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臨床データモデルを検証する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • Health Cloud の臨床データモデルの利用目的を説明する。
  • 臨床受診に関連するオブジェクトを説明する。
  • 診断と薬剤に関連するオブジェクトを説明する。

臨床データモデル

患者のヘルスケアジャーニーでは、患者は複数の提供者やヘルスケア施設をさまざまなタイミングで訪問します。患者の医療カルテの正確性を確保するため、Health Level Seven (HL7) ではヘルスケア提供者が医療カルテをどのように構成、保存、転送するかについて業界で認められた標準が定義されています。これにより、異なる提供者や施設が使用するシステムの相互運用性が確保できます。そのため、HL7 では次の 2 つの標準が定義されています。

  • Fast Health Interoperability Resources (FHIR)
  • HL7

臨床データモデルは FHIR に適合し、HL7 メッセージ種別の多くをサポートしています。このデータモデルでは、統合ミドルウェアを介して電子健康カルテ (EHR) システムから情報を取得します。また、患者やメンバーの受診歴、慢性疾患、アレルギー、薬剤、免疫付与など、EHR に一般的に関連付けられる情報が表示されます。 

次のシナリオを介して、臨床データモデルが Charles Green のヘルスケアジャーニーのどこに関連するかを確認しましょう。 

Charles は腰に痛みがあるため、Fortis Center 病院を訪れ、Carol Peterson 医師の診察を受けます。病歴が確認され、Charles の怪我の程度を判断するために検査が依頼されます。Charles は検査結果のレポートを受け取り、筋肉と靭帯を痛めていると診断されました。Peterson 医師は Pain-Away という新しい薬剤を処方し、服用量も指定します。

このシナリオを臨床データモデルのオブジェクトに対応付けてみましょう。まず、Charles が Peterson 医師の診察を受けるために来院することに焦点を当てます。ヘルスケア用語では、これは臨床受診です。

臨床受診

臨床受診オブジェクトは、患者とケア提供者間のヘルスケア関連のやり取りを表します。このような受診は、入院前から入院、退院まで、患者のヘルスケアサービス体験のどの時点でも発生します。 

臨床受診レコードには、次のようなデータを含む項目があります。

  • 治療を受ける患者の名前
  • ケアを提供する人の名前
  • 受診が行われる施設
  • 受診の日付と所要時間
  • 受診のカテゴリと状況
  • 入院紹介元、および関連する受診や予定 (ある場合)

Charles は Fortis Center 病院を訪れ、Carol Peterson 医師の診察を受けます。次の図は、受診に関連するオブジェクトを示しています。  これは、臨床データモデルの完全な ERD ではなく、あくまでも臨床データオブジェクトのサブセットを示す一例です。

臨床受診オブジェクトと関連オブジェクト。

関連する受診オブジェクトでは、受診にさらに詳しい情報が追加されます。この受診レコードは、親レコードとして臨床受診レコードを参照し、受診の外側に存在するレコードを参照します。このようなオブジェクトとレコードの概要を次に示します。

シナリオの詳細 オブジェクトとレコードの詳細

Charles Green は患者である。

個人取引先 (1)

Charles がヘルスケア提供者とヘルスケア関連のやり取りを行う。

臨床受診 (2)

