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見積入門

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 保険業界が直面している見積に関する課題について説明する。
  • 見積・レーティング・申込ソリューションが課題解決にどのように役立つかを説明する。
  • 保険の見積・レーティング・申込を使用する利点を挙げる。
  • 見積・レーティング・申込の主なコンポーネントを挙げる。
  • 見積・レーティング・申込が Financial Services Cloud や Health Cloud にどのように組み込まれるかを説明する。
Note
  • デジタル保険は、管理パッケージから標準ソリューションに移行されます。この移行は複数のリリースにわたる取り組みであり、2025 年 10 月までに大部分のオブジェクト、サービス、UI コンポーネントが標準ソリューションに移行される予定です。今後、新しいイノベーションは管理パッケージではなく標準ソリューションとして開発されますが、継続的な利用や移行をサポートするために、管理パッケージは引き続きご利用いただけます。
  • このバッジでは、管理パッケージを使用した見積の基礎の機能と実装手順を説明しています。標準ソリューションについての詳細は、「Set Up Digital Insurance (デジタル保険の設定)」を参照してください。

始める前に

このモジュールを始める前に、次のコンテンツを完了することを検討してください。

見積に関する課題

Anna Murphy を覚えていますか? 彼女はニューヨークに住む 40 代のプロフェッショナルです。

Cumulus Insurance のお客様、Anna Murphy

Anna は Cumulus Insurance の長年にわたるお客様です。Cumulus Insurance は、多様な保険サービスを全国で提供する大手保険会社です。Cumulus は Anna に雇用主の Cloud Kicks を通じて健康保険を提供しています。最近彼女は、Cumulus が個人の購入に関する保険契約を含む損害保険 (P&C) も扱っていることを知りました。ちょうど Anna は頼もしい相棒であるセダン車の保険を探していたところです。

Cumulus Insurance から見積を取得しようとして苛立っている Anna。

Anna は保険契約を探してオンラインで申し込むために Cumulus の Web サイトにアクセスしました。欲しい契約が見つかったため、申込プロセスを開始します。Web サイトでは、いくつかの PDF ファイルをダウンロードして、長くてテキストが多い申込書に入力するように求められます。申込フォームを見た彼女は、何度も同じ情報が求められていることに気付きました。さらに、見積を得るには何日も待つ必要がある上に、エージェントと電話で話さなければならないようです。この時点で Anna は諦めました。そんな面倒な作業と電話をする時間がある人がいるでしょうか?

Cumulus では利益が低下し、従業員の不満が高まっています。古い見積システムのせいで、新しいお客様を追い返してしまっています。Cumulus の従業員は効率の悪いビジネスプロセスにいら立ち、お客様を助けられないことに敗北感を感じています。

Justus Pardo を覚えているでしょうか? 彼は、高いスキルを持つソリューションアーキテクトで、デジタル保険プラットフォームのエキスパートです。

Cumulus Insurance に勤めるコンサルタントの Justus

優秀だという評判の Justus は、いくつかの保険会社でデジタルトランスフォーメーションプロジェクトの成功を導いてきました。そのため、Cumulus が複雑で非効率な見積プロセスを変革するために彼を採用したのは理にかなっています。

Justus は Anna のようなお客様にとって見積システムがどれほど厄介なものかを知っています。残念ながら、Cumulus にがっかりさせられたのは彼女だけではありません。営業担当、カスタマーサービス担当、システム管理者などの社内スタッフは、つながりのないツールや古いシステムにいら立ちをつのらせています。

Cumulus Insurance の従業員は業務プロセスに不満を感じています。

チームはいくつかの課題を抱えています。

  • つながりのないリードプラットフォームのために、貴重なリードを逃している。
  • 古いレーティングエンジンや多数のスプレッドシート、さらには手動での引受査定によって見積りの効率が悪くなっている。
  • オフラインでの支払と契約の発行に費やす時間のせいで、営業チームが商談を成立させたりお客様との関係を築いたりするための貴重な時間が少なくなっている。
  • いくつかの古いシステムに顧客データがサイロ化されていることが見積プロセスの障害となっている。

幸いにも、有能なコンサルタントである Justus はどうすればよいかを心得ています。彼は実際に見積ソリューションが機能しているのを見たことがあり、魔法のように効果を発揮することを知っています。見積・レーティング・申込によって Cumulus の見積プロセスが保険を購入するお客様と Cumulus スタッフにとって快適なエクスペリエンスへと変化する様子を見ていきましょう。

