支払者向けの利用管理を調べる
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 支払者組織向け利用管理の主要なユーザーを説明する。
- Health Cloud 向け利用管理が支払者組織にどのようなソリューションを提供するかを説明する。
支払者向けの利用管理
Health Cloud 向け利用管理により、支払者は以下のことが行えます。
- ルールベースのニーズ評価と承認要請の自動承認を設定することで、コール数を減らし、管理の手間を軽減する
- ファックスやダイレクトメールなどの非同期チャネル経由で受け取る PA 要請の受入を自動化する
- 給付保障や事前承認要請の履歴へのリンクによってメンバーに 360 度ビューを提供する
- 承認コーディネーターとシームレスにコラボレーションすることで意志決定をスピードアップする
- 臨床レビューの意志決定と事業改善をサポートするインサイトを取得する
- 提供者とメンバーの満足度を改善する
Charles Green は、慢性股関節痛を治療する医療機関を探しています。保険プランのネットワークに加盟している整形外科医は、まず理学療法を受けることを推奨していますが、Charles は、積極的な治療で知られるネットワーク未加盟のクリニックで股関節の外科手術を受けることを希望しています。クリニックでは、初診が終わると必要な書類をすべて集めて保険会社の Cumulus Health Plans にファックスで送信し、承認を要請しました。
Health Cloud 向け利用管理により、支払者はこのような複雑なケースも効果的に管理して解決できます。手順は次のとおりです。
受入管理
受入管理では、承認要請の処理と適切なレビューリソースへの転送を行います。Cumulus 社のコンタクトセンターで働く受入スペシャリストである Sam Bennett は、これらの主要な作業を担当します。
Sam は彼女のロールで以下を行います。
- PA 要件に関する問い合わせに対応してガイダンスを提供する
- オフラインでの承認要請を処理する
- メンバーの対象資格と給付を確認する
- 要請の管理者レビューを実施する
- 事前に確立されている条件に基づいて要請を承認する
ファックスで送られてきた Charles の外科手術要請などのオフライン承認については、Sam はインテリジェントなドキュメントの自動化ツールを使って受入プロセスを簡素化します。アクションプランテンプレートを利用して、スキャンした文書を文書チェックリストに添付し、適切な文書キューに割り当てて、すべて単一の文書ワークスペースで管理します。
Sam は、Amazon Textract を利用したインテリジェントフォームリーダーを使って、要請文書から自動的にデータを抽出します。このインテリジェントなテクノロジーは、データを適切な Salesforce レコードにシームレスに統合します。
インテリジェンスと自動化を活用することで、Sam のワークロードは大幅に軽減されます。そして、要請のレビューと振り分けに集中できるようになりました。
Sam は、ファックスで受け取ったすべての情報をレコードに格納して、PA 要請の作成に利用します。
または、承認コーディネーターが提供者のオフィスに電話して必要な情報を集め、データをガイド付きフローに入力することで、承認要請を手動で作成することもできます。
Sam は、要請の処理を開始し、承認要請種別として [入院患者 - 身体的健康審査] を選択します。
次に、彼女はこの特定のサービス要請で PA が必要であるかどうかを確認します。
この股関節の手術では PA が必要であるため、Sam は追加の詳細を指定します。必要な情報をすべて送信してから、彼女は要請をレビューします。
次に Sam は、要請が送信されたことの確認を受け取り、管理者レビューに入ります。
バックグラウンドでは、ガイド付きフローによって、ケア要請、ケア要請品目、そしてケースに対して新規レコードが生成されます。ケースレコードは、すべての利用管理フェーズを表示するようにカスタマイズされます。
要請に関するすべての情報と文書を確認した後に、Sam はケア要請を次のフェーズである UM 看護師レビューへと移します。OmniChannel 転送ルールにより、要請はレビューに適した臨床リソースに確実に転送されます。この場合のリソースは、外科手術の要請を専門とする UM 看護師です。
臨床レビュー
要請の管理者レビューが完了したら、次は包括的な臨床レビューを行います。通常、臨床レビュープロセスは UM 看護師が開始します。
UM 看護師は、自分のロールで以下を行います。
- 証拠に基づく支払者固有のガイドラインに従って、PA 要請の臨床レビューを実施する
- サービスレベル契約 (SLA) を追跡し、緊急の要請が優先されるようにメディカルディレクターをフォローアップする
- その他の要件をフォローアップする
- 提供者と調整して、意志決定を伝達してピアツーピアレビューをスケジュールする
