刺激的で活気に満ちた環境を作る
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 「挑戦 (Dare)」フェーズの目標を説明する。
- 共創の価値を理解する。
- 参加と共創を確実に成功に導く戦術について説明する。
大きな夢に挑戦する
未来の見出しを作成し、チャーターを通じてイノベーションプロジェクトの範囲を定義し、アーキタイプを通じてお客様のニーズと商機を特定したところで、次はいよいよそのソリューションを考える番です。
拡散的思考 (選択肢の作成) という段階に来たのです。イノベーションチームを総動員して貢献に向けて動き出すときです。そうです。最初のモジュール、「イノベーションの基本」の役割マップで特定した関係者全員です。
通常、これぐらいの段階では、さまざまな人が異なるレベルで関与しています。目的や進捗を完全に把握していると感じている人もいれば、「あのイニシアチブは一体どうなっているんだ?」と思っている人もいます。
経験上、主な意思決定者とインフルエンサーを集めて思い切った夢に挑戦してもらうのがベストであることが分かっています。このミーティングを「挑戦 (Dare) イベント」と呼ぶのはこのためです。
参加することに意義がある!
この時点でどうして流れをいったん止める必要があるのか、と思われていると思います。コアチームは雰囲気も良く、数時間もすれば自力で解決策を考案できるはず。この勢いを保ったまま、いくつかの選択肢を具体化して、後はその結果を上司にレビューしてもらえばいい、と。
****それが危険なのです! ****
チームが孤立した状態でイノベーションを進めることはお勧めしません。ただし、優れた研究者なら、この言葉を鵜呑みにすることはありません。むしろその理由を尋ねるはずです。
変更を現実に採用するには、組織の複数の部署の適応が必要になります。主な関係者が疎外感を感じず、自分たちもプロセスの一部であると感じられていれば、ビジョンを実現できる確率が高くなります。これを「共創」と呼びます。
ライブの対面型「挑戦 (Dare)」作業セッションには次のような利点があります。
- 雰囲気 - アイデア創出に最適な雰囲気や環境を準備できます。これについては後で詳しく説明します。
- 量 - アイデア創出ではとにかくたくさんのアイデアが生まれることが重要です。とりあえずはできるだけアイデアを創出して、後でまとめれば良いわけです。
- 多様 - 創出されるアイデアは、数だけではなく、突飛なアイデアから、あまり受けなそうなアイデアまで、種類もさまざまである必要があります。役員以外でも、ゲストリストには、エンドユーザー、異なる地域の代表者、そして外部の専門家や提唱者なども必ず含めてください。
- Inspirational relief - 上層部から一般社員まで、組織の全員が日々の仕事に追われています。この種のイベントは、精神的な中休みになり、参加者全員に充電の時間をもたらします。
何もイベントは1回のみに限定する必要はありません。実際、一連の作業セッションを開催した方がアイデア創出プロセスや開発プロセスがオーガニックで反復的になります。
「挑戦 (Dare)」アジェンダの美学
イベントの企画が大の苦手ですって? それなら、こういうことが得意なコアチームまたはステアリングコミッティの誰かにお願いしてしまいましょう。または、代理店や外部のアドバイザーに依頼してしまうのも 1 つの手です。
推奨される詳細については後で説明するとして、まずは一歩下がって全体像的な目標を理解しておくことにしましょう。同僚たちの時間と労力を有効に使ってもらうためには、どんな方法がベストでしょうか?
以下は、「挑戦 (Dare)」イベントのすばらしいアジェンダを企画するためのヒントです。
- 緊張をほぐす - これは日常の業務の延長ではないことを分かってもらうために、ウォームアップ演習を取り入れます。お勧めの方法については後で説明します。
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サプライズゲスト - 「集団思考」を割けるために、外部の人間の話を聞くことは、参加者にとって有意義なだけでなく、イノベーションプロセスにも役立ちます。ゲストには、主題の専門家や大学教授、お客様、アーチスト、科学者などが考えられます。ゲストの役割は、傾向や研究についての知識や、世界がどんな風に変わってきているかについての洞察で参加者にちょっとしたショックを与えることです。ゲストには、その後も留まってセッションに参加してもらうのが良いでしょう。ゲストが加わることで、会話やアイデア創出の質が高まります。Aqua Blue のイノベーションでステアリングコミッティが用意したまったく新しいゲスト体験を思い出してみましょう。短い招待リストの内容は次のようなものでした。
- パートタイムサービス従業員の傾向について短期人材派遣の専門家と話す
- 人工知能がサービス業をどのように変えていくかについて AI の技術者と話す
- 客企業 5 社で構成されるパネルで Aqua Blue Properties に関する Q&A を行う
