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チームの構築と統率

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 社内起業が何を意味するかを説明する。
  • イノベーションリーダーの従業員が示す 4 つの行動を挙げる。
  • イノベーションチームに加えると助けになる役割を挙げる。
  • チームへの参加を促す戦術を実践する。
  • どうすれば自分とマネージャーが失敗に備えられるかを詳細に説明する。

イノベーターの職務内容

イノベーターの職務内容はそれぞれ異なりますが、あなたが「自分にできるだろうか? 経験がないのにどうやってイノベーションチームを統率すればよいのか?」と考えても無理はありません。自信を持ちましょう! 代わりに「社内起業家」のように考えてください。(イノベーションのトレイルなので、いくつか流行語が登場します)。

社内起業とは、組織内で起業家のように考え、行動することです。社内起業家は、情熱があり、献身的で自発的に仕事をします。その動機となるのは、新しいアイデアを取り入れ、実現することです。夢に描くだけでなく実践します。

思い描いた変化を実現する場合には、3 つの重要な考え方を実践します。

  • イノベーションへの取り組みには異なるマインドセットが必要である。行動面で、特定の習慣を取り入れます。
  • 会社全体を巻き込む。実施に向けてよい状況を作り出すには、最初から適切な人物を巻き込むことが重要です。
  • 失敗する可能性もある。この可能性を無視したり、拒否したりするよりも、それを認めてプロセスの避けられない部分であると見直すことが必要です。

次は、上記の考え方のそれぞれを、すぐに使用できるようにヒントや演習と共に説明します。

イノベーションへのマインドセット

Gary Hamel と Nancy Tennant は、Harvard Business Review の記事「The 5 Requirements of a Truly Innovative Company」 (本当にイノベーティブな企業の 5 つの要件) で、イノベーションと社内起業に不可欠な 4 つの行動について説明しています。

  1. 目に見えない伝統主義に立ち向かう。「それがこれまでやってきた方法だから」というマインドセットを拒否します。伝統主義を打ち砕く方法については、「イノベーションプロジェクトの定義」モジュールで詳しく取り上げます。
  2. 正当に評価されていないトレンドを活かす。データ、予測、およびトレンドを解釈することでとてつもない力が生まれます。常に新しいもの、次に来るものを探します。競合他社が見落とした洞察を偶然発見できるかもしれません。これは「予測」と呼ばれ、「イノベーションでの顧客発見」モジュールで詳しく取り上げます。
  3. 強みと資産を活用する。社内起業が優れている部分の 1 つは、会社全体の強さと広さに支えられているということです。組織が何か新しいことを試すことを支持する場合は、全体として何ができるかを考え、自分たちの有利になるように利用します。抽象的でしょうか? 1955 年頃のディズニーについて考えてみましょう。ウォルト・ディズニーは、その時点ですでにいくつもの映画を大ヒットさせており、ミッキーマウス、シンデレラ、ピノキオなど、数多くのキャラクターとコンテンツを生み出して成功を収めていました。ディズニーランドのアイデアを思い付いたとき、それは本当に夢のようなアイデアでしたが、その資金をテレビへの多角化によって賄いました。知的財産を活用し、他の配給チャネルへの転換を始めたことで、大きな賭けへの資金を出すことができたのです。
  4. 明確化されていないニーズに対処する。顧客に対する徹底した民族学的観察を通して隠れたニーズを把握します。「イノベーションでの顧客発見」モジュールでは、迅速な顧客発見アプローチをいくつか紹介します。

もう 1 つの実践すべき習慣は、拡散的思考と収束的思考のプロセスです。このプロセスでは、自由な思考で膨大な数のアイデアを探索、生成、および検討します。ある地点に達したところで、立ち止まり、決断を開始できます。たとえとして次のような状況を考えてください。あなたは、お気に入りのオンラインシューズストアにアクセスし、何百足もの選択肢を見て回り、10 足程度を選んで買い物かごに追加します。そこから買い物かごの内容を吟味し、候補を絞り込んで 1 足を購入します。

イノベーションプロセスでは、選択肢を作成する期間と決断する期間を交互に繰り返します。このジャーニーを続けながら、このモデルを使用してそれぞれの期間でチームが幅広く検討しているか、今後の道を絞り込んでいるかを検証します。

拡散: 選択肢を作り出す。集中: 選択する。

会社全体を巻き込む

当然、自分 1 人でイノベーションを行うのは至難の業です。何より、自分だけではすべての作業をやり遂げることができません。ここでは、チームを構成するいくつかの役割を挙げています。組織のスタイルと文化に合わせて独自の名前を考えてください。