Health Cloud の利用管理アプリケーションにより、Cumulus 社の UM 看護師である Eliza Sherwood には、要請をレビューするために必要なすべてのツールが揃っています。
Eliza が自分のダッシュボードを確認すると、Eliza に割り当てられているケースとそれぞれの状況の概要が視覚的に表示されています。
Eliza は、ダッシュボードで Charles の外科手術ケア要請ケースを開き、彼の要請に関する主要な情報をすべて表示します。
ケースレコードでは、ユーザーに予測評価指標を提供して UM ライフサイクル全体でユーザーをサポートするインテリジェントなツールも活用しています。
SLA Breach Likelihood Prediction (SLA 違反の可能性予測) は、承認要請固有の特性に基づいて、サービスレベル契約 (SLA) 違反の可能性を予測する AI ベースのモデルです。支払者は、これらの予測を利用して、遅延の原因となる上位の要因をレビューし、それらに対応することで SLA を確実に遵守します。
このコンポーネントは、UM 看護師や他の主要なユーザーが処理を順調に進められるように、マイルストーンも表示します。
Charles の外科手術要請では、ケアのレベル、入院紹介元、そして他の要因に基づいて、SLA 違反の可能性は最小限であると予測されました。ですが、Eliza は処理を順調に進めるために、レビューをすぐに完了する必要があります。
Approval Rate (承認率) は、要請側の提供者の全体的な承認率と、要請されている各サービスのサービス承認率を提供する分析ベースのカードです。
Charles の外科手術要請で指定されている保険プランのネットワークに未加入の医師は、積極的な治療で悪評があり、PA 承認率はわずか 33% です。この承認率は、グローバル承認平均よりもかなり低い数字です。また、この人工股関節置換手術の承認率はさらに低く、わずか 14% です。
ユーザーは、[Services Pathway Recommendation (サービス経路推奨)] ダッシュボードをカスタマイズすることもできます。このダッシュボードは、メンバーの診断結果に基づいて、適切と思われる他のサービスを推奨します。
このダッシュボードは、Charles の主診断に通常は伴う 3 つの他のサービスを特定します。可能性のしきい値を調整することで、表示されるサービスの数を増減できます。
支払者は、この情報に基づいて臨床自動承認のワークフローを設定することで、プロセスをさらに自動化できます。
次に Eliza は、事前作成済みの [UM Nurse Review (UM 看護師レビュー)] ガイド付きフローをケースレコードから起動します。
この時点までに入力されている要請に関連したすべての詳細が自動的に入力されるため、時間と手間を節約できます。
Eliza は、証拠に基づいた臨床レビューガイドラインも参照して、ケア要請の医療上の必要性を確立します。Health Cloud は、MCG や Interqual といった業界のリーダーとのインテグレーションを実現しています。
そのため Eliza は、Charles の外科手術要請の医療上の必要性の条件をシームレスにレビューできます。
これらのガイドラインに基づき、Eliza は Charles の要請が医療上の必要性の条件を満たしていないと判断します。
Eliza が決定内容を送信すると、要請が最終レビューを受けるためにメディカルディレクターの Peterson 医師に直ちに転送されます。
決定と伝達
UM 看護師は、意志決定を承認することはできますが、通常は要請を却下することはできません。その責任はメディカルディレクターにあります。
Peterson 医師は、メディカルディレクターのロールで以下を行います。
- 割り当てられた PA 要請を医療ガイドラインに従ってレビューします。
- ピアツーピアレビューの要請を出す
- 最終的な承認または却下の判断を下し、理由と参照を提供する
Peterson 医師は、事前作成済みのメディカルディレクター用ガイド付きフローを利用して、最終的なレビューを実施します。
すべての情報をレビューした結果、保存的治療の証拠が存在せず、医療上の必要性が認められないため、彼女は要請を却下します。
Peterson 医師は、ガイド付きフローによって、却下通知に含める臨床的な詳細と長い説明文を簡単に選択できます。
Peterson 医師がレビューを完了すると、Charles には直ちに却下の通知が送られます。Charles は、望むのであればアピールプロセスを開始することもできます。Cumulus 社では、このプロセスも Health Cloud で作成しました。ですが Charles は、承認された理学療法を試すことに決めました。
この理学療法は Charles に驚くほど適していたため、彼の股関節の痛みは大幅に軽減しました。彼は外科手術を回避できたことを喜び、今は数年ぶりに痛みから解放されて人生を楽しんでいます。
Health Cloud 向け利用管理により、Cumulus 社のような支払者は、メンバーが適切なケアを適切なタイミングと適切な設定で一貫して受けられることを保証できます。