グラウンディングの基本を学ぶ
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- エージェントのグラウンディングの概念とそれが役に立つ理由を理解する。
- グラウンディングと検索拡張生成 (RAG) の関連性を明確にする。
- Agentforce のデータソースとして使用できるデータの種類を説明する。
- Agentforce 内で使用できるデータセキュリティの方法とツールを確認する。
始める前に
Salesforce は、新しい生成人工知能 (AI) ツールのロールアウトにあたって、お客様がエージェントについてやエージェントをデータでグラウンディングする方法について学びたいと思っていることを理解しています。始める前に、次の推奨コンテンツを完了することを検討してください。
「Einstein 生成 AI 用語集」に、大規模言語モデル (LLM)、プロンプト、グラウンディング、ハルシネーション、有害な言葉など、このバッジで使用する多数の用語も記載されています。LLM についての詳細は、「大規模データモデル」Trailhead モジュールを参照してください。
グラウンディングとは?
一般にグラウンディングとは、リクエストを処理する LLM に考慮してもらいたい情報を LLM プロンプトに取り込むことと考えることができます。グラウンディングのデータソースには、Excel スプレッドシートや CRM データといった構造化データのほかに、PDF、チャットログ、メールメッセージ、ブログ投稿などの非構造化データも使用できます。
グラウンディングの目的は、LLM の応答の正確性と関連性を高めることです。エージェントと連携して使用されることが多い LLM は、コンテキスト固有の知識や専有情報ではなく、一般的な情報でトレーニングされます。信頼できるデータソースからドメイン固有の関連する知識やコンテキスト情報を追加すれば、LLM の結果が強化され、AI ソリューションに対する信頼が高まります。
エージェントを検証可能なデータソースでグラウンディングすることが、的確な意思決定と効果的なアクションにつながります。エージェントに正確性と関連性の高い最新情報を提供すれば、高い成果をあげることができます。
構造化データと非構造化データ
エージェントと LLM のグラウンディングに使用する情報は、構造化データと非構造化データから取得できます。
構造化データは、あらかじめ定義された形式で整理され、メタデータが明確にわかっています。構造化データは簡単に検索して分析し、エージェントに統合できます。例として、取引先、取引先責任者、ケースのような Salesforce オブジェクトや、データモデルオブジェクト (DMO) のデータが挙げられます。
非構造化データには、あらかじめ定義された形式がなく、メタデータが不明です。例として、メール、チャットログ、ソーシャルメディア投稿、ドキュメントが挙げられます。処理するのは容易ではありませんが、非構造化データから貴重なインサイトを得られる可能性があります。非構造化データを検索して取得するためには、知識を整理して最適化する前処理が必要です。このデータを Agentforce に接続するには、構造化形式に変換するために、自然言語処理 (NLP) ツールやデータ抽出サービスを使用することができます。
検索拡張生成 (RAG) を使用してグラウンディングする
RAG は、非構造化データソースから知識を取得するグラウンディングの一種です。このアプローチでは、ドキュメントのコレクションなど、信頼できるソースからの関連性の高い最新情報で LLM プロンプトを強化します。たとえば、顧客が製品の機能について質問した場合、RAG は知識ベースから最新の機能詳細を取得して、LLM が応答を生成するプロンプトに追加します。
セキュリティと信頼性を確保した AI エージェントを設定する
データのセキュリティと整合性は、AI エージェントの基盤である Agentforce のセキュリティに組み込まれています。開発プロセス中に使用できる堅牢で柔軟なセキュリティツールがあります。AI エージェントのセキュリティ管理についての詳細は、「信頼できるエージェント型 AI」と「Maintain Trust with Agentforce Actions (Agentforce アクションによる信頼の維持)」を参照してください。
セキュリティを強化するには、最小権限の原則、強力な認証方法、ID およびアクセス制御の確認ツールを使用します。エージェントの状況を把握するには、Agentforce でアクセスログの監視と監査が可能です。もう 1 つのセキュリティ対策として、特定の境界を設定したアクションの設計があります。最後に、Agentforce では未承認ユーザーに機密データを非表示にするデータマスキング手法がサポートされており、データ保護規制を確実に遵守できます。
データによるグラウンディングを実務で効果的に活用するには、Agentforce で使用するための方法を理解する必要があります。次は、その 2 つのアイデアについて詳しく見ていきます。