金融サービスのデータを構造化する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Financial Services Cloud が、ビジネス分野全般の一元的なデータモデルとなる理由を説明する。
- Financial Services Cloud のデータモデルの基本事項を説明する。
- Financial Services Cloud で個人や法人のクライアントがどのようにモデル化されるか説明する。
始める前に
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金融サービスの一元的なデータモデル
金融サービス機関でデータを管理したことがあれば、各システムに分散しているデータの調整がどれほど厄介かご存知かと思います。金融サービスでは、クライアントの財務状況、取引、同意、行動を追跡するシステムに混在する構造化データと非構造化データを扱います。こうしたデータのすべてが厳格な規制やセキュリティ要件の対象です。
このすべてを管理して、ビジネスがクライアントの一元的なビューを確認できるようにするにはどうすればよいのでしょうか?
ここで役立つのが Financial Services Cloud です。
「Financial Services Cloud の基本」で学習したとおり、Financial Services Cloud は特に金融機関向けに設計された機能、コンポーネント、データモデルの集合体です。この対象になる機関として、銀行、ウェルスマネジメント事業、貸付業者、保険会社などが挙げられ、このすべてがクライアントの一元的なビューを活用して、クライアントのライフサイクルをエンドツーエンドで管理できます。

プロスペクティングからアップセルに進んだら、またプロスペクティングに戻るサイクルを追跡するうえで重要な点は、クライアントの財務状況と目標を理解することです。
このモジュールでは、Financial Services Cloud のデータモデルと、そのモデルがどのように連携してクライアントの全体像を示すのかについて学習します。
Financial Services Cloud を構成するオブジェクトは多数ありますが、ここでそのすべては取り上げません。代わりに、相互に関連する各種のデータモデルの主なオブジェクトについて概説します。具体的には、金融口座データモデル、ビジネス分野固有のデータモデル、日常業務に役立つデータモデルを取り上げます。更に、各種のシステムのデータを Salesforce と Financial Services Cloud に取り込んでまとめるツールについても説明します。
さまざまなビジネス分野やニーズに応じたデータモデル
Financial Services Cloud は相互に接続された標準のデータモデルを搭載し、どの金融機関も活用できます。まず、Salesforce のごく一般的なオブジェクトから使い始め、各自のビジネス要件に合わせて実装可能な特殊なオブジェクトを追加していきます。必要なものだけ使うことができますが、豊富なオプションが用意されています。
では、土台となる部分から見ていきましょう。Financial Services Cloud は、各自の組織のパッケージとライセンスに応じて、Sales Cloud、Service Cloud、またはその両方に付属する Salesforce の標準オブジェクトを使用します。つまり、取引先、商談、ケースなど、Salesforce 全体で使われているものと同じ標準オブジェクトの多くを使用します。
Financial Services Cloud では、その基盤に金融口座データモデルが追加され、このモデルに金融口座、取引、資産などの追跡に必要なオブジェクトが付属します。
このモデルのオブジェクトは、ビジネス分野固有のデータモデルにシームレスに接続します。たとえば、リテールバンクやウェルスマネジメント事業は、支店管理データモデルを使用して支店のパフォーマンスや生産性を追跡します。必要に応じて、オンラインレンディングや回収を目的とするデータモデルを追加することもできます。
また、ビジネス分野全般で使用されているツールを強化する有用なデータモデルも存在します。たとえば、統合オンボーディングデータモデルは、申込や新しいクライアントの情報の収集に役立ちます。インタラクション概要データモデルは、クライアントとのミーティングで詳細なメモを取り、その情報をクライアントや金融取引に関連付けます。
上記をはじめとするデータモデルについては、このモジュールの後続の単元で詳述します。その前に、こうしたすべてのデータモデルを結び付けるもの、つまりクライアントについて説明します。
顧客データモデル
Salesforce では基本的に取引先オブジェクトを使用してお客様を追跡します。大抵の場合、その取引先は法人です。他方、金融機関の多くは組織と個人の両方と取引をします。そのため、Financial Services Cloud では 2 種類の取引先を使用します。
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個人取引先 (
) は個人を追跡します。個人取引先レコードには、取引先オブジェクトと取引先責任者オブジェクトの項目が組み合わされています。個人取引先を使用して、個々のクライアント、その家族、法人クライアントの主なスタッフ、その他の個人に関する詳細を保存します。
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法人取引先 (
) は、世帯、会社、政府機関など、組織または個人の集団を追跡します。こうした組織で仕事をする人々は、関連する個人取引先レコードを使用して追跡できます。
法人取引先は、B2B クライアントと世帯の両方を表します。世帯は、家族など関連のある個人を一つにまとめた法人取引先の一種で、各人の財務状況を合算して表示や管理することができます。法人取引先は、関連する当事者リレーショングループオブジェクトがある世帯と定義されます。ほかのオブジェクトを使用して、ビジネス、世帯、個人を相互に結び付けたり、そのリレーションを追跡したりします。
Financial Services Cloud でクライアントを追跡する方法について説明するモジュールがすでに存在するため、ここではこのデータモデルについて詳しく説明しません。関心がある方は、Trailhead の「Financial Services Cloud を使用したクライアント管理」を受講してください。
データ管理と API
確かに優れたデータモデルが揃っていますが、それを使用して、全社に分散している無数のシステムごとにサイロ化されたデータを一元化するにはどうすればよいのでしょうか?
Financial Services Cloud は、各種の金融サービスチャネルやビジネス分野にまたがるデータを一元化する堅牢なデータ管理ツールと連携して機能します。付属の API やインテグレーション機能を使用すれば、勘定系システムや、保険やウェルスマネジメントのプラットフォームなど、多様な外部システムに接続できます。データ消費フレームワークなどのツールを使用して、担当者が Salesforce を離れることなく、こうしたシステムの最新データにアクセスできます。
このような接続を簡単に行うために、MuleSoft で事前構築されたインテグレーションを利用できます。また、Data 360 を追加すれば、複数のソースのデータを 1 つにまとめて Salesforce 全体で利用できるようになるため、リアルタイムの判断が可能になります。
データが統合されれば、担当者の業務効率が高まるだけでなく、Agentforce や Einstein といった高度な機能を強化して、金融サービスのライフサイクルを通して AI ドリブンのインサイトの取得や自動化が可能になります。
インテグレーションツールについては、このモジュールの最後に詳述します。
次のステップ
この単元では、Financial Services Cloud が専用のデータモデルを使用して金融口座、取引、資産をどのように追跡するかの基本事項を学習しました。これで、個人や組織 (世帯を含む) の追跡に個人取引先と法人取引先をどのように使用するのかを理解することができました。また、データを一元化したり、外部システムに接続したりするためのデータインテグレーションツールも簡単に確認しました。
後続の単元でさらに詳しく見ていきます。次の単元では、Financial Services Cloud で使用できる金融口座データモデルとビジネス分野固有のデータモデルを確認します。
リソース
- Salesforce ヘルプ: Financial Services Cloud のデータモデル
- Salesforce 開発者: Financial Services Cloud 開発者ガイド
- Salesforce 開発者: Data Model Gallery: Financial Services Cloud (データモデルギャラリー: Financial Services Cloud)
- Salesforce ヘルプ: Tools for Getting Oriented to Financial Services Cloud Data Models (Financial Services Cloud のデータモデルを理解するためのツール)
