提供者向けの利用管理を知る
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 提供者組織向け利用管理の主要なユーザーを説明する。
- Health Cloud 向け利用管理でニーズの評価と承認の送信を自動化する方法を説明する。
提供者向けの利用管理
Health Cloud 向け利用管理により、提供者者は以下のことが行えます。
- 電子事前申請 (ePA) によって承認要請を電子的に送信して追跡することで、手作業での事務作業と電話連絡を不要にする
- 対象資格と給付を事前に確認することで、管理者による却下の主原因を排除する
- 送信した陽性の状況をリアルタイムで確認する
- 送信した事前承認 (PA) 要請のインサイトを取得して業務の改善に役立てる
- PA 要請の作成において電子健康カルテ (EHR) と Health Cloud の相互運用性を高める
通常、利用管理プロセスはニーズ評価から始まります。このプロセスでは、特定の医療処置やサービスで PA 要請が必要であるかどうかを提供者が判断します。PA とは、医療処置やサービスで PA 要請が必要であるかどうかと、患者の保険プランの対象になっているかどうかを判断するプロセスです。
PA が必要であれば、提供者は要請を患者の保険会社に送信します。承認が必要なければ、提供者は、患者の保険で費用が支払われるという前提で必要なサービスを直ちに実施します。
PA が必要な一般的な医療処置としては、多くの画像検査、外科手術、特殊医薬品、リハビリテーションサービス、メンタルヘルスサービスなどがあります。他の医療処置、たとえば定期健診、予防ケア、診断検査、簡単な外科手術などは PA が不要な場合もあります。ただし、これらの承認要件は非常に複雑で、保険会社や保険プラン、具体的な医療処置やサービスごとに異なります。
そのため、特定の特性群に対して PA が必要であるかどうかを簡単に判断できるように、一貫した使いやすい自動化環境を作成することが重要になります。PA が必要な場合には、必要な承認要請を簡単に送信できるように、同じように使いやすいプロセスが必要です。そうでなければ、提供者は支払者との管理上のやり取りで時間が取られてしまい、ケアが遅れるだけでなく、コストも増えてしまいます。
ニーズ評価
Health Cloud が提供者の UM 要件を合理化して自動化する仕組みを、Charles Green の例で見ていきましょう。彼は、大手保険会社の Cumulus Health Plans 社の保険プランに加入しているメンバーです。Charles は股関節の病気を抱えており、これまでの治療はすべて功を奏していません。
Charles の保険プランのネットワークに加盟している整形外科医は、Charles の股関節を治療するために自分のクリニックで一連の理学療法セッションを処方しました。このクリニックでは、Health Cloud を利用して承認管理プロセスを処理しています。
クリニックの承認コーディネーターである Thomas Boon は、すべての必要な評価と PA 要請を担当しています。彼は自分のロールで以下を行います。
- 医療サービスの事前承認の必要性をチェックする
- PA が必要である場合は、必要な詳細と添付ファイルを沿えて PA 要請を支払者に送信する
- 送信した要請の状況をフォローアップする
- 支払者から提起された決定に必要な要件を調整する
- 支払者と提供者の間でピアツーピアレビューを促進する
Thomas の 1 日は、便利なダイアログボックスで現在のケア要請を確認し、新しい要請を作成することから始まります。
MuleSoft Direct for Health Cloud の EHR コネクタにより、Thomas は患者データと臨床データを簡単に自分の Health Cloud 組織に取り込むことができます。
支払者側では、Cumulus Health Plans 社はビジネスルールエンジン (BRE) ツールを利用して、サービス要請で PA が必要かどうかを判断します。事前作成済みのルールテンプレートにより、特定の要件に合わせてルールを簡単にカスタマイズできます。
ビジネスルールの設定についての詳細は、「ビジネスルールエンジン」モジュールを参照してください。
Thomas が提供した情報に基づいて、Charles の股関節治療には PA が必要だという判断が下ります。
Thomas は、プロセス全体を通して CRM Analytics を利用して主要な指標を確認し、すべての承認を追跡して、支払者からの追加情報の要求を管理します。
次は承認要請の送信です。
承認の送信
ヘルスケア提供者は標準のガイド付きプロセスを MuleSoft の EHR コネクタと組み合わせて使用することで、電子事前申請 (ePA) 要請を Da Vinci FHIR R4 形式で送信できます。
理学療法の要請を出すため、Thomas は自分のダッシュボードから承認ワークフローを起動して、患者として Charles を選択します。
次に Thomas は、提供者の詳細とサービスコードなど、具体的な要請の主要な詳細情報を入力します。
Thomas は、適切な承認の詳細とサービスを選択してから、必要な書類をすべてアップロードして、Charles の保険情報を入力します。
支払者の Cumulus Health Plans 社は、要請に対する決定を直ちに下すか、または要請を完全な臨床レビューに回すための自動承認ルールを設定しています。要請は FHIR R4 形式で送信されているため、Cumulus 社は要請を FHIR エンドポイントから簡単に受け入れることができます。
事前に設定されている条件に基づき、Charles の受診はすみやかに承認されました。
Thomas は、承認結果画面で支払者からの連絡事項や、要請したサービスに関する詳細を確認できます。提供者は、AI ベースの推奨サービスバンドルを活用して、過去のパターンに基づいて推奨された追加サービスの子承認要請を予測することもできます。これによって管理上の理由によるケア提供の遅延をさらに削減できます。
要請の承認通知を受け取った Thomas は、Charles の患者レコードを開き、Charles のすべての承認要請を確認して、承認された理学療法セッションをその場でスケジュールします。
さて、Health Cloud が提供者の承認送信プロセスを大幅に合理化して簡素化する様子を見てきました。では、Health Cloud は支払者をどのように支援するでしょうか?
次の単元では、支払者が Health Cloud をどのように利用して複雑なオフライン承認要請を処理し、受入、レビュー、そして決定のフェーズをスムーズに進むのかを見ていきます。