設定、価格、見積に関する一般的な課題を特定する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 営業サイクルにおける設定-価格-見積の役割を定義する。
- 営業サイクルの設定、価格、見積 (CPQ) の一般的な課題を挙げる。
CPQ について
Sophia Perez をご紹介します。Sophia は、企業や消費者を対象に通信機器やサービスを販売する Infiwave という通信サービスプロバイダー (CSP) の営業マネージャーです。
Sophia は不安を抱いています。市場が急速に変化する中で、Infiwave も通信業界の多くの企業と同様、競合他社に遅れまいと必死になっています。Sophia のチームは、旧式の CPQ システムを使用してお客様の見積や注文を作成しており、度々エラーが発生しています。このトンネルの先にようやく一筋の明りが見えてきました。Infiwave の従業員の間で近々新しい CPQ システムが導入されるという話題が上がっており、Sophia も詳細を知りたくてうずうずしています。
CPQ とは何なのでしょうか? 設定 (Configure)、価格 (Price)、見積 (Quote) の頭文字です。
用語 | 一般的なタスク |
---|---|
設定 |
単純なものから複雑なものまで多様な商品を設定する。 商品バンドルを設定する。 販売対象条件のコンテキストを把握する。 |
価格 |
価格を算定する。 割引を適用する。 価格分析を実施する。 |
見積 |
見積ライフサイクルを管理する。 提案書を作成する。 見積を承認する。 見積を注文に変換する。 |
CPQ ソフトウェアは何十年も前から使用され、目新しいものではありません。企業は CPQ システムを使用して、商品の設定、価格の算定、見積の生成、注文の作成を迅速かつ正確に実施しています。CPQ ソフトウェアは通常、カスタマーリレーション管理 (CRM) や注文管理システムなどの他のアプリケーションと統合されます。多くの場合は何らかの自動化が組み込まれ、事前にプログラムされたルールを使用して見積や注文の正確性をチェックします。
営業/納入サイクルの CPQ
Infiwave の営業チームと納入チームは、次の一般的なプロセスに従っています。リードから請求まで、以下の順序のプロセスで CPQ がどのような役割を果たすのか見てみましょう。
前半は注文キャプチャサイクルで、営業サイクルともいいます。注文キャプチャサイクルの出発点はリードと商談の作成で、見積と契約の作成に進み、発注によって終了します。
リードと商談
情報を求める見込み客がコールセンターに電話をかけてきました。コールセンターのエージェントが CRM システムにリードレコード (1) を作成します。この通知を受けた Sophia がリードを営業担当に割り当てます。
営業担当がリードにフォローアップの連絡を入れ、商談 (2) の可能性を見出します。リードがまだ取引先でない場合は、営業担当がリードを取引先に変換します。変換すると、この取引先に新しい商談レコードが作成されます。
見積
お客様が担当者に、超高速ブロードバンドでオンデマンドムービーを楽しめる最新のデジタルストリーミングサービスの購入を検討していると伝えました。営業担当はお客様から十分な情報を聞き出し、お客様向けのソリューションを提案します。同時に、CPQ システムを使用して見積 (3) を作成します。この見積には、お客様の要望に合わせて設定されたオファーの詳細とその価格が記載されます。
注文にまつわるトラブルを避けたい営業担当は、お客様が利用でき、かつ対象条件を満たすオファーのみを見積に記載します。たとえば、お客様の地域で超高速ブロードバンドを利用できることを担当者が確認する必要があります。
妥当性チェックと承認チェックの例を見てみましょう。
- 与信審査
- 施設チェック: お客様の所在地で商品を利用できることを確認する。
- 対象条件チェック: お客様が商品の対象条件を満たすかどうか確認する。
- 価格チェック: たとえば、特にプロモーションや割引を適用する場合に、十分な利益を確保できることを確認する。