見積・レーティング・申込ソリューション

見積・レーティング・申込を使用すると、業者はお客様やブローカーなどの外部ユーザーと引受査定人や営業エージェントなどの内部ユーザーを対象とした、見積から成約までのデジタルプロセスと動的なデジタルエクスペリエンスを迅速に実装できます。契約を中心とする従来のコアシステムとは異なり、見積・レーティング・申込を使用したデジタル見積は市場をリードする Salesforce 機能と緊密に統合されています。このソリューションでは、一貫性のあるお客様中心のエクスペリエンスの一部として自動化された見積エクスペリエンスが提供されます。

次のスクリーンショットは、Anna の雇用主である Cloud Kicks のようなお客様が従業員のためのグループ健康保険を購入する際に生成される見積を示しています。

お客様が必要な情報を入力すると生成される見積の例

Cloud Kicks は何種類かのグループ健康保険から選択できます。さらに、免責金額、自己負担限度額、自己負担割合などの項目のオプションを設定し、商品をカートに追加できます。

見積・レーティング・申込には見積の重要な側面に対応する 3 つの主要コンポーネントがあります。

  • 商品モデリング
  • 評価
  • 見積プロセス

商品モデリングとレーティングが見積プロセスの基盤となっていますが、この 3 つすべてが連携することで最終的な見積ソリューションが形成されます。では、詳しく見ていきましょう。

商品モデリング

商品モデリングとは、保険会社が販売する商品 (個人自動車保険、小人数グループ健康保険プラン、生命保険、Medicare プランなど) の視覚表現をデザインして作成するプロセスのことです。Anna の場合、探している商品は個人自動車保険契約です。

商品モデリングはアートとサイエンスの両方の側面を持ちます。商品モデルをデザインするときには、多くの詳細を考慮する必要があり、特にユーザーが見積プロセス中に選択する価格とオプションに影響する情報は重要です。デジタル保険プラットフォームサービスでは商品モデルを使用して見積や契約などが作成されるため、商品モデルを適切に作成することが重要です。

評価

レーティングとは保険用語で価格を設定することです。レーティングとは、一連のインプット特性に基づいた保険料のリスクベースの計算です。保険会社がお客様を保証するリスクを引き受けるためにそのお客様が支払う必要がある費用を算出します。Anna の自動車保険の場合、インプット特性は保険を掛ける車の種別、運転歴、年間走行距離、車の安全機能です。

見積プロセス

見積プロセスの目的は、お客様の詳細情報を取得し、最適な保険プランを特定し、お客様が選択したプランの価格を提示することです。標準的な見積プロセス手順の概要は次のとおりです。

見積を作成する手順

各ステップを詳しく見てみましょう。

  • ユーザー入力を取得する:保険会社が適切な商品と保険料を決定できるように、 お客様は必要な情報を提供します。たとえば、名前、年齢、車両の詳細、運転歴などです。
  • 商品と料率を選択する: 会社はお客様が対象となる商品とプランの料率を決定します。お客様は気に入ったプランを選択します。
  • 見積を作成する: お客様の詳細と選択された商品に基づいて、保険会社は見積の基礎となる保険料を計算します。

見積・レーティング・申込によって見積プロセス全体が合理化されます。お客様はオンラインでプランを見つけて見積を作成できます。営業担当などの業界のプロフェッショナルは、Salesforce レコードページから直接、標準の見積 Lightning Web コンポーネントまたは OmniScript を使用して見積を設定できます。OmniScript にはビジネスロジックが含まれており、ユーザーはガイドに従って情報収集、商品の選択、設定、最終的な見積の作成を行うことができます。便利ですよね。

業界の課題を解決する

見積・レーティング・申込は、保険業界が見積に関して直面する多くの課題に対応しています。実装することで、企業は次のような成果を得ることができます。

  • 見積から申込までの時間の大幅な短縮
  • 見積から成約までの時間の短縮
  • 引受査定管理時間の短縮

次の表は、見積・レーティング・申込で業界の課題をどのように解決できるかの詳細をまとめたものです。

業界の課題

見積・レーティング・申込で解決する方法

一元化されたシステムオブエンゲージメント

分散してつながりのないリードプラットフォームを使用するのではなく、エージェントは保険見積のための一元化されたシステムオブエンゲージメントを使用できます。お客様の情報はすべて 1 か所にまとめられているため、別のツールにアクセスすることなく、すべてのビジネスプロセスやトランザクションを完了できます。

