マルチサイト見積および注文とは
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Industries CPQ のマルチサイト見積および注文の目的と利点を特定する。
- 自分の組織でマルチサイトの見積や注文を担当する従業員の役割と責任を列挙する。
- Industries CPQ と Industries エンタープライズ販売管理 (ESM) のマルチサイト見積および注文の違いを説明する。
1 人の顧客と複数のサイト
Sophia Perez のオフィスに仕事中にふらりと立ち寄ると、営業担当への Slack メッセージを入力しているか、ハンドスピナーを手に顧客との電話対応をしている姿が見られるでしょう。
Sophia は Infiwave という通信サービスプロバイダー (CSP) の営業マネージャーです。彼女は、デバイス、サブスクリプション、データプランといった Infiwave の商品を、法人と個人顧客に販売する営業担当を指導しています。Infiwave のチームは、最近 Industries CPQ を採用したことで、見積や注文を驚くほどの速さで作成できるようになり、その結果、販売数は着実に増加しています。
Infiwave の顧客ベースが拡大し、大規模な企業とも取引するようになると、Sophia のチームは、複数のオフィスロケーションやサービスアカウント向けの商品やサービスを調達するための見積を依頼する顧客が増加しました。この類の見積や注文は複雑であるため、以前は設定がいつも面倒でした。たとえば、営業担当はサイトごとに 1 件ずつ見積を作成する必要がありました。また、異なる住所に商品を配送するため、注文管理チームと頻繁に連絡を取る必要もありました。そして最終的には、営業担当の仕事量が激増したのです。
Sophia のチームは、CPQ ソリューションを利用することで、複数のサイト向けの見積や注文を大量に作成して、それらをすべて同じアカウントで整理できます。Sophia は、今こそ営業チームの成功を次のレベルに引き上げる時だと考え、チームのスピードを上げるために、マルチサイトの見積や注文について勉強しています。
マルチサイトの見積および注文の概要
ここでちょっと質問です。もしあなたが、全米 15 か所の事業所の業務用電話回線、メディアストリーミング、インターネットサービスの見積を依頼されたらどうしますか?
- まずはボーナスのことを考えて微笑んでから、見積を作成し、提案書をまとめる時間を確保する。
- 後で電話をかけ直すと伝えて、さっそく転職の準備にとりかかる。
- オフィスの詳細や必要なサービスの種類を確認して、その日のうちに提案書を送る。
Industries CPQ をお持ちなら、常に C が正解です。
よくあるシナリオですが、大きな企業では、多くの異なる場所で必要な商品やサービスを、1 つの見積で要求することがよくあります。このような見積は、マルチサイト見積と呼ばれます。
カードをめくって、さまざまな業界におけるマルチサイト見積の例をご覧ください。
Industries CPQ はどのようにして複数の場所の見積を簡単にしてくれるのでしょうか。Industries CPQ は、組織が必要とする個々の場所、サービスアカウント、建物、登録者、あらゆる種別のサイトをグループ化し、各グループメンバーに同じ商品構成を適用することで、マルチサイトの見積を容易にします。変更は、グループ全体に一括で適用することも、特定のグループメンバーのみに適用することもできます。
マルチサイト見積は、複数のサイトで商品やサービスの要件が同じである場合に特に役立ちます。これにより、生成されるマルチサイト見積と注文の管理が簡素化されます。顧客が見積を承認すると、その見積から直接注文を作成することができます。次に、注文を個別に、またはグループとして送信します。
マルチサイト見積および注文のメリット
Industries CPQ のマルチサイト見積および注文機能は、マルチサイト注文における商品選択と構成を迅速化します。Sophia は、マルチサイト機能を使用することで、取引先の異なるサイトをグループ化し、グループ内のすべてのメンバーに同じ商品構成と価格設定を一度に適用することができます。その後、必要に応じて少し異なる設定が必要なメンバーに対して、構成を微調整できます。
次のような大型の見積および注文アクションは、処理をスピードアップして、効率を高めます。
- グループ全体の一括設定
- 各見積もりメンバーに商品または構成を設定する「すべてのメンバーに適用」機能
- 必要なときだけ検証と価格設定を行って処理を削減するオンデマンドの検証と価格設定
- 親見積からすべての子見積または個別の子見積や注文に対する品目設定、価格設定、注文作成
