チームによるアイデア創出
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 共創について参加者に事前に教える方法を説明する。
- 参加者にひらめきを与えて想像力をかき立てる方法を説明する。
- ジョブストーリーの目的を定義する。
ウォームアップ: プレールールとアイスブレーカー (緊張をほぐす演習)
冒頭の数分間は、このミーティングが普段のビジネスミーティングではないことを知ってもらう時間です。通常よりも、もっとクリエイティブで、ダイナミック、そしてアクション主体のミーティングであることを知ってもらいます。この雰囲気を伝える際には思慮が必要です。あなたのスタイルが参加者の振る舞いの一例となるからです。たとえば、「本日のミーティングでの考慮事項です」という代わりに、「これが本日のプレールールです」と言ってください。
よく使われるプレールールは次のとおりです。
プレールール |
詳細 |
---|---|
記事本文ではなく見出し |
ここにいる人たち全員が専門知識を持っていることはよく分かっており、それぞれの信頼を確立するために長い時間をかける必要はないこと、記事本文ではなく、見出しを簡潔に伝えるだけで良いということを事前に説明します。 |
懐疑心を抑える |
大胆なアイデアを聞くと、そんなことは実現できないというさまざまな理由から即座に拒絶反応を示す傾向があります。「挑戦 (Dare)」イベントの目的は、まさにこのような懐疑心をいったん保留にすることなのです。 |
あらゆることを疑ってかかる |
「挑戦 (Dare)」イベントでは、話題に上ったものはすべて再考され、放り出され、根本的に変革されて、 |
緊張が溶かれたところで、参加者からクリエイティブなアイデアをどんどん出してもらいます。この「ヒーローと悪人」演習では、参加者に 2 ~ 3 のグループに分かれてもらいます。
説明
- 「ヒーロー」か「悪人」か、アニメのキャラクターを選ばせて、その特徴を書いてもらいます。
- そのキャラクターが持っている超人的な力や強さは何か
- そのキャラクターが失敗、挫折、または傷心したときはいつか、何が起きたのか
- スマートフォンから 1 つのアプリを適応させて「ヒーロー」または「悪人」を助けるとしたら、どのように使うか
- 説明をフリップチャートに書いて、みんなに見えるように壁に貼ります。
要約: お客様を「スーパーヒーロー」になった気持ちにさせることができるようなソリューションの考案。
目標は、参加者が爆笑してそのテンションで作業にかかることです。さっそくやってみましょう。
インスピレーションに浸る
「最初はお馴染みの古い曲をアレンジしていたけれど、何か違うことがしたくなった。そこで当時バイトしていた「プードルドッグカフェ」のアイスクリームソーダマシンのリズムに合わせて曲を書いてみたんだ。いろいろメロディをいじくって出来上がったのが、あの処女作だよ。」- デュークエリントン
伝説のミュージシャン/作曲家、デュークエリントンは、アイスクリームソーダマシンのリズムに合わせて最初のオリジナル楽曲を作曲しました。狙っているイノベーションが段階的であれ、画期的であれ、洞察やトレンド、他の分野の業績を挑戦に適用する方法を思いつけるようなスペースにチームを置くことで、作業の円滑化を図ってください。
将来予測を共有する
インスピレーションに満ちた刺激的なプレゼンを提供するのが外部の専門家であろうと、コアチームであろうと、いま世界で何が起きているか、それが会社やお客様にどのように関係するかという背景情報を用意します。大事なのは、変化の元となる外部要因の組み合わせに触れることです。
将来予測の最も重要なコンポーネントについては、「イノベーションでの顧客発見」モジュールの「将来のカスタマーエクスペリエンスを検討する」単元を参照してください。
予測と、外部要因に基づく変化がやむを得ないケースを共有したら、「何もしないで待っていたらどうなるか...」または「15 年後にお客様が求めると思われるのは、この___」というテーマの会話を切り出します。アイデアは附箋やホワイトボードに書き留めます。
お客様を知る
最初の単元「刺激的で活気に満ちた環境を作る」で触れたように、参加者のインスピレーションのポイントとして、発見プロセスと結論をここで使用します。プレゼンでは、お客様のニーズや商談の意外な部分に光が当たるように工夫してください。たとえば、「お客様についてこれまで知らなかったこと 5 つのこと」のような言い方をしてください。
この後、参加者に少人数グループまたは 1 つのユニットとして、今のプレゼンテーションで印象に残った最も説得力のある洞察をハイライトしてもらいます。ここで出たアイデアが軸となります。
ちょっと楽しいアクティビティ
インスピレーションを生む方法として、業界の他の優れた企業や組織が関連する問題を解決したストーリーを共有することに勝るものはありません。ここでの目的は、参加者にひらめきを与え、「私たちの問題を解決し、私たちのビジョンを実現する上で X 社から学べるものは何か?」という質問に答えてもらうことです。
この演習を効果的に進めるには、グループを分けて、混乱要因の例を順に挙げさせるのがベストな方法です。参観者には附箋を持たせて、歩き回りながら、他社が行った使えそうな方策や特徴を挙げていってもらいます。参加者にテーマを与えて導くのも役立ちます。たとえば、「Uber のように迅速に物事を実行するにはどうしたらいいか?」、「Disney のように完全にコネクトするためにはどうしたらいいか?」などです。
面白くなってきました? こういった活動は楽しく、うまく演出すれば参加者に絶大な影響をもたらします。最後には壁や窓が「...だとしたらどうなるだろう」というレベルのアイデアや落書き、スケッチで埋め尽くされているはずです。
アイデア創出の次のセクションでは、現実の世界に立ち戻って、より実践的なブレーンストーミングを開始します。
ジョブストーリー
さて、集まった大いなるアイデアを手元の業務に結び付ける、つまり、顧客体験に変えるにはどうすればいいでしょうか? 結び付きを実現するための最初の重要なステップは、Intercom 社の「Jobs to Be Done (片付けるべき仕事)」と呼ばれる技術的な製品開発で使われる技法を使うことです。この技法は、次のような構成の 1 つの文章を使って、お客様が完了する必要がある業務や作業をできるだけ多く定義する、というものです。
______ の場合 (状況)、______ ように (結果)、______ したい (モチベーション)。
Aqua Blue ゲストの場合の例を挙げてみましょう。
- 家族旅行する場合、旅先で買わなくても済むように、子供に必要なものはすべて持っていくようにしたい。
- 海外旅行する場合、観光客ではなく地元の人間のように感じられるように、充分な準備をしてから出かけたい。
製品開発やエンジニアリング部門の人間なら、この文章は従来のユーザーストーリーの派生版だと分かります。
30 分ほどかけて、参加者と一緒にジョブストーリーのリストを作成してください。事前に作っておいた文章を作業セッションでレビューしたいと思うかも知れませんが、ここで重要なのは、お客様の成功には何が必要かという思考プロセスをイノベーションチームが辿ることなのです。
ジョブストーリーが集まったら、1) 物事を未来に向けて変えていくためのインスピレーションをもたらす外部の力について外向きに考える、2) お客様が何を必要とし、何を欲しているかを明確にする、というイノベーションプロセスの重要な 2 つの部分を達成したことを参加者に説明して、労います。
次はいよいよ、インスピレーションフェーズで創出されたさまざまなアイデアから点を線で結んで、プロトタイピング可能なソリューションに変えることに取り組みます。
リソース