金融サービスのビジネス分野のデータモデルを確認する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 金融口座データモデル内のコアオブジェクトを挙げる。
- Financial Services Cloud で使用されるビジネス分野固有のデータモデルについて説明する。
金融口座データモデル
Financial Services Cloud のデータモデルの基本がわかったところで、この単元では各データモデルとその連携方法を詳しく見ていきます。
最初に理解すべきデータモデルは、金融口座データモデルで、Financial Services Cloud の多くの部分で中核的な役割を果たします。では、このデータモデルのエンティティリレーションダイアグラム (ERD) を見てみましょう。

上図の ERD や、このモジュールに掲載されているほかの ERD には、システム内のエンティティ間の接続が図示されています。各ボックスがオブジェクトを表し、データの構造化とオブジェクト間の相互作用が示されています。ERD の読み取り方についての詳細は、Salesforce 開発者の「Salesforce Data Model Notation (Salesforce データモデルの表記)」トピックを参照してください。
このモジュールでは、各データモデルのオブジェクトを 1 つずつ解説することはしません。代わりに、各モデルを使い始めるうえで特に重要なオブジェクトについて説明します。
金融口座データモデルの主なオブジェクトは、言うまでもなく金融口座です。金融口座には、投資口座、銀行口座、クレジットカードなど、クライアントの金融商品に関する情報が保存されます。金融口座当事者連結オブジェクトを使用して、法人または個人のクライアントを金融口座に結び付けます。金融口座当事者は、金融口座に対するクライアントのリレーションが、金融口座の受取人、所有者、管財人のいずれであるかも定義します。
たとえば、金融口座がクライアントの預貯金口座を表すとします。金融口座当事者を使用して、このレコードを個人取引先に結び付けます。この例の画像では、個人取引先レコードページに複数の金融口座が表示されています。

金融口座は、ほかの主なオブジェクトとも関連しています。
- 金融口座取引: 金融口座に関連付けられている取引の詳細を保存します。
- 保有証券: 株式など、投資口座の保有状況を追跡します。
- 金融口座残高: 最終明細残高、元本残高、クレジット残高など、金融口座残高の詳細を保存します。
- 発行済みカード: デビットカード、クレジットカードなど、お客様に発行されているカードを追跡します。
金融口座オブジェクトは、クライアントの財務状況に関する多くの基本情報を追跡するため、Financial Services Cloud 全体の中心的な役割を果たします。たとえば、支店管理の機能やツールにとってこのオブジェクトは極めて重要です。また、財務積み上げ集計、財務プランと財務目標、リテールバンキングコンソール、AI 生成のウェルスサマリーなどの土台にもなるオブジェクトです。
特定のビジネス分野のデータモデル
金融口座データモデルが Financial Services Cloud のさまざまな機能の中核的な役割を果たすのに対し、ほかのデータモデルは特定のビジネス分野向けの機能を拡張します。投資銀行、リテールバンク、ウェルスマネージャー、保険会社、貸付業者はすべて共通の基盤を使用しますが、それぞれ観点が異なります。そのため、Financial Services Cloud にはビジネス分野向けに調整されたデータモデルが用意されています。この中には、あらかじめ含まれているものもあれば、アドオンとして追加できるものもあります。こうしたモデルを組み合わせて、Salesforce をビジネスに適合させることができます。
以下に、これらのデータモデルと、その主なオブジェクトについて概説します。
金融取引データモデル
金融取引データモデルは、合併や買収、新規株式公開など、チームが複雑な財務状況を最初から最後まで管理する場合に役立ちます。また、このデータモデルがあれば、金融機関が機密情報を知る必要があるチームメンバーのみと共有して、コンプライアンスを維持しやすくなります。このデータモデルのオブジェクトを見てみましょう。

このデータモデルの主なオブジェクトは金融取引です。チームはこのオブジェクトを使用して、取引のライフサイクルを追跡して管理します。金融取引は、複雑な金融取引を成立させるために必要なあらゆる情報の拠点です。
金融取引には通常、複数の組織や個人が関与します。関与する人々の追跡や取引上のロールの定義には、金融取引当事者オブジェクトを使用できます。
金融機関のユーザーを取引に関連付ける場合も、金融取引当事者オブジェクトを使用します。たとえば、取引チームのメンバーや、アクセスする必要があるほかの人員などです。金融取引当事者オブジェクトの準拠データ共有を有効にすると、どの関係者が取引の詳細を参照できるかを設定できます。詳細は、Salesforce ヘルプの「準拠データ共有」を参照してください。
支店管理データモデル
支店のあるリテールバンクやその他の金融機関は、支店管理データモデルを使用して、Financial Services Cloud 内で支店の業務、従業員、顧客セグメントを追跡できます。
支店の構造を定義し、従業員とパートナーを支店に割り当てれば、支店ごとに活動やパフォーマンスを追跡できます。以下は、このデータモデルの ERD です。