Infiwave では、チームがこうしたチェックを手作業で行わなければなりません。たとえば、営業担当が経理部門やエンジニアリング部門にメールを送信して、お客様が対象条件を満たし、商品を利用できるかどうかを確認します。他方、高度な CPQ システムがあれば、上記のチェックが自動的に実行されるものと思われます。
続いて、営業担当がお客様に見積の内容を説明するか、見積の詳細を記載した提案書を送付してお客様に確認してもらいます。
契約と注文
お客様が見積に納得したら、営業担当が契約 (4) を作成します。お客様に契約を送信する前に、法務部門の承認が義務付けられている場合もあります。
お客様が契約に署名したら、営業担当が注文 (5) を作成します。注文に技術リソース仕様などの詳細を追記したうえで注文管理システムに送信すると、注文が履行されます。
プロビジョニング、有効化、請求
ここから、注文管理とプロビジョニングのサイクルが始まります。Infiwave では、注文管理、プロビジョニング、在庫管理、サービス管理、請求など、このサイクルをサポートするシステムを使用しています。
注文のプロビジョニング (6) では、納入と有効化 (7) に向けてお客様に必要となるすべての商品、サービス、リソースの準備を整えます。この時点で、お客様の施設などの現場訪問もスケジュールしておきます。
最後のステップは請求 (8) で、Infiwave が請求書を作成し、お客様が商品やサービスの代金を支払います。
CPQ と注文キャプチャ
営業/納入サイクルの概要がわかったところで、次は、注文キャプチャフェーズにおける CPQ の重要性を詳しく見ていきましょう。
CPQ のプロセスでは、オファーを設定して価格を算定し、見積を作成するために次の情報を入力する必要があります。
- CRM システムに格納されているお客様の取引先の詳細
- 営業担当が収集した情報
- お客様のコンテキストの詳細
CPQ システムの中には、上記の情報を基に商品カタログの中からお客様が利用可能な商品を絞り込み、お客様に適した商品のみを示すものがあります。こうしたシステムがあれば、商品を利用可能かどうか、お客様が対象条件を満たすかどうかといった情報に基づいて、営業担当がお客様に適した見積を作成することができます。
企業やお客様は、プロモーションや割引の適用など、価格を交渉できます。通常は CPQ システムで見積と価格の監査が実施され、ビジネスの収益性が確保されます。
また、見積の情報に基づいて CPQ システムで契約を作成することも可能です。お客様が契約を承認すると、CPQ プロセスで注文が作成され、注文管理とプロビジョニングサイクルに送信されて処理されます。
営業サイクルにおける CPQ の一般的な課題
Infiwave ではリード-to-キャッシュのサイクルが流れ作業のごとくスムーズに行われているように思えるかもしれません。けれども、Sophia は決してそうでないことを認識しています。昨年 Sophia がチームに、業務で直面した CPQ 関連の課題を書き出すよう依頼したところ、次のようなコメントが寄せられました。
チームが現在の CPQ システムにこれほどいら立ち、不満を募らせていることを知って Sophia は驚きました。チームから寄せられた課題のすべてが利益率の減少、顧客満足度の低下、従業員の不満につながることは明らかで、何一つ良いことはありません。チームのために何とかしなければと、Sophia は最新の CPQ システムに関する資料を読み漁りました。その結果、次のようなトレンドが判明しました。
- セルフサービスとオムニチャネルサポートに移行している。
- 業界別の CPQ システムが構築され、各業種やサブセグメントに応じた設定になっている。
- お客様ごとにサービスをパーソナライズするインテリジェンスが組み込まれている。
- ユーザーエクスペリエンスが重視されるため、ソリューションはデザイン性に優れ、使いやすくなければならない。
Sophia も Infiwave の時代遅れの CPQ システムにはうんざりしています。最新の CPQ アプリケーションが導入されれば、驚くべき効果がもたらされると考えています。具体的にはどのような効果があるのでしょうか?
次のステップ
次の単元では、上記の最新トレンドが Industries CPQ にどのように取り入れられ、業界の一般的な課題がどのように解決されるのかを学習します。