勧誘する入学希望者のリストの作成
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- EDA で入学希望者のデータをまとめる。
- EDA で取引先の各種レコードタイプがどのように機能するのか説明する。
- 特定のパラメーターに基づいて入学希望者のリストを作成する。
EDA のレポートの特徴
レポートは、定義した条件を満たすレコードのシンプルなリストにすることも、それよりはるかに複雑にすることもできます。そのリストを取り込み、絞り込んでデータグループを作成し、数式を追加して、データの表示に使用するグラフの種別をカスタマイズできます。レポートは、カスタムオブジェクトを含む、Education Data Architecture (EDA) の任意のオブジェクトに対して実行できます。データの内容や見た目には関係なく、あらゆるレポートは、重要な質問への答えを得るための強力な手段となります。
このモジュールの各単元では、大学のさまざまな分野 (学生募集・入学事務、学生エクスペリエンス、K-12 学校、進学) 向けのレポート作成方法を紹介します。
EDA レポートのハンズオン
このモジュールでは、EDA で取引先責任者レコードを作成し、対象者を定義する手順を説明します。このモジュールにハンズオン Challenge はありませんが、練習のために手順を試してみたい場合は、「Install EDA into a Trailhead Playground (EDA を Trailhead Playground にインストールする)」モジュールに従って Playground を設定できます。
EDA インストーラーはこちらにあります。インストール手順については、Salesforce ヘルプ記事の「EDA のインストール」を参照してください。
学生募集と入学事務のレポート
大学出願のシーズンを迎え、全国各地の高校生がどの大学に出願するか真剣に考え始めています。大学の学生募集担当者は、高等教育機関に関心を持つ生徒を数百人、時には数千人も追跡するという、非常に困難な業務を担っています。
この単元では、Cloudy College の学生募集担当者である Marquis Brown の視点に立ち、彼の業務を追体験します。ここでは Marquis が Salesforce と EDA を活用して、この大変な業務を合理化し、効率的なプロセスに変える方法をご紹介します。特に、Marquis が取り組む最も一般的なレポート作成の使用事例の 1 つとして、いくつかの高校の学生のうち、特に Cloudy College のアカデミックプログラムに関心を示した生徒を特定する方法を紹介します。
他の教育機関向け Salesforce モジュールを完了した方は、すでに Marquis や Cloudy College に馴染みがあるかもしれませんが、念のためここで簡単に復習します。
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Marquis Bryant は Cloudy College の学生募集担当者で、大学合同説明会、学内イベント、会議、そして地域と全国各地の両方の学生募集イベントで Cloudy を紹介することを職務としています。具体的には、出願要件や出願期限といった入学手続きについて説明するという形で入学希望者をサポートします。Marquis は、生徒のキャンパス訪問、一般公開日、入学予定者向けガイダンス、説明会といった入学関連のあらゆる特別イベントの日程調整、企画、実施にも関与しています。
- Cloudy College は、米国北西部にある架空の男女共学の私立文系大学です。1964 年に創立され、今秋学期は 3,800 人以上の在学生がいます。
Salesforce と EDA の強味はそのデータであるため、Salesforce を利用する入学選考担当者として、Marquis もデータ活用の観点から学生募集作業をとらえる必要があります。必要とされるリストの条件は次のとおりです。
- 現高校生である
- その高校生が Marquis の担当地域の高校に在籍している
- かつ、Cloudy College のアカデミックプログラムに関心を示している
EDA 組織でこのレポートの作成を練習する場合は、上記の 3 つの条件を使用してデータを絞り込む準備に取りかかります。けれども、絞り込みを開始する前に、まず EDA の基盤となるデータアーキテクチャ自体を検討する必要があります。
入学希望者: データをまとめる
追跡の対象が少人数の高校生でも、全国に広がる入学希望者でも、Salesforce ではさまざまな方法でデータをまとめることができます。EDA にはベースラインとして使用できる体系的なデータ構造が標準装備されているため、独自に計画を立てる必要はほとんどありません。このセクションでは、EDA を活用して、求める結果を得るための効率的なシステムを構築するためのベストプラクティスを紹介します。
便利なことに、EDA には Salesforce の項目とオブジェクトがあらかじめ用意されており、必要なデータを統合的に追跡できるよう簡単に設定できます。では、Marquis が勧誘している高校生 Joseph Halloway を見てみましょう。



この Joseph の管理取引先レコードからもわかるとおり、Marquis は EDA の所属オブジェクトを使用して、特に着目しているデータを追跡しています。所属オブジェクトとは、Joseph Halloway を他の 2 つの取引先に結び付ける連結オブジェクトで、取引先の 1 つは Marquis の担当地域にある Ichabod County High School、もう 1 つは Cloudy College でも評判の高い生物学士課程です。Marquis はこれらの各所属に特定の役割と状況を設定しています。つまり、Joseph が Ichabod County High School の「現」高校生で、生物学士課程の「現」入学希望者であることがわかります。こうした値は重要ですが、その理由については後ほど説明します。
各関連する取引先の取引先レコードをドリルダウンすれば、この 2 つの関連する取引先がどのようなものなのかがわかります。Ichabod County High School レコードは、レコードタイプが教育機関である取引先です。BS Biology (生物学士課程) レコードは、レコードタイプが教育課程である取引先です。

