業種価格設定の概要
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- エンタープライズ商品カタログ (EPC) で価格設定デザイナーを使用する目的と利点を要約する。
- 価格設定デザイナーの基本コンポーネントについて説明する。
始める前に
どのくらいの知識をお持ちでしょうか。このモジュールでは、以下の経験があることを前提としています。
- 職場での見積書や注文書の作成と修正。
- 商品デザイナーを使用した、会社のカタログに掲載する商品の作成。
- 営業チームとの主要な価格戦略についての話し合い。
さらに知識をお求めでしょうか? このモジュールで学習する概念や作業をより深く理解するためには、次のコースでバッジをすべて獲得してください。
適切な価格の設定
Ada Wilson は、通信サービスプロバイダー (CSP) Infiwave の価格設定マネージャーであり、今週は重要な任務を担っています。四半期の終わりが近づいた今、Infiwave は余剰在庫を抱えています。Ada には、新規顧客を獲得して維持することは言うまでもなく、市場での会社の業績を向上させるための新しい価格戦略が求められています。
Ada は商品やサービスの価格設定スキームの策定を担当しており、以下の職務を背負っています。
- 法人顧客と個人顧客に対して別々の価格設定を定義する
- 期間限定の価格設定、割引、プロモーションを設定する
- 個別に販売される商品とバンドル商品で価格を変える
- 商品やサービスの価格を時間の推移に合わせて管理する
- 顧客の状況、場所、サービスレベル契約 (SLA) など、さまざまな変数に応じて価格設定をカスタマイズする
Ada は有能なのですが、いくつかの課題に直面しています。Infiwave の価格設定ツールキットは、システムどうしが接続されておらず、スプレッドシートも複雑であるため、彼女にとって最大の障害となっています。絶え間なく続くデータ入力と手作業によるメンテナンスが、彼女の貴重な時間を奪うのです。Ada はすっかり燃え尽きてしまいました。
EPC 価格設定デザイナー
絶え間ない仕事のプレッシャーに晒されている Ada に希望の光が見えました。Infiwave が Industries CPQ (Configure Price Quote) とエンタープライズ商品カタログ (EPC) を導入したのです。これによって、Ada と彼女のチームは、商品と価格を効率的に管理できるようになります。
Ada が価格設定デザイナーについて学ぶ時が来ました。価格設定デザイナーは、ノーコードの EPC ワークスペースであり、Infiwave のカタログに掲載されているすべての商品とサービスの価格を設定できます。
価格設定デザイナーの機能の一部を紹介します。これらの機能は、Ada の作業をスピードアップして簡素化します。各ボックスをクリックすると詳細を確認できます。
Training Playground に登録する
このモジュールにはハンズオン Challenge がありませんが、練習のために手順を試してみたい場合は、Industries CPQ とサンプルデータを含む特別なトレーニング組織が必要です。通常の Trailhead Playground には、Industries CPQ やサンプルデータは含まれていません。
次の手順に従って、今すぐ無料のトレーニング組織を取得してください。
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Industries Training Playground にサインアップします。
- フォームに記入します。
- 名と姓を入力します。
- 有効なメールアドレスを入力します。
- 会社名を入力します。
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[Sign me up (サインアップ)] をクリックします。確認メッセージが表示されます。
- 名と姓を入力します。
- 確認メールが届いたら (数分かかる場合があります)、メールに記載されている情報に従って Trailhead Playground にログインしてください。
実践的な練習には、以降の単元の「リソース」セクションにあるプラクティスガイドを使用してください。
価格設定デザイナーのコンポーネント
