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質の高いデータに基づく迅速な判断

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 団体がデータを使用して、迅速な判断を下す方法を説明する。
  • 団体に適したデータ収集プロセスを選択することの重要性を説明する。
  • データをクリーンに保つことの重要性を明らかにする。

データについて

あなたはこう思っているのではないでしょうか。「えっ! データなの? このモジュールは Nonprofit Success Pack (NPSP) を使用して、見やすいレポートやダッシュボードを作成するためのものだと思っていたのに...」ここで、ちょっとした極意をお伝えしましょう。世界随一のレポートツールでもデータがクリーンでなければ役に立ちません。正確なレポートを作成する秘訣は、信頼のおけるデータを入手することです。そのプログラムやサービスによって実質的な変化がもたらされることを実証する必要のある非営利団体にとって、この点は特に重要です。 

ですから、レポートに進む前に、データ品質の重要性について論じておく必要があります。わかりやすく説明するために、No More Homelessness (NMH) という (架空の) 非営利団体に目を向け、どのような経緯でデータ主導の団体になったのか見ていきましょう。

データ主導の団体になる

成人ホームレスを対象に支援活動を行う NMH は、データ主導の団体を目指しています。Salesforce を使用しているのもそのためです! Salesforce のレポート機能は強力です。実際この機能は、非営利団体が Salesforce プラットフォームを採択する主な理由の 1 つになっています。Salesforce のレポートやダッシュボードを使用する NMH のチームは、データを比較、評価、分析、分類して、事業の運営や活動資金集めの取り組みについて情報に基づく判断を下すことができます。けれども、こうした優れたツールを使用する前に、適切なデータを収集していることを確認する必要がありました。 

これから見ていくとおり、NMH は Salesforce の汎用性のお陰で、NPSP をカスタマイズし、必要とするデータをキャプチャすることができます。けれどもここで留意すべき点は、強力な機能には多大な責任を伴うということです。つまり、世界中のあらゆるデータを収集できるからといって、収集すべきではありません。

データ主導のスーパーヒーロー

NMH のスタッフは、NPSP 組織のカスタマイズに着手する前に、どのようなデータをどのような理由でキャプチャしたいのか、テーブルを囲んで話し合いました。まず、次のような基本的な事項から検討しました。

  • スタッフが業務を遂行するためには、どのようなデータが必要か?
  • 資金提供者はどのようなデータを求めているか?
  • スタッフが戦略的な判断を下すためには、どのようなレポートを実行する必要があるか?

この 3 点について議論を重ねた結果、NMH のスタッフは膨大なデータを収集する必要があるという認識に至りました! 例として、次のようなデータが求められます。

  • クライアント
  • ボランティア
  • 寄付者
  • 寄付
  • キャンペーン
  • NMH の施設
  • 日常的な活動

前述のとおり、NMH はデータ主導、つまり、データを戦略的に利用して、情報に基づく判断を下す団体になることを目指しています。実施するサービスの評価や向上、あるいは団体全体の改善に役立たないデータに時間を投じる余裕はありません。つまり、次のような計画を立てる必要があるということです。

  • すべてのデータをどのような方法で Salesforce に取り込むか?
  • データの継続的な更新業務を誰が担当するか?
  • 各データポイントの明確な目的はどのようなものか?

また、データ収集については多大な社会的責任を伴います。たとえば、社会事業でお客様に人口統計情報を尋ねるのはごく一般的なことです。けれども、性別、人種、性的指向などに関する質問によって人々に疎外感を与えたり、差別につながるおそれがあります。そのため、すべてのデータポイントについて、「このことを尋ねる事業上の根拠は何か」、「このデータを求めることが、団体の多様性戦略全般にどのように関連しているか」、そして一番重要な「このデータを実際にどのように使用するのか」と自問します。