臨床受診レコードは患者の個人取引先レコードを参照します。 

Charles が Fortis Center 病院を訪れる。

臨床受診施設 (3) で、受診が発生するヘルスケア施設が指定されます。 

臨床受診施設レコードは、親臨床受診と Fortis Center 病院のヘルスケア施設レコードを参照します。

ヘルスケア施設オブジェクトは、ヘルスケア施設とその物理的、機能的、地理的な詳細やビジネスの詳細を表します。 

Charles が Carol Peterson 医師の診察を受ける。

臨床受診提供者 (4) で、受診に関与した提供者とその関与の詳細が指定されます。 

臨床受診提供者レコードは、親臨床受診と Peterson 医師のヘルスケア提供者レコードを参照します。

ヘルスケア提供者オブジェクトには、提供者種別など、ヘルスケアの組織や人に関するビジネスレベルの詳細が保存されます。

Charles は腰に痛みがある。

臨床受診理由 (5) で、受診の発生理由が指定されます。

臨床受診理由レコードは、親臨床受診レコードとケア観察レコードを参照します。

ケア観察オブジェクトには、受診時にヘルスケア提供者が行う観察が保存されます。

診断の結果、Charles が筋肉と靭帯を痛めていることがわかる。

臨床受診診断 (6) で、臨床受診に関連する診断が指定されます。

臨床受診診断レコードは、親臨床受診レコードと受診に関連する条件または処置を参照します。 

健康状態オブジェクトは、臨床症状の問題、または懸念事項となる臨床的に関連するあらゆる発生を表します。 

Peterson 医師が Charles の怪我の程度を確認するために検査を依頼する。

臨床受診サービス要請 (7) で、ヘルスケア処置や診断サービスの要請を指定します。

臨床サービス要請レコードは、親臨床受診レコードは臨床サービス要請レコードを参照します。

臨床サービス要請オブジェクトは、患者のヘルスケアの一環として、処置や診断サービスの要請を表します。

次に、Peterson 医師が Charles の病状を診断し、薬剤を処方する際に関連するようになるオブジェクトを見てみましょう。まず、薬剤オブジェクトから始めます。

診断と薬剤

薬剤オブジェクトは薬剤に関する詳細情報を表します。薬剤レコードには、次のようなデータが含まれています。

  • 薬剤の名前、カテゴリ、状況
  • 薬剤を製造している組織の名前とこの薬剤の投与形態のコード
  • パッケージ化された商品に含まれる薬剤の合計金額または合計量

Peterson 医師が Charles の症状を診断し、新しい薬剤を処方する。 

薬剤オブジェクトと関連オブジェクト。

オブジェクトとレコードの概要を次に示します。

シナリオの詳細 オブジェクトとレコードの詳細

Charles がレポートを受け取る。

診断の概要 (1) は、患者に実施した検査の所見、解釈、概要を表します。 

診断の概要レコードは、臨床受診レコード、ケア実施者レコード、投薬明細レコードを表します。 

Peterson 医師が検査を行う。

ケア実施者 (2) は、観察、処置、免疫付与においてケアを実施する人を表します。この人物は、医師またはケアイベントにおいて患者を看護したあらゆる個人である可能性があります。 

Peterson 医師が Charles の病歴を確認する。

投薬明細 (3) は、患者が現在服用している薬剤、または過去に服用したことがある薬剤のレコードを表します。

投薬明細レコードは、臨床受診レコードと投薬明細レコードを参照します。

Peterson 医師が Charles に新しい薬剤を処方する。

薬剤要請 (4) は、薬剤供給の要請や指示、および投与方法に関する情報を表します。 

薬剤要請レコードは、臨床受診レコード、薬剤レコード、健康状態レコードを表します (5)。

Charles の健康状態は筋肉と靭帯の損傷である。

健康状態 (5)

Peterson 医師が、服用する薬として Pain-Away という薬剤を指定する。

薬剤(6)

Peterson 医師が、服用する薬剤の量を指定する。

調剤 (7) は、薬剤の要請や指示を基づいた患者に対する薬の調剤を表します。また、このオブジェクトには薬剤の投与方法に関する指示も含まれます。

調剤レコードは、臨床受診レコード、薬剤要請レコード、薬剤レコードを参照します。

重要: この単元で紹介したオブジェクトは、臨床データモデルで利用できるすべてのオブジェクトのサブセットです。  すべての臨床オブジェクトについての詳細は、『Salesforce Health Cloud 開発者ガイド』を参照してください。この開発者ガイドは、すべての Health Cloud のデータモデルとオブジェクトに関するリファレンスです。また、各オブジェクトで利用可能な標準項目の用途についても説明されています。

ヒント

Health Cloud 組織にアクセスでき、このモジュールで取り上げるオブジェクトを自分で確認したい場合は、[設定] に移動して [オブジェクトマネージャー] を開いてください。そこから、オブジェクトを検索して開くと、項目やリレーションなどの詳細を表示できます。また、スキーマビルダーを開くこともできます。これは、複雑なデータモデル内の特定のオブジェクトとそのリレーションを視覚化したい場合に特に便利です。

次に、Charles の医療保険と請求プロセスに関する洞察を取得するために医療保険と請求データモデルを調査します。

リソース

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