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利用管理について学ぶ

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 支払者と提供者が Health Cloud 向け利用管理を利用して患者のケア管理を改善する方法を説明する。
  • Health Cloud が一般的な利用管理の課題を解決する方法を説明する。

始める前に

このモジュールを始める前に、次の推奨コンテンツを完了することを検討してください。

効果的な利用管理の必要性

ヘルスケア組織は、効果的なケアと増加するコストとのバランスを取るという課題に常に直面しています。 

そのため支払者は毎日、医療上の必要性について数えきれないほどの判断を下し、その結果をヘルスケア提供者やメンバーに伝えるという作業に追われています。この負担がのしかかっているのは支払者だけではありません。支払者はそれぞれが独自のガイドラインを持っているため、ケアを要請される提供者も、要請の承認を決定する上での困難とコストに直面しています。この手作業によるプロセスではエラーも発生しやすく、例外も多いため、患者のケアが送れる原因にもなります。 

では、実際の治療を検討する前に、すべての関係者に積極的に関与してもらったらどうなるでしょうか? ここで役立つのが利用管理 (UM) です。基本的に、UM を使用すると、患者は確実に適切なケアを適切なタイミング、期間、設定で受けられるようになります。 

以前の医療保険では、UM を利用して、ケアを提供する前にケースバイケースでケアの妥当性を評価することで、ヘルスケアコストを管理していました。かつては業界では当たり前だった出来高払いの診療報酬モデルでは、UM の主な目的はコストを削減することでした。 

現在のヘルスケアは、価値ベースのモデルにシフトしました。このモデルでは、提供したサービスの量だけではなく、臨床結果の質に応じてケア提供者に報酬が支払われます。質を重視することになった結果、ケア提供者は、より全体的な視点から UM を見るようになりました。支払者も提供者も同じように、コストの管理だけではなく、質の高いケアを保証してリスクを管理するために UM を活用するようになってきています。 

そこで、UM プロセスのすべてのフェーズを合理化してデジタル化する機能を備えた Health Cloud 向け利用管理の出番です。

利用管理のライフサイクル

UM の主要なフェーズは、ニーズ評価、承認の送信、受入管理、臨床レビュー、そして決定と伝達です。これらのフェーズを通して、質の高いケアを確実にメンバーに提供します。 

UM の 5 つのフェーズを表した情報の図。

各フェーズの目的は下表のとおりです。

フェーズ 目的

ニーズ評価

提供者は、指定された医療サービスに対して承認要請が必要であるかどうかを判断します。

承認の送信

提供者は、医療サービスの承認を求める正式な要請を支払者に送信します。

受入管理

支払者は、承認要請の管理者レビューを実施して、要請を適切なリソースに転送します。

臨床レビュー

支払者は、要請されたサービスの医療上の必要性と妥当性を評価します。 

決定と伝達

要請されたサービスの最終的な承認または却下の決定を提供者とメンバーに伝達します。

これらのフェーズに従うことにより、医療機関は、医療サービスが一貫した証拠に基づく方法でレビューされることを保証できます。これにより、コストを押さえながら患者ケアを最適化できます。 

利用管理による主な課題の解決

これらの主要なフェーズを念頭に置きながら、UM における一般的な課題と、それらを解決する Health Cloud のツールを見ていきましょう。  

ニーズ評価

患者がヘルスケア提供者を訪れたら、提供者は電子健康カルテ (EHR) で患者情報を更新する必要があります。また提供者は、支払者ごとのポリシーに沿ってサービスコードや診断コードをチェックする必要もあります。これは時間が掛かり、エラーも発生しやすいプロセスです。支払者組織でも、多くのリソースを割り当ててこれらの作業に対応する必要があります。

OmniScript プロセスライブラリには、ニーズ評価を実施するためのガイド付きフローが用意されており、提供者や支払者はこのフローをカスタマイズできます。

提供者は、EHR コネクタの MuleSoft Direct for Health Cloud を利用して患者情報と臨床情報を直接引き出すことができるため、情報収集プロセスが大幅に簡素化されます。 

MuleSoft System インテグレーションライブラリの設定。

支払者は、ビジネスルールエンジン (BRE) を利用して複雑なニーズ評価ルールを設定することで、プロセスをさらに自動化できます。これらのルールは、Connect API で直接拡張するか、または Experience Cloud を使用してプロバイダーポータルを設定して拡張できます。 

承認の送信

通常、提供者スタッフは、電話や Fax で事前承認 (PA) を要請するか、または患者データと臨床データを医療保険のポータルに手動で再入力する必要があります。

標準のガイド付きフローを利用すると、PA 要請をデジタルで迅速かつ正確に送信できます。

事前承認ガイド付きフローの承認結果ステップ。

提供者は、MuleSoft Direct for Health Cloud を利用して、患者情報と臨床情報を簡単に取得し、承認要請をすばやく作成できます。そして、提供者は Da Vinci FHIR API 形式で要請を電子的に送信できます。要請は、Mule コネクタ経由で支払者の FHIR エンドポイントに送信されます。

BRE ツールを利用することで、処方されたサービスの自動承認の条件を有効化できます。これにより、ケースが減ってコールセンターの管理者や医療スタッフの負担が軽減されます。

受入管理

相互運用性の問題により、受入スペシャリストは UM アプリケーションに要請を手動で入力して、レビュー後に臨床レビューに転送する必要があります。要請やデータの入力にエラーがあると、遅延が発生し、要請は保留となります。 

スペシャリストは、対象資格と給付を検証して、必要な書類がすべて要請に添付されていることを確認する責任も負っています。

Health Cloud の標準ベースのアプローチとインテグレーションツールは、承認要請を簡単に EHR に直接関連付けてくれます。標準の Salesforce Healthcare API は、Da Vinci FHIR R4 形式での PA の受入を容易にします。