価格設定デザイナーは商品デザイナーと連携して動作し、Infiwave の商品価格の設定と管理に必要なすべてのツールを Ada と彼女のチームに提供します。
価格リスト、価格設定変数、その他さまざまなコンポーネントを使用することで、価格設定プロセスを合理化できます。
価格リスト
異なる市場セグメントや他のいろいろなカテゴリ (地理的場所など) ごとにカスタム価格を提供する価格リストを作成します。たとえば、学生向けに特別価格の新学期用品の価格リストを設定し、さらに地域住民専用として別の価格リストを作成できます。
価格リストには、料金や調整などの価格設定要素が含まれ、必要に応じてカタログ全体に適用できます。商品の価格を設定するには、1 つまたは複数の価格リストから価格を割り当てます。複数の価格リスト項目を持つ商品の場合は、販売状況に応じて、たとえば B2B (企業向け価格) や B2C (消費者向け価格) というように商品価格が変更されます。
この例では、B2B の顧客にはカートに入れたブロードバンドケーブルサービス商品の価格が月額 45 ドルと表示されますが、B2C の顧客には同じ商品の価格が月額 54.99 ドルと表示されます。
標準の Industries CPQ プロセスでは、商談、見積、または注文を作成する際に価格リストを選択します。選択された価格リストから、有効で、注目商品として設定されている商品のみが顧客に表示されます。
Salesforce のシステム管理者としての経験が長い人は、価格表はどうなったのだろうと思うかも知れません。実は、価格表は舞台裏で活躍しているのです。価格リストは価格表のページであると考えてください。すべての価格リストは価格表にリンクされる必要があり、ほとんどの標準的な実装では、標準となる価格表を 1 つだけ使用します。
価格設定変数
価格設定変数とは、カタログ内の商品に適用される料金や調整の種別です。この変数では、価格が通常の料金なのか違約金なのか、1 回限りの価格なのか定期価格なのか、あるいは個人と法人のどちらに請求するか、などを指定します。また、料金を通貨またはロイヤルティポイントのどちらで支払うことができるかを指定することもできます。
時間プランと時間ポリシー
時間プランは、商品に価格設定が適用される期間を日、週、月、年で指定します。時間ポリシーは、時間プランが開始および終了するタイミングをトリガーするイベントを指定します。
価格設定デザイナーを使用して、価格や料金が有効である期間を設定する時間プランを立てます。時間プランに含まれる時間ポリシーは、時間プランが有効となる開始日と終了日を定義するのに役立ちます。たとえば、これらのツールを使用して、顧客に 30 日間の無料トライアルを提供したり、4 月だけ利用できる期間限定のプロモーションを実施したりできます。
プロモーションと割引
プロモーションとは、購買意欲を高めることを目的とした値引きなどの特典を顧客が受け取る条件やタイミングを定義する一連のルールです。割引は、現在または将来の購入に適用され、割引率や割引額で指定します。
マーケティングの目的で、商品価格リストの一貫性を損なうことなく、商品やバンドルに対するプロモーションや割引を迅速に展開し、あらゆる販売シナリオに対応できます。
たとえば、一定期間だけ適用される割引 (割引率または割引額) によるプロモーションを設定したり、1 つのプロモーションが終了したら次のプロモーションを開始するように設定したり、一部の商品のみに短期間のプロモーションを適用したりできます。また、特定の条件に応じて、無料の商品をカートに自動的に追加することもできます。たとえば、ニューヨーク在住の顧客に限り、商品を購入したらプロモーション用の T シャツが 1 枚贈呈されるようにすることができます。
価格設定プラン
カタログに掲載されている一部の商品に対して、特有の価格設定のシナリオが必要になることがあります。その場合には価格設定プランを設定します。価格設定プランとは、商品価格を管理するためのプロセス、機能、手順を順番に呼び出す一連のステップです。
価格設定デザイナーでは、階層ベースのコスト、プロモーション割引、税金、代理店割引などを自動的に計算して適用するための料金プランを設定できます。たとえば、注文の合計金額が 100 ドルを超えた場合に、価格設定プランのロジックによって設置費用の 50% 割引が計算されるように定義できます。
価格設定デザイナーのメリットや働きについて理解したところで、次は価格の仕組みと、EPC が価格を保存する場所に関する基本を学びましょう。