レーティングを含む見積を計算する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 保険の見積におけるレーティングの役割を説明する。
- レーティングを実装するプロセスを説明する。
- レーティング情報を計画して準備する方法を説明する。
- 決定マトリックスとは何か、レーティングでどのように使用されるかを説明する。
- レーティングプロシージャーの種類を挙げる。
レーティングについて
見積・レーティング・申込によって、見積の重要な側面である商品モデリング、レーティング、見積が促進されます。レーティングとは、一連のインプット特性に基づいた保険料のリスクベースの計算です。レーティングによって業者がお客様を保証するリスクを引き受けるためにそのお客様が支払う必要がある費用を算出します。
契約の料率を設定するときには、保険会社は価格設定に影響する要素とその影響を特定します。計算は次のようになります。
価格設定に影響する要素はインプットとして取得されます。自動車保険を探している Anna Murphy のようなお客様は、年間走行距離 (1)、保険の対象となる車両の種類 (2)、車両の安全機能 (3) などの情報を業者に提供する必要があります。保険会社はインプットを他の変数と共に数式 (4) に取り込み、数式の出力がお客様が支払う保険料 (5) となります。
デジタル保険プラットフォームでは、レーティングプロシージャーを使用してこの計算を実行しています。レーティングプロシージャーとは、ルート商品にリンクされた式セットと決定マトリックスの組み合わせです。
- 決定マトリックスは、ベースレートや補償係数などの情報のテーブルです。
- 式セットは、定義したアルゴリズムを使用してすべての計算を実行する計算エンジンです。式セットでは、決定マトリックス内のデータを使用して計算が行われ、最終価格が出力として返されます。
レーティングの実装プロセス
レーティングを実装する準備ができたら、Salesforce でレーティング情報を設定する必要があります。次の図はレーティングプロセスフローの概要を示しています。
このプロセスには主に次の手順があります。
- レーティング情報を取得する。
- 決定マトリックスを作成する。
- レーティングプロシージャーを準備する。
- ルート商品をレーティングプロシージャーにリンクする。
各ステップを詳しく見てみましょう。
レーティング情報
レーティングを実装するには、まず保険商品のレートを決定する必要があります。Salesforce 用のアルゴリズムを準備するために、どのような形式であってもレーティングアルゴリズムの詳細が必要です。
外部レーティング情報には統一された標準はありませんが、数式とレーティングテーブルという 2 つの共通コンポーネントは必要です。
数式
数式とは、定数や変数を含む演算式です。次に、シンプルな汎用のレーティング数式の例を示します。一連の計算の結果が最終的な保険料になります。
計算はベースレートから始まります。ベースレートとは、一切の調整を行う前の補償の費用です。ベースレートに補償係数を掛けます。補償係数とは、保険契約で補償される賠償責任の金額で、通常は上限や免責金額によって定義します。Anna は自動車保険を探すときに、さまざまな補償の上限と免責金額の組み合わせを選択します。それによって固有の補償係数が作成されます。ベースレートに補償係数を掛けると基準保険料が得られます。
すべてのお客様が同じ補償に対して同じ保険料を支払うわけではありません。支払う金額は、保険会社から見てお客様のリスクがどの程度であるかによって異なります。たとえば、Anna は責任ある運転者で、事故歴があまりなく、車両にはいくつかの安全機能が備わっています。Anna が事故に遭う可能性は低いため、Cumulus にとって Anna を保証するリスクは低くなります。保証するリスクが低いため、事故が多い人に比べて、保険料は低くなります。
保険会社が各お客様の保険料を計算するには、基準保険料にいくつかのレーティング係数を掛けて、調整済保険料を算出します。レーティングリスク係数とは、レーティングインプットの定義済みのリスクレベルに基づいた基準保険料に対する調整のパーセンテージです。通常、リスク要因には保険対象者または保険対象物の特性が関係します。特性のリスクが高いほど、レーティング係数は大きくなり、結果として調整済保険料が高くなります。
より複雑なレーティングでははるかに多くの計算を伴うことがよくありますが、この例はほとんどのレーティング数式の目的を示しています。
レーティングテーブル
ここまでで、いくつかのインプットを使用して最終的な調整済み保険料を作成する数式をすべて定義しました。そのインプットはレーティングテーブルから得られます。レーティングテーブルに含まれているデータは列と行で整理されています。各テーブルには 1 つ以上のインプット列と 1 つ以上のアウトプット列があります。
保険料に影響する要因などのデータを参照するにはレーティングテーブルを使用します。一般に、インプット列には補償内容またはリスク係数が含まれ、アウトプット列にはそれに対応する料率が含まれます。レーティングテーブルからのアウトプットは計算のインプットとして使用されます。
Cumulus が自動車保険に使用するレーティングテーブルの例を次に示します。
インプットは車両衝突補償の免責額で、アウトプットは免責係数です。免責額が高くなるにつれ、免責係数が低くなります。免責係数はお客様が支払う保険料を計算する数式のインプットです。
決定マトリックス
決定マトリックスは Salesforce で設定するレーティングテーブルです。レーティング情報 (数式とレーティングテーブル) を準備したら、次のステップはレーティングテーブルを Salesforce にインポートすることです。
レーティングテーブルは決定マトリックスにインポートします。多数の行のレーティングデータが決定マトリックスに整理されたら、レーティングプロシージャーでマトリックスを使用して保険料を計算できます。
次に進みましょう。
レーティングプロシージャー
レーティング情報の収集と決定マトリックスへのレーティングテーブルのインポートが完了しました。次は、レーティングプロシージャーを作成しましょう。レーティングプロシージャーは、インプットに基づいて 1 つ以上の保険料を返す式セットまたは Integration Procedure です。この 2 つのオプションを見てみましょう。
式セット
式セットは、一連のエレメントを含むレーティングプロシージャーの種類です。
エレメントは定数と変数、決定マトリクスにアクセスするルックアップステップ、そして最初にレーティング情報の一部として収集した数式です。式セットには集計ステップを含めることができるため、複数のインプットセットを集計できます。
Integration Procedure
Integration Procedure はもう 1 つの強力で柔軟なツールで、より複雑なレーティングシナリオに対応できます。複数の式セットを組み合わせるには Integration Procedure を使用します。
いくつかの理由により、Integration Procedure を使用した方がよい場合があります。たとえば、外部システムでレーティングシステムをコールする必要があることがあります。最も一般的な状況は、1 つの式セットの集計アウトプットを別の計算のインプットとして使用する必要がある場合です。
以下はその一例です。年齢、性別、喫煙など複数の特性があるとします。このような特性を別々に評価し、集計ステップで合計または平均を計算して、1 つのレーティング数値を得る必要がある場合、Integration Procedure を使用するのが適しています。
レーティングプロシージャーとルート商品
レーティングプロシージャーを正常に作成して有効にしたら、今度はこのレーティングプロシージャーを使用するルート商品にプロシージャーを関連付けます。
レーティングに使用する式セットが 1 つだけであれば、それを直接ルート商品にリンクします。複数の式セットを使用する場合は、Integration Procedure によって式セットを組み合わせてから、Integration Procedure をルート商品にリンクします。