Individual Policy Administration (個人保険契約管理) の紹介

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

• 保険契約管理ライフサイクルについて説明する。
• 保険業界が直面している保険契約管理に関する課題を特定する。
• Individual Policy Administration (個人保険契約管理) がビジネス課題の解決にどのように役立つかを説明する。
• ビジネスで Individual Policy Administration (個人保険契約管理) を使用する利点をいくつか挙げる。
• Individual Policy Administration (個人保険契約管理) がどのようにデジタル保険プラットフォームに適合するのかを説明する。

前提条件

このモジュールを開始する前に、必須の前提条件を満たしていることを確認してください。また、推奨される前提条件も満たしておくと、理解するのに役立ちます。

推奨

次のモジュールの修了:

• デジタル保険プラットフォームの基礎: 保険契約管理のより広範で基礎となるプラットフォームについて学習します。
• Insurance Quoting Foundations (保険見積の基礎): 通常、主要な保険契約管理より前に行われる見積作成プロセスについて学習します。

保険契約ライフサイクル

保険について詳しくないですか? それでは、保険契約とは何かを確認し、保険契約ライフサイクルの主要なフェーズについて説明することから始めましょう。

保険契約は、保険会社 (この場合は保険業者) と保険を購入する個人または法人 (保険契約者とも呼ばれる) との間の金融契約です。通常、この契約では以下が定義されています。

• 保険対象者: 被保険者
• 保険対象物: 被保険品目
• 補償範囲: ベネフィット
• 保険条件: 限度額、免責金額、自己負担額など
• 保険料: 保険契約者が保険業者に支払う金額
• 保険期間: 保険契約が有効である日時の定義

保険契約のライフサイクルには、次のフェーズがあります。

次の表で各フェーズを紹介します。

まず、保険契約管理システムに関連付けられている重要な課題をいくつか見てみましょう。次に、Individual Policy Administration for Insurance (個人保険契約管理) を使用して、保険契約ライフサイクルを管理するための堅牢なソリューションを提供する方法について詳しく見ていきます。 

保険契約管理のおける課題

Anna Murphy を覚えていますか? Anna は Cloud Kicks でデータサイエンティストとして働いている 40 代前半のプロフェッショナルです。

Anna は Cumulus Insurance の長年にわたるお客様です。Cumulus Insurance は、多様な保険サービスを全国で提供する大手保険会社です。Anna は、雇用主を通じて Cumulus の健康保険に加入しています。最近、新しい車を購入したため、自動車保険を購入しようとしています。Anna は、Cumulus が提供しているものを確認することにしました。

残念なことに、Anna は Cumulus の保険契約管理プロセスに依然としてレガシーシステムが使用されていることに気付きました。また、見積から保険契約の発行までのプロセスが信じられないほど遅く、面倒だと実感しています。 

何が問題なのでしょうか? 保険契約プロセスのすべてのフェーズで余計な手間がかかるのです。

Anna は希望する補償範囲や条件について、PDF、メール、電話など複数の形式で詳細を提供する必要があります。さらにイライラすることに、サポートを受けるために、何度も Cumulus のサポートチームに連絡しなければなりません。そのたびに、サービス担当は Anna をまったく新しい顧客のように扱い、一連の同じ質問をしてきます。Anna は、これではいつまでたってもらちがあかないと感じました。  

ようやく、新しい保険契約が発行されましたが、Anna の抱える問題はここで終わりません。基本的な保険契約の詳細にアクセスするのが難しく、しかも、保険契約の変更もすぐには実行できません。婚約者を保険対象運転者に追加するには、迷路のような障害物を通り抜けなければなりません。車両衝突補償を調整して上限額を増やしたくても、行き詰まってしまいます。新しい車を購入した場合には、既存の保険契約に追加することはできず、最初の発行プロセスをもう一度初めからやり直す必要があります。

保険契約の更改時期が近づき、Anna は過去 1 年間の不愉快な経験を振り返り、保険契約を打ち切ることにしました。Anna は、自分のニーズと期待をより的確に満たす他のソリューションを調べます。

ここで、Cumulus Insurance がカスタマーエクスペリエンス向上のために雇用した独立コンサルタント、Justus Pardo を紹介しましょう。

Justus は、Anna のような情報に精通したお客様のニーズを満たすには、既存の保険契約管理システムにいかに欠陥があるかを痛感しています。 

また、Cumulus のだれもがこのシステムにどれほどストレスを感じているかも理解しています。営業担当、カスタマーサービス担当、システム管理者は、保険契約ライフサイクルのあらゆるフェーズで余分な作業を行っています。さらに、不満を持つお客様をなだめるために 1 日の大半を費やす必要もあります。

Cumulus では、利益が減少し、士気も低下しています。

Anna や保険チーム全体と意見を交換した結果、Justus はデジタル保険プラットフォーム上に構築された Policy Administration for Insurance (保険契約管理) を推奨します。 

Individual Policy Administration (個人保険契約管理) の紹介

Individual Policy Administration for Insurance (個人保険契約管理) では、保険会社は見積、引受査定、発行、補償内容変更、保険料請求、更改、コミッションにわたる保険契約ライフサイクル全体を効率的に管理できます。従来のコアシステムとは異なり、このライフサイクルプロセスは Salesforce Customer 360 によってお客様の完全なデジタルジャーニーにシームレスに統合されます。

