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ケースとロードマップを作成する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • イノベーションが影響を与える可能性がある、価値を高める主な手段を発見する。
  • 主要な意思決定責任者からの提案に対する予想される質問をまとめる。
  • 効果的な実装ロードマップの主なコンポーネントをリストする。

ビジネスケースを作成する

概念と製品デモが明確になったところで、今度はビジネスケースです。必要な投資と予想される利益について話ができなければ、プレゼンが終わっても拍手はもらえません。幸いにも、投資家を前に売り込みをする起業家と同様に、この段階ではまだ想定と予想であることは理解してもらえます。財務、マーケティング、運営の各部署の人間に関わってもらいましょう。構築する財務モデルに必要な重要な意見を提供してもらえます。もしかしたら、モデルの作成までやってくれるかも知れません。

価値を高める主な手段

どのビジネスケースについても、最も重要なバリュードライバーに着目します。

  • 収益の増加
  • コストを削減する
  • 生産性を高める
  • 戦略的な能力を増強する

ここで、Aqua Blue チームの Aqua Box の顧客体験アイデアのことを考えてみてください。ビジネス価値の観点から見ると、このアプリケーションの目標は総収入を増やすこと、つまり Aqua Blue ホテルに宿泊してもらい、追加のサービスにお金を払ってもらうことで、収入そのものの増加につなげることです。簡単に言えば、このアプリケーションによって予約数、部屋の稼働率、顧客維持率が高まるはずです。

ここで経営陣から聞かれそうな質問は次のとおりです。

  • この商機の市場規模はどれぐらいか? 実際に需要はあるのか、それとも限られた顧客を対象としているのか?
  • ビジネスモデルは何か? 注文されたボックスごとに取引手数料を取るのか? それとも、利用頻度の高いお客様向けのサブスクリプションサービスなのか? ボックスに製品を提供するパートナーベンダーに収益の一部を払うのか?
  • 予約と定着率への影響はどうやって数量化するのか? お客様がリピーターになってくれる可能性に対する付加価値サービスの影響を計るベンチマークはあるのか?
  • 損益分岐点となる価格はどのあたりか?

この質問に答えるため、ビジネスケースの作成に協力しているチームは次のような想定を立てました。

  • ボックスに含まれる品目の数
  • ボックスあたりの取引手数料
  • 1 つのボックスをいっぱいにして納品するのにかかるコスト
  • 1 年あたり 1 人のゲストが注文するボックスの数
  • 1 人の顧客またはゲストを獲得するためのコスト

ここでの目標は絵を描くことです。理想は、投資コストをはるかに上回る利益が得られることがこの絵から分かることです。

懐疑派を納得させるためのヒント

上級役員にはリスクを嫌う人が多いものです。このような懐疑派に納得してもらうにはどうしたらいいでしょう? 懸念をあらかじめ予想して、証拠に基づく回答を用意しておきます。

以下は、予想される批判とその対応方法です。

役員からの否定的な意見 ビジネスケースの回答
いくら何でも突飛すぎる。
  • 初日から反響を期待できることを証明する (たとえば、宣伝など)
  • 実装とコストを段階的に示す
費用がかかりすぎる。
  • 市場機会を拡大できることを示す
この提案を採用するかどうか検討するので時間が欲しい。
  • 待つ間のコストと、早い段階での成果の比較を見せる

お分かりだとは思いますが、プレゼンではスライドに巨大なスプレッドシートをコピー&ペーストするのは避けてください。そのための操作を次に示します。

  • 最も重要なビジネス価値関連を見出しにしたエグゼクティブサマリーを含める。
  • 市場規模と商機を要約し、第三者機関のデータを裏付けとして含めて信頼性を高める。
  • プロジェクトの最初のフェーズに関連する主なビジネス手段と測定基準をハイライトする。
  • 期待される利益とコストを比較する。秤で利益の方が上回っていることを確認するように!

成功へのロードマップ

実装のロードマップは、ビジネス価値プランと密接に結びついている必要があります。つまり、価値の提供と実現と (理由) に実装のプラン (メソッド) が同期するのです。必要なリソースを得るには、このプロジェクトを戦略的なイニシアチブとして意思決定責任者に重要視してもらう必要があります。

Y 軸にビジネスインパクト、X 軸に月を示したビジネスインパクトカレンダーチャート

実装プランの策定には、まず製品のどの側面をいつ公開するか、という将来レベルの概略を決めます。ここで再び「Minimum Loveable Product (MLP: 最小限に愛される製品)」の概念を使って、たとえば、当初の Aqua Box には衣服と靴だけで、化粧品やアクセサリは入れない、という説明をします。

ロードマップストーリーでは、提案したビジョンを実現するには何をする必要があるかが明確になるように、現在と今後の能力のギャップを示してください。成功へのロードマップを伝えるには、次の 3 つの主な成果物を使用します。

  • ビジネスケイパビリティマップ - 目標を達成するために組織が実行することを構成する基本的な能力。たとえば、予約をとる、ゲストをチェックインさせる、支払いを受ける、という処理を実行するために組織が使用する特定のビジネスプロセス。ビジネスケイパビリティマップは、製品やサービスを提供するために必要な最も重要な機能を定義します。
  • 技術的なアーキテクチャ - ビジネスモデルをサポートするために必要なケイパビリティを提供するシステムとインターフェースのスナップショット。
  • 実装プラン - 重要なケイパビリティそれぞれをいつ、どのように実現するかを示す、タイミングとリソース調達の詳細ビュー。

ゾウはどうやって食べる? 一口ずつ!

将来を予測するのは難しいことです。(何て控えめな表現でしょう!)ビジネスの世界では、物事の変化は急で、いま競合しているエコシステムが 3 年、5 年、さらには 10 年後にはどうなっているのかなど、想像もつきません。ですから、適切な割合で価値と能力 (ケイパビリティ) を提供できるように、段階的にプロジェクト (つまり、ゾウ) に取り組んでいく必要があります。

この概念は、顧客主体の製品開発に共通するもので、当初の構築と提供は小さく行い、以降は徐々に製品の要素の機能的な改善を反復的に行っていきます。この方法では、改善から短時間で価値を実現でき、お客様からどんどん学んでいくことができます。

関係者と協力して、どのケイパビリティに最初に注力するか、2 番目はどれにするか、というようにケイパビリティの優先順位を決定してください。この優先順位をもとに、チームで完全にサポートできる実装プランを作成します。たとえば、スポンサーによっては顧客対応要素を最重視する場合や、収益増に繋がる KPI を最優先する場合があります。優先順位に沿っていることを確認し、ロードマップに取り込むようにしてください。

誰が作業するのか?

ビジネスの世界では、変化を実現する上で、リソース獲得が妨げになることがよくあります。みなさんの組織は、ビジョンを実現するために必要なワークロードや変更管理に対応できるでしょうか? 実装時のリソースサポートを計画しておくことは不可欠です。既存の戦略的プログラムについて組織がどのように資金やリソースを確保しているかを考えてください。構築は社内でやっているか? パートナーと協力して変更を実装しているか? このような決定はコストにどのように影響するか?

関係者と協力して、これらの質問に対する最良の答えを見つけてください。仕事を完了するために必要な時間とコスト、リソースの関係を調べてください。

このジャーニーはもうすぐ終点ですが、みなさんのジャーニーはこれから続きます。次は、イノベーションビジョンを実行可能なものに変える方法を学びます。

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