レコードタイプは重要な役割を果たします。前述のとおり EDA では、取引先責任者がデフォルトの各レコードタイプに 1 つずつ主所属を設定できます。(主所属について復習する必要がある場合は、「EDA の対象者管理」モジュールを参照してください。「リソース」セクションにリンクが記載されています)。Joseph のレコードでは、これらの取引先がそれぞれ主所属に設定され、レポート作成時に求める結果を取得できるようになっています。後々レポートに情報を取り込むことにした場合、主所属に設定されていなければ、Joseph の取引先責任者レコードからこのデータを収集することができません。


これで、Marquis は取引先、取引先レコードタイプ、所属、主所属を使用して、EDA で入学希望者のデータを明瞭簡潔な方法でまとめられるようになりました。アーキテクチャが整い、データが入力されたら、いよいよ結果の取得に進みます。
この後のセクションでは、上記のあらゆるデータを使用して有益なレポートを作成する方法について説明します。各自の EDA 組織でここに記載の手順を実践する場合は、作業するサンプルデータを作成してください。
- 12 人の学生の取引先責任者レコードを作成し、各人に特定の高校への所属を設定します。(この例では、Marquis は 4 つの高校から 3 人ずつ学生を勧誘しています)。所属の作成時、所属の役割は [Student (学生)]、所属の状況は [Current (現)] に設定します。
- このうちの 8 人の学生には、各種の教育課程への別の所属も作成します。この別途の所属の作成時、所属の役割は [Prospect (入学希望者)]、所属の状況は [Current (現)] に設定します。
取引先責任者と取引先レポートの作成
ところで、Marquis が求めるデータを得るにはどうすればよいのでしょうか? ここでは、EDA を Salesforce の最も強力な機能であるレポートと連携させます。
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[レポート] タブをクリックします。([レポート] タブが表示されない場合、アプリケーションランチャー (
) をクリックして、[レポート] を検索して選択します。)
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[新規レポート] をクリックします。
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[取引先責任者と取引先] レポートタイプを検索して選択します。
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[Continue (続行)] をクリックします。
![[取引先責任者と取引先] レポートタイプを選択し、[続行] をクリックします。](https://res.cloudinary.com/hy4kyit2a/f_auto,fl_lossy,q_70/learn/modules/highered_heda_reports/highered_heda_reports_student_list/images/ja-JP/e3444c92fd188685b2b27cfa00adaf6f_kix.oalys9c3y78b.png)
Marquis が Salesforce で [取引先責任者と取引先] レポートタイプを使用する理由は、極めて重要な EDA 固有の所属にドリルダウンできるためです。
現高校生のクロス条件の作成
次にクロス条件を作成して、統合された各種オブジェクトにまたがるデータを確認できるようにします。
- 保存されていない新規レポートで、[Filters (検索条件)] ドロップダウンメニューをクリックし、[Add Cross Filter (クロス条件を追加)] を選択します。
![検索条件ドロップダウンで [クロス条件を追加] を選択します。](https://res.cloudinary.com/hy4kyit2a/f_auto,fl_lossy,q_70/learn/modules/highered_heda_reports/highered_heda_reports_student_list/images/ja-JP/63ded8e0c031bbba74c1b73fd833bae8_kix.1y6inajwl0br.png)
- 検索条件を [取引先責任者] [関連する] [Affiliated Accounts (関連する取引先)] に設定します。
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[Apply (適用)] をクリックします。
![[取引先責任者] [関連する] [Affiliated Accounts (関連する取引先)] に設定されたクロス条件](https://res.cloudinary.com/hy4kyit2a/f_auto,fl_lossy,q_70/learn/modules/highered_heda_reports/highered_heda_reports_student_list/images/ja-JP/e20a372ff3b8b3965d42d3d335beb3da_kix.qdg3rj6udwne.jpg)
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[Add Affiliated Accounts Filter (関連する取引先検索条件を追加)] をクリックして、次の検索条件を追加します。
- [ロール] [次の文字列と一致する] [Student (学生)]: [ロール] を検索して選択します。検索条件が表示されたら、[演算子] は [次の文字列と一致する] のままにして、[値] として [Student (学生)] を選択します。[適用] をクリックします。
- [状況] [次の文字列と一致する] [Current (現)]: [状況] を検索して選択します。検索条件が表示されたら、[演算子] は [次の文字列と一致する] のままにして、[値] として [Current (現)] を選択します。[適用] をクリックします。
- [団体] [次の文字列を含む] [学校]: [団体] を検索して選択します。検索条件が表示されたら、[Operator (演算子)] を [contains (次の文字列を含む)] に変更し、[Value (値)] として
school(学校) と入力します。
(ヒント: 追跡する学校名に「high」が付かない場合があるため、high school (高校) は使用しないでください。)
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[Apply (適用)] をクリックします。
