Einstein の使用開始
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Einstein とは何か、Einstein がスマートなアシスタントである所以を説明する。
- Einstein が競合商品とどのように異なるかを説明する。
- Einstein により、すべての Salesforce ユーザがどのようにさらにスマートになるかを説明する。
- Einstein の基盤となる AI テクノロジについて説明する。
Salesforce Einstein についての多くの噂が飛び交っていますが、Salesforce Einstein とは一体何なのでしょう?
Einstein は、あなたのスマートな CRM アシスタントです。
Einstein は大きな話題であるだけではなく、大きな変化でもあります。ですから、社内で質問攻めにあっても驚かないでください。CRM に人工知能 (AI) を追加することで、会社のすべての部門および業種にわたって、顧客を理解し、顧客とやりとりを行う方法を完全に変えることができます。このモジュールは、Einstein のすべてに関する虎の巻だと考えてください。
この単元では、ユーザから尋ねられる質問とそれに対する答えについて取り上げます。その前にまず、AI とスマートアシスタントについての基本的な知識を簡単に確認しましょう。
AI の基本の概要
みなさんはインテリジェントなタイプとお見受けしますので、すでに「ビジネスのための人工知能」のバッチは獲得し、AI についてかなりご存じのことと思います。ただし、Einstein の詳細に進む前に、そのモジュールで学んだことを簡単に復習したいと思います。
- AI は、パーソナライズされた推奨事項、インテリジェントな検索結果、作業の自動化によって、私たちの生活を楽にしてくれます (ただし、殺人ロボットではありません)。
- データ、計算機能、アルゴリズムの収束により、AI は進化の転換点にあります。
- AI はアプリケーションに埋め込まれて消費者の生活ですでに使用されており、さまざまなユーザインターフェース (UI) をとおして表面化しています。
スマートアシスタント: AI の 1 つの形式
スマートアシスタントは、AI の 1 つの形式で、個人やグループのために作業の実行や自動化を行うことができます。ここ数年で、スマートアシスタントの機能は急速に進歩しました。Apple の Siri に今日の天気を尋ねたり、Amazon の Alexa に新しいキッチン用品の注文を頼んだり、Google アシスタントに Drake の最新のアルバムをかけるように頼んだことがあれば、スマートアシスタントを使用したことになります。
このアシスタントの何がそれほどスマートなのか、見てみましょう。
- 音声入力: そうです。有能なアシスタントは、常時あなたの声に耳を澄ましています。
- 自然言語理解 (自然言語処理の一部): 誰かが話しているのをただ聞いているのと、話している内容を理解するのとは別のことです。このテクノロジによって、アシスタントは、あなたが話したときにその内容を理解し、適切に対応することができます。
- 音声出力 (自然言語生成): 会話に勝るコミュニケーション手段は他にありません。このテクノロジのおかげで、これまでのように画面に表示された情報を読むのではなく、アシスタントが会話するように音声で情報を伝えてくれるようになったことを素直に喜びましょう。(おまけに、眼精疲労からも解放されます。)
- インテリジェントな解釈: ニーズを予測することは重要です。このテクノロジは、コンテキストや過去の行動、そしてデータに基づいて、次に何が求められているかを判断できます (たとえば、毎週火曜日の夜にオンラインで寿司を注文していると、Google は翌週にその時間が近づくと寿司の広告を表示してくれます)。
- エージェンシー: 常に求められているのは期待以上の成果です。アシスタントは、要求されていないことも先回りしてくれます。ミーティング後のミーティングメモに残った未完了のアクション項目に基づいて、アシスタントがフォローアップミーティングをスケジュールしてくれる、などはその良い例です。
出典: https://www.nngroup.com/articles/intelligent-assistant-usability/
Einstein は、あなたのスマートな CRM アシスタントで、2 つのカテゴリとして考えることができます。
- Einstein 標準搭載アプリケーション
- Einstein プラットフォーム
Einstein 標準搭載アプリケーション
