を簡単に記録できる。
- 過去のミーティングメモをすばやく検索して、ミーティングの前に要点を押さえておくことができる。
- ミーティングメモをチームメイトと簡単に共有できる。
- 機密性の高いクライアントデータが記載されたメモを安全に共有できる。
Matt は Rob をサポートする任務に取りかかります。数人に電話をかけ、Salesforce の Web サイトを調べます。
インタラクション概要を導入する
Matt が調査したところ、Financial Services Cloud (FSC) に Rob が求める要件をすべて満たす機能があることが判明しました。Rob のような多忙なユーザーの顧客エンゲージメントを高めることを目的に開発された、インタラクション概要という機能です。
インタラクション概要は、多数のアプリケーションを使用して、お客様とのコミュニケーションを記録して管理する完全ソリューションで、次のことを行います。
- 数回に及ぶ長い協議の体系的なミーティングメモを作成する。
- ミーティングの出席者、コミュニケーション種別、日付などの詳細を追加する。
- 機密情報が記載されたメモの機密度を指定する。
- スマート検索や高度な検索条件を使用して、適切なインタラクション概要を見つける。
- メモを取引先や取引と関連付けて、お客様に関する貴重なインサイトを取得する。
- スプレッドシートなどのファイルをメモに添付する。
Rob が大型買収案件についてクライアントを訪問して話し合うときも、インタラクション概要機能を使用すれば、その情報を記録し損ねることがありません。この機能は対面でのミーティングのみを想定しているわけではなく、クライアントとのさまざまな形態のコミュニケーション (FSC ではインタラクション) に対処します。メール、電話、ビデオ会議はすべて、インタラクション概要で記録可能なインタラクション種別です。
インタラクション概要があれば、ミーティングメモを他のチームメンバーと簡単に共有できます。この機能は既存の共有メカニズムとシームレスに連携するため、すばやく簡単にメモにアクセスできます。
ところで、ミーティングメモに取引の最終価額などの重要な非公開情報 (MNPI) が含まれている場合や、クライアントが有名人である場合にはどうすればよいのでしょうか? こうした場合は、準拠データ共有 (CDS) を活用します。CDS では、コンテキストに応じたロールに基づく厳密な共有を使用してメモへのアクセス権を付与します。意図するユーザーのみがアクセス権を取得するため、守秘義務やコンプライアンスが確保されます。
このモジュールでは投資バンキングを例に挙げて説明しますが、インタラクション概要機能は保険、ウェルスマネジメント、リテールバンキングなど、FSC の他の下位業種でも同様に機能します。たとえば、ファイナンシャルアドバイザーが概要を使用して、新たな投資機会を追跡することが考えられます。営業マネージャーは、ポリシーの総計値やパフォーマンスで代理店と協力することができます。
インタラクション概要と活動の違い
活動は、ToDo やクライアントとのミーティングの追跡に使用する Salesforce の機能です。活動とインタラクション概要はよく似ていますが、この表に示すとおり、大きな違いがあります。
インタラクション概要 |
活動 |
|
---|---|---|
ロール階層ベースの共有 |
ユースケースに基づいて有効/無効にすることができる |
無効にできない |
親オブジェクトに基づく共有 |
単独の共有 |
親オブジェクトに連動 |
複数の「対象」オブジェクトのサポート |
異なるオブジェクト (取引先と取引など) の複数のレコードに対する参照をサポート |
1 つの「対象」オブジェクトに対する参照のみをサポート。(たとえば、取引先と取引のいずれか 1 つを参照) |
外部出席者 |
同じインタラクションに数人の取引先責任者を外部出席者として追加可能 |
数人の取引先責任者を追加するとバックエンドでその人数分の活動レコードが作成される |
内部出席者 |
同じインタラクションに数人の内部出席者を追加可能 |
1 つの行動に 1 人の内部出席者のみ |
アーカイブ |
強制アーカイブは行われない |
データ量に関係なく、数年後にアーカイブされる |
この単元ではインタラクション概要と、クライアントとのコミュニケーションの記録におけるこの機能の重要性について説明しました。次の単元では、Matt がインタラクション概要を設定するところを見ていきます。では、先に進みましょう。