Marketing Cloud Personalization について学ぶ
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Marketing Cloud Personalization における ID という概念を説明する。
- Marketing Cloud Personalization の統合カスタマープロファイルを説明する。
- Marketing Cloud Personalization がどのようにユーザープロファイルを統合するかを理解する
ID とは
お店や施設に入ったときに名前で挨拶されて、自分の好みやスタイルを覚えていてもらえていると、ちょっと嬉しいですよね。こうしたレベルのパーソナライズは、今では顧客が当然のように期待するものになっています。ですが、顧客との接点が 1 つではない場合、それぞれの場所で顧客に寄り添いながらも、すべての場所で一貫したパーソナルなエクスペリエンスを提供して、その人のストーリーを把握し続けるにはどうすればよいのでしょうか?
それを実現するには、それぞれの接点で収集したデータに基づいて、顧客の全体像を把握する必要があります。オンライン、店舗、ロイヤルティプログラムや CRM、メール、ブログ、コールセンターなど、どんな接点であっても、そこには顧客のストーリーの一部となる情報が残されています。Marketing Cloud Personalization (MCP) は、こうしたデータを 1 か所に集約し、単一の顧客 ID を作り上げます。それにより、個々のレベルで顧客を理解でき、チャネルを超えてそれぞれの顧客を認識して、パーソナライズや個別のおすすめといった戦略を通してコミュニケーションできるようになります。
とはいえ、御社とやり取りする何百万もの顧客が、異なるバラバラの接点で関わっている中で、それぞれの ID をどのように把握すればよいのでしょうか? 結局は、個人レベルで相手を理解できれば、その人に響くものが何かをより深く把握できるようになるのです。その答えは MCP にあります。
統合カスタマープロファイル
Marketing Cloud Personalization の中核となるのが統合カスタマープロファイルであり、ここに情報と ID が統合されて、ブランドや組織と関わる個人や企業に関する詳細なビューが得られます。
統合カスタマープロファイルは、オンライン/オフラインを問わず、あらゆる接点に基づいて、すべての訪問者、顧客、ユーザー、アカウントの包括的かつ全体的なビューを提供します。これらのオンラインおよびオフラインの情報源から収集されたデータは、ほかのシステムから収集されたデータで補強することも可能です。これにより、好みや関心、インタラクション履歴、行動を、個人またはアカウント単位で正確に把握できるようになります。
統合カスタマープロファイルの具体的な構成要素は業種によって多少異なりますが、サイトやアプリでの活動、インタラクションのタイムライン、購入履歴、地理的位置、所属セグメント、既知の好みなど、個人またはアカウントごとに収集された詳細情報を確認できます。
この単一で包括的なプロファイルは、あらゆるデータ分析やアクティベーションキャンペーンの土台となります。たとえば、次のような判断に利用できます。
- 個人が特定のプロモーションの対象となるかどうか
- どの商品やコンテンツのおすすめを表示すべきか
- 好ましいコミュニケーションチャネルはどれか
- すべてのチャネルから収集した情報に基づいて、どのメールをいつ送るべきか
- 顧客が現在オンラインかオフラインか
このプロファイルには、見込み客や顧客を理解するためのデータが含まれています。たとえば、購入履歴、ダウンロード、サブスクリプションや申し込み、閲覧履歴、メールでのやり取り、属性情報、ロイヤルティ会員情報とステータス、関心や嗜好、ブラウザーの種類、位置情報、デモグラフィック情報、予測スコアなどです。さらに、異なるレコード間のつながりを確立するための識別情報もまとめられています。たとえば、Cookie、メールアドレス、氏名、住所、電話番号、システム ID などです。
MCP は複数のプロファイルをどのように統合するか
理想的には、各個人が 1 つのプロファイルを持つことが目標ですが、同じ人物に対して複数のプロファイルが存在してしまうこともあります。では、Marketing Cloud Personalization はこうした複数のプロファイルをどのように解決するのでしょうか? 異なるソースからデータが送られてくると、それらを 1 つのプロファイルに統合する必要があります。同じメールアドレスのように明確な識別情報があれば、それは簡単です。ですが、すべてのチャネルややり取りの中で、すべての人が必ずしも自分を明確に識別してくれるとは限りません。このような場合に作成された別々のプロファイルには、それぞれ重要な顧客データが含まれていますが、いずれもその人物を完全に表しているわけではありません。
- たとえば、B2B サイトの訪問者がレポートをダウンロードするためのフォームに、名前とメールアドレスを入力したとします。すると、Marketing Cloud Personalization はそのブラウザーを使用してサイトを訪れている間、その人物を識別できるようになります。ところが後日、同じ人物が別のブラウザーを使って再びサイトを訪れた場合、名前付きのプロファイルは引き続き存在していますが、新しいブラウザーでは別のプロファイルが作成され、その人物の Web サイト上のアクティビティは匿名ユーザーとして記録されることになります。
- 次に、店舗で複数回買い物をした小売店の来店者を考えてみましょう。その人物はロイヤルティプログラムの会員番号を提示しているため、企業側では名前などの識別情報と、店舗での購入履歴を把握しています。その後、同じ人物が何度か EC サイトを閲覧したとしても、購入を行わず、また一切の方法で自分の情報を明かさなかった場合、店舗でのプロファイルと匿名の Web サイトプロファイルは別々のままとなります。
- 最後に、銀行や保険会社の顧客の例です。ある顧客が企業から届いたメールを読んだものの、掲載されていた Web サイトへのリンクはクリックしませんでした。その後、同じ件についてコールセンターに電話をかけ、さらには企業の Web サイトでも情報を調べます。このような状況では、メール、ウェブ、コールセンターという異なるシステム上でのやり取りが、それぞれ別人の行動として扱われてしまう可能性があります。顧客が複数のチャネルで行うすべてのやり取りを 1 つにまとめて真の ID を把握するには、どうすればよいのでしょうか?
Marketing Cloud Personalization は、必要なデータが利用可能になった時点で、複数のプロファイルを縫い合わせます。たとえば、Daniel Exposito という名前の訪問者が、Marketing Cloud Personalization で Daniel Exposito という名前付きプロファイルと、匿名プロファイルの両方を持っているとします。Daniel の名前付きプロファイルには、店舗、コールセンター、モバイルアプリケーションなど、複数のチャネルからのデータが含まれています。一方で、Daniel はノートパソコンでサイトを閲覧している際には ID を識別していないため、匿名の Web プロファイルも存在しています。Marketing Cloud Personalization は、Daniel がたとえばメールからリンクをクリックしてノートパソコンで Web サイトにアクセスするなど、何らかの方法で ID を識別したタイミングで、これらのプロファイルを統合します。匿名ユーザーが Daniel Exposito であることが明らかになった時点で、両方のプロファイルが統合され、Daniel の完全な全体像が形成されます。
このような統合を実現するために、Marketing Cloud Personalization は識別情報を監視しながら、決定論的マッチングを使用して、2 つ以上のプロファイルが同一人物に属するかどうかを判断します。同一人物であると判定された場合、Salesforce CRM の取引先責任者 ID やメールアドレスなどの明確で一意の識別子に基づいて、複数のプロファイルが統合されます。
次のステップ
これで、統合カスタマープロファイルとは何か、そして Marketing Cloud Personalization が複数のプロファイルを同一ユーザーの統一プロファイルとしてどのように統合するかを理解できました。次は、Marketing Cloud Personalization で ID システムを設定する方法を学びましょう。