入力が最小限で済むシンプルなエクスペリエンス

長くて大量のテキストを含む申込書は時代遅れです。見積・レーティング・申込には簡単に完了できるガイド付きワークフローが備わっており、お客様は何度も同じ情報を入力する必要がありません。

瞬時の承認または引受査定への照会

古いレーティングエンジンと手動での引受査定プロセスを使用した時間のかかる承認プロセスに代わって、見積・レーティング・申込では、ルールに基づいて承認または引受査定への照会が瞬時に行われることで見積から成約までのプロセスがスピードアップします。

デジタル購入と契約の発行

最近ではありとあらゆるものをオンラインで入手できるため、お客様は保険についても同じことを期待しています。見積・レーティング・申込を使用すれば、お客様はオンラインで見積を取得できるだけではなく、そのまま保険契約を購入し、デジタルで契約を発行させることができます。

オムニチャネルアクセス

お客様はいつでも任意のデバイスで見積を取得できることを求めています。ビジネスプロセスを完了するためのガイド付きパスをお客様に提供する OmniScripts を使用すれば、それを実現できます。

全体像

見積・レーティング・申込は Salesforce 上で実行され、皆さんが愛用するすべての Cloud 製品やアプリケーションを使用します。次の図は、各部がどのように連携するかを示すデジタル保険プラットフォームのソリューションマップです。

階層状になっていて、複数の保険種目とチャネルが最上層にあり、その下にデジタル保険プラットフォーム、OmniStudio、Salesforce が配置された図。

ソリューション全体でいくつかの見積機能が提供されます。

  • さまざまな保険種目のサポート: 目的の保険種目に応じて、デジタル保険プラットフォームでは自動車保険、損害保険、生命保険、年金、スペシャルティ保険などに対応するようにプロセスとサービスがカスタマイズされます。
  • 複数チャネルでの提供: メンバーがラップトップを使用して見積を取得したい場合でも 問題ありません。または携帯電話尾を使用して見積の状況を追跡することも 可能です。保険契約者向けのカスタムポータルサイトの設定も もちろんできます。質問があるときにはコンタクトセンターに電話したいという希望にも 応えることができます。
  • OmniStudio: OmniStudio にはセルフサービスエクスペリエンスを作成、カスタマイズするための OmniScripts などのツールが用意されています。ユーザーに見積の取得やその他の必要な作業のプロセスを案内する卓越したエクスペリエンスを作成できます。
  • Salesforce: 完全な Salesforce によって可能性が大きく広がります。セールス、サービス、マーケティング、コマースで市場をリードする数々のアプリケーションにわたって、お客様の一元化されたビューを作成できます。

デジタル保険プラットフォームの内部

次に、デジタル保険プラットフォーム内での見積・レーティング・申込とその他のモジュールやサービスの役割に注目しましょう。

デジタル保険プラットフォームを構成するコンポーネントの階層。最下層に保険商品管理、中間層に保険モジュール、最上層にサービス API が配置されている。

見積・レーティング・申込は、次のようなデジタル保険プラットフォームの他の部分とシームレスに連携します。

  • サービス API: サービス API を使用することで、主要な保険機能を実行する標準サービスの範囲でカスタムプログラミングが不要になります。
  • 保険契約管理: 保険契約管理モジュールを使用すると、見積作成、発行、補償内容変更、保険料請求、更改、コミッションにわたる契約ライフサイクル全体を管理できます。
  • 契約・加入: 契約・加入モジュールを使用すると、雇用主との契約を作成し、関係者をグループベネフィットプランに加入させることができます。
  • 請求: 請求モジュールを使用すると、請求ライフサイクル全体で迅速で透明性の高い請求が可能になります。
  • 保険商品管理: 保険商品管理モジュールを使用すると、アジャイルな保険商品の開発、契約のレーティングなどを推進できます。

これで、見積に関するデジタル保険プラットフォームの主な利点を理解できたはずです。次は、見積作成のために実行すべき主要な作業と誰がそれを実行するかを詳しく見ていきましょう。

リソース

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