金銭に関する心構え
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- お金があなたの健康やウェルビーイングにどのように影響するかを学習する。
- お金にまつわる心配が金融行動にどのように影響するか説明する。
- ファイナンシャルウェルネスを定義する。
詳しい説明に入る前に、あなたとお金の関係を評価してみましょう。
お金に関する演習: 米国心理学会が挙げる、次のいずれかの兆候に該当すると思いますか?
- お金にまつわることは考えないようにしている。
- 家族や大切な人々とは経済状態について話し合わないようにしている。
- 銀行の明細書やクレジットカードの請求書を開封しないままにしている。
- 自分のクレジットスコア (信用偏差値) を知らない。
上記のいずれかに該当する場合は、お金に関する心構えを変える必要があるかもしれません。このモジュールはそうした変化に関するもので、豊かな人生を送るために役立つ情報やリソースをご紹介します。
お金とウェルビーイング
お金の話をしたいと思う人はいないでしょう。実際、Wells Fargo の調査によると、人々は死、政治、宗教よりもお金について話すことを嫌がります。お金についての話がタブー視されるのはなぜでしょうか?
お金が日常生活の大きなストレス源になることがあります。そして、お金がストレスになることは万国共通です。
お金についての懸念は国ごとに、そして人それぞれ異なります。債務を抱えている人、老後の不安を抱いている人、投資運用を行っている人、大きな買い物のためにお金を貯めている人の全員に 1 つの共通点があります。お金のことが頭から離れないということです。
- 米国人の半数以上が、お金が大きなストレス源になっていると報告しています。(Stress in America™ の 2017 年調査)。
- オーストラリア人の間では、個人の経済状態が主要なストレス源になっています。(オーストラリアのストレスとウェルビーイング)。
- 従業員の懸念の上位 3 つのうちの 2 つがお金にまつわることです。(「ファイナンシャルウェルネスの DNA」レポート)。
- インドでは、ミレニアル世代の半数以上が、退職前にお金がなくなるのではないかと心配しています。(Cigna TTK Health Insurance Co)
心配がストレスに転じ、回避につながり、事態が悪化する...
自身の経済的な状況にストレスを感じているとどうなると思いますか? 上記の演習で挙げられていたことが次々と生じます。つまり、回避です。けれども、請求書、家賃、住宅ローンなどの場合、避けて通るわけにはいきません。先延ばしにしていれば、経済状況が急速に悪化するおそれがあります。
こうした状況から脱する術、つまり、お金に関するストレスを軽減し、自信をもって金銭的な目標を追求する方法が存在します。このために、莫大な資金が要るわけではありません。
お金のパラドックス
お金に関する神話: お金持ちほど幸せである。
お金や財産があれば自身が望む人生を送れる可能性が高まりますが、Salary Finance の「従業員向けのファイナンシャルウェルネスガイド」などのレポートに、所得水準を問わず経済状態に起因するストレスが生じることが示されています。調査対象者のうち、年間所得が 10,000 ~ 15,000 英ポンドの人々も、抱えているストレスは 100,000 英ポンド以上の人々と同程度です。
2018 年の PwC のファイナンシャルウェルネスに関する調査では、所得が最高水準 (10 万米ドル超) の従業員も当座の資金や負債にまつわる問題を抱えており、従業員の半数近くにクレジットカードの未払い金があり、その 3 分の 1 が月々の最低額の支払に苦慮しています。
要点: 自身の現況や収入額に関係なく、経済的自由 (お金の不安のない状態) を手に入れるための独自の道が存在します。このためには、お金の問題を回避するのではなく、ファイナンシャルウェルネスに意識を向けることが大切です。
ファイナンシャルウェルネスに意識を向ければ、財務の方程式から心配を排除することができます。心配がなくなれば、家計の安定や選択の自由を手に入れる独自の道を築いていくことができます。そして、ストレスが軽減され、精神面のウェルビーイングが向上することになります (APA)。
ファイナンシャルウェルネスの定義
ところで、ファイナンシャルウェルネスとは何なのでしょうか? 自信をもって金銭的な目標を追求していく中で、危惧や不安にとらわれることなく、資金について自由に決断を下せるということです。こうした状態になるためには努力が必要です。計画を実行に移すには時間がかかります。
そして、大切なのは進歩であり、完璧ではないことを心に留めておきます。
Consumer Financial Protection Bureau (CFPB) は、ファイナンシャルウェルネスには次の 4 つの要素があると述べています。
- 金銭に関する日常的および長期的な判断に対する責任
- 予期しない経済状況に対処する技量
- 金銭的な目標を達成する資質
- 人生を楽しめる選択をする自主性
ファイナンシャルウェルネスへのジャーニーでは、何から始めればよいのでしょうか?
Smart About Money 曰く、その第一歩は、あなたにとって家計の安定がどのようなものかを明らかにすることです。Smart About Money では経済的な安定性を、自身のニーズを満たせるだけのお金があるという感覚と定義しています。
経済的な安定性と目標
お金に関する演習: ここで、次の質問にどう答えるか考えてみてください。
自分の経済状態が安定していると実感するのはどのような場合ですか?
次に、あなたの人生の目標を挙げてください。
- 短期的に達成したいことは何ですか?
- 長期的に達成したいことは何ですか?
おそらくは、起業したい、憧れの地に行ってみたい、家を買いたいなどではないでしょうか? 退職する前に長期有給休暇を取りたいという場合もあるでしょう。
あなたの目標が何であれ、若干の学習と計画、そして実行可能という心構えがあれば、あなたにとってのファイナンシャルウェルネスを高める道を自力で築いていくことができます。
お金に関する演習: 人生の主要な目標を明確にし、その目標に意識を向けるために SMART の目標を設定して、手帳にメモするか、Quip ドキュメントを開いていつでも確認できるようにします。心理学の Gail Matthews 教授によると、目標を書き留め、進捗状況を追跡する人々は、目標を達成する可能性が 42% 高いということです (Inc.)。
まとめ
お金は大きなストレス源となる可能性があるものの、お金によって私たちの行動が支配されるべきではありません。また、ストレスに陥ってもそこから抜け出せないわけでもありません。お金に対する考え方を変え、ファイナンシャルウェルネスに意識を向ければ、あなたとお金の関係を改善することができます。次は、ファイナンシャルリテラシー (金融を読み解く力) を高めて情報に基づく判断を下せるようにして、目標達成への道を築いていきます。
リソース
- 記事: 金額に向き合う (APA)
- 記事: 個人資産管理に関する会話 (Wells Fargo)
- プレスリリース: APA Stress in America™ の調査 (APA)
- プレスリリース: オーストラリア人の 3 分の 1 がストレスを抱えている (APS)
- 記事: Neyber がファイナンシャルウェルネスに関するレポートを発表 (MALG)
- 記事: インドのミレニアル世代は世界一ストレス度が高い (Workforce)
- ガイド: 従業員向けのファイナンシャルウェルネスガイド (Salary Finance、フォームに記入要)
- 摘要: ファイナンシャルウェルネス: 概要と援助方法 (CFPB)
- 記事: ファイナンシャルウェルネスとは? (Smart About Money)
- 記事: SMART の目標: 目標を達成可能なものにする方法 (MindTools)
- 記事: いち早く成功するために目標を書き留める必須の方法 (Inc.)