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最初の 3 つの原則: トーン、言葉遣い、存在を示す

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。 

  • 言葉遣いやトーンが重要である理由を理解する。
  • 一般にマイノリティとされる集団の存在が的確に示されるようにする方法を説明する。

この単元では、インクルーシブマーケティングの最初の 3 つの原則について詳述し、私たちが教訓を学んだマーケティングの実例を匿名で紹介します。

1.まずトーンを定める。

定義: トーンとは、1 つのコンテンツのスタイル、特徴、センチメントなどです。

あるコンテンツを見た人々が気分を害したり閉口したりしながらも、そうした気分になる理由をはっきり指摘できない場合、トーンがその軸にあることが少なくありません。よくある過ちは、敬意をもって真剣に受け止めるべき事柄を軽々しく扱うことです。

たとえば、Salesforce では、その独特なブランドや遊び心のある楽しい社風を誇りにしています。けれども時として、公民権運動のリーダーや人権運動の提唱者など、深刻なトピックについて論じる講演者を招くことがあります。人々の生活や権利にまつわる状況では、その人たちの経験や困難を軽んじることなく、そのストーリーを真摯な姿勢で尊重することを十分に意識し配慮する必要があります。Salesforce で開催するこうしたイベントでは当社のデザイナーが一丸となって、イベントのスタイルを、自社ブランドに即したものでありながら、多様な講演者やトピックを尊重したものに手直ししています。

トーンについて話し合うときは次の点を考慮します。

  • テーマ: このテーマをできる限り最適な形で示しているか? 相手が築いてきたことや取り組みを尊重しているか?
  • トピック: コンテンツや会話のトピックがカジュアルなことか深刻なことか? どのようなコンテキストか?
  • メッセージ: どのようなメッセージを伝えようとしているのか? 感動的なものか、議論を引き起こすものか、教訓的なものか、遊び心のあるものか?
  • 影響: どのような影響を意図しているか? 何らかの理由により異なったとらえ方をされる可能性はないか?

2.言葉遣いで意図を明確にする。

定義: 言葉遣いは、あることを説明するために使用する単語、語句、記号、比喩と定義されます。

言葉には計り知れない威力があります。言葉は、理解を深め、関係を強め、明確化する潜在性を秘めています。その一方で、言葉によって相手を混乱させたり、気分を害したり、傷つけたりするおそれもあります。また、地域的や文化的なコンテキストによって単語の意味が異なることもあります。 

言葉のニュアンスが極めて微妙な場合があることから、メッセージをどのように伝えるかに気を配ることが大切です。こうした理由から私たちは、マーケティングで使用するあらゆる単語や記号、語句に十分配慮する必要があります。その用語がを述べるかだけでなく、その用語がどこにどのように配置されるかにも気を配ります。 

次の例を考えてみます。 

あるスキンケア企業が、ローションの説明を「普通の肌から褐色の肌向け」とする過ちを犯しました。うっかりミスだったのかもしれませんが、褐色の肌は普通の肌ではないという意味にとられ、大勢の人々が文化的かつ歴史的なステレオタイプに根差していると考えたため、世間から強い反発を招きました。この事例はまた、有色人種の人々が美容製品やヘルスケア製品の対象から概して除外されてきたことを気付かせることにもなりました(たとえば、「肌色」の絆創膏は往々にして、肌の色が濃い人々の皮膚の色に合っていません)。

ボディローションのイラストと宣伝文が書かれた看板。「普通の肌から褐色の肌向けのローションが登場!」と書かれています。

3.存在が示されるようにする。

定義: 存在が示されるとは、ストーリーや画像、動画などにさまざまなアイデンティティが視覚的に示されることです。

存在を示すことには多大な威力があります。人々はメディアやマーケティングに自分たちが反映されることを期待しています。周囲のキャラクターやイメージに自分のような姿を見つければ、私たちは皆自分の存在が認められ、耳を傾けてもらえたと感じ、力強さを覚え、触発されることになります。人々は、自分に似た人々を見つけるだけでなく、あらゆる多様性を称える私たちのグローバル社会が忠実に表現されることを期待しています。この好例が 2018 年の映画業界です。従来マイノリティとされてきた集団のストーリーを描いた数多くの作品が世界各地で記録的な大ヒットとなりました。 

マーケティングや広告でも同じことが起こっています。Adweek は、80% の家族が、広告で多様な家族が描かれることを期待すると述べているという調査に言及しています。そして現在では、ステージに立つ人々や広告の登場人物、さらにはソーシャルメディアの投稿においてマイノリティの存在が過少であることについて企業に説明責任を求める消費者やオーディエンスが増えています。 

以下に、マーケティング活動で多様な人々の存在を示すために考慮すべき点を示します。 

  1. 私たちの周囲には多様な人材が存在する。

今日の多様なグローバル社会では、インクルーシブであることは必須事項で、私たちの周囲の多様な人材の存在が的確に示されるようにする必要があります。Salesforce の最高平等責任者は次のように述べています。

「才能溢れた多様な人材を見つけ出すためにハードルを下げる必要はない」 - Tony Prophet (Salesforce の最高平等責任者)

Salesforce では、表舞台や各自の業界でマイノリティとされることの多い、才能溢れた多様な人材を押し上げることに尽力しています。最近では「Representation Matters (存在を示すことの重要性)」という、人種の平等を謳う初めてのサミットを開催し、IT 業界で従来より特にマイノリティとされてきた集団 (黒人、ラテン系、先住民族の従業員) を招いて、ステージ上に自分たちが反映されていることを確認しました。さらに、各業界で自ら道を切り開いて成功を収めた最高責任者、有名人、企業の創始者、投資家らの話を聞きました。その結果、参加者は強い誇りを抱き、大いに触発され、力強さを感じることになりました。「Representation Matters Recap (存在を示すことの重要性のまとめ)」というブログ投稿でこのイベントのハイライトをご覧いただけます。

2.真摯な形で行う。マーケティングで存在を示すということが「多様な人々を混ぜればよい」というものであってはなりません。顧客や見込み客がコンテンツに自分たちが反映されていると実感するようにし、コンテンツに社会が反映されるようにするということです。常に、人々の真摯な取り組みや影響を押し上げるとともに、周囲のコミュニティを反映する多様性を実現します。 

性別、身体能力、民族的背景などの面での職場の多様性を示すモンタージュ画像

3.万人に機会を広げて、人々を力づける。この点については最後の原則で詳述しますが、マーケティングで存在を示すことについて考える場合は、現状に挑む機会となることも考慮します。たとえば、イベントを開催する場合、ステージに立つということで存在を示すという威力が発揮されることを認識します。万人に機会を広げて、人々を力づけるようにします。 

インクルーシブマーケティングの最初の 3 つの原則について説明しました。次の単元では、残りの 3 つ (コンテキスト、文化の盗用、反ステレオタイプ) を見ていきます。

リソース

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