共有カタログについて知る
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 共有カタログの目的を説明する。
- 共有カタログを Industries CPQ アプリケーションで活用する方法を説明する。
- 共有カタログの機能を確認する。
共通目標
優れた商品設計者である Devi Jacob を覚えていますか?
Devi は先日、自分が勤める Infiwave がデジタルトランスフォーメーションの一環として Industries CPQ を導入したことを知りました。Industries CPQ には共有カタログが付属するため、Devi は自分が担当する大規模な商品カタログの管理に最新のアプリケーションを利用できるようになります。
共有カタログは、商品やサービスの設計、発売、管理に使用する強力なソリューションです。Devi は共有カタログを使用して、エンドツーエンドのプロセスを設定し、企業間 (B2B) や企業対消費者 (B2C) の販売、CPQ (設定、価格、見積)、履行の業務を促進できます。
Infiwave のカタログの課題
かなり長い間、Devi とその同僚は Infiwave の商品ポートフォリオの管理でさまざまな課題に直面してきました。分断されたシステムやスプレッドシートを頼りに商品や価格の設定を追跡してきたため、数々の問題が生じています。
- システムやアプリケーションが分断されている: Dev の職務は、商品とテクニカルプロダクトの両方を設計して管理することです。商品は、お客様が購入可能な資産です。テクニカルプロダクトは、注文管理が注文を履行するために使用する根幹的なバックエンドコンポーネントやリソースです。現在、Devi はこうした情報を管理するために複数のシステムを切り替えなければならず、商品データを簡単に見失ってしまいます。
- 商品設定の管理が困難である: マーケティングチームや営業チームがロールアウトを望む独自の商品設定を列挙した Devi のリストがどんどん長くなる中で、現行のシステムではこうした商品設定が大きく制限されています。Devi が各商品を 1 つずつ構築しなければならないため、既存の商品情報の更新に時間をとられ、複雑な商品バンドルの追跡まで手が回りません。お客様の注文に記載されている商品同士に互換性があることを確認するのに精一杯です。さらに、地域ごとに商品の在庫を管理したり、対象となるお客様や条件を満たすお客様に商品の提供を制限したりすることにも苦心しています。
- 価格設定にも問題がある: 価格設定設計者の Ada は、効果的な価格設定戦略を実践する難しさを度々痛感しています。価格設定スプレッドシートが日ごとに煩雑になり、整理されていないがために、価格の変更、特別割引、期間限定プロモーションを追跡することが困難になっています。そのため、特定の顧客グループを対象に価格をカスタマイズしたり、特定の顧客セグメントを特別価格で引き付けたりすることがほぼ不可能です。
- データの信頼性に欠ける: Infiwave の商品モデルは通信業界の標準を満たしていません。Devi は、有効性が実証された確固たる商品階層があれば、商品データを簡単に作成して管理できることを知っています。Infiwave にはデータ入力のガイドラインがなく、検証メカニズムもないため、商品情報が不正確なことが多く、その結果、注文に間違いが生じ、お客様が不満を抱き、ビジネスを失っています。
Industries CPQ の信頼できる一元的な情報源
共有カタログは、Industries Communications、Media、Energy & Utilities Cloud で使用されるすべての商品、サービス、リソースの信頼できる基盤です。共有カタログの商品と価格設定データは、Industries CPQ、デジタルコマース (DC)、契約ライフサイクル管理 (CLM)、業種注文管理 (OM) アプリケーションに対応します。共有カタログは、こうしたアプリケーションに共通する一元的な情報源となることから、この名前が付けられています。
共有カタログは、業界をリードするカタログドリブンのプラットフォームで、次の方法でビジネスの CPQ と注文管理を簡素化します。
- メタデータアプローチを使用して、ごく初期の段階からお客様のもとへ届けるまで、商品のあらゆる変遷に対応します。
- 完全な商品-サービス-リソース (PSR) モデルを使用するエンドツーエンドのエコシステムに統合して、販売、CPQ、注文管理、注文履行の機能を促進します。
- 進化型のアプローチで、フロントオフィスとバックオフィスの両方のシステムをカタログドリブンのアーキテクチャに変換します。
商品エンティティのバージョン管理とライフサイクル管理をさらに細かく管理する場合は、エンタープライズ商品カタログ (EPC) を使用できます。EPC には別途のライセンスが必要ですが、共有カタログの機能が拡張されます。EPC 固有の機能については、Trailhead の「Industries EPC の基本事項」で学習します。
カタログの簡潔な設定とメンテナンス
共有カタログはさまざまな面で Infiwave の役に立ちます。
一元的な商品データ
共有カタログでは、Infiwave の全員が同じ商品情報と価格情報を使用します。Devi が商品とテクニカルプロダクトの両方を保存して、相互に対応付けることができるため、注文管理チームは正しいコンポーネントをすべて搭載したうえで注文を確実に配送できます。商品と価格のデータがすべて 1 か所にまとめられていることから、Ada が旧式の価格設定スプレッドシートに頼る必要がなくなります。そのうえ、お客様と営業担当が最新情報をすぐさま確認できます。
簡便な商品設計
共有カタログでは、選択リスト、属性、オブジェクト種別など再利用可能なコンポーネントを使用して、スタンドアロンとバンドルのどちらの商品もすばやく簡単に定義できます。たとえば、Devi は同じ特性の多数のコンポーネントで構成されるインターネットサービスのオファーを構築する必要のあることが多々あります。共有カタログでは、共通の商品属性を設定したインターネットサービスオブジェクト種別を作成し、そのオブジェクト種別を使用してさまざまなインターネット商品を作成できます。コードは 1 行も記述する必要がありません。
カスタム価格設定
共有カタログでは、価格設定コンポーネントを簡単に作成、適用、管理できます。Ada は、価格の期限が切れたときに自動的に引き継ぐ新しい価格を設定することや、課金を 1 回限りまたは定期的な支払に設定すること、同じ商品に対してお客様の種別ごとに異なる価格設定を作成することができます。さらに、お客様の場所、ロイヤルティ、状況、特定の商品やサービスの利用状況に基づいて、商品の価格を設定する数式を使用することもできます。
商品の表示
Devi が共有カタログにビジネスルールを作成すれば、お客様のカートに表示される商品を管理できます。たとえば、購入できない商品や別の商品と互換性がない商品を非表示にすることや、必要に応じて追加の商品の購入を求めること、お客様が対象となる商品や条件を満たす商品のみを表示することが可能です。
データの信頼性
Devi は、共有カタログが TM Forum の SID や業界固有の他のデータモデルをサポートしていることに感動します。Infiwave の独自のニーズに合わせてカタログを設定することも可能です。共有カタログにはデータ入力のガードレールや検証メカニズムが組み込まれているため、メタデータの重複や不一致が阻止され、Industries CPQ のカートの注文が常に有効なものになります。
主な機能
各タブをクリックすると、共有カタログの主な機能の概要が示されます。
準備完了!
そろそろログイン情報が届く頃ですが、Devi は共有カタログの機能の詳細を確認するまで浮かれすぎないようにしようと思っています。待っている間、商品カタログの行く手に広がる無限の可能性を思い描いて夢心地になっています。