保険仲介について
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 独立系の仲介業者の役割を定義する。
- 保険仲介業者が直面する主な課題について説明する。
- Financial Services Cloud 向け保険仲介の主な機能とメリットを挙げる。
- 担当代理店 (BoR) 管理の目的と構造を説明する。
このモジュールを受講する前に、以下のコンテンツを修了してください。しっかりとした基礎を身につけるのに役立ちます。
進化し続ける保険仲介環境
保険仲介業者とは、金融業界で重要な役割を担っている独立系企業です。独立系仲介業者は、1 社の保険会社の代理を務める専属代理店とは異なり、複数の保険会社の商品を取り扱ってクライアントに最適なソリューションを見つけます。
信頼されるアドバイザーとしての役割を果たす保険仲介業者は、保険の複雑なプロセスに対処し、最適な保険契約を交渉し、補償条件、保険料などの重要な側面を管理します。保険仲介業者の成果はクライアントの成果と密接に関連しています。通常、仲介業者は保険契約のあっせんに関連付けられた手数料に基づく報酬を得るからです。

仲介業者は、ニーズやしくみが異なる多様な部門を扱います。
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従業員給付 (EB): 包括的な給付パッケージ (健康保険、歯科保険、生命保険など) の提供において雇用主をサポートします。
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商業損害 & 傷害 (P&C): 損害、賠償責任、その他のエクスポージャーに対して、カスタマイズされた補償内容によって企業はリスクを軽減することができます。
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個人保険部門 (P&C): 個人の資産 (住宅、車両など) を保護します。
保険業界は急速に進化しているため、仲介業者にとって課題と機会の両方が生み出されています。クライアントはパーソナライズされたデジタルファーストのエクスペリエンスを期待するようになっており、仲介業者は激化する競争と業務の圧力に直面しています。さらに、旧式のシステムにより、クライアントのニーズと市場の動向に適応できないでいます。
一般的な課題には、次のようなものがあります。
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分散されたシステム: 多くの仲介業者は、クライアント管理、契約管理、請求処理などで、統合されていない寄せ集めのシステムを使用しています。このようにシステムが統合されていないことにより、データのサイロ化、手動での情報の再入力、非効率なワークフローという課題が生まれています。クライアント情報を入力するときに複数のアプリケーションを切り替えなくてはならない状況を考えてみてください。面倒ですよね?
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限定されたクライアントインサイト: データが複数のシステムに分散されていると、クライアントの全体像を把握できず、パーソナライズされたアドバイス、クロスセルの機会、プロアクティブなリスク管理が妨げられてしまいます。
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データ管理の問題: 複数のシステム間で入力データの重複や不一致が発生すると、時間を無駄に費やしてしまうほか、エラーが生じる可能性が高くなります。さらには、コンプライアンスの問題を招き、クライアントとの関係を損なう恐れがあります。
現代の仲介業者にとって、統合されたデジタルプラットフォームを備えることは必須となっています。
Financial Services Cloud 向け保険仲介について
Financial Services Cloud 向け保険仲介は、シームレスなサービス、アクション可能なインサイト、効率的な業務で仲介業者を強化する統合プラットフォームです。クライアントエンゲージメント、契約管理、収益処理が 1 つの一貫したシステムに統合されています。
このソリューションを使用すると、次のことが可能になります。
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クライアントの全体像を把握する: クライアントとそのニーズおよび保険ポートフォリオの包括的なビューに 1 か所でアクセス、管理できることにより、パーソナライズされたアドバイスの提供とリスクのプロアクティブな管理が可能になります。
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手作業を減らす: 主要な作業が自動化され、繰り返しが最小限に抑えられるため、チームはクライアントリレーションに集中できるようになります。
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俊敏性を高める: 柔軟性を備えた設定可能なプラットフォームを使用して、市場の変化とクライアントの需要にすばやく適応できます。
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より詳細なインサイトを取得する: 強力な分析ツールを使用して、実用的なインサイトを発見し、情報に基づくビジネス判断を下すことができます。
このソリューションは Financial Services Cloud 上に構築されています。クライアントエンゲージメント、契約管理、手数料追跡の必須機能が統合されており、ブローカーとクライアントにコネクテッドエクスペリエンスを作成します。