このソリューションは、マルチサイト注文プロセスの複雑さを緩和します。すべての商品数量と価格設定は親見積に積み上げ集計されます。また、見積では商品やサービスをさまざまな方法でグループ化することで、確認がより簡単になります。たとえば Sophia は、すべての要求された品目を場所別に表示することも、すべてのサイトで注文された各商品の合計を見ることもできます。
CPQ マルチサイトと ESM マルチサイトの比較
下表に示すように、Industries CPQ と Industries ESM では、マルチサイトの見積や注文の処理が少し異なります。
質問 |
Industries CPQ |
Industries ESM |
---|---|---|
対象となる業種 |
通信、メディア、エネルギーおよび公益事業 |
通信 |
大規模なトランザクション見積の処理方法 |
親見積と子見積、および契約の階層構造を使用して、場所またはサービスポイントごとに 1 件の子見積を作成する |
複数の場所や登録者ベースのサービスに対して 1 件の見積と 1 件の契約を使用して、1 件の見積で最大 60,000 品目をサポートする |
グループレベルの見積の処理方法 |
サービスポイント、建物、サービスアカウント、カスタムオブジェクトでグループ化する |
登録者または場所でグループ化する |
見積エンティティの設定方法 |
取引先設定の一環としてサービスアカウント、場所、サイトを設定する |
見積メンバーオブジェクトを使用し、登録者と場所を CSV ファイルとしてアップロードすることで、サービスアカウントなしで新しい場所や登録者を取得する |
Industries CPQ のマルチサイト見積と注文キャプチャ
このソリューションは幅広い業種に対応し、Industries ESM より幅広い種類のサイトと見積メンバーを提供します。たとえば、サービスポイント、建物、サービスアカウント、カスタムオブジェクトなどです。実装時には、カスタマー取引先で見積とメンバーの種別を設定します。また、レコードタイプを設定して、取引先に対する単一の親見積または注文の下で、各サイトに対する個別の見積や注文を整理することもできます。
Industries ESM のマルチサイト見積と注文キャプチャ
ESM は、B2B 市場の通信サービスプロバイダーをサポートするように特別に設計されたモデルとプロセスを使用して Industries CPQ を拡張する製品です。ESM には、以下のマルチサイト機能が含まれています。
- 複数の商品ラインにわたる数千の品目を処理するための大規模トランザクション見積
- マルチサイトのオファーや見積を閲覧および構成するためのガイド付きワークフロー
- 見積の一環として、CSV ファイルからビジネスアカウントにサービスアカウントや登録者をインポートするための標準的なプロセス
- 複数のメンバーを一括管理し、親見積を注文に変換する際に複数の子注文を作成するためのマルチサイトグループ
システム管理者と営業担当
通常、マルチサイトの見積や注文の作成には、システム管理者と営業担当が主要な役割として参加します。
システム管理者は、以下の設定作業を頻繁に行います。
- カスタマー取引先を作成する。
- 取引先の建物、場所、サービスアカウント、サービスポイントに関する情報を設定する。
- 営業担当が見積や注文を作成する前に、情報が正確かつ最新であることを確認する。
見積および注文に関するシステム管理者の責任についての詳細は、「リソース」セクションの「マルチサイトオブジェクトの定義」リンクを参照してください。
営業担当は、見積や注文の作成にあたり、お客様と緊密に連携して、通常は以下の業務を担当します。
- 取引先に対して商談を作成し、その商談に基づいてマルチサイト見積を作成する。
- 見積およびアカウントの要件に基づいて見積のメンバーをグループ化する。
- 各見積グループまたは個々のメンバーに商品やサービスを適用して設定する。
- 見積を検証して価格を設定する。
- 提案書や契約書を作成、交渉、管理する。
- 注文を作成して送信する。
これらの責任を複数の営業担当が分担している場合もあれば、1 人の営業がすべての業務を担当している場合もあります。自分の職場でこれらの役割を担う人物を思い浮かべてください。
次のステップ
Sophia は、手の中でハンドスピナーがゆっくりと止まるのを見つめながら、Industries CPQ を活用して自分とチームがマルチサイトの見積や注文を迅速かつ効率的に処理できる新しい未来の姿を思い描いています。
次は、マルチサイトの見積プロセスと、異なる顧客の場所向けの最初の見積および注文の作成方法について、必要なことをすべて学びます。
リソース