請求管理の概要を理解する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 職場での請求管理システムのユーザーを識別する。
- 請求ライフサイクルの各フェーズで実行する作業を挙げる。
- 保険向け請求管理でサポートされる典型的なビジネスプロセスとタスクについて説明する。
請求管理を使用する
Cumulus はデジタルトランスフォーメーションジャーニーの次のステップに進んで保険向け請求管理を実装する準備ができています。Cumulus の請求チームの全員が、請求管理で何ができるのか、とても楽しみにしています。
このプロジェクトを推進しているコンサルタントの Justus Pardo はまず、請求システムの主要なユーザーとその使用方法を識別します。
では始めましょう。
主要な関係者
請求管理では多くの関係者がそれぞれの役割を果たします。厳密な役職や役割は組織や保険種目によって異なる場合があります。Cumulus には次の主要なグループがあります。
- 請求者
- 損害査定担当者
- 請求スーパーバイザー
- 商品管理者
それぞれのグループを見ていきましょう。
請求者
請求者とは、損害が発生し、請求を申請する個人です。第一者請求者が損害を被った保険契約者であるのに対し、第三者請求者も損害を被っていますが非保険契約者です。どちらの請求者種別にも何らかの請求申請手段が必要であり、今日の第一者請求者は、保険契約に結び付けられた包括的な統合請求エクスペリエンスを期待しています。
請求プロセスに対し、請求者は次のことを望んでいます。
- 希望するチャネルを使用し、シンプルなガイド付きユーザーエクスペリエンスで請求に関して必要な情報をすべて入力できる。特別な手順なしで各自固有の状況に合わせて調整されたエクスペリエンスを求めています。
- 請求の進行状況を追跡し、必要な追加情報を簡単にアップロードできる。
- 請求について当初の決定に同意できない場合に、保険金支払への異議申立を申請できる。
損害査定担当者
損害査定担当者は、請求者が申請した請求を評価、調整、処理します。簡単に請求の全容を把握し、優先度を付けてすばやく対応するためには、深く直観的な損害査定担当者専用デスクトップツールが必要です。反復作業で動きが取れなくなることは避けたいため、よく行うタスクを自動化できるツールを求めています。
通常、査定担当者は保険会社に勤務していますが、サードパーティの査定担当者が担当する場合もあります。組織の規模が大きくなると、損害査定担当者がスキルや専門分野で分類される場合があります。こうした大規模なチームには、請求を割り当て、必要な承認を得るための自動プロセスが必要です。
請求スーパーバイザー
請求スーパーバイザーは請求に対する調整をレビューして承認します。1 日を通して効率よくレビューし、管理できるようにチームの業務を包括的に把握する必要があります。チームの負担を軽減しようと、常にプロセスの最適化と標準化を図っています。これには、割り当てルール、アクションプラン、承認プロセスの決定などが含まれます。スーパーバイザーには、効率よくチームを監視、分析、サポートするために使用できるダッシュボードとレポートを備えた、深く柔軟な請求プラットフォームが必要です。
エンドユーザーに加え、複数のユーザーが請求ソリューションを設計、設定、メンテナンスします。こうした重要な関係者を確認しましょう。
商品管理者
商品管理者は、請求商品スペック、条件、計算、ルールの設計を含む、請求モデリングを担当します。多くの場合、請求モデリングの担当者または担当チームが保険契約の商品モデリングも担当します。
保険向け請求管理では、請求と保険契約のデータモデルが密接にリンクされているため、簡単かつ同時に両方を定義できます。商品管理者は請求スーパーバイザーやその他の主要な意志決定者と緊密に連携し、組織のニーズに合わせてモデルを設計、最適化します。開発者とも緊密に連携して、請求モデルを Salesforce に実装します。
OmniStudio 開発者
OmniStudio 開発者は、Salesforce に実際のモデル、レーティング、ワークフローを設定します。OmniScript を設定して初期損害通知をカスタマイズする方法、プロセスビルダーを使用してビジネスプロセスを自動化する方法、ルールや主要な請求目的をサポートする Integration Procedure を作成する方法を知っておく必要があります。Salesforce でビジョンが完全に実現されるように請求モデル作成者やスーパーバイザーと緊密に連携します。
請求管理によるユーザーのサポート
請求管理で請求ライフサイクルの各フェーズの請求ユーザーがどうサポートされるかを確認しましょう。
初期損害通知
