インクルーシブレビュープロセスの考案
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- インクルーシブレビュープロセスを実施する 5 つのステップを理解する。
- 多様性のあるレビューパネルを編成することが重要である理由を説明する。
インクルーシブマーケティングを定義し、6 つの原則に分割したところで、次は公開する前にコンテンツを包括的なレビュープロセスに組み込む方法を見ていきましょう。
平等の視点で検討
最終的なレビュープロセスの 1 つ目のステップは、インクルーシブマーケティングの原則の観点からコンテンツを注意深く検証することです。この観点で眺めることに慣れてくると、あるコンテンツを見て何だかしっくりこないと感じたときに、その直観をすぐさま明確に述べられるようになります。これらの原則の目的は、どこを修正する必要があるのかを明確に指摘できるようになることです。
多様性のあるレビューパネルの編成
コミュニティを反映した多様性のあるマーケティングを制作したいと本気で考えているのならば、職場も社会を反映したものにすることが重要です。
コンテンツを共有する前に、マテリアルの制作とレビューの両方が、さまざまなアイデンティティをもつ人々からなる多様性のあるパネルによってなされていることを確認します。人々の経験の共通性と複雑性を認識します。共通性については、人々が直面する偏見の複雑性を理解するために、人々が重ね合わせることができるアイデンティティや経験を考慮します。
ただし、マイノリティ集団にあなたたちが発言しなければならないとプレッシャーをかけないことも大切です。全員にインクルーシブマーケティングの原則に関するトレーニングを実施して実践を促し、「平等の視点」で眺めるよう奨励します。
判断がつかないときは指示を仰ぐ
ここで重要な点は、何だかしっくりこないことを伝える内部の声に耳を傾けることです。私たちがレビューした多くの事例では、誰かが率直に意見を述べていれば、あるいは率直に発言することができたならば、おそらくこうした問題は避けられたと思われます。目にしているコンテンツや制作に関与しているコンテンツにどこかしっくりこないと感じたら、会社に設けられている手段を通じて発言するか、リーダーシップチームに伝えます。
インクルーシブな匿名フィードバックを伝えられる場の設置
このモジュールで前述したとおり、こうした会話が容易いものではないことがあります。特にあなたがチームリーダーである場合には、人々が安心して発言したり異議を唱えたりすることができる場を設けることが重要です。あなたが部署の上級職である場合は、ミーティングで自身の意見を述べる前に必ず参加者全員の意見を聞き、異議を唱えたり、不適切な点を指摘したりしても構わないことを明確にします。
時として、安心して意見を述べられるインクルーシブな場を設けても、人々が沈黙を守ることがあります。マイノリティとされる人々にとっては特に、室内の数人のうちの 1 人である場合や自分 1 人しかいない場合、怖気づいて発言できないことがあります。匿名フィードバックの手段を設けることが重要であるのはこのためです。たとえば、ミーティングの後にコンテンツに対する所感を記入する匿名アンケートといった簡単な手法を実施することも一案です。取り込まれる視点が多いほど、コンテンツの効力が高まるものと思われます。
アクセシビリティの優先
本当の意味でインクルーシブなマーケティングを制作するということは、アクセシビリティの基準やニーズも満たすことを意味します。世界人口の 15% が障害を抱えていることから、アクセシビリティを整備すれば、より広範なオーディエンスにリーチすることになります。英語の「accessibility」(アクセシビリティ) は「access」(アクセス) と「ability」(可能であること) が組み合わさった言葉です。ですから、障害者を含むあらゆる人々に配慮したコンテンツを設計することが求められます。ブランドメッセージを考案するときは、Web サイト、ニュースレター、ソーシャルメディアの投稿、それ以外のいずれであっても、アクセシビリティに配慮して設計するために考慮する領域がたくさんあります。色、フォントの種類、画像の説明テキスト、アニメーション、字幕などを適切に使用することはすべて、コンテンツの計画時に考慮すべき領域です。
Web サイトはどの企業でも最も重視されるマーケティング手段の 1 つであるため、まずは Web サイトを簡単にナビゲーションできるようにすることから始めます。Web サイトの訪問者がキーボードだけでナビゲーションしていることもあれば、スクリーンリーダーのような支援技術を使用している場合もあります。すべての情報画像のマークアップに代替テキストが設定されていること、ビデオに字幕が追加されていること、音声ファイルにトランスクリプトが含まれていること、Web サイトにセマンティック HTML マークアップが使用されていること、論理的な見出し構造に従っていることを確認します。
「リソース」セクションに、Web サイト、メール、Facebook、Twitter、Instagram のコンテンツの作成時に役立つリソースがリストされています。
結局のところ、インクルーシブマーケティングの実現において、上記の事項はその手始めにすぎず、まだまだ学ぶべきことがたくさんあることを私たちは認識しています。けれども、これらの初歩的な原則があれば、私たち全員がこうしたジャーニーを前進していくことができると考えています。私たちは、周囲のメディアの人道的な側面を押し上げることによって、顧客とより深いつながりを築くことと、社会に好ましい影響を与えることの両方を成し遂げることができます。今すぐ一緒に始めましょう。
リソース
- AdWeek: How Advertisers Can Make Their Brand Message More Inclusive (広告主がブランドメッセージをよりインクルーシブにする方法)
- Web Accessibility Initiative (WAI) (Web アクセシビリティイニシアチブ (WAI))
- Guide to Email Accessibility (メールのアクセシビリティガイド)
- Facebook のアクセシビリティガイドライン
- Twitter のアクセシビリティガイドライン
- Instagram のアクセシビリティガイドライン