商品モデリングについて学ぶ
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 商品モデリングオブジェクトとオブジェクト間の連携のしくみについて説明する。
- 商品モデリングオブジェクトがレーティングプロセスとどのように連携するかを説明する。
- 商品モデリングで使用できるルールの種類を挙げる。
商品モデリングについて
保険会社はお客様にプランを販売する前に、保険対象となる人や物について多くの詳細情報を取得します。Anna が自動車保険を手に入れる前に、Cumulus は車両の種類、年数、Anna の免許の詳細を知る必要があり、これはほんの始まりにすぎません。
Anna の健康保険プランのためには、Cumulus は Anna の年齢、喫煙の有無、病歴などを知る必要があります。見積・レーティング・申込ではこの情報を見積の 3 つの主要側面の 1 つである商品モデリングで取得します。コンサルタント、システム管理者、開発者が商品を計画してモデル化するときには、バックグラウンドで多くのことが行われます。では、詳しく見ていきましょう。
商品モデリングのビルディングブロック
商品モデルは基本的なビルディングブロックであるルート商品、子仕様、アトリビュート、ルールを使用して作成します。
ルート商品
ルート商品とは、保険会社が提供するプランまたは商品のことです。
これはモデルの他のすべての部分のコンテナであり、各契約には 1 つだけルート商品を含めることができます。レンターズ保険、小規模または大規模なグループ健康保険、中小企業保険など、ありとあらゆる保険プランがルート商品になります。デジタル保険プラットフォームには柔軟な商品仕様モデルがあり、幅広い商品をサポートしています。そのため、追加オブジェクトを作成するためにデータモデルを拡張する必要がなく、便利です。
子仕様
子仕様は子スペックとも呼ばれ、保険の対象である人と物や、プランが提供する給付と補償を定義します。次の図は、保険対象者、保険対象物、各種補償などのさまざまな種類の子スペックを示しています。
次の表は子スペックの種類とその内容です。
子スペックの種類 |
目的 |
---|---|
保険対象物スペック |
保険商品によって何が補償されるかを定義します。たとえば、Anna が自動車保険を契約するときには、彼女の車に関するすべての詳細 (アトリビュート が保険対象物スペックに保存されます。 |
保険対象者スペック |
保険商品によって誰が補償されるかを定義します。Anna の年齢、性別、病歴などの個人情報が保険対象者スペックに保存されます。 |
補償範囲スペック |
保険商品で提供される給付と補償範囲を定義します。Anna の自動車保険契約の賠償責任補償や健康保険プランのさまざまな給付が補償範囲スペックの例です。 |
レーティング要因スペック |
グループの情報や過去の請求データなど、価格設定/レーティングのためのその他のデータを定義します。 |
スペックは複数の商品で再利用できます。
アトリビュート
アトリビュートは商品の仕様を定義します。次の図はアトリビュートと商品の関係を示しています。アトリビュートはルート商品と子スペックのどちらにも定義できます。
Cumulus は Anna に関して車の種類や年数、彼女の年齢などの情報を取得する必要がありましたね。そのすべての情報がアトリビュートに保存されます。アトリビュートは商品 (子スペックまたはルート商品) に割り当てられます。Salesforce のアトリビュートモデルには継承機能があるため、契約、物、お客様に関して収集するすべてのデータについてデータモデルで新しい項目を追加する必要はありません。
ルール
ルールは保険商品の動作を定義します。ルールはルート商品と子スペックのどちらにも定義できます。次の図はルールと商品の関係を示しています。
デジタル保険プラットフォームではさまざまなルールを設定できます。たとえば、商品適格基準ルール、引受査定ルール、アトリビュートおよびアトリビュート値ルール、オプション補償ルールなどです。次の表は各種ルールの説明です。
ルールタイプ |
目的 |
例 |
---|---|---|
商品適格基準 |
この種類のルールは、要件が true か false かを評価する式です。見積プロセスでユーザーには対象資格がある商品のみが表示されます。 このルールを使用して、契約 (特定のルート商品) の対象資格を決定するための申込者の要件を指定します。 |