Financial Services Cloud では、業界固有の機能と Salesforce のコア機能を組み合わせて、契約管理の効率化、プロセスの自動化、顧客エンゲージメントの強化を実現できます。
こうした機能が質の高いサービスの提供においてどのようにユーザーをサポートできるかについて、以下にいくつか例を紹介します。
機能 |
説明 |
|---|---|
アクションプラン |
オンボーディング、更新、定期的なタスクの構造化されたワークフローを作成し、一貫したサービス提供を実現します。 |
ディスカバリーフレームワーク |
デジタルフォームでクライアントデータを収集し、ニーズ評価の簡易化とコンプライアンスの強化を実現します。 |
インタラクション概要 |
クライアントミーティングの詳細な記録を保持し、クライアントの目標や重要なポイントに合わせてチームの足並みを揃えます。 |
Financial Services Cloud 向け保険仲介には、クライアントのライフサイクルを通してユーザーをサポートする包括的なツールが用意されています。

次の表に、クライアントライフサイクルの各フェーズの目標と主要な保険仲介機能を示します。
フェーズ |
目標 |
機能 |
|---|---|---|
クライアントエンゲージメント |
クライアントオンボーディングを自動化し、リレーションを管理する。 |
コミュニケーション、BoR 管理、オンボーディングタスクを改善します。 |
部門のサービス提供 |
複数の部門でサービスを提供している契約とプランを整理して簡略化する。 |
契約の更新、キャンセル、裏書のライフサイクル管理活動を実施します。 従業員給付: プラン設定を管理し、保険会社全体で給付の標準化とベンチマークの実施を可能にします。 |
手数料および収益管理 |
手数料を効率的に管理し、正確な処理を確保する。 |
直接請求手数料の追跡の自動化、募集人分割割り当ての簡易化、期待収益の計算を行います。 |
持続的な取引先管理 |
クライアントサービスをプロアクティブに監視してパーソナライズする。 |
クライアントリレーションを深めながら、クロスセルとアップセルの機会を特定します。 |
上記ツールを実際に確認するために、EB 分野と P&C 分野の両方を専門に扱う Cumulus Brokerage という独立系企業の例を見てみましょう。
保険仲介ジャーニーを見てみる
クライアントベースが拡大している Cumulus では、Financial Services Cloud を使用して業務の簡素化、プロアクティブなサービスの提供、クライアントとの信頼性の強化を行っています。
進化を続ける業界に適応する中で重要な注力領域はクライアントエンゲージメントの最適化であるため、担当代理店の管理から始めることにします。BoR の指定は、保険仲介業務に不可欠です。この指定によって、保険会社とのアクションをクライアントの代理として実行する法的権限が仲介業者に付与され、仲介業者は契約の管理、新しい補償範囲の提案を行うほか、信頼されるアドバイザーとして役割を果たすことが可能になります。
新しいクライアントの場合、BoR プロセスは仲介業者が商談 (企業向け医療保険を請け負うなど) を特定したときに開始します。ブローカーが商談を成立させたら、システムにクライアント取引先が作成されます。これにより、特定の補償範囲の BoR レコードが設定されます。
たとえば、Cumulus Brokerage が医療保障範囲で Sally’s Aviation Charter の担当代理店となる商談を成立させた場合、この補償の BoR レコードがシステムで作成され、Sally’s クライアント取引先にリンクされます。

BoR が設定されたら、Cumulus は構造化されたオンボーディングプロセスを使用してシームレスな統合とサービス提供を行えます。最初のステップは取引先チームの構築です。Cumulus はサービスと実装のエキスパートを選別して取引先チームを結成しました。チームはサービスプランを定義し、標準業務手順書 (SOP) からの逸脱に対応し、差し迫った作業のスケジュールを設定しました。この準備フェーズの間、チームはクライアントの期待事項について理解していることを確認しました。
その後、クライアントのオンボーディングが続き、クライアントにエンゲージして関係を正式化することに焦点を絞った活動が実施されました。チームはサービスチームを紹介するミーティングを開催し、配信リストとニュースレターを含むコミュニケーションチャネルを作成しました。締めくくりに、Cumulus チームはセンサス依頼レターをクライアントに送信し、コンサルティング契約と手数料について最終決定しました。
両社の関係が深まるにつれ、仲介業者はさまざまな補償範囲にわたり、同一クライアントの複数の BoR レコードを管理できるようになります。たとえば後に、Cumulus は Sally’s Aviation の自動車補償を請け負うかもしれません。そうなった場合、チームは新しい補償範囲に関する別の BoR を作成し、その BoR も Sally’s 取引先に接続されます。

この構造により、クライアントの保険ポートフォリオ全体を明確かつ一元的に把握できるようになります。
こうした BoR 機能は出発点にすぎません。次の単元では、中核となる保険仲介業務のプラン給付の管理と保険契約ライフサイクルの最適化に焦点を絞って見ていきます。では進めましょう。