前のセクションで説明したように、AI はすでに使用されているアプリケーションに埋め込まれているため、本質的に Salesforce UI 全般を通じて登場します。Einstein もほぼ同じように機能します。消費者アプリケーションと同じように、Einstein はすべての Salesforce アプリケーション (Sales Cloud、Service Cloud など) に AI を内蔵のスマートアシスタントとして注入します。これにより、あらゆる役割や部門、業種のビジネスユーザが毎日使用する Salesforce 商品の内部で直接、アシストを受けられるようになります。
Einstein プラットフォーム
ビジネスの業務はそれぞれ異なるため、Salesforce の使用方法もさまざまです。Einstein プラットフォームには、システム管理者と開発者が自社のビジネス用にカスタマイズされたスマートアシスタントを構築するための強力なツールが含まれています。音声入力、自然言語理解、音声出力、インテリジェントな解釈、エージェンシーの各構成要素を使用してアシスタントを構築することで、会社は顧客と有意義なやりとりを行い、顧客に対する理解を深めることができます。また、顧客がスマートアシスタントとやりとりを行う機能も構築できます。これにより、質問にすばやく回答し、よくあるケースを解決できます。
Einstein を使用することで、すべての Salesforce ユーザは、ストレスを最小限に抑えながら、次のことを実行できます。
- 会社の顧客について新しい事実を明らかにするインサイトを発見する。
- 結果を予測して、ユーザが自信を持って意思決定できるようにする。
- すべてのエンゲージメントを最大限に活用した最適なアクションを推奨する。
- ユーザが顧客の成功に注力できるように、日常業務を自動化する。
そのしくみについて説明しましょう。
- IT 部門では、Einstein を使用して、あらゆる部門や業種に対応するインテリジェントなアプリケーション、ビジネスプロセス、ワークフローを構築できます。
- 営業部門では、営業担当が Einstein で最適なリードや商談を特定できるため、コンバージョン率が向上し、商談成立数が増えます。
- サービス部門では、Einstein を使用して、顧客は選んだチャネルで回答をすばやく見つけることができ、エージェントはケースに優先順位を付け、適切な記事を推奨して、ケースを迅速に解決できます。
- マーケティング部門では、マーケティング担当者が Einstein で適切なコンテンツを適切な顧客に適切なタイミングやチャネルで送信できるため、顧客エンゲージメントが増えます。
- コマース部門では、リテーラーが Einstein で顧客ごとに適切な商品を適切なタイミングで薦めることができるため、収益が増加します。
具体的なお客様の成功例を紹介しましょう:
- Sales Cloud の Einstein リードスコアリングによってトップレベルのリードのリード取引開始率が 2.35 倍に向上
- Sales Cloud の Einstein 活動キャプチャを使用して手作業のデータ入力を削減したことによって、営業担当の生産性が 20% 上昇
- 新商品のメールの開封率が 71% に上昇 (Einstein 導入前の開封率は 8 ~ 15%)
- Commerce Cloud の Einstein Product Recommendations によってコンバージョン率が 9.6% 上昇し、収益が 15.5% 増加
- Einstein Vision によって適合表示画像を 98% の精度でフラグ付けし、フィールド担当の生産性が向上
Salesforce のデータ
すべては、収集するデータから始まります。始めてログインして以来ずっと Salesforce に蓄えてきたデータを利用できます。さらに、Einstein は、メール、カレンダー、ソーシャル、IoT、外部データも利用できます。このデータは、AI モデルのトレーニングに必要な材料となります。複雑そうに聞こえますか? ただし、そうでもありません。データはすでに Salesforce 内に存在するため、ユーザは何もする必要がありません。すでに構造化されているため、Einstein は学習を開始できます。
カスタマイズされた売上予測
ただし、Salesforce に保存されているデータはビジネスによって異なります。実際、Salesforce のすべてのレコードのうち 80% はカスタムオブジェクトです。Salesforce のお客様はそれぞれ独自のデータ規則を持っているため、プラットフォームには多数のカスタムオブジェクトが存在します。用途やデータが異なるお客様それぞれに AI を提供するには、相当数のデータサイエンティストが必要になります。また、Salesforce が AI を提供していない場合に、ビジネスの顧客データに AI を組み込む必要が生じたら、自社でデータサイエンティストを確保しなければなりません。そうならないように、Salesforce では、すべてのお客様のあらゆる用途に対応できる拡張性を Einstein の内部に特別な機能として組み込みました。これで、どちらにも多数のデータサイエンティストが必要になることはありません。Salesforce ではこれを自動機械学習 (AutoML) と呼んでいます。
