業種注文管理の分解の概要を知る
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 業種注文管理 (OM) の分解と、それによってビジネス上の課題がどのように解決されるかを説明する。
- 注文分解の利点を説明する。
始める前に
このモジュールを受講する前に、以下のコンテンツを修了していることを確認してください。ここでの作業は、そのコンテンツの概念や作業に基づいて行います。
また、次の推奨コンテンツを受講することも検討してください。
注文管理の分解
Greg Cappelli は、企業やコンシューマーを対象に通信機器やサービスを販売する Infiwave という通信サービスプロバイダー (CSP) の履行デザイナーです。履行デザイナーは、お客様が注文を送信した後に起こるすべてのことにおいて重要な役割を担います。
Infiwave は、Industries CPQ (設定、価格、見積)、Industries 共有カタログ、エンタープライズ商品カタログ (EPC) を実装してビジネスのデジタルトランスフォーメーションを精力的に推進しています。業種 OM は、Infiwave のデジタルトランスフォーメーションジャーニーの複雑な課題を解決する最後の要素です。
Greg と実装チームの残りのメンバーは、業種 OM のデプロイにワクワクしています。業種 OM がすぐに Communications Cloud ソリューションとしての地位を確立し、Industries 共有カタログや Industries CPQ と肩を並べるようになることは間違いありません。
Infiwave はオンプレミスのレガシーシステムとサイロ化されたアーキテクチャスタックから脱却したいと考えています。次のことを実現したいと思っています。
- 顧客情報を把握し、パーソナライズされたオファーとエクスペリエンスを提供する。
- サービスをひとまとめにしたオファーをすばやく開始する。
- 正確な見積と注文をキャプチャする。
- タイムリーな注文履行をオーケストレーションする。
注文の履行をタイムリーに遂行するには、業種 OM が必要です。業種 OM は Industries CPQ と連携し、カタログに基づくアプローチで注文を実行します。注文を履行するために、分解によって注文をコンポーネントに分割します。その後、関連システムで各コンポーネントをオーケストレーションして注文を履行します。
業種 OM のしくみを理解したところで、学んだ知識をテストしてみましょう。ご健闘をお祈りします!
分解を使用した注文履行
お客様が注文を送信したら、まず業種 OM によって注文が分解されます。具体的にはどういう意味でしょうか?
自宅でかわいいネコの動画を見ようとブロードバンドインターネットを注文する一般的な Infiwave のお客様について考えてみましょう。ブロードバンドサービスを購入する場合、複数のオファーを見て回ります。それぞれのオファーには、異なるエンターテイメントチャンネル、インターネット速度、装置が含まれています。お客様は、オファーに含まれる個々の商品やサービスを選択するのではなく、そのオファーを選択する方が簡単だと感じます。
商品マーケティングチームの最初のステップは、会社が提供可能なものにオファーを変換することです。
電気通信に関連する商品とサービスは、複雑になる場合があります。お客様が参照して購入するコマーシャルプロダクトと注文の履行に使用されるテクニカルプロダクトが分離されていれば、関与する人全員にとって都合が良くなります。分解は、注文内のコマーシャルプロダクトをテクニカルプロダクトに変換するプロセスです。
注文分解の利点
注文分解には主な利点が 2 つあります。
技術面の複雑さが隠れる
分解はバックグラウンドで機能するため、お客様と非技術的スタッフ (カスタマーサービス担当者 (CSR)、ビジネスユーザーなど) から技術的な詳細を効果的に隠すことができます。大半のビジネスユーザーにとって、分解は実行時にも設計時にも表示されません。なぜでしょうか? 実行時、注文は Industries CPQ カートから送信されたときに自動的に分解されます。また設計時には、履行デザイナーなどの技術的ユーザーが分解プロセスを設定します。そのため、それ以外の人にとっては、魔法のように動作しているにすぎないのです。
分解は実行時も設計時も、すべての面倒な技術的作業が Salesforce によって処理されるため、大部分はビジネスユーザーの目に触れません。分解を完全に活用するには、ビジネスユーザーが注文履行における分解の基本とその重要性を理解しておくことが大切です。
休憩室で一息ついている Greg は、Infiwave が販売商品と販売商品の履行方法を分離するために分解をどのように使用しているかを理解しようと、自分のお気に入りのレストランについて考えています。レストランでスパゲッティを注文すると、店員が注文を受けるだけで、シェフが料理を作ります。Greg に延々と質問をする必要はありません。空腹のときにはなおさらです。
注文履行の技術面もよく似ています。ホームインターネットパッケージを注文する Infiwave のお客様は帯域幅とデータの制限に基づいてパッケージを評価しますが、その選択肢の技術要件についてはあまり考えません。そもそも、Infiwave の CSR はお客様に技術的な質問をしすぎることで売上を失うリスクを取りたくありません。
カタログメンテナンスが簡略化される
分解は、CSP が履行注文で直面するカタログメンテナンスというもう 1 つの課題の克服にも役立ちます。
ここでもまた、すべては Industries 共有カタログから始まります。CRM、Industries CPQ、業種 OM を含むクラス最高の Salesforce Industries アプリケーションは、一元化された共有カタログに基づく 1 つのエコシステムにまとめられています。分解を行わなければ、カタログはすぐに拡大し、複雑化します。複雑になったカタログはコストがかかり、メンテナンスが困難です。
この点を理解できるように、Infiwave のスマートフォンを使用した簡単な例を見てみましょう。最初は分解が行われない場合、次は分解が行われる場合を説明します。Infiwave が提供するすべてのスマートフォンモデルで、オーケストレーションプランと呼ばれる一連のタスクをカタログに追加し、注文が行われたときに実行する必要があります。
1 つのオーケストレーションプランを Infiwave のすべての携帯電話に再利用すれば便利になります。そこで役に立つのが業種 OM の分解です。分解により、すべての携帯電話の注文が 1 つの分解リレーションに送られ、1 つのオーケストレーションプランになります。Infiwave のすべてのモデルに同一プランを使用できます。
Infiwave スマートフォンの注文履行は、次のステップで構成されています。
- お客様が 1 個以上の Infiwave スマートフォンの注文を送信する。
- CPQ によって注文が業種 OM に送信される。
- 分解によってコマーシャルプロダクトの各携帯電話がテクニカル情報に対応付けられる。
- テクニカル情報を使用して、すべての携帯電話の履行、すなわちオーケストレーションを行う。
Infiwave が古いモデルを廃止したり、新しいモデルを追加したりする場合、オーケストレーションプランの作成や変更は行われません。分解の変更は最小限で管理しやすく、柔軟にコマーシャルプロダクトを定義できます。
カタログが小さく、シンプルになって必要なメンテナンスが少なくなれば、商品化に要する期間 (TTM) が短縮し、収益が向上します。注文履行プロセスの一部である分解は、拡張性の高いソリューションです。企業間取引 (B2B) でも、企業対消費者 (B2C) でも、大量のコマーシャルプロダクトでも、Industries 共有カタログと Industries CPQ と連携された業種 OM があれば問題ありません。業種 OM は、商品、サービス、バンドル化されたオファーの複雑さが増すと、いっそう大きな役割を果たすことができます。
次の単元
この単元では、業種 OM の分解プロセスの基本事項とビジネス上の利点について学習しました。学ぶことはまだたくさんあります。次は、分解について深く掘り下げ、別の実用的な例を見ながら、かなり専門的な概念の理解を深めます。