Individual Policy Administration (個人保険契約管理) では、すべての関係者のために保険契約管理が簡素化され、最適化されます。このソリューションには次のような複数の機能があります。

• すべての保険契約のシステムオブレコードとして機能する
• 保険、補償範囲、限度額、条件、免責事項のオブジェクトに関連する保険契約レベルのデータのリポジトリが含まれる
• 見積、発行、支払、補償内容変更、更改、キャンセル、復活など、すべての主要な保険契約トランザクションを管理する
• 保険契約ライフサイクル全体を通して発生する複雑なやり取りを管理するためのツールを提供する
• 保険会社は保険種目全体で新しい商品を定義して開発できる
• 保険契約者、ブローカー、エージェントにオムニチャネルアクセスを提供する
• サードパーティのデータプロバイダーに接続し、ビジネスインテリジェンス、分析、レポート作成をサポートする統合機能を提供する

Policy Administration for Individual Insurance (個人保険契約管理) を使用すると、Cumulus のような企業は、保険契約システムを変革し、最新の統合デジタルエクスペリエンスでお客様の満足度を高めることができます。 

このソリューションにより、Cumulus のような保険会社は主要業績評価指標を改善し、次のような結果を得ることができます。 

• 保険契約者獲得数の増加
• 保険契約者の維持率の増加
• 募集人の効率性の向上
• 顧客満足度スコアの改善
• 新商品の市場投入まで時間の短縮
• サービスコストの削減

業界の課題を解決する

Individual Policy Administration (個人契約管理) を使用すると、保険契約ライフサイクル全体にわたって多くの問題が解決されます。その方法をいくつか紹介します。

全体像

保険契約管理は Salesforce 上で実行されるため、ユーザーは使い慣れたすべての Cloud 製品とアプリケーションを使用できます。次の図は、各部がどのように連携するかを示すデジタル保険プラットフォームのソリューションマップです。 

この総合的なソリューションでは、複数の保険契約管理機能を使用できます。

• さまざまな保険種目のサポート: デジタル保険プラットフォームでは Financial Services Cloud や Health Cloud と連携することで、自動車保険、損害保険、生命保険と年金保険、スペシャルティ保険など、希望する保険種目に応じてサポートが行われます。
• 複数チャネルでの提供: メンバーはラップトップを使用して保険を購入したいと考えていますが、可能ですか? 問題ありません。携帯電話から変更することはできますか? 可能です。ブローカー用にカスタムポータルサイトを設定したい場合はどうですか? もちろんできます。質問があるときにはコンタクトセンターに電話したいという希望にも応えることができます。
• OmniStudio: OmniStudio にはセルフサービスエクスペリエンスを作成、カスタマイズするための OmniScripts などのツールが用意されています。このようなツールは最高級のエクスペリエンスを作成するための優れた方法であり、ユーザーは手順に従って、保険契約の発行から補償内容変更や更改までを実行できます。
• Salesforce Customer 360: Salesforce Customer 360 のフルバージョンでは多くの可能性がもたらされ、Sales、Service、Marketing、Commerce の市場をリードするアプリケーションでお客様に関する単一のビューを作成することが可能です。

デジタル保険プラットフォームの内部

次は、保険契約管理の役割を中心に、デジタル保険プラットフォームの他のモジュールやサービスと一緒に見ていきましょう。

保険契約管理は、デジタル保険プラットフォームの次のような他の部分とシームレスに統合されています。

• サービス API: サービス API では、主要な保険機能を実行するさまざまな標準サービスを搭載することで、カスタムプログラミングが不要になっています。
• 見積・レーティング・申込: 見積・レーティング・申込モジュールでは、保険契約者、ブローカー、引受査定人のためのデジタル見積が可能です。
• 契約・加入: 契約・加入モジュールを使用すると、雇用主との契約を作成し、関係者をグループベネフィットプランに加入させることができます。
• 請求: 請求モジュールを使用すると、請求ライフサイクル全体で迅速で透明性の高い請求が可能になります。
• 保険商品管理: 保険商品管理モジュールを使用すると、アジャイルな保険商品の開発、契約のレーティングなどを推進できます。

保険契約管理モジュールには保険契約管理ソリューションの主要な機能が用意されていますが、デジタル保険プラットフォームの他のコンポーネントも保険契約管理として機能します。 

• サービス API では、保険契約の発行、変更、更改、キャンセルなど、一般的な保険契約管理作業が処理されます。
• 見積・レーティング・申込コンポーネントは保険契約管理と完全に統合されており、保険契約の定義に見積のすべての商品とレーティング情報が使用されます。
• 契約・加入コンポーネントも保険契約管理とシームレスに連動しており、ユーザーはグループメンバーの保険契約を簡単に管理することができます。
• 保険金請求モジュールは、保険契約管理と密接にリンクされ、保険契約情報がすべての保険金請求の基礎となっています。
• 保険商品管理モジュールを使用して、すべての保険契約の基盤となる動的で再利用可能な商品モデルを作成します。

これで、保険契約管理のためのデジタル保険プラットフォームの主な利点についてはっきりと認識できたと思います。次は、保険契約管理のために実行すべき主要な作業とそれを実行する人について、理解を深めましょう。