![12 人の入学希望者に絞り込まれた、[プレビュー] ペインの結果](https://res.cloudinary.com/hy4kyit2a/f_auto,fl_lossy,q_70/learn/modules/highered_heda_reports/highered_heda_reports_student_list/images/ja-JP/5eef0a904d5a7617342444abada78e8a_kix.9dwjiwe19u9.jpg)
- レポートの他の項目によってデータが制限されないことを確認します。たとえば、Marquis は [表示] メニューが [すべての取引先] に設定され、日付の範囲が [常時] に設定されていることを確認します。こうすれば、レコードを誰がいつ作成したかに関係なく、できるだけ多くの結果が示されます。
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[保存 & 実行] をクリックして、レポートを実行します。
- レポートに
「Interested High School Students」(関心を示している高校生) という名前を付けます。[保存] をクリックします。
Marquis の担当地域の 4 つの高校の学生のリストが表示されます。(この例では 12 人の学生が該当しました。)
この 12 人は、何らかの理由でこれまで追跡してきた学生です。ただし、この全員が Cloudy College の特定のプログラムに関心を示しているわけではなく、Marquis のレポート名からもわかるように、これは Marquis 用のリストです。ですから、別のクロス条件をレポートに追加して、結果を絞り込みましょう。
現入学希望者の 2 つ目のクロス条件の作成
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[検索条件] ドロップダウンメニューをクリックして、[クロス条件を追加] を選択します。
- この新しい検索条件も前回と同様、[取引先責任者] [関連する] [Affiliated Accounts (関連する取引先)] に設定します。[適用] をクリックします。
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[Add Affiliated Accounts Filter (関連する取引先検索条件を追加)] をクリックして、次の検索条件を追加します。
- [ロール] [次の文字列と一致する] [Prospect (入学希望者)]
- [状況] [次の文字列と一致する] [Current (現)]
- [所属種別] [次の文字列と一致所属種別する]
[アカデミックプログラム]
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[Save & Run (保存 & 実行)] をクリックして、レポートを実行します。
今回の入学希望者のリストには Marquis が「入学希望者」と指定した学生、つまり、特定のアカデミックプログラムに関心を示している学生のみが表示されます。(この例では 8 人の学生が該当しました)。![[取引先責任者] [関連する] [関連する取引先] で絞り込んだ 8 人の入学希望者の [主教育機関] 項目と [主アカデミックプログラム] 項目。](https://res.cloudinary.com/hy4kyit2a/f_auto,fl_lossy,q_70/learn/modules/highered_heda_reports/highered_heda_reports_student_list/images/ja-JP/9a91dfa4c3e594bf4a8397aa80fda186_kix.y7yg2psh7xbb.jpg)
ただし、これではまだ不十分です。Marquis は該当した学生がどの課程に関心を抱き、どの高校に在籍しているのかも知る必要があります。前述のとおり、主所属を設定していれば、EDA と Salesforce のレポート機能によってこうした情報を確認できます。
- 左側のパネルで、折りたたまれた [項目] 列を見つけます。矢印をクリックして展開します。
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primary(主) を検索して、「Primary (主)」の付いた項目群を見つけます。![主所属の項目が強調表示されている [取引先責任者: カスタム情報] フォルダー。](https://res.cloudinary.com/hy4kyit2a/f_auto,fl_lossy,q_70/learn/modules/highered_heda_reports/highered_heda_reports_student_list/images/ja-JP/21a57f1ca41bfadb189b0ce84795ff3c_kix.3q6bhuy3cp34.jpg)
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[主教育機関] 項目と [主アカデミックプログラム] 項目をプレビューペインにドラッグして、レポートに追加します。
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[Save & Run (保存 & 実行)] をクリックします。
![[名]、[姓]、[主アカデミックプログラム]、[主教育機関]、[取引先名] が表示されているレポート](https://res.cloudinary.com/hy4kyit2a/f_auto,fl_lossy,q_70/learn/modules/highered_heda_reports/highered_heda_reports_student_list/images/ja-JP/0ce5541aaf392553fbc7aaa82d3129bb_kix.ms2vb43w1goq.jpg)
Salesforce と EDA を使用すれば、これだけで本当に有用なレポートを作成できます。このレポートは繰り返し利用でき、組織でデータを追加または編集するたびに自動的に更新されます。ただし、優れた結果を得るためには優れたデータが必要です。ですから、データアーキテクチャを構築して Salesforce にデータを入力するときは Marquis が示したベストプラクティスに従うようにしてください。
次は、学生エクスペリエンスチームがレポートを活用する様子をご紹介します。次の単元に進み、カスタムレポートタイプを使用して学生の出席状況のレポートを作成する方法を学習しましょう。
リソース
- Trailhead: Education Data Architecture の基本
- Trailhead: EDA の対象者管理
- Trailhead: Lightning Experience のレポートおよびダッシュボード
- Salesforce ヘルプ: 入学希望者のリストの作成