請求管理では作成済みの危険状況に基づくガイド付きフローが OmniScript 形式で提供されるため、請求者はすばやく簡単に請求の作成や更新ができます。モバイルデバイスやタブレットデバイスなど、希望するチャネルを使用することともできます。OmniStudio 開発者は、保険会社のニーズどおりにこのフローを簡単にカスタマイズできます。
さらに、デジタル保険プラットフォームには、保険契約者向けの包括的な統合コミュニティエクスペリエンスを提供するポータルが標準装備されています。保険契約者は、このポータルからすぐにオープン中とクローズ済みの請求すべてのスナップショットを表示できます。請求の開始や情報と書類の送信もできます。
セグメント化と割り当て
商品モデル作成者は、請求管理で複雑な請求モデル、補償モデル、状態モデルを作成し、それらを包括的な請求管理データモデルで密接にリンクすることができます。こうしたモデル内に、自動的かつインテリジェントに請求をセグメント化して割り当てるための特性とルールを定義できます。
請求スーパーバイザーは、Financial Services Cloud の高度なスキルベースのルーティングツールを使用し、請求の特性と関連付けられた保険契約に基づいて各請求を適切なリソースに割り当てることができます。
損害査定担当者を必要としない単純な請求の場合、保険会社は自動査定ルールを設定して請求のストレートスループロセッシングを実現できます。以下は、[Auto Claim (自動車請求)] 商品に追加された 2 つの引受査定ルールのスクリーンキャプチャです。
この画面は [ルール] タブが表示された [Auto Claim (自動車請求)] 商品を示しています。請求商品に追加された引受査定ルールには、請求補償範囲をオープンするための条件を定義します。請求補償範囲は請求の会計上のビルディングブロックです。すべての請求補償範囲は、特定の保険契約補償範囲に対してオープンされます。請求補償範囲をオープンするには、保険契約上に対応する補償範囲が必要です。
ワークロード管理
タスクとアクションプランで請求チームは業務の一貫性を実現できます。請求スーパーバイザーは、さまざまな請求種別のアクションプランテンプレートを設計して、多様な請求シナリオに合わせて調整したプランを揃えることができます。
さらに、損害査定担当者とスーパーバイザーは、動的ダッシュボードを使用し、請求レコードやファイルにシームレスにアクセスして、割り当てられた請求とサービスレベル契約を常に可視化することができます。スーパーバイザーダッシュボードにはチームレベルのビューと、個々の損害査定担当者ダッシュボードにドリルダウンするオプションが表示されます。このすべてが現在のワークロードと状況の一元化された情報源になります。
次の画面例には、[Claims Handler Dashboard (請求ハンドラーダッシュボード)] が表示されています。
損害査定担当者は、このダッシュボードで迅速にすべての請求を期日、種別、優先度でセグメント化して表示できるため、オープン中の請求に対する優先度付けやアクセスが簡単にできます。
調査と文書化
損害査定担当者は、請求管理で一元的にすべての請求関係者、取引先責任者情報、項目別損害情報を管理できます。
スーパーバイザーとサポート担当者は、すべての請求イベント (メール、承認、メモなど) の詳細な一覧が表示される請求履歴にアクセスして、すぐに請求に取りかかることができます。
請求部門は、フィールドサービス最適化ツールを使用して、現地で請求の調査や処理を簡単に管理できます。
ファイナンシャルと査定
ファイナンシャルと査定をサポートするために、請求管理の損害査定担当者ワークベンチという強力なツール一式を使用できます。損害査定担当者は 1 つの会計インターフェースを使用して請求補償範囲と備金調整を管理します。
損害査定担当者は、請求レコードと保険契約レコードの両方のファイナンシャルな活動を総合的に把握して、損害および費用支払を実行できます。
保険契約条件追跡により、損害査定担当者は現在の限度額、免責金額、自己負担額、自己負担割合、自己負担限度額の現状をすばやく評価できます。
スーパーバイザーは、補償範囲スペックに基づいて損害および費用の権限レベルを設定するための権限と承認を設定できます。損害査定担当者とスーパーバイザーは、請求会計のトップダウンビューで請求の現在の支出と保留中のエクスポージャーを評価できます。
クローズ
請求管理では、自動的に請求補償範囲をクローズし、備金をゼロにし、請求概要ドキュメントとアンケートを関係者に送信する作成済みプロセスを提供します。さらに、請求システムは保険契約システムと完全に統合されているため、保険契約条件やその他の重要な詳細は自動的に更新され、クローズ後は保険契約の関連事項を手動で記録する必要はなくなります。
このように、請求管理のユーザーはさまざまなタスクを実行する必要があります。あらゆるステップで保険向け請求管理とその高度なツールやプロセスを利用できるため、ユーザーは各自の作業を簡単かつ効率的に実行できます。