- お客様への紹介 - 発見プロセスと作成したアーキタイプについて報告する時間を取ります。お客様のストック画像または実際の画像を壁に貼ったり、会話のビデオクリップを流したりするなどして、擬人化します。
- アイデア創出とプロトタイピングの演習 - まとまった時間 (少なくとも 90 分から最大 3 時間) を取って、実際にアイデアを創出します。このトピックについては後で詳しく説明します。
- シャークケージ - 参加者に、投資家が目の前にいることを想定しながら、自分の最高のアイデアを売り込む実演をしてもらいます。この演習は、切迫感や競争感をもたらすだけでなく、セッションを盛り上がて楽しいものにしてくれます。さらに面白くするためにコンテストに何かユニークな名前を付けてください。
詳細にこだわる
セッションを企画するときには、印象深く、忘れられないイベントになるように詳細にこだわってください。みんながムードや雰囲気を気にするとは思えないと考えるかも知れませんが、それだからこそ普通の月曜日の朝のミーティングとは違う感じを作り出す環境を用意する必要があるのです。
特にこだわっていただきたいのが、スペース、雰囲気、ファシリテーターです。
会場
イベントの開催期間は数時間から 2 日に及ぶため、最終的に必要となるのは人々が安全で快適に過ごせるスペースです。身体的能力の違いも考慮し、全員が居心地良いと感じるようなスペースを選ぶ必要があります。イノベーションのために良いミーティングスペースを選ぶには、次のガイドラインが役立ちます。
- 窓は絶対に必要
- 椅子は無くても OK(ここでも、すべての人の身体的ニーズに気を配ることが重要です。)
- 外に出たり、普段とは違うと感じられるようなスペースを探してください。
- 動き回れるように、広いスペースが必要
- 狭くて薄暗い部屋しかないと、セッションにはそこそこの効果しか期待できません。スポンサーをリストアップしてもっと良いスペースを探してください。お願いします。
雰囲気
これがみなさんの専門分野ではないことは重々承知しています。でも、クリエイティブなアイデア創出には雰囲気が大きく影響することを理解してください。イベントを企画するときには、次の点を考慮します。
- 音楽 - 「挑戦 (Dare)」セッションの企画ってパーティの準備みたいじゃないか、と思ってくれたら最高です! そこがポイントなんです。ゲストが到着したら入場曲で迎えます。「80’S アンセム」、さりげないインストルメンタル、または今月のヒット曲など、会社の雰囲気に合う音楽を選んでください。
- テーマ - 演習のテーマを選びます。
- デコレーション - 著名な改革者の明言を壁に貼る、お客様の写真を飾るなど、参加者を喜ばせたり、刺激したりできるものを考えます。
- 食べ物とセッティング - いつものケータリング業者を使うのではなく、趣向が違う業者や料理を使います。外に移動式屋台の車を用意して、みんなが新鮮な外の空気を吸いながら駐車場でおしゃべりできるようにします。セッションの後は、カレンダーに昼食や夕食の時間を取っておきます。
- サプライズ - 忘れらないミーティングになるように、サプライズを用意できるチャンスがあれば逃さないことです。CEO に協力してもらってミーティングの一部に飛び入り参加してもらったり、招待されなかった従業員の動画を録画しておいて会場に声だけ流したりしても良いでしょう。
人は雰囲気次第でリラックスし、普通なら考えられないようなアイデアに浸ったり、他人の意見にもいつもより耳を傾けやすくなります。このような要素を取り込むことで、「挑戦 (Dare)」イベントを成功に導くことができます。
ファシリテーター
準備する最後のコンポーネントはファシリテーターです。「挑戦 (Dare)」イベントで実施する演習には、少人数のグループに分かれて行うものがあり、これにはファシリテーターが必要です。この役割は外部のグループに任せても、あなた自身またはコアチームのメンバーの誰かが務めても構いません。1 人のファシリテーターが 4 ~ 7 のグループを担当できます。
良いファシリテーターとはどんな人でしょうか? 次のような条件を満たす人が適任です。
- エネルギッシュ - コーチと同様に、ファシリテーターはチームのモチベーションを高め、セッションの間、集中力とやる気を維持させる必要があります。
- 把握 - プロジェクトの目標について熟知していること。外部のグループに依頼する場合は、部外者感が軽減するように、事前に概要を説明し、一部の関係者と会う機会を設けてください。
- 会話の切り出し - 演習の開始前は必ず「えーと、これから何をやるんだっけ?」という瞬間があります。ファシリテーターには、すばやく混乱を収拾して先に進める能力が必要です。
- 聞き上手 - ファシリテーターはグループの参加意識や貢献意識を刺激する一方で、自分のアイデアだけではないことも理解している必要があります。
- 点と線を結ぶ - 優れたファシリテーターは、バラバラなアイデアをすばやく結び付けて統合し、さらに新しいアイデアに繋がるような質問を提起します。
このように、スペース、雰囲気、ファシリテーターという 3 つの要素にこだわることで、「挑戦 (Dare)」イベントを成功に導くことができます。それでは実際に「挑戦 (Dare)」イベントではどんなことが行われるのか見ていくことにしましょう。