65 歳未満の人を Medicare 追加保険商品の対象外にする。 学生でない人を学生運転者向け商品の対象外にする。 |
引受査定 |
引受査定ルールが true と評価されると指定された状態変更がトリガーされます。また、実行するアクションを設定することもできます。たとえば引受査定人が見積を確認する作業を作成するなどです。 見積や契約をユーザーが定義した状態 (引受や却下など) に遷移するには引受査定ルールを使用します。 このルールでは状態モデルを使用します。状態モデルではオブジェクトの状態と状態の遷移を定義します。見積の状態には送信済み、承認済み、または引受査定中があります。また、送信済みから承認済み、または送信済みから引受査定中といった状態遷移も定義します。 |
オペレーターのライセンスの点数が 5 点を上回る場合、見積を引受査定に送信する。 運転者の運転歴の点数が 4 点を上回る場合、見積を引受査定に送信する。 |
アトリビュート |
アトリビュートルールではアトリビュート間の連動関係を指定します。アトリビュート式が true であれば、アトリビュートまたはその値の一部を非表示にしたり、メッセージを表示したり、アトリビュートの値を設定したりできます。これにより、1 つのアトリビュートを他のアトリビュートに基づいて制御できます。 |
がれき撤去額の限度を財物限度額合計の 5% に設定する。 限度額が $50,000 未満の場合は賠償責任補償の免責を非表示にする。 |
オプション補償 |
オプション補償ルールでは、オプション補償の設定オプションを管理します。オプション補償ルールの種類には、補償対象資格、必要な補償、デフォルトで選択される補償、補償検証、補償リレーションなどがあります。 |
従業員自動車損害賠償補償は任意レンタカー払戻補償が選択されている場合のみ利用可能になる。 酒類賠償責任補償はビジネス種別がレストランまたはバーの場合のみ利用可能になる。 |
全体的なしくみを理解する
Justus と彼のプロジェクトチームは要件を作成するために商品の最適な数を決定する必要があります。少数の商品を作成してアトリビュートを高度に設定可能にする保険会社もあれば、多数の商品を作成してアトリビュートを静的にすることで設定可能なステップを減らす保険会社もあります。一般的には、構造やレーティングアルゴリズムが類似する商品をまとめて 1 つの設定可能な商品定義にすることをお勧めします。
おさらい
次のフラッシュカードには、ルート商品、子スペック、アトリビュートの例が表示されます。
各カードの問題や用語を読んだ後、カードをクリックすると正解が表示されます。前向き矢印をクリックすると次のカードに進み、戻る矢印をクリックすると前のカードに戻ります。
商品モデリングとレーティング
ルート商品を定義してすべての子スペックとアトリビュートを割り当てたら、見積の計算とレーティングの実行にルート商品を使用できることを確認します。見積・レーティング・申込では、商品モデルとレーティングプロシージャーを別々に定義できます。こうすることで、各商品に対して新しいレーティングプロシージャーを作成するのではなく再利用できます。別々に定義されるため、ルート商品でどのレーティングプロシージャーを使用するかを指定する必要があります。
レーティングプロシージャーには、式セットと OmniStudio Integration Procedure の 2 種類があります。簡単なレーティングには式セットを使用します。複数の自動車がある場合や複合的な健康のレーティングなどの複雑なレーティングには、Integration Procedure 内で複数の式セットを組み合わせて使用します。
ルート商品で使用するレーティングプロシージャーの種類を指定したら、次のステップは商品モデルのアトリビュートをレーティングプロシージャーに対応付けることです。次の図はルート商品とレーティングプロシージャーの関係を示しています。
図が示すように、複数のルート商品を 1 つのレーティングプロシージャーにリンクできます。
レーティングプロシージャーは見積を計算する複雑な数式です。数式には変数 (インプット) が必要です。インプットが商品モデル内の対応するアトリビュートと一致していることを確認してください。インプットを追加すると、見積・レーティング・申込によってレーティングプロシージャーと商品モデルが関連付けられ、見積を生成するために必要なすべての計算が実行されます。