幸いにも、収集している情報がどのようなもので、社会的正義にどのような影響が及ぶ可能性があるかを考慮するために使用できる優れたツールキットが存在します。末尾の「リソース」セクションに、Racial Equity Tools のツールキットへのリンクが記載されています。データの収集には多大な責任が伴うため、賢いやり方で収集します。 

適切な組織で問題のあるデータが生じる理由

スタッフが質の高いデータを収集して Salesforce 組織に追加している NMH では、レポートにその質が反映されています (さすがです!)。けれども、最初からうまくいっていたわけではありません。Salesforce の立ち上げ当初は、スタッフが重要な情報を入力し忘れたり、打ち間違えたり、誤った情報を入力したりすることがありました。CRM の世界では、「ゴミを入れればゴミしか出てこない」と言われています。問題のあるデータを入力すれば、レポートも不正確なものになります。そのようなレポートは誰も望んでいません! では、「問題のあるデータ」とはどのようなもので、そうしたデータを回避するにはどうすればよいのか見ていきましょう。

問題のあるデータは、次をはじめとする多くのものを意味します。

  • レコードが不完全である
  • レコードが欠けている
  • レコードが重複している
  • データが古い
  • データに基準がない (例: 一部のレコードには「CA」と入力され、他のレコードには「California 」と入力されている場合)

問題のあるデータは、次のようなさまざまなソースや状況から取り込まれる可能性があります。

  • トレーニングが不十分: 団体のスタッフが、データの収集や管理のベストプラクティスに関する十分なトレーニングを受けていないことがあります。
  • 自動化された予防策がない: 問題のあるデータが Salesforce 組織に取り込まれることを防ぐ自動的なメカニズムが配備されていないことがあります。
  • データの健全性ポリシーがない: 組織にデータの健全性ポリシーがほとんどまたはまったく適用されていないことがあります。
  • クリーンなデータを追求する文化がない: リーダーシップがクリーンなデータの重要性を強調していないため、団体にクリーンなデータを求める文化が培われていないことがあります。

調査では、問題のあるデータが一貫して収益の損失、時間の浪費、非効率性と関連していることが示されています。リソースが限られ、時間を無駄にできない非営利団体の場合、組織のデータに問題があることで、その活動目的の遂行が阻まれるおそれがあります。 

では、NMH はどのようにしてデータをクリーンにしたのでしょうか?

質の高いデータ = 質の高いレポート

質の高いデータが Salesforce 組織に取り込まれるようにするためにできることが 3 つあります。第一に、前述のとおり、収集するデータに注意を払います。目的のないデータは、管理する対象が増すだけで、重要な業務の妨げになりかねません。  

第二に、Salesforce には、必須項目、アプリケーション内ガイダンス、ヘルプテキスト、入力規則など、データ品質の維持に役立つツールが多数用意されています。これらのツールの詳細や、適切な実装場所については、システム管理者にお問い合わせください。

第三に、何よりも重要な点として、データ品質を維持する「人材ベースの対策」があります。データ品質を維持することは、Salesforce 組織で作業する全員の責任です。そして、上層部が率先してデータ品質の維持を実践することです! リーダーシップは、団体全体に対してクリーンなデータの重要性を強調し、クリーンなデータを求める文化を培う必要があります。非営利団体のリーダーは、データの健全性管理のスケジュールを設定し、データのメンテナンスの所有権が組織全体に振り分けられるようにします。Salesforce データが信頼できないものであれば、Salesforce 組織から正確なインサイトを得ることができません。つまり、この取り組みの究極の目的が達成されないことになります。

データの収集とメンテナンスは容易いことではありませんが、可能であり、その結果信頼性の高いデータが得られるのであれば、取り組む価値があります。そして嬉しいことに、このモジュールで、努力に応じた見返りを得るために使用できる Salesforce ツールについて知ることができます。次の単元では、NPSP のレポート機能を使用し、団体独自のニーズに合わせてレポートを検索、形式設定、カスタマイズする方法について説明します。

リソース

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