この主なオブジェクトは支店ユニットです。このオブジェクトは、特定の支店、場所、組織単位を表し、支店名、親支店、支店長などのデータを保存します。
支店ユニット顧客オブジェクトはクライアントの口座を支店に結び付ける一方で、支店ユニット関連レコードオブジェクトはリードなどのほかのレコードを特定の支店に結び付けます。こうしたつながりによって支店レベルでパフォーマンスを追跡したり、マーケティングキャンペーンを実施したりすることができます。更に、レコード関連付けビルダーツールを使用すれば、取引先、リード、商談などの新規または変更されたレコードを、それを処理する支店に自動的にリンクするための条件を定義できます。
ユーザーが支店セレクターコンポーネントを使用して自分の支店を選択すれば、支店管理データモデルを使用して各自の業務を自動的に支店に結び付けることができます。
ビジネスクライアントエンゲージメントデータモデル
ビジネスクライアントエンゲージメントデータモデルは、特に所有構造が複雑な B2B クライアントを理解して管理し、エンゲージするうえで役立ちます。このデータモデルに付属するオブジェクトを使用して、ビジネスの重要な人物や、ビジネス構造全体を追跡できます。
このデータモデルの鍵を握るのは、申込者と当事者プロファイルという 2 つのオブジェクトです。

申込者は、金融商品に申し込むビジネスを表します。このオブジェクトには、申込者のビジネスエンティティ名、種別、主取引先責任者などの詳細が保存されます。また、業種、業種分類コード、法人識別子、証券取引所名などの情報も保存されます。
当事者プロファイルには、ID 検証の結果、信用スコア、身元調査の結果など、コンプライアンスに関連する申込者の詳細が保存されます。ほかの数種のデータモデルにとっても重要なこのオブジェクトについては、次の単元で詳しく学習します。
これらのオブジェクトは、補助的なオブジェクトや子オブジェクトと連携して、ビジネスに必要な規制情報をすべて取得したり、組織の全体像を示したりすることができます。
保険データモデルと保険仲介データモデル
Financial Services Cloud には、保険契約や請求など、保険のライフサイクルを追跡する保険データモデルもあります。必要に応じて、Financial Services Cloud の保険仲介データモデルを追加すれば、保険エージェント、保険ブローカー、保険仲介業務のその他の要素を管理できます。
保険の主なオブジェクトは、保険契約と請求です。保険契約は、自動車、住宅、生命、年金など、各種の保険契約を表します。他方、請求は上記の保険契約に対する何らかの請求を追跡します。保険契約関係者、補償対象資産、保険契約補償範囲、請求支払、更に担当者の手数料については、それぞれのオブジェクトがその詳細を追跡します。
保険仲介データモデルも保険契約オブジェクトを使用しますが、担当代理店、募集人リレーション、保険募集人の管理に固有のその他の情報を追跡するためのオブジェクトも追加されています。
関心がある方は、「保険データモデル」モジュールや「Financial Services Cloud の保険仲介」モジュールを受講してください。この 2 つのデータモデルの ERD は、Salesforce 開発者のデータモデルギャラリーにある「Financial Services Cloud」ページで確認できます。
オンラインレンディングデータモデル
Financial Services Cloud のアドオンとして利用できるオンラインレンディングは、融資の申込、申込者、融資の決定に必要なデータを追跡するためのデータモデルを備えています。オンラインレンディングの ERD を見てみましょう。

この主なオブジェクトは申込フォームで、オンラインレンディングでは融資商品に対して送信された申込を表します。オンラインレンディングの申込フォームを使用する場合は、UsageType 項目を「ローン組成」に設定します。申込フォームオブジェクトは、オンボーディングなど、ほかの目的にも使用できます。
申込フォームの子オブジェクトである申込者は、ローン商品に申し込んだ個人または集団を表します。そのクライアントが新規か既存かは問いません。当事者プロファイル、当事者情報検証などの関連オブジェクトは、申込に関するその他の主要な情報を追跡します。
次のステップ
この単元では、Financial Services Cloud の中核となる金融口座データモデルについて学習しました。また、ビジネス分野固有の各種のデータモデルも確認しました。この中には Financial Services Cloud に付属するものもあれば、アドオンとして利用できるものもあります。
これらのデータモデルについて理解したところで、この後は各自の組織のさまざまなビジネス分野の業務をサポートするその他のデータモデルを見ていきます。次の単元では、チームがクライアントのオンボーディングを実施して、顧客情報を収集するうえで役立つオブジェクトについて学習します。
リソース
- Salesforce 開発者: Data Model Gallery: Financial Services Cloud (データモデルギャラリー: Financial Services Cloud)
- Salesforce ヘルプ: How Are Financial Accounts Modeled? (金融口座のモデル化方法)
- Salesforce ヘルプ: Financial Services Cloud のデータモデル
- Salesforce 開発者: Financial Services Cloud 開発者ガイド
- Trailhead: 保険データモデル (「保険データモデルについて知る」単元を参照)
- Trailhead: Financial Services Cloud の保険仲介