AutoML のしくみを示す例を見てみましょう。
お客様のコマースチームが、顧客が商品を購入する可能性を予測したいとします。予測を行うには、その商品を購入した顧客、購入しなかった顧客、それらの顧客に関するあらゆる属性 (年齢、場所、その他に購入した商品など) のリストが必要です。このデータは、コマースチームがその商品の購入につながる重要な要素を理解するために役立ちます。ただし、正直に言うと、重複するエントリが存在し、かつ未入力の項目があったり、項目の使用方法が時間経過と共に変化することや、エントリ全般で項目が必ずしも標準化されていないこともあり得ます。AutoML のデータ整理では、データを選別してこれらのエラーを検出し、自動的に修正するか、修正対象としてフラグ付けします。
データの整理が完了したら、予測モデルを作成できるようにデータのトレーニングを行う必要があります。データのトレーニングを行う前に、その商品を購入する傾向を予測するために重要な属性 (特徴) を特定する必要があります。たとえば、「顧客になってからの期間」、「顧客の住所」、「最後に購入した商品」などがあります。データ量は膨大ですから、1 つ 1 つ選別していくのは不可能です。AutoML には特徴エンジニアリングも含まれており、自動的にデータを調べて、その商品の購入に関連する重要な特徴をユーザに代わって識別します。システムに取り込まれるクリーンなデータが増えるにつれ、データのトレーニングが進み、特徴の識別の精度が向上します。
データがトレーニングされたところで、データセットの特徴をエンジニアリングして購入に影響する特徴を判定します。最後に、AutoML は自動モデル選択を使用して、各特徴の重要度に重み付けした独自の予測モデルを構築します。他の重みと比較して重みが大きいほど、その特徴が購入傾向の予測に有意であるということです。
さらに、Einstein は、最も重要な特徴がどれかを指摘した上で、購入に及ぼす影響の割合も判定してくれます。これで十分な情報に基づいて、どのようにエンゲージすれば、顧客の購入に最も影響を与えることができるかを判断できます。
AutoML では、データ整理、特徴のエンジニアリング、自動モデル選択が自動化されているため、このようなビジネス上の予測を行うためにデータサイエンティストを採用する必要がありません。
Salesforce Platform で使える
そして最後に、Einstein は Salesforce の信頼されるプラットフォームの一部であるため、Einstein のすべてのインサイト、予測、推奨、アクションは Salesforce 内部で提供されます。つまり、使い慣れた愛用のモデル管理や監視のツールを利用できるのです。
確かにアインシュタインは天才でした。でも、みなさんもなかなかスマートなのですよ。おまけに、Salesforce Einstein はあなたのスマートな CRM アシスタントなのです。使いやすいだけでなく、ビジネスの理解度を深め、顧客とやりとりを効果を高めるのに役立ってくれます。良いことずくめです。
Einstein プラットフォームを使用すれば、簡単で宣言型のポイント & クリックツールを通じて、自社やお客様のために AI 対応のスマートアシスタントやアプリケーションを構築できます。
また、Einstein の標準搭載アプリケーションには、クラウドごとにインテリジェントな機能が組み込まれており、営業、サービス、マーケティング、コマースの広範囲な用途に対応できます。
Salesforce Einstein の最大の特徴は何かと問われれば、「仕事がやりやすくなる」です。Einstein は次のことを可能にしてくれるからです。
- データに隠されたインサイトやパターンを発見する。
- ビジネス成果を予測する。
- 最適なアクション、提示、エンゲージメントを推奨する。
- ビジネスプロセスとワークフローを自動化する。
さらに、Einstein はどんどんスマートになっていきます。つまり、ビジネスで Einstein を使用すればするほど、ツールから得られるインサイトが増えていきます。
Salesforce Einstein の概要について理解し、Einstein とは何か、どのようなしくみで、なぜ必要かという一般的な質問に答えられるようになりました。ただし、特定の商品と機能について質問されたらどうでしょうか?
答えはしっかりあります。次は、Einstein 標準搭載アプリケーションについて学習します。
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