イノベーションの役割マップ

役割

説明

担当役員

例: CMO

このイニシアチブを主要な優先事項にする、成功し、尊敬されている役員または最高責任者レベルのリーダー。このスポンサーは、プロジェクトの最初のビジョン作成に参加します。プロセス全体を通してこのスポンサーには常に最新情報を報告し、関与を求めます。プロジェクトが完了したら、結果をスポンサーにプレゼンテーションします。

この人物は、プロジェクトの成功を信じており、プロジェクトの最も熱心な支援者でもあります。組織全体でのプロジェクトの採用を促進するつもりならば、少なくとも 1 人の担当役員が必要です。

プロジェクト所有者と精神的支援者

例: カスタマーエクスペリエンス (マーケティング) 担当役員

最も可能性が高いのはあなたです! あなたは、ビジョン作成とプロセス管理を統率する責任を負います。プロジェクト管理のスキルに自信がない場合は、予定や ToDo リストをあなたに替わって管理できる人を挙げます。

コアチーム

例: 製品マーケティングマネージャー、戦略部門責任者、小売部門責任者

これらの人物はプロジェクト所有者と対等になります。プロジェクト全体を通して困難な作業を支援します。彼らのマネージャーがステアリングコミッティのメンバーである可能性があります。

ステアリングコミッティ

例: CFO、CIO、COO、営業部門責任者、マーチャンダイジング部門責任者、デジタル部門責任者

プロジェクトの規模と範囲に応じて、ステアリングコミッティは、上級リーダーによる機能横断的なグループにする必要があります。担当役員の直属になる可能性があります。

顧客アンバサダー

例: カスタマーエクスペリエンス、データ分析、またはカスタマーサービス部門の責任者

まだ担当部門がない場合は、顧客の態度や意見を密接に把握できる人物を加えます。顧客分析部門の責任者でも、社内の製品やプロセスを変革する場合はエンドユーザーでもかまいません。

たとえば、カスタマーサービスチームのトレーニングプラットフォームを全面的に見直す場合は、カスタマーサービス担当者を少なくとも 1 人、再設計に加えます。

開発者委員会

例: 製品部門責任者、ユーザーエクスペリエンス担当リーダー、外部のシステムインテグレーター、外部の設計会社

おそらく、ソリューションを社内だけで実施することはないため、作業を担当すると予想されるグループと協議します。

たとえば、ソリューションの一部にアプリケーション開発が含まれる場合、開発者、ユーザーエクスペリエンス担当リーダー、製品マネージャーに呼びかけます。社内にこうした能力がない場合、外部の開発会社に声を掛けてスケジュールと予算を大まかに把握します。

各分野のエキスパート

例: インサイト部門責任者、小売およびホスピタリティの専門家、ホスピタリティ関連の新興企業の CEO

イノベーション作業の重点に応じて、このトピックを専門とする人々に呼びかける必要が生じます。これらの人々は毎日参加する必要はありませんが、早い時期に 1 対 1 で話しておくと、すばやく知識を得ることができます。組織内にいるかもしれませんが、外部の人材も検討できるように準備しておきます。ネットワークを活用しましょう!

パラシュートを用意して失敗の衝撃を和らげる

「でも失敗したらどうするんです? 取り組みを中止させられないようにするにはどうすればいいでしょうか?」

イノベーション作業は困難で警戒され、多くの場合は日々の職務の合間に行われます。Salesforce のアプローチは、イノベーションのリーダーとして成功する確率を高められるように設計されています。それでも、最も完璧な計画でさえ妨げられる可能性があると認識しておくことが重要です。大切なのは、チームやマネージャーと共に失敗の可能性に向き合うことです。

3 つの推奨事項があります。

  1. 意図を設定する — イノベーションプロジェクトを実施する意図をマネージャーに伝えます。マネージャーの支持と指導を取り付けます。密かに試すことは楽しいかもしれませんが、ほとんどのマネージャーはサプライズをよしとしません。
  2. 学習目標を設定する — マネージャーと一緒に学習目標を設定します。組織は何を学習し、あなたは個人的に何を学習できるでしょうか?
  3. マネージャーから確約を得る — 学習目標に基づいて、成功した場合、そして結果に関係なく取り組みに対して報奨を受けられるようにマネージャーから確約を得ます。

チームや上司と率直に話し合うことで、サポート、励まし、評価を得てこのジャーニーを開始できるようにします。やり遂げるための自信は、信頼、透明性、そして GRIT (より適切にすばやくスマートに適応または転換できる能力) が揃ってはじめて築かれます。

それでは始めましょう!

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