受入スペシャリストは、インテリジェントなドキュメントの自動化 (IDA) ツールを利用して、ファックスベースの PA 要請を処理できます。また、文書チェックリストによって、最初の要請時に必要なすべての書類が揃っていることを確認できます。

インテリジェントフォームリーダーを使って承認フォームから抽出されたデータが入力された新規の個人取引先レコード。

OmniChannel 転送ツールを利用すると、ケースを適切な臨床リソースに自動的に割り当てるためのルールを簡単に設定できます。キューベースルーティング (QBR) は承認要請を適切なキューに登録し、スキルベースルーティング (SBR) は求められるスキルと対応可能状況が揃ったスペシャリストに要請を転送します。

臨床レビュー

UM 臨床医は、医療上の必要性の条件を簡単に確認できないため、いろいろなアプリケーションを切り替えて必要な情報を集める必要があります。臨床医が提供者に必要な文書を要求しなければならないことも多く、オフラインプロセスであるため、面倒な連携が発生します。

Health Cloud は、医療上の必要性の条件を統合することで、臨床医の意志決定の正確さ、一貫性、そして効率を改善します。  

[My Care Requests (私のケア要請)] ダッシュボードは、すべての有効なケア要請を表示し、優先付けて、処理するための中央ハブとして機能します。

ケア要請のリストを視覚的に表示した [My Care Requests (私のケア要請)] ダッシュボード。

[UM Nurse (UM 看護師)] ガイド付きフローは、UM 看護師が要請されたサービスに対して情報に基づく意志決定を下せるようにします。このフローでは、ケースをレビューしてもらうためにメディカルディレクター (MD) に転送し、提供者に必要な追加情報を要求できます。

決定と伝達

メディカルディレクターは、レビューを実施するために患者の臨床情報にすぐにアクセスする必要があります。メディカルディレクターが最終決定を下した後も、決定の詳細や推奨するサービスを簡単に伝達する手段がありません。 

この統合プラットフォームは、360 度ビューによって簡単なレビューと決定を可能にします。UM 看護師は、すべての推奨事項や他の重要な情報を一元化された場所にまとめて、PA レビューを簡単にメディカルディレクターに渡すことができます。 

メディカルディレクターワークフローでは、承認プロセス全体の包括的なビューが提供され、メンバーや提供者の詳細について事前設定されたコンポーネントが用意されています。このワークフローには、要請されたサービスや他の文書に関して必要なメモを追加する機能もあります。

メディカルディレクターは、ケースレコードに直接埋め込まれたワークフローをレビューします。

ピアツーピア (P2P) レビューでは、UM 看護師はすべてのインタラクションをスケジュールして、メモを記録できます。看護師は、Lightning Scheduler で Lightning Scheduler のリソース設定に基づいて MD の対応可能状況を確認できます。スケジュールされたレビューの時間になったら、MD はインタラクションに関する情報を同じビューで記録できます。 

その他のツール

これらの機能は、より効率的で効果的な利用管理プロセスの構築を可能にする Health Cloud ツールが持つ力のごく一部に過ぎません。 

UM の内容を分析して最適化できるように、CRM Analytics for Healthcare がアドオン製品として用意されています。この製品の UM 分析機能と AI 機能は、UM ライフサイクルにおけるアクション可能なデータとインサイトを組織に提供します。 

これらのパワフルな機能を簡単に設定できるようにするため、Health Cloud には、すべての主要な設定ステップの統合ビューを提供するガイド付きワークフローである Salesforce Easy が用意されています。このツールは、すべてのフェーズを追跡して、ユーザーが行き詰まった場所から再開できるようにします。 

利用管理の初期設定と定義ステップ。

このように、Health Cloud は、効率的でデータに基づく利用管理プロセスを構築するための包括的なツールキットを提供します。

統合ソリューション

結局のところ UM は、支払者、提供者、そしてメンバーに同じような利点をもたらします。支払者は、適切な治療やサービスをレビューして承認し、不要な支出を最小限に抑えることでコスト効果の高い医療を保証できます。提供者は、ワークフローの合理化、ケア調整の改善、そして支払者とのコミュニケーションの強化を通して、最適なリソースの割り当てと効率の向上を実現できます。そしてメンバーは、このプロセスによって適切なケアを適切なタイミングで受けることができるため、患者の安全が促進され、治療の遅延も減り、全体的な医療成果が向上します。

Health Cloud は、さまざまな関係者間での調整を簡素化して最適化するだけでなく、利用管理、ケア管理、そしてカスタマーサービスプロセスを 1 つのソリューションに統合します。

カスタマーサービス、利用管理、ケア管理の機能が連携して、人々の健康を守ります。

PA の受入は、臨床利用管理プロセスを開始する提供者のカスタマーサービスワークフローから始まります。そして、PA 要請はケア管理プロのプロ登録をトリガーします。ケア管理ソリューションは、UM の退院計画を監視して、現在エンゲージしているメンバーのケースへの更新をレビューします。これらのすべてのソリューションが連携して、統合されたエコシステムを形成します。 

これらの複雑なプロセスをすべて 1 つのプラットフォームにシームレスに統合することで、医療機関は運営コストを抑えて、最も重要な患者の健康とメンバーの満足度を改善できます。

この単元では、利用管理が提供するさまざまな機能やワークフローが UM ライフサイクル全体で提供者と支払者をどのように支援するかについて学習しました。次の単元では、Health Cloud によって提供者が承認要請を簡単に送信できるようになる仕組みを見てみましょう。 

リソース

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